気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

僕の彼女は魔法使い35

ザワザワザワ・・・

街の雑踏が、美優紀を現実世界へと引き戻す

その後、美優紀は両親と暮らすことを拒み

母方の祖父母の家がある東京で暮らすことを決めた


「東京で会うとか・・・最悪。なんなん」

美優紀はぶつぶつ言いながら

街を見渡す

どこに行こう・・・

正直、東京に来てから

遊ぶ友達も居なかったので

いつも公園にいるか、駅前の店を転々と歩くかくらいしかしていなかった

・・・街での遊び方は全部吉田に教えてもらった

だから、一人でどうすごしたらいいのかというのは正直よくわかっていなかったのだ

「・・・ホンマ・・・最悪」

美優紀はぽつりと漏らした

そこに

「お、君ひとり?俺らとカラオケでも行かない?」

いかにもチャラそうな男4人が声をかけてきた

「いかん」

美優紀はさらなる苛立ちを感じ、そこから去ろうとする

「待てよ。ねーいいじゃんちょっとだけ」

男が腕をつかむ

「離してよ!」

美優紀は勢い任せに腕を振りほどこうとしたが

「っ!!」

腕が折れそうなほどに握りしめられ、顔をゆがませる

「素直についてきてくれたら痛いことしないからさ」

男は冷ややかな顔でいう

「誰が・・・あんたらとなんか」

「おいおい、言っただろ。おとなしくしろって」

そういって、男たちは美優紀を囲み

スッとナイフを出した

「!」

「な、いい子にしてろ」

「・・・」

美優紀は恐怖で声が出なかった

「おーいいのー?じゃあカラオケ行っちゃいますかー」

じろじろと見ている人たちに不信感を与えないよう

男たちは声をあげ、盛り上がる

「じゃあ、行こう」

そういって、美優紀を取り囲んだまま男たちは歩き出した

「声出したら、殺すよ」

そう耳元で言われ、美優紀は青ざめる


なんなんよ・・・

今日、ホンマに最悪・・・



―――

一方その頃

「で、吉田さん。なんで学校まで来たの?」

前田ががまっすぐに吉田を見つめた

「みるきーに・・・謝りたかってん」

「謝る?」

宮澤は首をかしげた

「別にええやろ。大阪でいろいろあってん」

吉田はぷいっとそっぽを向いた

「それは渡辺さんが学校に来ないのと関係あるのかな?」

篠田が問う

「え・・・みるきー学校行ってないん?」

「そ。今進級できるかの瀬戸際ね」

前田はふっととため息をつく

「なんで・・・ちゃんと行ってると思ってたのに・・・」

吉田はうなだれる

「大阪で何があったか、教えてくれないかな?」

篠田は優しい口調でいう

「いやや。あんたらにゆうたって変わらへんし」

「・・・やれやれ、教師は嫌い・・・か」

篠田はため息をもらす

「おい」

壁にもたれて話を聞いていたサヤカが口を開く

「ええ加減何があったか話せや。全然話進まへんやんけ」

サヤカはつかつかと吉田の方に歩み寄る

