気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

僕の彼女は魔法使い22


――――――

一方、その頃柏木は

学校内にある生徒会室に居た

「んー・・・人気のある人ねぇ・・・」

顎に手を当てながらむむむと考える

手の前にはクラス写真が並べられていた

(あ、そうだ。スポーツしてる人とかいいかも)

人気=スポーツマンという閃きがおき

柏木はふわりと浮きあがり、窓から外に出た

秋葉学園は北校舎と南校舎があり、グラウンドは北側にある

生徒会室は南校舎側のため、外に出て上から見た方が早いと思ったのだ

「あれ?」

が、生徒は誰も居なかった

(そっか、今日職員会議だから部活も全面禁止だった・・・)

校舎にかかった時計はもう3時を回っていた

夢中で写真を見ていた時間は結構長かったらしい

「仕方ない。明日探そ・・・」

柏木はため息をつき、戻ろうとした

その時・・・

ダムダム・・・

「ん?」

風にのって、音が響いてきた

「これって・・・」

柏木は体育館の方に飛ぶ

体育館はグラウンドの横にあり、1階は武道場、2階は体育館になっている

柏木は体育館上部の開け放たれた窓からそっと覗いた

「あ・・・」

そこにはリングにむかって跳ぶ女子生徒がいた

なびく髪、滲む汗、リングを見つめる真剣な眼差し・・・

「かっこいい・・・」

柏木は思わず漏らす

何度も何度も、彼女はボールを投げ

ボールは吸い込まれるように入って行く

そして

「よし・・・」

彼女はそう呟くと

フリースローラインに立ち、またボールを投げる

「あれ・・・?」

柏木は眉をひそめた

ドリブルシュートはあんなに入っていたのに

フリースローは全くと言っていいほど入らなかったのだ

「くそっ・・・!」

彼女の声が体育館に響く

だが、諦めることなく

何度もボールを拾っては投げていた

(あーもうやきもきするなー)

柏木は気付けば前のめりになり

窓に手が触れそうなほど近づいていていた

シュッ!

そして、彼女がまたボールを投げた

グルングルン・・・

ボールがリングの周りをまわり

ぐらっ・・・

端からこぼれ落ちそうになる

「あっ!」

柏木はとっさに手をかざし

ふわっ

下から上に突き上げるような

やわらかな風が吹く

「え・・・?」

感じたことのない風に、女子高生が違和感を感じた

その時

「あ」

シュッ!

トントントン・・・

ボールはリングの中に入り、下に落ちた

「ナイッシュー!」

柏木は思わず声を上げていた

体育館内に柏木の声が響く

「え?」

女子高生は振り返る

(しまった!)

柏木は勢いよく後ろに下がり、その場から飛んで逃げた

「あれ?いない?」

女子高生はきょろきょろとあたりを見渡し

首をかしげながら体育館内に戻った


「はぁはぁはぁ・・・」

柏木は生徒会室に戻ってきていた

(って・・・結界はってたんだった・・・とっさに逃げてバカ見たい・・・)

結界を張っていると、姿は見えないのだが

声は普通に聞こえてしまうのだ

「・・・はーっ」

柏木は結界を解き、机の上に広げていた集合写真に目をやる

そして、1枚1枚確認し

「あ・・・」

先ほどの彼女を見つけた

「宮澤・・・佐江・・・まだ1年生なんだ・・・」

そこには、口角を上げて微笑む先ほどの女子高生が写っていた


僕の彼女は魔法使い21


「よいしょっと」

小嶋は学校の屋上に着地する

以前までは理事長室はオープンだったのだが、記憶が消えてしまっている敬子がいるので入ることができなくなってしまっていたのだ

「んーどうしようかなぁ・・・」

小嶋はそうつぶやきながら屋上のドアを開けようとした

その時、視界の端に人影を感じハッと横を見た

「・・・」

一人の女子生徒と目があった

大きな黒縁眼鏡をかけた、ショートカットの女子生徒

「あ・・・」

(見られた・・・)

「・・・何してるの?」

「えー・・・っと」

小嶋はえへっと笑う

「どこから現れたの?異空間?」

女子高生は眉をひそめる

小嶋は空を飛んでいる時は結界を張っていたので、急に現れたように見えたのだ

「あ、あなたこそ、どうやってここに入ってきたの?ここって、鍵かかって・・・」

そう、いいかけて小嶋は彼女の手に目をやる

そこにはちいさな鍵が一つ、ぶらさがっていた

「・・・盗んできた」

「え・・・?なんで?」

「・・・飛んでみたいと思ったから」

そういって、彼女はフェンスのほうをみる

「それって・・・飛び降り?自殺ってこと?」

「・・・はっきり言うね」

女子高生はクスッと笑った

「んー。だってわざわざここまできたからそうかなーと思って」

「あんた・・・変わってるね。制服着てるってことは、ここの生徒?」

「んーまぁ、一応ね。私、小嶋陽菜っていうの」

(ま、いっか。記憶消せばいいし)

