気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

sing a song⑤

「卒業曲なんだが・・・」

「はい」

私は秋元先生に本社に呼び出されていた

腰が沈む柔らかいソファーに姿勢を崩されないよう力を入れじっと秋元先生を見つめていた

「デモテープ・・・聞いたんだけど」

「は、はい・・」

「歌詞も山本がかいたんだよな」

「はい」

「じゃあ、なおさらだな・・・」

「え・・・?」

「この曲は世に出していいの?」

「・・・!」

その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった

眼鏡の奥の瞳が私の胸に突き刺さる

「これは大事な人に贈るといいよ」

そういって、フッと笑った

「・・・とても、想いを感じるから」

秋元先生は机にCDを置き、立ち上がる

「そういうことだから、よろしくね」

「は、はいっ!」

私もとっさに立ち上がり

「あ、あのっ!あ、ありがとうございまいた」

深々と頭を下げる

「君は十分頑張った。だからね・・・もう、自由にしていいんだよ」

「!」

その言葉を聞いて、堰を切ったように目から涙があふれだした

「いい曲だったよ。とっても」

秋元先生は私の肩をポンっとたたくとそのまま部屋を後にした

あたしは頭を下げたまま固まっていた

涙のしずくがデモテープにかかっていた

ーーー

数時間後私は駅にいた

この駅にはボイストレーニングをしているスタジオがあるのだ

秋元先生に背中を押された気がして

デモテープの曲を練習しに来たという訳だ


「しゃっ・・・」

私は帽子を目深にかぶり

リュックをかけなおし気合を入れ・・・

どんっ

「っ!」

リュックを直したときに

後ろから急いできた人の荷物と当たり

よろける

なんやねん

幸先悪いなぁ・・・

と思ったつかの間

前から来た人とぶつかりそうになり

「あ、すいません」

私はとっさに顔を上げ

「え・・・」

固まってしまった

「さやか・・・ちゃん」

おいおい

嘘やろ?