「あんた何?みるきーの友達?」

「はぁ?あいつは私のけ・・・」

「わー!そ、そうなんだ、おんなじクラスの子なんだよ!」
   
高橋は契約者というワードを出す前に制止する

「吉田さん、お願いっ!私、渡辺さんの担任なんだ。何があったか教えてくれないかな?学校に来て欲しいんだよ」

その勢いに乗じて、宮澤は手を合わせる

「・・・」

吉田は黙ったまま視線をそらす

「仕方ない。親御さんくるし、説得してもらおうかな」

前田がポツリという

「え・・・みるきーのお母さん来てんの?」

吉田がピクッと反応した

その反応を前田は見逃さなかった

「知ってるの?お母さんのこと」

「・・・」

理事長室はしばしの沈黙につつまれ

「言われてん」

吉田はゆっくり口を開き

「・・・もう、うちの子と付き合わんといてって・・・」

絞り出すように、言った

「なんだよそれ?ひどくねぇか?誰と付き合おうが自由だろうよ」

高橋はカチンとする

「仕方ないんや。私は定時制。かたやみるきーは有名な進学校やで。言われるんも無理ないわ」

吉田は皮肉っぽく笑う

「でも・・・ちょっとうらやましかってん」

「え?」

「私んとこにそうやって言いに来るってことは、少なからずみるきーのこと心配してるってことやろ?」

「・・・」

高橋は眉をひそめる

「私には、そんな心配してくれる人おらへんから」

「どういうことや」

サヤカが訪ねたが

「そこまで言わなあかんの?みるきーと何があったかゆうただけでええやろ」

そういって、吉田ははぐらかし

席をたった

「待ちなさいよ。そういわれても、気になってきたんでしょ?」

前田のセリフに、吉田の体はぴくっと動く

「だから、謝りたかったんでしょ?」

「・・・」

「あなた、友達思いのいい子ね」

前田はにこっと笑った

「うっさいな!」

吉田は顔を真っ赤にしながら部屋を出ていこうとしたが

「まぁ、待ちなさいよ。やみくもに探しても仕方ないでしょ?」

「え?」

「サヤカ、出番」

「は?」

前田のセリフにきょとんとする

「おい、敦子!吉田さんがいるんだぞ!」

高橋は焦って止める

「いいじゃない。一人なら、記憶消すのも体力しれてるでしょ?それに、私こういう子嫌いじゃないの」

前田はくすっと笑った

「はぁ・・・しゃーねぇなぁ」

高橋はため息をつき、サヤカの方に向き直った

「サヤカ、お前には言ってなかったが、私らは契約者の居場所を知ることができる」

「契約者?何それ?」

吉田はきょとんとする

「ま、いいから、いいから。ここで起きたことは他言無用でお願いするぜ」

高橋は苦笑いをし、説明を続けた

「目を閉じて、意識を集中しろ。そして、渡辺さんの姿を思い描くんだ」

「はぁ?」

「とにかくやれ、そうだなーイメージは空から探してるって感じだ。集中力が高まったら、いきなり上空から地上に引き込まれるような感じになって、今渡辺さんがどこにいるかがわかる」

