気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

片想いFinally 玲奈side⑨

あのバス停の一件以降


私はネックレスをずっと付けていた


最初の頃は


制服のシャツの襟元からネックレスを触り


夢じゃないんだ・・・と


一人でにやけてしまっていた



放課後以外でも珠理奈が話しかけてくることも多くなった


中西はその様子をみてにやにやしていたが


他の女子たちの視線はそんな生易しいものではなかった



そんなある日


事件は起きた



――――――――


掃除も終わり


後はホームルームを待つだけだった


私は机の中の教科書を鞄に入れようと


手を入れた



「・・・っ!」


鋭い痛みが指先に走った


とっさに机の中から手を引っ込める



え・・・・



私は茫然と指先を見つめる



真っ赤な血がにじみ出ていた



後ろで



女子の笑い声が聞こえたが



私の耳にははるか遠くで聞こえているようだった


誰が笑っているのかさえもわからなかった





・・・・どうして?







状況が飲み込めず固まっていた



すると



私誰かに腕を掴まれた




え・・・・?




顔を上げると



珠理奈が私の指に滲んだ血を吸っていた



私はびっくりして


さっきまでの


痛みによる衝撃を一瞬で忘れてしまった



珠理奈の唇の感触が



指先から全身に伝わり



私はドキドキしすぎて息をするのを忘れるくらい



珠理奈に見入ってしまった



珠理奈も私の方をじっと見つめていた





「珠理奈」




廊下から誰かが呼ぶ


そして手招きをしてにこっと微笑んだ


珠理奈はその子に


にこっと微笑んで


走り去ってしまった・・・・・・・



私は指に残る唇の感覚と



自分の胸の奥から湧き上がってくる



ふつふつとした感情とが



混じりあって


今どんな顔をしているかわからなかった・・・




――――



ホームルームが終わり


放課後になった


私はハンカチで押さえていた指を見る


血は止まっていたが


指を動かすとまたうっすらと滲んできた



それと同時にさっきまで忘れていた痛みも


ぶり返してきた




・・・・絆創膏もらおうかな



そう思い


ふらふらと保健室に向かった




――――


「あっいらっしゃーい」


保健室に入ると


小嶋先生と篠田先生が座っていた


(・・・なんでこんなときに)


微笑ましくみえるこの光景も


今の私の神経を逆なでさせた




「どうしたの?」


そんなことを知る由もない小嶋先生は


小首をかしげて聞いてきた


「あの・・・・絆創膏ください」


「あら、怪我―?じゃあ消毒もしてあげる」


そういうと小嶋先生は慣れた手つきで指を持ち


消毒をした


「・・・っ」


その時、私の血を吸う珠理奈がフラッシュバックした



(・・・・珠理奈のバカ)