小嶋は開き直ってにこっと笑う

「そうなんだ」

「なによー。名前は?」

「篠田麻里子・・・」

「ふーん。何年生?」

「2年・・・だけど」

小嶋は篠田をまじまじと見つめ

「えいっ」

眼鏡をとった

「な・・・」

「あーやっぱり。きれいな顔してるー。眼鏡やめたほうがいいよー。こっちのほうがかわいいって」

小嶋はにこにこと笑う

「か、かわいくなんてないからっ!」

篠田は顔を真っ赤にして、眼鏡をうばった

(なんか、この子おもしろーい)

小嶋はなぜかワクワクしていた

「ねぇ、飛んでみたいんでしょ?」

「え?」

「じゃあ、特別に連れてってあげる」

そういって、小嶋は手をかざし楕円形の水たまりが空中に現れた

「乗って」

「・・・」

「大丈夫。濡れないよ」

「いや、そう言うことじゃなくて・・・」

「いいから、いいから」

小嶋は篠田の手を引き

「じゃあ、いくよー」

そういって、2人を乗せた水の塊は上昇していく

「・・・っ」

上昇につれて、耳がキーンとな感覚に襲われる

そして

目の前に白い水蒸気が広がり、篠田は思わず目を閉じた

・・・・・

そして、音が消えた

「え・・・」

今まで経験したことのない感覚に篠田は目をゆっくりと開ける

「あ・・・」

目の前には青い空と太陽、そして雲が眼下に広がっていた

「雲の王国・・・」

「え?」

「昔、映画館で見たんだ・・・雲の王国」

篠田は目の前の光景に目を輝かせた

「なにそれ?」

「雲を固めて歩けるようにするんだよ。それでそこに国を作るっていう話し。すごく好きで・・・映画観終わった後、テレビで放送されたら録画して何度も何度も見てた・・・」

篠田は昔を思い出してクスッと笑う

「ふーん。降りて見る?」

「えっ!できるの?」

「うん。曇って水蒸気だから。一部分を固めれば大丈夫だよ」

小嶋は手をかざし雲の上に一本の長い道をつくり

2人を乗せた水の塊はそこに着地する

「・・・」

篠田は恐る恐る足を乗せた

「すごい・・・雲の上だ・・・」

篠田は歩をすすめる

「わっ!」

靴が氷の上を滑り、バランスを崩した篠田は後ろ向きに倒れる

が・・・

「え?」

水のクッションが身体を包み

なんの痛みもなく、空を見上げていた

「大丈夫?凍ってるから危ないよ」

視界の端から小嶋が顔をのぞかせる

「・・・」

無音の世界で青と太陽

そして、今自分は不思議な魔法使いと雲の上に居る・・・

「・・・ははっ。はははっ!」

篠田はなんだかおかしくて声を上げて笑った

「なになに?どうしたの?」

小嶋は何が起きているのかわからず眉をひそめる

「いや、自分のいた世界なんてちっちゃいなーっておもって。死ぬのがばからしくなった」

「え?なに?私自殺未遂止めたの?すごーい」

小嶋はにこにこと笑う

「・・・不思議な人だね」

篠田はむくりと起き上がり、小嶋を見つめた

「え?そう?」

小嶋はきょとんとしていた

「私さ・・・自分の事、蝉みたいだって思ってたんだ」

篠田はぽつりともらす

「え?」

「蝉って土の中に7年もいるでしょ?でも出てきたら1週間で死んじゃう・・・。私、全国模試でいい成績とってたら、この学校からスカウトが来て福岡からでてきたの。元々、地元でも浮いてる方だったし。東京に来たいって思いもあったから、何か変わるかと思ってた」

篠田はその時の事を思い出し、目を伏せる

「でも、何も変わらなかった。クラスの子たちともろくに話ししないまま2年になって・・・。何も変わんなくて・・・。退屈だった・・・。東京に憧れてた福岡の時は土の中に居て・・・東京っていう外にでたのに何も変わらなかった。だから・・・思ったの、私は何のために生きてるんだろうって」

「ふーん」

「そんなこと考えてる時に・・・蝉の死骸を見つけたんだ。夏の当たり前の風景・・・道路に転がってても誰も目にとめない。私も・・・こんな感じなのかなっておもって。だから・・・いっそこの世からいなくなってしまおうって。誰も、気に留めやしないから」