「そんなんゆうても、ここらへんの土地やわからんで」

「大丈夫。たかみなが思念を地図に起こしてくれるから」

小嶋はぽりぽりと口を動かしながらいう

「にゃろはよくこの状況で食べてられるね」

篠田は苦笑いをする

「さ、そういうわけだから、今言ったとおりにやってみ」

「・・・」

サヤカは反抗したくなったが、祖母の顔をがうかんだ

この件であいつが学校に行ってくれるようになるんなら・・・仕方ないか

サヤカは目を閉じ

意識を集中させる

学校の天井を突き抜け、空から町を見下ろす

高橋はサヤカの肩に手をおき、目を閉じ反対の手をスッとかざした

そこには石板が現れ、地図が示される

「な・・・なにこれ?魔法?」

吉田はあっけにとられ、後ずさりする

「そうだよ。ここにいるみんなはちょっと特殊でね。だから、君の嫌いな教員とも少し違うと思うよ」

篠田がその背中を後ろから受け止め、優しく語りかけた

「え・・・」

「みんな心配してるんだ。渡辺さんのこと。そして、君と仲直りできるようサポートしたいとおもってる」

「・・・」

「だから、少し信じてみて」

そういって、ニコッと笑った


「・・・」

サヤカの意識は空を飛び、町を見下ろす

そして、ぐっと引っ張られるような感覚になり

地上へと降りていく

そして・・・

そこには廃墟で椅子に縛られた美優紀の姿が映った

「なんやこれ・・・!」

サヤカはハッとして目を開けた

「どうした?」

「あいつ・・・縛られてた」

「え?」

「ようわからんけど・・・人気のないぼろぼろの建物におった!とにかく危ないんや!」

サヤカは苛立ち、怒鳴る

「待て、地図みろ。お前が降りて行ったのはここだ」

「ここって・・・かなり郊外だね」

篠田は眉をひそめ、携帯で地図が示された地区を検索する

「んー・・・」

小嶋は立ち上がり、篠田の携帯の地図を覗き込んだ

「あ、このあたりってなんか廃旅館があるところでしょ?」

「え?」

「なんか生徒たちが肝試しに行くんだーとか言ってて、やめなさいっていってたの」

「陽菜!そこの名前なに?」

「えーなんだっけ・・・たしか・・・なんとか旅館」

「・・・」

篠田は検索ワードに心霊スポット 旅館と打ち込む

「わかった!三笠旅館だ!」

「よしっ!みんな行くぞ!」

高橋は声を上げる

「待ちなさい、とりあえず玲奈もよばなきゃ。ケガしてたら治さなきゃいけないでしょ」

前田が制止する

「じゃあ、私と陽菜は玲奈を連れていく」

篠田がうなづき

「じゃあ、珠理奈もつれていこう。部活やったるだろうから私声かけてくるよ」

宮澤も言う

「頼んだぞ」

そういうと、高橋は柏木の方を見る

「りょうかーい」

柏木は手をかざし、ふわりと大きな球体を作った

「じゃあ、みんな乗って」

前田の合図にみな、球体の中に入る

「りんちゃん、無理しないでね」

「うん、大丈夫」

2人は見つめあう

「ほら、こんな時でもイチャイチャしないの。さ、吉田さんもいくわよ」

「え?」

「仲直りには、きっかけが必要だから」

そういって、フッと笑った



◆こんにちは

ども、しゅうです(^ ^)

案の定更新止まってすいません(・・;)

今、東京に来ています

東京は風強いっすねー

雨が降らないことを祈るばかりです

乃木坂ライブいかれるかた楽しみましょうねー(^ ^)

急な思いつきですが、明日のAKBライブも含み、開演前に私と会ってみたいという方おりましたらお話しませんか?

来年度新しいことにチャレンジするので、もう東京とかライブとかしばらく行けない可能性大なんですよね

ブログもいつまで書き続けられるかあやしいので…

この機会にどんな奴が書いてんねんって思った方は

コメント欄にお書きくださいませ。

まぁ、急なことなのでこの記事見てないと無理なんですが…(・・;)

もしよろしければ、お声掛けくださいませ☆

もちろん、公演後でもOKです(^ ^)

では、旅行先でお茶しながらぽちぽち書こうと思います(^ ^)