「ご、ごめん。そんなに痛かった?」


あわてる小嶋先生の声がした



気づくと私はぽろぽろと泣いていた



「大丈夫です。ごめんなさい。」



私は涙を制服の袖で拭いながら気丈にふるまったが


一度出てしまった涙はそう簡単に止まってはくれなかった



「ええ~!麻里ちゃんどうしよう!?」



本格的に泣き出してしまった私を見て


小嶋先生が篠田先生に助けを求める



「・・・・・・まったく。ホントに子供だなあいつは・・・」


はぁっとため息をつき


私にハンカチを差し出した



「あ・・・すいません」


あまりにも自然な流れだったので私も素直に受け取り


涙を拭いていた



「とりあえず、絆創膏」



そういって篠田先生は絆創膏を巻いてくれた



「気が済むまで泣きなさい」



そういうと篠田先生はぽんぽんと私の頭をなでた


私はまたさらにぽろぽろと涙を流した


2人は何も言わずそばにいてくれた



――――――――



しばらくして私は落ち着きを取り戻した



「すいません。これ洗濯して返します」



「いや、いいよ」



そういって篠田先生はハンカチに手をのばす


しかし、私の涙で濡れたハンカチを返すわけにはいかなかった



「やっぱり駄目です。洗います。」



私はとっさに篠田先生の手をよけた



「そう?じゃあ待ってるね」



そういって優しく笑った



「あー麻里ちゃん今デレっとしたー」



むっとした口調で小嶋先生が言う


「にゃろ。とりあえず空気読もうか・・・」



篠田先生は慣れた口調で小嶋先生をなだめていた



「先生たちはいつから付き合ってるんですか?」



「「え?」」



2人が同時に私の方を見た



「あ・・・すいません///」



私は自分の口から


そんな言葉が出てきたことに驚いて


真っ赤になった



「ははっ、じゃあ特別に教えてあげよう。出会ったのは高校時代だよ」



笑って篠田先生が答える



「でも付き合いだしたのは大学時代だよ。それまでにゃろは見向きもしてくれなかったから」



「だって麻里ちゃん何にも言わなかったじゃん。気づかないよー」



「まぁずっと好きだったけど、友達でもいいかと思ってたんだけどね・・・」



そういって私の方を見る



「私以外の人といるのが嫌だったんだよ。もう誰にも取られたくなかったんだ。だから思い切って告白した。」



その言葉は今の私に痛いほど突き刺さった



「まさか受け入れてくれるとは思わなかったけどね。」



そう言って小嶋先生の方を見る


「麻里ちゃんに言われて気づいたんだよねー。LIKEじゃなくてLOVEなんだって。高校の時から麻里ちゃんの隣が一番落ち着いたし。」



そういって篠田先生の腕に抱きつく



「看護師にならずに養護教諭になったのだって、一緒にいたかったからなんだもん♪」



「まぁ、にゃろは保健室くらいが丁度いいよ」


「なにそれー!」


篠田先生はムスッとする小嶋先生の頭をなでながらなだめていた。


私は2人の熱々ぶりに頬を赤くしながら



・・・うらやましいな



と、思っていた




「松井。片想いを終わらせなきゃ次にはすすめないよ。」



篠田先生の目はいつになく真剣だった・・・


片想いFinally 玲奈side⑧

バスを待ちながら珠理奈と話しをする



「あ、そういえば。玲奈ちゃんて誕生日いつ?デートしない?」


「え・・・でも私7月だからもう終わってるよ」


「えっそうなの!?じゃあ転校してくる前だったんだね残念だなぁ~」


ちぇーっと口をとがらす珠理奈

「でも、そう言ってくれるの嬉しいよ。ありがとう」


「あっでも遅いけど誕生日祝いってことでデートしない?」


「えーもう3ヶ月もすぎてるよ」


10月の今、誕生日を祝うと言われてピンとこない


でもそんなことを言うのは珠理奈らしいと思った


「いいの、いいの。プレゼント何がいい?」


「えっ・・・そんなの悪いよ。」


「悪くないよ。何がいい?」


ずいっと珠理奈が近づく


私はふと篠田先生と小嶋先生の指輪を思い出した


珠理奈とお揃いのもの・・・


あっでも付き合ってるわけじゃないしそれはまずいか・・・




「・・・・・・じゃあ・・・」


「ん?」


「珠理奈が持ってる物が欲しい・・・・///」


私は顔から火が出そうなほど恥ずかしかった


だけど、珠理奈と会えない時でも


珠理奈とつながりが欲しかった


その思いが思わず言葉に出てしまったのだ



「私が持ってるもの?えーっと・・・・あっ!」


珠理奈は自分の首からネックレスを外して私に見せた


「これどうかな?」


「うん・・・///]