「んーそうだねー。よくわかんないけど。ずっと生きてるのってめんどくさいよね」

「え?」

思わぬ言葉に篠田は小嶋を見る

「私ね、こっちで500年くらい過ごしているの。もう正確には何年か覚えてないんだけどねー」

「500年・・・?」

「あっ、今こいつ何歳なんだって思ったでしょ?言っとくけど、私今20歳のままなんだからね、ピチピチなんだから!」

小嶋はむっと口をとがらせる

「いや・・・別にそんなこと思ってないよ」

篠田は苦笑いをする

「ま、ずっと若いままだからいいんだけどさー」

「歳・・・とらないの?」

「うん」

「それは、この世界の人じゃないから?」

「・・・ううん。違うよ。昔はねこっちに来てもじわじわ歳とってたの。セイレートの月日と同じスピードで」

「セイレート?」

「あぁ、私が元いたところなんだけどね。時空の流れが違うからんー・・・大体こっちの25年で1年くらいかな?」

「じゃあ・・・なんで」

「罰なの」

「え?」

「時を止めて、罪を償え・・・そういうことなんだろうね」

小嶋は寂しそうに笑った

「じゃあ・・・死ねないの?」

「んーまぁ、身体も若いままだから病気もしないし。そういうことだろうね」

「嫌にならないの?」

「うーん。でも、そんなの思ってもしかたないじゃん。だって、生きてるんだもん。そりゃ、心臓止めたら死ぬかもしれないけど、そういうの考えたことなかったなー」

「どうして?」

「んー。私と同じセイレートからきたのが2人居るんだけど。2人と500年ずっと生きてきたからかな?だから、寂しくないの」

「・・・そうなんだ」

「蝉だって、出てきた時は一人だから仲間を見つけるために鳴いてるんじゃなかな?自分はここに居るよって、しらせてるんじゃない?」

「・・・」

「私はあの2人がいて楽しいから、死にたいなんて思わないよ」

「そう・・・」

「でもね」

小嶋のトーンが変わる

「契約者が死ぬのはやっぱり辛かったな」

「契約者・・・?」

「うん。この世界に居るには、人間の誰かと契約を結ばなきゃならないの。で、契約してる間はずっとその人と居るんだけど・・・やっぱり、死んじゃうから。それを見るのが嫌で、最近は元気なうちに契約者変えちゃうの」

「そう・・・なんだ」

「私はずっと生きてるから。そういうのずーっと見てきたんだよね。だからさ、そんなに若いのに死のうなんて思わないでよ」

「・・・ごめん」

「あ、今私なんかいいこといったよね」

小嶋はあはっと笑う

「シリアスなのかふざけてるのかどっちかにしてよ」

篠田は苦笑いをする

「えー私はいたって真面目だよ。四宮さん・・・だっけ?」

「篠田です」

「あ、ごめーん。とにかくさ、篠田さんは蝉じゃないよ。蝉だとしても、まだ鳴いてないじゃん」

「え?」

「自分から、ここに居るってアピールしてないじゃん。そんなんじゃ誰も気付いてくれないよ。だから、大声で鳴いて生きてる時間を楽しんだらいいんじゃない?」

「・・・」

篠田はハッとする

自分は東京に来て何かしただろうか?

福岡の時とは違うことを・・・行動を起こしただろうか?

