気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

sing a song⑥

ザワザワザワ・・・

駅の雑踏の中

私とみるきーの間には音がないように感じた

お互い見つめあったまま時が止まったようだった

「ひさし・・・ぶり」

沈黙を破ったのはみるきだった

「お、おう」

「駅で会うとかすごない?」

みるきーは笑ったが、その笑顔はぎこちなかつた

きっと、私が卒業をだまってて何にも連絡よこさなかったからだろうな

「彩ちゃんはこれから用事?」

「え、あ、あぁ・・・」

「私、今さっき用事終わったとこやねん。時間あったら、少し話さへん?」

私は時計に目をやる

スタジオを借りてるけど・・・まぁ多めにとってたからいいか・・・

「1時間くらいやったらええで」

「ホンマ?ほな、ちょっとお茶しよ」

みるきーは少しほっとしたように笑った

ーーー
「ここの紅茶ラテおいしいねん」

そう言ってみるきーは手慣れたようにカフェに入っていった

「ここらへんよく来るんか?」

「きだしたのは最近。ボイストレーニングはじめてん」

「ん?まてぇ、もしかしてそこって・・・」

私はスタジオの名前を言う

「え、そうそう。もしかして彩ちゃんも?」

「あぁ。スタジオ借りて練習しようと思って」

「そうなんや。実はおんなじところにいってたんやね。すごい偶然。先生って・・・」

みるきーはスタジオ講師の話を始めた

担当の講師は違っており、ギターとかのスタジオとボイストレーニング専用のスタジオは分かれているから会うことがなかったのかもしれない

私はみるきーおすすめの紅茶ラテを飲みながら

こんなに会える機会があったのに

このタイミングで会うなんて・・・

と、ぼーっと見つめていた

「腹筋とか落ちてしもてて、よくおなかから声が出てないっていわれてなぁ」

「あー・・・」

「立ち方とか音程のつけ方とか、厳しいわぁやっぱり」

みるきーは苦笑いをした

私も最初はかなり怒られたもんなぁ

それに、あの先生って私は担当やないけど厳しいって有名やし

いや待てよ?男やん

あの先生結構若かったし

その人と2人っきり?