シャーペンとか文房具系とかでいいと思っていた私にとって


アクセサリーは思いもよらないものだった


私は嬉しさと恥ずかしさでどんな顔をしていいのかわからなかった


「じゃあつけるねー」



そういって私の首に腕を回す



私の首に珠理奈の指と吐息が当たる



ドキドキして私はこのまま倒れてしまうんじゃないのかと思った



着け終わり


珠理奈が離れる


あ・・・


私は名残惜しそうに珠理奈を見つめてしまった




お互い



目を見つめたまま動けなくなっていた



珠理奈が私の髪に触れる



その指づかいにドキドキして


体が固まってしまった




珠理奈の顔がだんだん近づいてくる



そして



耳にキスをされた




吐息と唇の感覚がくすぐったくい


珠理奈が触れた部位が


さらにかーっと熱くなるのを感じた



私はその感覚にとっさに珠理奈の腕を掴んできゅっと握った


「玲奈・・・」


珠理奈が耳元で囁いた


「・・・っ///」


いつもちゃん付けなくせに


真面目なトーンで名前を呼ばれた


私の心臓は破裂するんじゃないかってくらい


ドキドキした


それに耐えるために


さらに珠理奈の腕をぎゅっとつかむのだった


片想いFinally 玲奈side⑦

珠理奈と放課後図書館で過ごすことが当たり前になってきた頃


私は日直当番にあたり


中西に記録の仕方などを教えてもらっていた


「ここに名前かいてー・・・あとここにも」


「よし、終わった。ありがとう」


私はガタっと椅子からたち、鞄に荷物をつめる


その姿を見て中西はニヤニヤしていた


「今日もデートですか?」


「なっ!・・・ちがうから!本読みに行くだけなんだから///」


「はいはい。」


私の顔が赤くなったので全く説得力ないと言った顔で中西は笑っていた


「ちょっとは良さわかった?」


「・・・別に///」


「ふーん・・・。まぁわかってくれて嬉しいよ」


そういって中西はにこっと笑い、鞄をもって立ち上がる



・・・・にししは心読めるんじゃないの?




中西の解釈しかたは


私の心の声を聞いて返事をしているようだった


それだけ私がわかりやすいってことなのか・・・?


そんなんことを考えていると




ガラッ!!




高柳さんが教室のドアを開けて入ってきた


そして自分の机にむかってスタスタと歩き


鞄を持って廊下に出て行ってしまった


「な、なんだー?ちゅりがまだ帰ってないとか珍しい・・・」


その勢いに中西も唖然としていた



私は


教室にはいって来た高柳の目が


鋭く私をみらみつけていたように感じ


びくっと硬直したまま


高柳が出て行くまで動けなかった



「そろそろ行こうか」


そう言って中西は私の方を見る


「う、うん」


私もその言葉で我に返り


図書館に向かったのだった




―――――――――


図書館に行くと


珠理奈は突っ伏して寝ていた


「図書館は寝る場所じゃないんですけどー・・・」


そう呟きながら隣に座る


隣に座っても珠理奈は起きなかった


保健室の時といい


一回寝たら起きないタイプ何だろうか・・・


そう思い


つんつんと頬をつついてみた


「んー・・・」


少し顔をしかめたが


また眠ってしまった


・・・ふふっなんか可愛いー



そう思っていたら


「うーん・・・」



珠理奈の顔がこっちを向いた


「あ・・・・」



私は言葉を飲み込み


顔が赤くなっていくのを感じた



珠理奈の寝顔は


とてもきれいなのだ・・・・


前は保健室で小嶋先生がいたから


そこまでまじまじと見なかったけど・・・


「まつ毛長いなぁ・・・」


私は珠理奈の顔をじーっと見つめていた



・・・・・




って私は何やってるの!?



これじゃただの変態じゃない!!


そう思いぶんぶんと頭を振って


参考書を広げた



・・・・・



ちらっと横目で珠理奈を見る



なんか起こすのももったいないし


寝顔を眺めながら


勉強しようかな・・・




普通に隣に座って勉強するだけなんだから


別にずっと眺めてるわけじゃないんだから・・・




自分で自分に言いわけをしながら


勉強をし始めた



・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・起きない




もう時刻は6時を回っていた


バス来ちゃうなー・・・


そう思いながら珠理奈をみる


まだすやすやと眠っていた



・・・・・・



・・・・帰りたくないな




珠理奈と居たい




そんな思いが私の中に芽生えていた


7時台にもバスあるし


閉館まで・・・このままでいよう


そう思ってまた参考書に目をやる




・・・・あっ


私はふと思い出す


そう言えば珠理奈は本読み終わったのかな?