環境が変われば・・・そうやって周りのせいにして

自分は、何もしていなかった・・・

「ま、今日だって雲の上に来ることできたんだから、生きてたらいいことあるよー」

小嶋はにこにこと笑った

「そうだね・・・」

篠田は寝っころがり、青い空を見つめる

太陽が近くて、眩しくて・・・痛いくらいだった


でも、初めて

生きているんだ

そう、思えた


「あー熱い。かえろっか」

「え、はやくない?」

篠田は余韻に浸る余裕もなく、がばっと起き上がる

「だって、太陽近いんだもん。もう終わりー。おりまーす」

「ま、待ってよ」

「やだー」

小嶋は悪びれもなく言う

「じゃ、じゃあ今度また空の上つれてってよ」

「えー。無理だよ」

「な、なんで?」

「だって、契約者じゃないし。今日は見つかっちゃったからサービスしたけど。今日が終わったら記憶消えてるから」

「え・・・?」

「正確には消すんだけどね。柴田さんが死にたいって思ってた記憶も消すようにしてみるから」

「篠田だって!って・・・それはどうれもいい。消さないでよ」

「えー。無理ー」

「ま、待ってって」

篠田は思わず小嶋の腕をつかんだ

「どうしたら消さないでいてくれるの?このこと誰にも言わないから」

「んーそう言われても。一応決まりだし」

小嶋は口をとがらせた

「契約者・・・じゃないから?」

「うん。そういうこと」

「じゃあ・・・私を契約者にしてよ」

「え?」

篠田は真っ直ぐ小嶋を見つけた

「私、変わるから・・・なんでもするから・・・だから、契約者にして」

「・・・」

小嶋は困惑したが

嫌な気はしなかった

契約者でもない初めて会った人に、自分の話しをしたのは初めてだった

この人にならいってもいいかな

そう、自然に思っていたのだ

「あ、そうだ」

小嶋はハッとする

「生徒会」

「え?」

「今度生徒会の立候補あるでしょ?それに出てよ」

「なんで?」

「今は生徒会の人と契約結ぶことにしてるの。だから、出てくれたらなってあげる」

「わかった。約束する」

篠田は深く頷いた

「じゃあ、立候補してね」

小嶋はクスッと笑った


僕の彼女は魔法使い20

―――

「あーやっと終わった!」

「もー腕いたーい」

柏木と小嶋は机に突っ伏す

「はい、お疲れ様」

篠田は答案用紙を整えながら

「麻里ちゃーんご飯行こう」

「うん、そうだねー。陽菜頑張ったし。行こうか」

「やったー」

さっきとはうってかわって小嶋は元気になった

「じゃあ、焼き肉ねー」

「えーこの前もいったじゃん」

「いいのー」

小嶋は篠田の腕に抱きつく

「じゃあねゆきりん」

「まったねー」

篠田と小嶋は手を振る

「はーい」

柏木も手を振り、2人を見送った

「じゃあ私も佐江ちゃんとこいこうかなー」

柏木はそう言って、理事長室の戸を閉めた

―――

宮澤は部活が終わり、誰も居ない体育館に居た

ダムダムダム・・・

フリースローの位置でボールを何度かつき、スッと構える

「よっ!」

グルングルン・・・

宮澤の投げたボールはリングの淵を周り

シュッ!

入った

「よしっ」

「ナイッシュー」

後ろから声が聞こえ、宮澤は振り返る

「りんちゃん」

「お疲れ様」

柏木は宮澤に近づく

「もしかして、入れたのりんちゃん?」

「違うよー。風吹いてないでしょ?」

柏木はムッとする

「あはは、ごめんごめん。りんちゃんはあの時からずっと約束守ってくれてるもんね」

「そうだよー」

2人はクスッと笑った

―――

「お肉っお肉ー」

小嶋は篠田と腕を組みながらにこにこと歩く

「もーどんだけ肉好きなの」

篠田はクスッと笑う


ミンミンミン・・・

ジーーーー・・・

外に出ると

夕方でも校庭の木々から蝉の声が聞こえてきた

「・・・蝉・・・か」

篠田はぽつりと呟いた

「うん。夏って感じだねー」

「なんか、陽菜と初めてあった時のこと思い出しちゃった」

「え?」

「んー渡辺さんのせいかな?あの子の事、ちょっと気になってて調べてたんだ。そしたらさ、あの子実はめちゃくちゃ頭いいんだよ。中学の成績オール5だし」

「えーすごーい」

「それだけじゃないんだ。全国模試も上位に入ってて、それを見つけてうちの学園もスカウトしたみたいなの。まぁ大阪の高校に入るからって断られたみたいなんだけど、2年になって転校するからって声かけてたうちを選んだみたい」

「へー・・・」

「なんか、今楽しくなくて夜遊んでみたり、学校行かなかったり・・・いろいろ悩んでるんだろうなっておもって・・・私は不登校にはならなかったけど、あの時期っていろいろ考えるからさ」

「そうだねー。なんとなく、麻里ちゃんに似てるかもね」

「うん。なんていうか・・・敦子と私が合わさったって感じじゃないかな?佐江の話しだと家庭問題っぽいし」

「そうなんだ」

「だから、サヤカと出会ったのも運命じゃないかなって思うの」

篠田は茜色に染まる空を見上げる

「私が、あの時・・・陽菜と出会ったみたいに・・・ね」

「・・・そうかもねー」

小嶋も赤く染まった空を見上げて言った

――――――――――

少し、昔の話しをしよう

それは篠田と宮澤がこの学園の生徒だった時の話し・・・

「今日は3時までには学校から出ろよー」

秋晴れの光が降り注ぐ校舎で

担任の先生が教壇から言う

「なんでですかー?」

男子生徒が声を上げる

「ん?都内の学校の先生が集まって会議するんだよ。それまでに先生達もここで会議しなきゃいけないんだ」

「そうなんだー」

「先生も大変ですねー」

「ねぇ、駅前行こうよー」

「いいねー」

生徒たちはやいやいと話しをする

「こーら。あんまりハメはずしすぎんなよー。じゃあ、話しは終わりだ。気をつけてなー」

そういって、先生は教壇から出て行った

ガタガタガタ

先生が出て行ったか見たかで、生徒たちは椅子から立ち上がる

「ねーどこ行く?」

「ケーキ食べに行こうよー」

「今日おまえんちいっていい?」

「いいよー」

生徒たちは一斉に話しをしながら教室を出ていく

「・・・」

窓側の一番後ろの席で

黒縁めがねの女子高生はそんな様子を黙って見ていた

そして、彼女に誰も話しかけないまま

あっという間に、一人になった

「・・・」

静まり返った教室で

彼女は窓の外を見る


(・・・今ならいけるかもしれない)