私の中でもやもやとした思いがよぎる

みるきーは以前見た時よりも綺麗になっていた

好きと言ってくれた後、待ってくれてるとばかり思っていたけど

連絡も少なくなって

結局仕事ばっかりになって・・・

もしかしたら、私以外にいい人が現れてもおかしくない状況だよな

もう・・・アイドルやないんやから

それに、芸能界に戻ったら

今度はみるきーを狙ってくる男がたくさん・・・

「なんで、また戻ろうと思ったんや?」

「え?」

私はなんかイライラして

みるきーの話を遮った

「うん・・・いろいろ考えて・・・ね」

「いろいろってなんやねん。やりたいことあったんちゃうんか?それで卒業したんちゃうんか?」

「したよ。でも、そううまくいかなくって。でも、アイドルとしては卒業したからタレントとしてもう一回やってみようって思ったん」

「そんなに簡単なもんやないやろ?」

「何?なんでそんなに怒ってんの?」

私の口調にみるきーもすこし口調がきつくなる

「だいたい、あんたは何でも急やねん。卒業したかと思ったら今度は復帰って」

「そんなん私の勝手やん。そっちやって卒業するって私になんも言ってなかったやん」

「私にも事情があんねん」

「ほなこっちやってあるわ」

みるきーは口をとがらせ

「もうええ」

がたっと席を立つ

「彩ちゃんこそ、勝手やん」

「・・・」

しまった・・・

私の熱はさーっと冷める

だが、もう遅い

みるきーはカバンを手に去って行ってしまった

あぁ、またやってしもた

どうして、思っているのに素直になれないんだろう・・・

追いかけようとしても

足が動かなかった

追いかけて

何を言うのだろう

『勝手やん』

そうだな

ホンマに

勝手に待ってくれてると思って

勝手に嫉妬して

勝手に怒らせて

何年たっても

なんでみるきーだけにはこんなに不器用なんやろう・・・




sing a song⑤

「卒業曲なんだが・・・」

「はい」

私は秋元先生に本社に呼び出されていた

腰が沈む柔らかいソファーに姿勢を崩されないよう力を入れじっと秋元先生を見つめていた

「デモテープ・・・聞いたんだけど」

「は、はい・・」

「歌詞も山本がかいたんだよな」

「はい」

「じゃあ、なおさらだな・・・」

「え・・・?」

「この曲は世に出していいの?」

「・・・!」

その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった

眼鏡の奥の瞳が私の胸に突き刺さる

「これは大事な人に贈るといいよ」

そういって、フッと笑った

「・・・とても、想いを感じるから」

秋元先生は机にCDを置き、立ち上がる

「そういうことだから、よろしくね」

「は、はいっ!」

私もとっさに立ち上がり

「あ、あのっ!あ、ありがとうございまいた」

深々と頭を下げる

「君は十分頑張った。だからね・・・もう、自由にしていいんだよ」

「!」

その言葉を聞いて、堰を切ったように目から涙があふれだした

「いい曲だったよ。とっても」

秋元先生は私の肩をポンっとたたくとそのまま部屋を後にした

あたしは頭を下げたまま固まっていた

涙のしずくがデモテープにかかっていた

ーーー

数時間後私は駅にいた

この駅にはボイストレーニングをしているスタジオがあるのだ

秋元先生に背中を押された気がして

デモテープの曲を練習しに来たという訳だ


「しゃっ・・・」

私は帽子を目深にかぶり

リュックをかけなおし気合を入れ・・・

どんっ

「っ!」

リュックを直したときに

後ろから急いできた人の荷物と当たり

よろける

なんやねん

幸先悪いなぁ・・・

と思ったつかの間

前から来た人とぶつかりそうになり

「あ、すいません」

私はとっさに顔を上げ

「え・・・」

固まってしまった

「さやか・・・ちゃん」

おいおい

嘘やろ?