書棚を見ると


まだ本は返されていなかった


私は珠理奈の鞄をみる


無防備にあいたファスナーから本が見えた



あったあった



そう思い私はそっと本をとり、しおりが挟まっているところを開く


本は終盤に差し掛かっていた


なかなか頑張ってるじゃん・・・


眠る珠理奈を見てふふっと笑った


私は自分のノートの上にある付箋に目をやり


そうだっ!とひらめいた




読み終えて最後のページ見たら驚くかなー


そう思いながら付箋にメッセージを書く




・・・・・・・・・




私は珠理奈の顔を見る



・・・・・・




私は付箋を裏返し


裏面にまたメッセージを書く


そして最後のページに貼り付け


またそっと鞄に戻すのだった





私はまた参考書に目をやり、勉強を再開する


すると



「んーー」



と、伸びをして珠理奈が目を覚ました


「あ、起きた?」


「え・・・あ、うん。起こしてくれたらよかったのに」


「うーん、でも起こしたら悪いと思って。あっでももう少ししたら閉館だからさすがに起こそうと思ってたよ」


「え?閉館?」


とっさに時計に目をやる珠理奈


「やばっ!玲奈ちゃんバス!!」


「大丈夫。7時台にもう1本あるし」


「じゃあバス停で一緒に待つよ!」


「え、いいよ。珠理奈は帰りなよ」


「いーっていーって。私が起きるの待っててくれたんでしょ?それに話しながら待ってたらあっという間だし」


「え・・・じゃあお願いしようかな///」


「うん、じゃあ帰ろうか」


7時に私たちは図書館を出て


バス停でバスを待っていた


片想いFinally 玲奈side⑥

保健室で先生を交えて話した後から


珠理奈に対する警戒は徐々に解けてきていた


放課後、図書館にも変わらず珠理奈は顔を出していた


静かにするっていう条件ならいいよというと


珠理奈はニコニコしながらうなずいた


そんな日が続き


いつの間にか



珠理奈が来るのを待っている自分がいた


いつも隣の椅子においていた荷物を


珠理奈が来るたびにどかしていたが


毎回そんなことをするのも失礼かなと思い


荷物を置かなくなった



「・・・・・玲奈ちゃん。もしかして待っててくれてる?」


にこっといたずらっぽく聞いてくる珠理奈の顔を


私は直視できなかった


「・・・別に///」


おもわずそっぽを向いて答えた


「ふーん・・・素直じゃないところも可愛いなー」


そう言って私の目を見ようと


顔を近づけてくる


「図書館では静かにしてください!」


私はそう言って珠理奈の肩を押し戻す


「・・・今の玲奈ちゃんが一番うるさいと思うんですけど―」


「・・・///」


私は自分が大きな声を出してしまったことに気づき


また赤くなる


そんな私をみて珠理奈が笑う


そして帰りはバス停まで送ってくれた


私がバスに乗ってからも珠理奈は手を振ってくれていた



私も振り返していたけど


小さくなる珠理奈を見みると


なんだか切なくなった

今まではこんな気持ち感じたことなかった


自分が一番大事で


他の人のことなんて興味なかった


でも、



今の私は



珠理奈が来るのを待っている



隣にいると



心地よい感じを覚えていた



そして帰り際に覚える



まるで幸せな夢から覚めるような



そんな切ない感覚



気づけば


いつも珠理奈を想っていた



あぁこれが恋か



「私、珠理奈が好きなんだ・・・」



小さくなっていく珠理奈に手を振りながら


ぽつりとつぶやいた


片想いFinally 玲奈side⑤

それからというもの


珠理奈は私に何度も話しかけてきた


たいてい一人でいる私に隙があるのも確かなのだけれど・・・


とりあえず相手にしないようにしようと心がけていたので


いつも珠理奈はムスッとしていた・・・


私なんて放っておいてくれればいいのに


どうせすぐに飽きるんだから・・・


そして初めて珠理奈に出会ってから


2週間がたとうとしていた





――――


昼休みガヤガヤとにぎわう教室で中西と話しをする


「それにしても・・・珍しいよねー」


中西が私の顔を見ながらつぶやく