彼女はゆっくり席を立ち、教室を出て行った

「おう、どうした?早く帰れよ?」

校内を巡視している先生から声をかけられ、ペコっと頭を下げる

見つからないように点々と場所を変え、時間をつぶす

そして、生徒たちの話声も聞こえなくなった頃

職員室に向かい

扉を開けた

会議をしているのは本当だった

薄暗い職員室には男性教員が一人バタバタと資料やら何やらを抱えてこっちに向かってきた

「どうした?何か用か?」

先生は明らかに焦っていた

おそらく会議に遅れているのだろう

「あ・・・田中先生って・・・」

とっさに嘘をつく

「あれ?話しきいてなかったか?もう皆会議いってるんだよ」

「そう、ですか」

「おーすまんすまん。遅くなって」

そこに稲田先生が現れた

分厚い眼鏡に白髪まじりの髪、そしてエンジ色のベストはまさに古典教師という風貌だった

昨年、定年を迎えたのだが臨時教員としてこの学校に居続けてるのだ

「あ、稲田先生。じゃあ、あとお願いします」

「はいはい」

そういって稲田は職員室に入って行った

「質問は今日は無理だと思うから、早く帰れよー」

そう言って、足早に階段を下りて行った

「・・・」

(臨時だから、稲田先生は会議には参加しないってことか・・・。つまり・・・留守番ってわけだ・・・)

そう思い、女子高生は階段を上り、踊り場で息をひそめる


ガラガラガラ

扉が開き

女子高生は顔をのぞかせた

稲田が職員室近くのトイレに入って行くのを見計らい

女子高生は音をたてないよう階段をおり、慎重に扉を開け

迷いなく教頭が座っている机まで足早に移動し

その後ろの壁にある鉄の箱に手をのばす

彼女は、職員室に何度も足を運んで、そこにあることを知っていた

ガチャ

中には学校中の鍵がかけられていた

女子高生は『屋上』とかかれた鍵をサッととり、扉を閉めて

職員室から出て行った

―――

一方その頃・・・

「今年の生徒会どうよ?」

霊樹の上で

高橋は顔写真と名前が乗った用紙を眺める

「んー。どうかなー」

「びみょー」

柏木と小嶋もその用紙を見ながら口をとがらせていた

「女子がいないんだよなー」

高橋は苦笑いをする

「うん。そうなんだよねー」

小嶋は髪の毛をくるくると回しながら言う

小嶋はめんどくさいと思ったり、気に入らないことがあると髪の毛を触る癖がある

「男子はめんどくさいんだよねー。この年頃って・・・。彼女だとか言い出すから」

柏木もため息をつく

小嶋と柏木は秋葉学園生徒会のメンバーと契約を結ぶようになっているのだが

なんせ、年頃の男子

目の前に小嶋や柏木が現れると、浮かれてしまって

秘密をばらしてしまう生徒が何人かいたのだ

高橋たちはその度に何度も記憶を消したりして余計なエネルギーを消費しており

負担もかかるため、女子と契約を結ぶ方向になっていた

「こりゃ、勧誘だな」

高橋はため息をつく

「えーめんどくさーい」

「候補とかいるの?」

小嶋と柏木は口をとがらせる

「んー。女子から人気が高い奴とか?頭がいい奴とかいないか?そうすりゃ、生徒会もいいかんじになるんじゃねぇか?」

「要は、私らが気に入った人を誘えっていいたいのね」

「ゆきりん、よくわかってるじゃん」

「えー。何百人って生徒いるんだよー。めんどくさいから、生徒会から選ぶんじゃないの?」

「いや、にゃんにゃん。生徒会から選ぶのは理事長とつながりができやすいからであって・・・」

「でも、もうたかみなの契約者、敬ちゃんじゃないじゃん」

「う・・・で、でもそういう伝統的な流れの方がいいだろ?それに、敦子だってのちのち理事長になるんだから」

「んーでも、それってずいぶん先の話しだよね」

「う・・・」

高橋は固まる

「まぁまぁ、陽菜。そんなにたかみなのこといじめないの。理事長になるかどうかはともかく、敦子はこの学校にのちのち勤務することが決まってるんだし。王女が来た時、そういう土台を作ってた方がいいってことでしょ?」

「そう!それだっ!」

高橋は身を乗り出す

「んーまぁたかみながそうしたいんならいいけど」

小嶋はふわりと浮きあがり

「めんどくさいから、いいなーって思う子がいたら誘っといて」

そう言って、学園の方に向かって飛んで行ってしまった

「あー・・・にゃんにゃん怒ったかなぁ?」

「いや、怒ってるんじゃなくて・・・ホントに興味ないんだと思うよ。たかみなはさ、真面目だからずーっと前田家に仕えてて、前田家も協力的だったけど・・・私らは結構間、間で契約者変えてるからね」