目の前には

みるきーがいた


sing a song④

芸能活動をやめてから1年近くたった時

「渡辺さん。もう一度芸能活動をしませんか?」

そんな声がかかっていた

「まだ未練、あるんじゃないですか?」

そういわれて、胸を貫かれた気分だった

「・・・少し、考えさせてください」

私はそうって、頭を下げた

確かに、SNSで活動をしている自分が未練がないといえないわけはない

でも、今更・・・

彩ちゃんになんて言おう

そんなことがぐるぐると回っていた

「・・・こんな時は」

私はスマホを取り出し、ラインを送る

『アカリンちょっと相談あんねん』


ーーーー

アカリンとあったのはそれから三か月後のことだった

youtubeとかでいろいろ活動してるし、今やNMBで別のフィールドを見つけて活動しているやり手だと思う

「ごめんなーみるきーなかなか会えんで」

アカリンは手をパンっと合わせて頭を下げた

「ううん、ええよ。忙しいもんな」

「みるきーは今何してんの?」

「・・・まぁ・・・そのことやねんけど」

私は今事務所から声がかかっていることを話す

「ええんやない?」

「え・・・」

さらっとしたアカリンの発言に目を丸くする

「だって、みるきーは舞台でいる時が一番キラキラしてたもん」

「・・・・」

「そりゃ、いろいろあって疲れたんかもしれんけど、芸能生活経験して一般人に戻るんって難しない?」

「・・・そう、だね」

私はオープンキャンパスで言われたセリフがよみがえり口ごもる

「さや姉とは連絡とってんの?」

「え・・・」

「まさか、とってないの?」

「卒業したすぐはちょっととってたよ。でも、彩ちゃんどんどん忙しくなるし、なんか・・・」

私はもごもごと言いながら気づけば下を向いていた

「はー・・・あのにこにこしてたみるきーはどこに行ったんよ」

アカリンはため息をつきながら眉をひそめた

私は顔をあげてアカリンを見る

「やっぱり、舞台におるみるきーがええで。何年もしてきたら嫌になることもある。でも、求められてそこにもう一回立てるんやったらええんやない?」

「アカリン・・・」

「前言撤回なんて、ますますみるきーらしいやん」

そういってアカリンはニッと笑った

「それに・・・」

「え?」

「さや姉もいつまで待ってくれるかわからんで?」

「へ・・・?」

「最近はゆーりと仲ええから」

「・・・!」

その一言が決め手になったことは

悔しいからアカリンには言っていない






sing a song③

「え・・・」

携帯のニュースに『速報!山本彩卒業発表』と書かれた記事を見て

私、渡辺美優紀は固まっていた

私全然聞いてないんやけど

と、言いながら私自身彩ちゃんに何にも言ってなかったから人のことは言えんか・・・

「・・・あほっ!」

自分にも非があるけど、なんかむしゃくしゃして携帯をソファーのクッションに向かって投げる

トン・・・

クッションに跳ね返りスマホ画面が上を向き

卒業の文字が強調されるように映る

「・・・あーもう!」

私はソファーに突っ伏す

2年前、何も言わずにNMBを去っていった

でも、それは彩ちゃんの近くにいるのがつらくて

自分が何をしたいのかわからなかったから

でも、お互いの気持ちを知って

なんか、離れてても大丈夫って思った

きっと、彩ちゃんは変わらず思ってくれるから・・・

変な自信があった

卒業後すぐは海外に行ったりして随分と気持ちが落ち着いた

仕事、どうしよう・・・

そう思い、昔の夢だった助産師を考え、オープンキャンパスにもこっそり行ったりした

でも・・・

「あれ、みるきーやない?」

「え?ほんま?」

そんな声が方々から上がり、人だかりができてしまい

「校内での騒ぎは困ります」

と、冷たく言われそれ以来大学や人が多いところに行くのを避けるようになった

・・・やっぱり、芸能人として出てしまった以上一般人に戻るのは難しいんかな

そんなことを日に日に考え

テレビで歌って踊る彩ちゃんを見ると、一緒にいた時とはまた違った感情が沸いた

あの時は、近いのに遠かった

でも・・・今は・・・

「本当に・・・遠い」

そうつぶやいた私の頬には一筋の涙がつたっていた

sing a song②

そして、ライブ当日


私は卒業することを告げた


お客さんの悲しむ顔、応援してるって叫ぶ声、拍手・・・

こんなにも目で、耳で、体で・・・お客さんたちの入り混じった感情を感じた日はなかった


でも、なんか言えてすっきりした


ーーー


「さやねぇ!」

公演が終わると美瑠たちが目に涙をためながら抱きついてきた

「ごめんな。言ってなくて。でも、美瑠なら大丈夫やから」

頭をなでながらなだめる

「「さやかさん!」」

他のメンバーたちも目に涙をためながら私の方を見つめていた

「みんな・・・」

「ちょっと。私にも何にも言わんってどういうこと」

そこに吉田がつかつかと割り込んできた

目には涙がたまっている

「だって、言ったら顔に出るやん」

「そうやけど・・・でも・・・」

吉田はぐっと唇をかみしめる

「っ!・・・さやかの・・・あほっ!」

そういって吉田も抱き着いてきた

「さやかさん!」

他のメンバーも次々に抱き着いてくる

「ちょ・・・ちょっとまてぇ」

苦笑いしながらそれを受け止めていた

ーーー

メンバーをなだめながら、これからのこと、NMBのことについて話し

メンバーを楽屋へ戻るよう促した

「さて・・・と」

キャプテンとして今日やるべきことはやったかな・・・

そう思いぐっと伸びをして、開放感に浸る

「彩」

「ん?」

吉田の声に振り返る

「まさか・・・みるきーにもこのこと黙ってたん?」

「え・・・まぁ・・・」

「あーあ。しらんで」

普段よりワントーン低い声で吉田がニヤッと笑った

「え・・・」

その顔に嫌な予感がした




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