目の前には

みるきーがいた


sing a song④

芸能活動をやめてから1年近くたった時

「渡辺さん。もう一度芸能活動をしませんか?」

そんな声がかかっていた

「まだ未練、あるんじゃないですか?」

そういわれて、胸を貫かれた気分だった

「・・・少し、考えさせてください」

私はそうって、頭を下げた

確かに、SNSで活動をしている自分が未練がないといえないわけはない

でも、今更・・・

彩ちゃんになんて言おう

そんなことがぐるぐると回っていた

「・・・こんな時は」

私はスマホを取り出し、ラインを送る

『アカリンちょっと相談あんねん』


ーーーー

アカリンとあったのはそれから三か月後のことだった

youtubeとかでいろいろ活動してるし、今やNMBで別のフィールドを見つけて活動しているやり手だと思う

「ごめんなーみるきーなかなか会えんで」

アカリンは手をパンっと合わせて頭を下げた

「ううん、ええよ。忙しいもんな」

「みるきーは今何してんの?」

「・・・まぁ・・・そのことやねんけど」

私は今事務所から声がかかっていることを話す

「ええんやない?」

「え・・・」

さらっとしたアカリンの発言に目を丸くする

「だって、みるきーは舞台でいる時が一番キラキラしてたもん」

「・・・・」

「そりゃ、いろいろあって疲れたんかもしれんけど、芸能生活経験して一般人に戻るんって難しない?」

「・・・そう、だね」

私はオープンキャンパスで言われたセリフがよみがえり口ごもる

「さや姉とは連絡とってんの?」

「え・・・」

「まさか、とってないの?」

「卒業したすぐはちょっととってたよ。でも、彩ちゃんどんどん忙しくなるし、なんか・・・」

私はもごもごと言いながら気づけば下を向いていた

「はー・・・あのにこにこしてたみるきーはどこに行ったんよ」

アカリンはため息をつきながら眉をひそめた

私は顔をあげてアカリンを見る

「やっぱり、舞台におるみるきーがええで。何年もしてきたら嫌になることもある。でも、求められてそこにもう一回立てるんやったらええんやない?」

「アカリン・・・」

「前言撤回なんて、ますますみるきーらしいやん」

そういってアカリンはニッと笑った

「それに・・・」

「え?」

「さや姉もいつまで待ってくれるかわからんで?」

「へ・・・?」

「最近はゆーりと仲ええから」

「・・・!」

その一言が決め手になったことは

悔しいからアカリンには言っていない






sing a song③

「え・・・」

携帯のニュースに『速報!山本彩卒業発表』と書かれた記事を見て

私、渡辺美優紀は固まっていた

私全然聞いてないんやけど

と、言いながら私自身彩ちゃんに何にも言ってなかったから人のことは言えんか・・・

「・・・あほっ!」

自分にも非があるけど、なんかむしゃくしゃして携帯をソファーのクッションに向かって投げる

トン・・・

クッションに跳ね返りスマホ画面が上を向き

卒業の文字が強調されるように映る

「・・・あーもう!」

私はソファーに突っ伏す

2年前、何も言わずにNMBを去っていった

でも、それは彩ちゃんの近くにいるのがつらくて

自分が何をしたいのかわからなかったから

でも、お互いの気持ちを知って

なんか、離れてても大丈夫って思った

きっと、彩ちゃんは変わらず思ってくれるから・・・

変な自信があった

卒業後すぐは海外に行ったりして随分と気持ちが落ち着いた

仕事、どうしよう・・・

そう思い、昔の夢だった助産師を考え、オープンキャンパスにもこっそり行ったりした

でも・・・

「あれ、みるきーやない?」

「え?ほんま?」

そんな声が方々から上がり、人だかりができてしまい

「校内での騒ぎは困ります」

と、冷たく言われそれ以来大学や人が多いところに行くのを避けるようになった

・・・やっぱり、芸能人として出てしまった以上一般人に戻るのは難しいんかな

そんなことを日に日に考え

テレビで歌って踊る彩ちゃんを見ると、一緒にいた時とはまた違った感情が沸いた

あの時は、近いのに遠かった

でも・・・今は・・・

「本当に・・・遠い」

そうつぶやいた私の頬には一筋の涙がつたっていた

sing a song②

そして、ライブ当日


私は卒業することを告げた


お客さんの悲しむ顔、応援してるって叫ぶ声、拍手・・・

こんなにも目で、耳で、体で・・・お客さんたちの入り混じった感情を感じた日はなかった


でも、なんか言えてすっきりした


ーーー


「さやねぇ!」

公演が終わると美瑠たちが目に涙をためながら抱きついてきた

「ごめんな。言ってなくて。でも、美瑠なら大丈夫やから」

頭をなでながらなだめる

「「さやかさん!」」

他のメンバーたちも目に涙をためながら私の方を見つめていた

「みんな・・・」

「ちょっと。私にも何にも言わんってどういうこと」

そこに吉田がつかつかと割り込んできた

目には涙がたまっている

「だって、言ったら顔に出るやん」

「そうやけど・・・でも・・・」

吉田はぐっと唇をかみしめる

「っ!・・・さやかの・・・あほっ!」

そういって吉田も抱き着いてきた

「さやかさん!」

他のメンバーも次々に抱き着いてくる

「ちょ・・・ちょっとまてぇ」

苦笑いしながらそれを受け止めていた

ーーー

メンバーをなだめながら、これからのこと、NMBのことについて話し

メンバーを楽屋へ戻るよう促した

「さて・・・と」

キャプテンとして今日やるべきことはやったかな・・・

そう思いぐっと伸びをして、開放感に浸る

「彩」

「ん?」

吉田の声に振り返る

「まさか・・・みるきーにもこのこと黙ってたん?」

「え・・・まぁ・・・」

「あーあ。しらんで」

普段よりワントーン低い声で吉田がニヤッと笑った

「え・・・」

その顔に嫌な予感がした




sing a song①

「ぐぁ・・・」


7月某日。私、山本彩はスマホ画面を見て固まっていた

そこには『渡辺美優紀 誕生日に芸能会復帰』と書かれていた

「あいつ・・・」

ホンマ、どんだけ気まぐれやねん

そう思いため息をつく

ま・・・でも、あいつらしいか。

ふっと笑みがこぼれる


プルルルル・・・

「うわぁっ!」

いきなりの着信に思わずスマホが宙に舞い、慌ててそれを受け止め電話にでる

「もしもし、彩か?」

電話は金子支配人だった

「はい」

「記事見たか?」

「あぁ・・・。みるきーのやつですね」

なんとなく照れ臭くなってポリポリと頭をかく

「そうや。いやーこんなタイミングで出てくると思わんかったなぁ」

「ははは・・・。まぁあの子らしいっていうか」

私は苦笑いをする

「で、どや?曲できそうか?」

「いやぁ・・・まだ、なんとも・・・」

私は机の上に散らばった紙とソファーに置かれたギターに目をやる

「・・・ほんま、タイミング図ってるみたいにでてくるなぁ」

「・・・」

「彩の卒業が正式に決定した次の日やもんな」

「・・・そう、ですね」

私はギターを見つめたままぽつりと漏らす

昨日、私は秋元先生に卒業することを告げ、正式に決定したばかりだった

『卒業の曲は君が書きなさい』

そう言われ、作曲作りに取り掛かった矢先だった

「発表はライブの初日になる。ええな?」

「はい」

「ほな、また状況教えてや」

「わかりました」

電話を静かに切り

画面は先ほどの、みるきー芸能界復帰の記事に戻る

2年前、みるきーが卒業した時にも夜な夜な作曲してたよなぁ・・・

『彩ちゃんのことが・・・大好き』

「・・・」

卒業公演の後、告白されたことを思い出す

あの時は恋愛禁止だから言えなかった思い・・・

「はぁ・・・」

私は手で顔を覆う

本当なら、卒業発表してみるきーを驚かせるつもりだった

なのに・・・

「ほんま・・・先先いってんのはあんたのほうやで・・・」

卒業したかとおもったら、復帰宣言

私はいつも後手に回ってる

・・・こうなったら、黙っといてやる

みるきーには先に言おうと思ってたけど、もうええ!驚いて私の気持ちをわかれ!

なぜか変なテンションになり、私はドカッっとソファーに座った




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