「そうだなぁ・・・あの時、歴史が変わらなきゃ2人ともずっと変わらなかったのかな・・・」

「それはもう言ってもしかたなんじゃない?まぁ、ここに居るのは私らの責任でもあるし。それに、私は陽菜と戦うの嫌だったから契約解除したの。途中で、歴史は変わっちゃったけど軌道修正はできてるからいいんじゃない?」

「そういってくれると、ありがたいよ・・・ホント」

高橋は安堵のため息をもらす

高橋は前田がいるため、生徒会でなくても契約者がいるのだが、小嶋と柏木は新たに契約者を見つけなければならないのだ

「んーとりあえず、契約者候補探してみるね」

「おう。すまんな」

柏木もそういってふわりと飛び立ってしまった

「・・・」

高橋は霊樹からおり、ふわりと地面に着地する

「・・・なぁレイラ。徐々に力が弱まってきてるんだ」

高橋は霊樹にむかって話しかける

「レナが成人するまで・・・むこうだと12年くらいか?・・・できれば避けたいと思ってたけど。無理みたいだ。・・・ごめんな力不足で。でも・・・レナが来たら、また結界を強くできると思うんだ。力だって・・・日本中どこにでも行けてた時代に戻れると思うんだ・・・だから・・・許してくれ。」

サァァァッ・・・

高橋の問いかけにこたえるように

木々がざわめいていた


僕の彼女は魔法使い⑲

チュンチュン・・・

「ん・・・」

前田はベッドの上で目が覚めた

「・・・夢?」

前田はぼんやりと昨日の事を思い出す

「・・・」

そして、もそもそとベッドから出て

キッチンへと向かう

「敦子、おはよう」

「おはようございます」

そこにはお手伝いさんと母、敬子がいた

「おはよう・・・」

席につき、母の顔をちらちらと見る

「なに?」

「ううん・・・別に・・・その・・・調子いい?」

「うん、いいわよ。ありがとう」

敬子はニコッと笑う

(なんだ・・・やっぱり・・・夢だったのか)

そう思い、床に目をやる

が・・・

「え?」

そこにはいつもあるものがなかった

みなみの水のみ用の皿がないのだ

前田の脳裏に、昨日の事が蘇る

「あ、あの・・・お母さん」

「なに?」

「みなみ、みなかった?」

「・・・みなみ?」

敬子は首をかしげる

「みなみだよ!猫!猫のみなみっ!ずっといたじゃん!」

前田は思わず立ち上がる

「何いってんの?猫なんていないわよ」

きょとんとする母を見て、前田は愕然とした

お手伝いさんもきょとんとして、怒鳴ったことに目を白黒させていた

「うそ・・・」

前田は勢いよく部屋を出て、階段を上り、アルバムを広げる

「ない・・・ない・・・」

ページをめくってもめくっても猫のみなみはどこにもいなかった

(やっぱり・・・昨日の事は夢じゃないんだ・・・じゃあ・・・お母さんの病気の事も・・・)

「・・・っ」

前田は力なくうなだれた


母を心配させたくなくて、前田は家を出た

でも、学校には行く気になれなくて

近くの公園に入る

「・・・あ」

そこには、昨日見たみなみがいた

「ここにくるんじゃないかって思ってた」

「・・・」

「昨日の話し、聞いてたんだろ?」

「!!」

「敬子の部屋の前で倒れてたから・・・だから、敦子の記憶は消さないでおいたんだ」

「・・・じゃあやっぱり・・・昨日のことはホントなんだ」

前田はぽつりと言う

「・・・ちょっといいか?ゆっくり話そうぜ」

みなみは缶コーヒーを2本みせてニッと笑った

そして、みなみはすべてを話した

ここに来た理由、今いる意味・・・そして契約者になってほしいと

前田は、迷わず頷いた

そして、前田は秋葉学園に入学した

・・・みなみと共に


―――

「敦子?」

黙っている前田を高橋は不思議そうに見つめた

「・・・」

あれから10数年がたち、母親は脳腫瘍が大きくなり入院している

そのため、今は前田が理事長代理をしているのだ

記憶はまだ大丈夫だが

身体は思うように動かなくなってきている

「・・・そうだね・・・みなみは・・・かわんないよね・・・でも・・・」

前田は、みなみをぎゅっと抱きしめる

「私だけ・・・大きくなっちゃった・・・気づいたら・・・もう30歳手前だよ?」

「敦子・・・」

(私も・・・いつか・・・離れなくちゃいけなくなるのかな・・・でも・・・私は・・・)