「・・・何が?」


「いや、あんなに言い寄られてもつっぱねてるからさ」


「私じゃなくてもいっぱいいるからいいじゃない。それに私、ああいうタイプ苦手だし」


「まぁ・・・珠理奈はチャラいからなー・・・そう思うのも無理ないか。でも意外といいやつなんだよ。腐れ縁としてフォローはしとくよ。」


「いいところが全く見えないけど。」


「厳しーなー」


中西が笑う


「あ、いたいた松井。ちょっといいか?」


突然名前を呼ばれた



そこには生物担当の篠田先生がいた


「は、はい」


「ちょっと今から時間ある?」


「へ?」


突然のことに私は困惑した


「いや、2学期の身体測定が松井だけできてないらしくて、保健室に来てほしいみたいなんだ。」


「あ、はい」


「そうか、よかった。すぐすむから行こうか」


そういうと篠田先生はすたすたと歩き出した


「え、あ、あの・・・」




「いってらっしゃーい」


と、中西は手を振って私を送り出した


勢いに流されるまま


私は篠田先生の後を速足で追いかけるのだった




なんで保健室の用事を篠田先生が言いに来たんだろう・・・?


篠田先生はすらっとした長身でいつも羽織っている白衣がよく似合っていた


追いかけながら


後姿もかっこいいなと思いながら後をついていった




ガラッ


篠田先生が保健室の扉をあける


「あ、麻里ちゃーん」


中には白衣を着た綺麗な女性がいた


「つれてきたよ」


そういうと私の方を振り向く


「あ、松井です・・・」


とっさに私は名前を言った


「あ、あなたが転校生ね。はじめまして私は小嶋陽菜です。」


にこっと小嶋先生は笑った


「まったく、松井が来てから何週間たってると思ってるの。」


篠田先生がため息をつく


「だってー全校生徒何人いるとおもってるの。逆に良く気づいたって誉めてほしいのに―」


むっと小嶋先生は頬を膨らませる


「とりあえず、待たせちゃ悪いから早くやったげな」


そういうと篠田先生は白衣をハンガーにかけ


奥の戸棚からコップを取り出しコーヒーを入れだした



私は2人のやり取りをぼーっと見ていた


「ごめんねー今週末全校生徒のデータ記載しなきゃいけないんだけど。松井さんのだけ取れてないの気づいたの。早く終わらすから、終わったらお茶しましょ♪」


そう言って小嶋先生は身長計と体重計の前に私を案内した


私は言われるがまま身長と体重を測る


「うわーほそーい。ご飯食べてきてもこれ?」


私の体重を見てきゃっきゃと小嶋先生がはしゃぐので


恥ずかしくなった


「もう、終わりですか?///」


「あ、待ってあと視力検査があるの」


私はきょろきょろと周りを見渡したが


それらしい機材は無かった


「普段つかわないから、そこの奥から出さなきゃだめなの。ちょっと手伝ってくれる?」


「は、はい」


私と小嶋先生は奥の物置の扉に向かって歩いた


そのとき


窓から風が吹きベッド周りにかかっているカーテンがふわっと大きく波打った


そこに



パイプ椅子にもたれかかってる人がいた




見慣れた後姿だった



「珠理奈・・・?」



思わず声に出てしまった



「あっ忘れてたー。そこで本読んでたのよ珠理奈」



「え?」


本?珠理奈が?


私は本と珠理奈が結びつかず理解できなかった



だけど、珠理奈は私たちの声に何の反応もしなかった



「また寝てるー。いつも読みだしたと思ったら寝てるのよ」


小嶋先生はいたずらっぽく「しーっ」と私に合図し


私の腕を掴んでそっと珠理奈に近づく



珠理奈は一番窓側のベッドのわきにパイプ椅子を向い合せにして並べ


ソファーのように足を延ばしていた


読みかけのページを胸で押さえたまますやすやと寝息を立てていた




あ・・・・



珠理奈の寝顔に


素直に


綺麗だと思ってしまった



「良く寝てるーちょっと驚かしちゃおうか?」


こそっと話しかけてきた小嶋先生の声に


私の方がびくっと驚いてしまった


でも



もっと驚いたのは



珠理奈が持っていた本だった



初めて珠理奈と図書館で会った時


私が読んでいた本だった



もしかして


ずっと読んでたの?