僕の彼女は魔法使い34

そして、美優紀は家に帰らなくなった

正確に言うと帰りづらくなったのだ

両親が居ない隙を見て家に戻り、すぐまた出て行くという生活をくりかえす

学校も休みがちになっていたが

もともと、成績の良い美優紀はテストだけはいい結果を残していた

だが、美優紀を見つめる学生たちの目は変わっていった

まるで、汚れた何かを見るような目だった

「・・・」

そんな視線が嫌だった

だから、冬休みに入る頃には

不登校になっていた

そして

「美優紀、大事な話しがあるの」

両親に言われ、しぶしぶ美優紀は家のリビングに居た

ダイニングテーブルに並んだ両親、その前に座る美優紀・・・

目を合わせづらくて、思わずそらしていた

「お母さんたちね、離婚・・・しようと思うの」

「・・・」

思わず美優紀は両親を見た

父親は何も言わず、黙っていた

「そう・・・」

「だから、どっちについていくか・・・決めてほしいの」

「・・・どっちも嫌ってゆうたら?」

「いい加減にしろ。おまえはまだ高校生なんだ。どっちかについてきなさい」

父親の台詞にカチンとする

「なによっ!散々好き勝手やってきたお父さんにそんなん言える権利あるん?」

美優紀は立ち上がりガタっと椅子が大きな音を立てる

「おまえは子供なんだ!おまえこそそんなこと言う権利ない!」

「なによっ!都合のいいときだけ親ぶって!私は・・・私は・・・」

あんたらの都合のいい娘やない

そう言おうとする前に、涙があふれてきて

美優紀はたまらず家を出た

走って、走って・・・

吉田がいつも居る、駅前のあの場所まで走っていた

「・・・」

吉田は美優紀の姿をみると、座っていた花壇の縁から立ち上がり

美優紀の傍に歩み寄ってきた

「はぁ・・・はぁ・・・アカリン・・・」

美優紀は肩で息をしながら、さっきあったことを吉田に言おうとした

だが

「え?」

吉田は美優紀の横をすりぬける

「朱里ーお待たせー」

「どこいくー。カラオケー?」

後ろを振り返ると、派手な格好をした女子たちが吉田を囲んでいた

「うそ・・・」

美優紀はぽつりと漏らす

「そうやなー。カラオケしよー。朝までいっちゃう?」

「いいねー」

吉田は振り返ることもなく女子たちと話しをする

「・・・アカリン!」

美優紀は絞り出すような声で叫ぶ

「「・・・」」

一斉に女子たちの視線が美優紀に集まり、たじろぐ

「・・・」

そして、吉田も振り返り

ゆっくりと美優紀の方に歩み寄ってきた

「みるきー。もう、会うんやめよう」

「え・・・?」

衝撃的な言葉に、頭が真っ白になる

「ずーっとさ、遊んでる間も考えてたんだよねー。あんたとおってもつまらんのよなー」

「なに・・・それ?」

冷たく言い放たれた言葉に心拍数が上がる

「タイプの違う子と遊んだらおもしろいかなーって思ったけど、やっぱり合わんなーっておもって。だから、もうおしまい」

「アカリン・・・私は・・・」

美優紀は言葉をはなとうとしたが、喉の奥でつっかえて言葉にならなかった

「朱里ー。なにしてるん?早くいこー」

後ろで女子たちが口をとがらせていた

「わかったー。じゃあね。はよ帰って勉強でもしたら?」

吉田はそういうと踵を返し、去って行ってしまった

美優紀には、もう追いかけていく気力もなかった

そこにへたりこんでしまうのを必死に耐えるだけで

精一杯だった

「なによ・・・なによ・・・・」

美優紀の脳裏に、吉田との思い出が蘇る

優しくしてくれたん、全部演技なん?

笑ってくれてたんも・・・全部・・・

「っ・・・」

美優紀は肩をふるわせて泣いていた

家族も、友達も・・・なにもかも・・・失った気がした


もう、大阪になんていたくない

消えてしまいたい

そんな思いしか抱かなくなった


僕の彼女は魔法使い33

それから、美優紀は吉田と遊ぶようになった

ファッション雑誌を参考に2人で化粧をしたり

駅前のゲームセンターでプリクラをとったり、買い物をしたり・・・

それは、美優紀の今までの生活とは全く違う世界だった

楽しかった

吉田と笑って、街を歩いて・・・

友達だと初めて思える人に出会えたと思っていた


だが・・・

「美優紀!あなたいい加減にしなさいよ!」

美優紀の母がリビングで声を上げた

「・・・」

美優紀はむすっとした顔で母を睨む

夏休みが開け、2学期が始まっても美優紀は吉田と遊び続けており

塾に行っていないこともばれたのだ

「あなた、なんであんな子とつきあってるの!?あの子、定時制の学校でしょ!?そんな子とあなたが一緒に居るなんてお母さん耐えられないわ」

「何も知らん癖に、なんでそんなこというん!?」

「いい、美優紀。あなたは勉強していい大学に行くの。だからあんな子とは遊ばないで」

「それはお母さんができんかったから?」

「・・・!」

その言葉に母は顔をしかめる

「全部聞いた。お父さんが浮気してることも、お母さんがいい大学に行かせたいのも・・・」

「・・・」

「今まで私にしてきたことは、全部自分らのためだったんやろ?だったら、こんな人生いらん!私は私の好きに生きる!」

パンッ!