「私は・・・一緒に歳を取りたい・・・みなみと・・・ずっと一緒にいたいよ」

「・・・ごめんな」

前田の腕の中で、高橋はぽつりと呟いた

僕の彼女は魔法使い⑱

――――

その頃、前田と高橋は住んでいるマンションに居た

「んーおいしい」

前田は目の前のショートケーキをおいしそうに頬張る

「敦子はすきだよなぁ。ここのショートケーキ」

キッチンで紅茶を入れた高橋は前田の前にティーカップを置いた

「うん、この味はずっと変わんないんだもん」

「あの店、最近息子さんに変わったんだよな?でも、変わらないってすごいよなー」

そういいながら、高橋はケーキの箱からチョコケーキを取り出し、自分の前の皿に置いた

「ちょっと、反省してんだろ?渡辺さんの事」

「・・・」

「・・・昔の自分見てるみたいだったからか?」

「・・・そうかもね」

前田はフッと笑う

「敦子が落ち込んでる時、いつもここのケーキ買って帰ってたよな」

「うん。嬉しい時も悲しい時も・・・特別な時も・・・ここのケーキだった」

前田はフォークを置き、呟いた

「・・・」

カッ

高橋は黙って猫になり

そして、前田の膝に乗った

「そうだね・・・みなみは・・・いっつもこうやって慰めてくれてたよね」

「まぁな。そりゃ、かわんねぇよ」

(・・・かわんない・・・か・・・)

前田はみなみをなでながら昔の事を思い出す

―――

前田は中学にはいったころから不登校になっていた

家から一駅離れたところの中学に入り、普通に生活していたのだが

その年、秋葉学園が移転をしたのだ

元々秋葉学園は都心近くの私立高校だったのだが

大々的に田舎の土地を購入し、教育、部活設備を整え

寮もでき、全国から推薦入学を受け付けるなど精力的に活動していた

前田は理事長の娘ということがバレ、人の目を気にするようになっていた

頭も良く、整った顔立ち、立派な家に住んでる・・・

そんな状況に他の生徒たちはひがみもあったのであろう

前田は同世代たちの見る目が嫌になって休みがちになっていた

家で居る時はいつも飼い猫のみなみは傍に居た

そして、中学3年の冬・・・

母である理事長の前田敬子が脳梗塞で倒れたのだ

幸いマヒも残らず、大事にはいたらなかったのだが

しばらくの休養を余儀なくされた

前田は母のお見舞いにも行かず

ずっと部屋に引きこもっていた

母親が退院し、自宅に戻っても

顔を合わせない日々が続いた

ある夜、前田はふと目が覚めた

水でも飲もうとキッチンに向かうために部屋を出る

ふと見ると、母親の部屋から少し光が漏れていた

「―――」

「そう。そうなの?」

中からは楽しそうな声が聞こえてきた

前田は眉をひそめた

父は海外出張中で不在だった

昼間はお手伝いが一人いるのだが夜は居ない・・・

(誰と話してるの?)

前田はそっと扉に近づいた

そこには、飼い猫のみなみがいた

ベッドにもたれる母の膝の上にちょこんと乗り、向かい合っている

「敦子はさ、ちゃんと勉強してんだぜ。それに敬子のことも心配してるけど・・・行くにいけないっていうか・・・素直じゃないっていうのかな?そういうとこ昔からかわんないよな」

「そうね」

敬子はクスッと笑う

(みなみが・・・しゃべってる!?)

前田は目を見開く

「ねぇ、みなみ」

「ん?」

「私ね、病気になっていろいろ考えたの。親が早くに死んで、理事長やらなきゃいけなくなって・・・敦子にはずいぶん寂しい思いをさせてしまったわ・・・」

「敬子・・・」

「お父さんだって海外出張長いし。家族旅行もしばらくしてないし・・・。それに、学園移転建設で敦子のことかまってあげれなかった・・・」

「それに関しては・・・すまないと思ってる。もしかしたら・・・敬子が病気になったのだって、私がいるからかもしれない・・・」

みなみは頭を下げる

「なにいってんのよ。それは関係ないでしょ。それに、許容範囲外になったのは前学校があった都心部近くだったんでしょ?今はこっちに学園もうつったんだし、この家だってセーフなんだから」