あの日以来


その本は書棚から無くなっていたのだ




まだ半分もいっていないページを押さえる珠理奈をみて


以前、


仲良くなりたいんだ


と、言われたのを思い出した



(・・・頑張るところ間違ってない?)


睡魔と闘いながら本を読んでいる珠理奈を想像してクスッと笑ってしまった




意外といいやつなんだよーと言っていた中西の言葉を少しは信じてみようかな


そう思って珠理奈を見つめる



と、


小嶋先生が珠理奈の耳元で大きな声を出そうとしていることに気づき


とっさに肩をたたき


首を横に振った


小嶋先生はちぇーっと残念そうな顔をして


そっと珠理奈のもとから離れた



なんだか隠れて読んでるところが可愛くて


内緒にしておこうと思った


実はこっそり読んでたんだよって


自慢してくる珠理奈に


前から読んでるの知ってたよっていって


逆に驚かしてやろうかな・・・なんて少し意地悪な想像をしてクスッと笑ってっしまった




「にゃろ。早くしないと昼休みおわるよ」


篠田先生が椅子に座りながらこっちに声をかけた


「はーい」


小嶋先生は倉庫から視力検査の機材を見つけ



珠理奈を起こさないように気をつけながら


私は一緒に運んだ



――――――――


「はいっ。お終わりましたーお茶にしよー」


小嶋先生は嬉しそうに戸棚からカップを取り出した


「玲奈ちゃんは紅茶派かなー?麻里ちゃんと同じコーヒー派?」


「えっとじゃあ紅茶で・・・」


私は小嶋先生の勢いにおされて答えた




「珠理奈―!そろそろ起きろ―!」


篠田先生が叫ぶと


ガタっと音がして


珠理奈があくびをしながらカーテンを開けて出てきた


「はーまた寝ちゃった・・・・って!」


珠理奈は私に気づき手に持っていた本をとっさにベッドに放り投げた


そのあわてようが面白かったけど


笑ったらばれちゃうからティーカップに口をつけて笑いを誤魔化した



「玲奈ちゃんどうしたのー?」


何もなかったかのように珠理奈が駆け寄ってきた


「身体測定。玲奈ちゃんだけできてなかったの。今終わったからお茶してるのよ―」


「ほれ、珠理奈コーヒー。砂糖とミルク入れといたぞ」


「あっありがとー」



そんな三人のやり取りを私は不思議そうに見つめていた


篠田先生がそんな私に気づき


「珠理奈はここの常連なんだよ。よく昼休みに顔を出すんだ。」


と説明してくれた


「そうそう。小嶋先生が可愛くてさ―ついつい顔出しちゃうんだよね」


にこにこする珠理奈に


なんとなくむっとした



「はいはい。」



そういいながら篠田先生もコーヒーを飲む



「でも、小嶋先生は麻里ちゃんのものだから取る気はないよ―。私の中での癒し系アイドルって感じ?」


「えーアイドル―?麻里ちゃん私アイドルだってー♪」


「はいはい。ま、珠理奈みたいなガキに取られるほどの付き合いじゃないっての」


え???



ええええええ?????



私はティーカップを持ったまま固まってしまった


そんな私を3人が不思議そうに見る


「もしかして玲奈ちゃん知らなかったの?」


「なんか知らない子がいるのも新鮮だな」


「ねー固まってるよ」



ふと目をやると


2人の中指にお揃いの細い指輪がしてあることに気づいて


付き合っていることを確信した


それに小嶋先生のこと「にゃろ」って呼んでたし・・・



先生まで・・・?


どうなってるのこの学校?


私の顔はみるみる赤くなっていった


そんな私を見て3人はさらに笑ったのだった




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