乾いた音がリビングに響き・・・

「・・・・っ」

美優紀は頬を押さえ涙ぐむ

「いいかげんにしなさい」

母は冷たく言った

「っ!なによっ!」

美優紀は鞄を手に、家を飛び出した

一旦出だした涙は、止まることなく溢れ続ける

「なによっ・・・なによっ・・・」

じんじんと疼く頬の痛みよりも

心が痛かった

―――

「みるきー」

外灯が照らす駅前の花壇の脇に腰掛けた吉田がパッと手を上げる

「アカリン・・・」

「え、どないしたん?その顔」

「叩かれた」

「え・・・?」

「お母さんに。でも、ええねん。私、高校辞めて家出て行こうかな」

「え?どないしたん。急に・・・」

吉田は眉をひそめる

「ええの。なぁ、アカリン家泊めて」

「え?」

「しばらくは帰らへんつもりやから」

「みるきー・・・」

「私、愛されてないねん」

美優紀はそういって笑った

その顔は、精一杯強がっている顔だった

「ごめん。みるきー。家は・・・泊めれん」

「え・・・」

「でもな、朝まで一緒におるよ」

吉田は美優紀をそっと抱きしめた

「うぅ・・・」

美優紀の頬に涙が伝う

「・・・」

吉田はそんな美優紀の背中をだまって撫でていた



僕の彼女は魔法使い32


―――

「はぁ・・・はぁ・・・」

美優紀は勢い任せに走り

駅前までたどり着く

肩で息をしながら

「・・・」

英新塾の看板が目に入り

美優紀は大阪に居た頃を思い出していた


―――

美優紀は裕福な家庭で育った

何不自由ない暮らしで何も気に留めることはなかった

幼い頃から英才教育と称して

塾や習い事をしていた

『100点とって偉いわね』

『美優紀は天才だな』

そういって両親が褒めてくれることが何よりもうれしかった

美優紀は中学でも成績優秀で有名進学校からも声がかかるくらいになっていた

そして、大阪の有名進学校から声がかかった

中学の時から、父親が大阪に単身赴任をしていたので

高校になることろに大阪にうつり、共に生活をするようになった

だが、そこから家族の歯車が少しずつ狂い始めていた

父親が帰りが遅く、母とその度に口論となっていた

どうすれば、家族がうまくいくのか・・・

美優紀は考えた

そして、自分がテストでいい点を取った時は両親が褒めてくれることを思い出した

私がいい成績をとれば両親は褒めてくれた

私がいい子で居れば、また家族が元に戻るかもしれない

頑張っていれば、きっとまた・・・

そんな淡い思いを信じ、美優紀は必死に勉強をしていた

そして、塾の夏期テストで成績優秀者として会報誌に乗り、両親も喜んでお祝いをしてくれた

しかし

それはすぐに消え去ってしまった

夏休みのある夜

「どうりで帰りが遅いと思ったら!」

「うるさいな!お前のそういうところが嫌なんだよ」

2階で寝ていた美優紀は1階のリビングで言い合いをする両親の声で目が覚めた

そっと階段を降り、ドアから漏れる光にそっと目を当てる

「私は家族のためにいろんなことを犠牲にしてきたの!それなのに何よ!?あなたはほかの女と遊んで」

「それはこっちの台詞だ!人が働いた金で何不自由なく生活してるくせに偉そうに言うな!」

「何よそれ!」

「だいたい、あのまま奈良に残ってくれていたら良かったのに。大阪の高校に行くとか言い出すから」

「なによそれ?美優紀が悪いって言いたいの?あの子はこのままいい大学に行っていい会社に就職するのよ!そのために大阪を選んだのに」

「それはお前のエゴだろ?自分がいい大学やいい会社にはいれなかったから美優紀にすべてを押してつけてるんだろ?」

「そうよ。悪い?子供に夢持って何が悪いのよ!」


(・・・・!)