敬子はフッと笑う

「私はさ、みなみにいっぱい助けてもらったよ。小さい頃からずっと一緒にいて、嬉しい時も悲しい時も・・・傍に居てくれてありがとうね」

「敬子・・・」

「だから、学校の移転は私の小さな恩返しなの。私のエネルギーを使っているかもしれないってどうせおもってたんでしょ?」

「・・・」

「そんな顔しないの」

うつむくみなみをみて、敬子は顔を両手で挟み口角をにーっと上げる

「うぐぐ・・・」

「あははっ。でも、あれだけ近くにしたら、王女様が来た時も安心でしょ?」

敬子は手を緩め、にこにこと笑う

「そうだな。感謝しているよ。今回の生徒会もなかなか楽しいみたいだぜ。王女が来る時はどうなってるかなー」

みなみはてしてしと乱れた毛を肉球で直す



秋葉学園が創設された時、高橋たちは生徒会から契約者を決めるという決まりを作ったのだ

高橋は前田家とずっと契約を結んでいたのだが、小嶋や柏木はそうではなかった

いい契約者と出会うまでは、お互い散らばらずにいた方がいいということで

学校で生徒として過ごすようになっていた

ちなみに、秋葉学園の理事長は代々高橋の契約者となっており

理事長と繋がりをもてる生徒会メンバーを契約者とした方が何かと便利であり

小さい組織のため、ばれたとしてもすぐに記憶を消すことも可能という利点もあった

そのため、小嶋と柏木は1~2年で契約者を変えているという状況である

「あ、ってことは・・・そんときはついに会長が契約者だなー。理事長の敬子には私がついて、副会長にはゆきりんとにゃんにゃんがついて・・・おー補佐完璧だなー」

「・・・違うよ」

「え?」

敬子のトーンが下がったので、みなみは首をかしげる

「その時、そこに居るのは私じゃない」

「何いってんだよ?」

「みなみ・・・私との契約、解消してほしいの」

「・・・」

「敦子の・・・傍にいてあげて」

(!!)

前田は自分の名前が出て、声を上げそうになるのを耐える

「・・・」

「あの子、まだどこの高校うけるかも決めてないの。私は秋葉学園に来てほしいと思ってる。でも、私の口からそんなことを言ったら・・・きっと反発して絶対受験してくれないから・・・。だから、みなみからお願いしてほしいの」

「・・・私から言っても、かわんねぇかもしれねぇぞ?」

「大丈夫よ。ずっと一緒にいたみなみが頼めば」

「・・・」

「みなみ。敦子を説得して、秋葉学園に来たらみなみも生徒として通ってほしいの。あの子・・・ずっと一人でさびしかったのにそれを言えないで居たんだと思うの・・・なんかね、病室で一人でいたら・・・あの子の気持ちちゃんと分かってあげられてなかったっておもって・・・胸がね痛くなっちゃったの・・・」

「敬子・・・」

「ダメな母親よね・・・。それにね、今度また倒れたら・・・その時は・・・わかんないじゃない」

「なに・・・いってんだよ?」

「脳梗塞になって・・・いろいろ検査したじゃない?そしたら・・・脳の奥に小さな腫瘍がみつかったの」

(!!)

前田は手の隙間からするりと出ていきそうな声を必死にとどめた

(それって・・・お母さん・・・死ぬかもしれないってこと?)

「複雑なところで、取り出すことはできなって言われたの。まだ小さいから、どれくらいの期間で大きくなって行くかわからないって。5年なのか10年なのか・・・それとも来年なのか・・・」

「・・・」

「だからね、こんな私より若くて元気な敦子の方がいいと思って」

敬子は笑った

「ふざけんなっ!」

みなみはぴょんっと跳ね

その瞬間カッ!と光を放つ

「そんな状況の敬子ほっとけるわけねぇだろ!」

(!!!)

そこには、見ず知らずの小柄な女性がいた

前田は猫のみなみが人になったり、母が病気だということが分かったりと

自分の理解できる範囲をとうに越えていて

ただひたすら声を出さないように必死に耐えていた

「ありがとう。でもね・・・みなみは敦子の事も気になるでしょ?」

「・・・」

「心配でしょ?」

「・・・っ」

声をあらげて上下していた肩が・・・今度は小刻みに揺れ出しだ

「それにね・・・先生から・・・言われたの・・・記憶をつかさどるところにも影響が出てくる恐れがあるって。腫瘍がおおきくなったら、その器官を圧迫して・・・いろんなことを忘れるかもしれないって・・・みなみのこと、そんな風に忘れるくらいなら・・・あなたの手で消してほしいの」

「敬子・・・」

「そんな顔しないで」

「・・・」

「みなみはホントに敦子のとこ、大事にしてくれたよね。敦子が生まれたら私よりも号泣してさ、こけそうになったり危ない場所に行こうとしたら必死に止めて・・・ずっとみてきてくれたじゃない・・・だから・・・」

敬子の声がくぐもる

「私がいなくなっても、みなみがいれば寂しくないでしょ?それに、敦子は今一人でさびしい思いをしてるから・・・みなみが傍にいてあげて・・・契約者になって・・・ずっと・・・傍にいてあげて」

「敬子・・・」

「私は、あなたの契約者になれて幸せだったわ。ずっと、前田家に仕えてくれて・・・ありがとう。出会えて・・・よかった」

敬子の目に涙が伝う

「・・・礼をいうのは・・・こっちの方だ・・・」

みなみはベッド近くに膝をつき、敬子の手を握った

「・・・敦子をよろしくね」

敬子はそっと目を閉じる

「・・・っ。まかせろ・・・。約束だ・・・。」

みなみは肩を震わせながら

呪文を詠唱する

金色に輝く見たこともない文字が2人をぐるりと取り囲み

「・・・」

みなみは敬子の額にキスをした

カッ!!

まばゆい光が部屋の中に溢れる

「っ・・・」

前田は思わず目を閉じた



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