美優紀の中で何かが音を立てて崩れていった


お父さんも、お母さんも・・・成績がいい子が好きなんだけなんだ


美優紀はスッとその場を離れた


そして、美優紀は塾をサボるようになった

勉強しに行くと言っては駅前をぶらぶらしていた

美優紀は勉強をせずに街を歩いていて気付いたことがあった

遊びに行こうと気軽に誘える友達が自分には居ないと言うことだった

もちろん、奈良にはそれなりに友達もいたのだが

新しく来た大阪という地で

美優紀は勉強しかしていなかった

クラスの子と話すことはあっても、それ以上でも以下でもない・・・ただのクラスメイトだった

「・・・」

ピッポッ、ピッポッ・・・

信号が青になり、皆が一斉に歩き出す

美優紀もその波のなかであわてて歩き出した

クラクションや交差点の音、排気ガスの匂い・・・

誰もかれもが早足で

私の存在なんてこの中の一部でしかないんだ・・・

このまま、波にのまれて消えて行くのかな・・・

そんなことが頭をよぎり

美優紀は足をとめた

バンっ!

その瞬間後ろから衝撃があり、よろめく

「ちょっと!あんた何急に立ち止まってんのよ?」

甲高い声が後ろから聞こえ

振り向くと、背の高い色白の女の人がこっちを睨んでいた

「あ・・・すいません」

美優紀は俯く

「・・・信号変わるから、話しは渡ってからね」

「え?」

その女性は美優紀の手をとり

向こう側まで走りだした

美優紀はわけがわからなくてぽかんと手を引かれるままだった

ブーン・・・

信号が変わるやいなや車が一斉に走り出す

「セーフ」

女性は車を見つめフッと息を吐く

「あ、あの・・・すいませんでした」

美優紀は頭を下げる

「交差点で立ち止まったらあかんっていうん小学生でもわかるで」

「すいません・・・」

美優紀はなんだか虚しくて泣けてきた

「え・・・ちょっと?」

その女性はおろおろして辺りを見渡す

行きかう人はちらちらとこちらを見ており、気まずさしかない

「あー!もう!なんやねん!とりあえずこっちきて!」

女性はまた美優紀の手をつかみ

ずんずんと歩く

そして、駅前のマックに入り

「ポテトLとコーラ2つ」

慣れた感じで注文をし、注文番号のプレートを手に

席に座る

「あ・・・あの」

美優紀はおずおずと女性の方を見る

「名前」

「え?」

「名前は?何歳?」

鋭い言葉に、美優紀は太刀打ちできず

「渡辺・・・美優紀。15歳」

素直に応える

「中3?」

「いえ、高一です」

「うそっ!同い年やん」

「えっ!?」

美優紀は思わず声を上げた

「何よその反応?」

女性は口をとがらせる

「だって・・・大人っぽいから・・・」

「あーそれは化粧とか服でそう見えるのかもねー」

「化粧・・・するんだ」

「するよー最近の高校生はおしゃれしなきゃー」

「う・・・うん」

美優紀は俯く

勉強ばかりしてきた美優紀にはおしゃれなど無縁のものだった

服もTシャツにGパン・・・どこにでもいる高校生・・・いや、中学生に見間違えられるのも無理はない

「お待たせしましたー」

そこに、店員が現れ美優紀達の前にポテトとコーラを置いて去って行った

「あんた、暇?」

「え?」

「遊びにいかへん?」

「へ?」

「せっかくやから、おしゃれしたらええねん。私、吉田朱里よろしくね」

そういって、吉田はポテトをつまんで食べた


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