気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

僕の彼女は魔法使い⑱

――――

その頃、前田と高橋は住んでいるマンションに居た

「んーおいしい」

前田は目の前のショートケーキをおいしそうに頬張る

「敦子はすきだよなぁ。ここのショートケーキ」

キッチンで紅茶を入れた高橋は前田の前にティーカップを置いた

「うん、この味はずっと変わんないんだもん」

「あの店、最近息子さんに変わったんだよな?でも、変わらないってすごいよなー」

そういいながら、高橋はケーキの箱からチョコケーキを取り出し、自分の前の皿に置いた

「ちょっと、反省してんだろ?渡辺さんの事」

「・・・」

「・・・昔の自分見てるみたいだったからか?」

「・・・そうかもね」

前田はフッと笑う

「敦子が落ち込んでる時、いつもここのケーキ買って帰ってたよな」

「うん。嬉しい時も悲しい時も・・・特別な時も・・・ここのケーキだった」

前田はフォークを置き、呟いた

「・・・」

カッ

高橋は黙って猫になり

そして、前田の膝に乗った

「そうだね・・・みなみは・・・いっつもこうやって慰めてくれてたよね」

「まぁな。そりゃ、かわんねぇよ」

(・・・かわんない・・・か・・・)

前田はみなみをなでながら昔の事を思い出す

―――

前田は中学にはいったころから不登校になっていた

家から一駅離れたところの中学に入り、普通に生活していたのだが

その年、秋葉学園が移転をしたのだ

元々秋葉学園は都心近くの私立高校だったのだが

大々的に田舎の土地を購入し、教育、部活設備を整え

寮もでき、全国から推薦入学を受け付けるなど精力的に活動していた

前田は理事長の娘ということがバレ、人の目を気にするようになっていた

頭も良く、整った顔立ち、立派な家に住んでる・・・

そんな状況に他の生徒たちはひがみもあったのであろう

前田は同世代たちの見る目が嫌になって休みがちになっていた

家で居る時はいつも飼い猫のみなみは傍に居た

そして、中学3年の冬・・・

母である理事長の前田敬子が脳梗塞で倒れたのだ

幸いマヒも残らず、大事にはいたらなかったのだが

しばらくの休養を余儀なくされた

前田は母のお見舞いにも行かず

ずっと部屋に引きこもっていた

母親が退院し、自宅に戻っても

顔を合わせない日々が続いた

ある夜、前田はふと目が覚めた

水でも飲もうとキッチンに向かうために部屋を出る

ふと見ると、母親の部屋から少し光が漏れていた

「―――」

「そう。そうなの?」

中からは楽しそうな声が聞こえてきた

前田は眉をひそめた

父は海外出張中で不在だった

昼間はお手伝いが一人いるのだが夜は居ない・・・

(誰と話してるの?)

前田はそっと扉に近づいた

そこには、飼い猫のみなみがいた

ベッドにもたれる母の膝の上にちょこんと乗り、向かい合っている

「敦子はさ、ちゃんと勉強してんだぜ。それに敬子のことも心配してるけど・・・行くにいけないっていうか・・・素直じゃないっていうのかな?そういうとこ昔からかわんないよな」

「そうね」

敬子はクスッと笑う

(みなみが・・・しゃべってる!?)

前田は目を見開く

「ねぇ、みなみ」

「ん?」

「私ね、病気になっていろいろ考えたの。親が早くに死んで、理事長やらなきゃいけなくなって・・・敦子にはずいぶん寂しい思いをさせてしまったわ・・・」

「敬子・・・」

「お父さんだって海外出張長いし。家族旅行もしばらくしてないし・・・。それに、学園移転建設で敦子のことかまってあげれなかった・・・」

「それに関しては・・・すまないと思ってる。もしかしたら・・・敬子が病気になったのだって、私がいるからかもしれない・・・」

みなみは頭を下げる

「なにいってんのよ。それは関係ないでしょ。それに、許容範囲外になったのは前学校があった都心部近くだったんでしょ?今はこっちに学園もうつったんだし、この家だってセーフなんだから」

敬子はフッと笑う

「私はさ、みなみにいっぱい助けてもらったよ。小さい頃からずっと一緒にいて、嬉しい時も悲しい時も・・・傍に居てくれてありがとうね」

「敬子・・・」

「だから、学校の移転は私の小さな恩返しなの。私のエネルギーを使っているかもしれないってどうせおもってたんでしょ?」

「・・・」

「そんな顔しないの」

うつむくみなみをみて、敬子は顔を両手で挟み口角をにーっと上げる

「うぐぐ・・・」

「あははっ。でも、あれだけ近くにしたら、王女様が来た時も安心でしょ?」

敬子は手を緩め、にこにこと笑う

「そうだな。感謝しているよ。今回の生徒会もなかなか楽しいみたいだぜ。王女が来る時はどうなってるかなー」

みなみはてしてしと乱れた毛を肉球で直す



秋葉学園が創設された時、高橋たちは生徒会から契約者を決めるという決まりを作ったのだ

高橋は前田家とずっと契約を結んでいたのだが、小嶋や柏木はそうではなかった

いい契約者と出会うまでは、お互い散らばらずにいた方がいいということで

学校で生徒として過ごすようになっていた

ちなみに、秋葉学園の理事長は代々高橋の契約者となっており

理事長と繋がりをもてる生徒会メンバーを契約者とした方が何かと便利であり

小さい組織のため、ばれたとしてもすぐに記憶を消すことも可能という利点もあった

そのため、小嶋と柏木は1~2年で契約者を変えているという状況である

「あ、ってことは・・・そんときはついに会長が契約者だなー。理事長の敬子には私がついて、副会長にはゆきりんとにゃんにゃんがついて・・・おー補佐完璧だなー」

「・・・違うよ」

「え?」

敬子のトーンが下がったので、みなみは首をかしげる

「その時、そこに居るのは私じゃない」

「何いってんだよ?」

「みなみ・・・私との契約、解消してほしいの」

「・・・」

「敦子の・・・傍にいてあげて」

(!!)

前田は自分の名前が出て、声を上げそうになるのを耐える

「・・・」

「あの子、まだどこの高校うけるかも決めてないの。私は秋葉学園に来てほしいと思ってる。でも、私の口からそんなことを言ったら・・・きっと反発して絶対受験してくれないから・・・。だから、みなみからお願いしてほしいの」

「・・・私から言っても、かわんねぇかもしれねぇぞ?」

「大丈夫よ。ずっと一緒にいたみなみが頼めば」

「・・・」

「みなみ。敦子を説得して、秋葉学園に来たらみなみも生徒として通ってほしいの。あの子・・・ずっと一人でさびしかったのにそれを言えないで居たんだと思うの・・・なんかね、病室で一人でいたら・・・あの子の気持ちちゃんと分かってあげられてなかったっておもって・・・胸がね痛くなっちゃったの・・・」

「敬子・・・」

「ダメな母親よね・・・。それにね、今度また倒れたら・・・その時は・・・わかんないじゃない」

「なに・・・いってんだよ?」

「脳梗塞になって・・・いろいろ検査したじゃない?そしたら・・・脳の奥に小さな腫瘍がみつかったの」

(!!)

前田は手の隙間からするりと出ていきそうな声を必死にとどめた

(それって・・・お母さん・・・死ぬかもしれないってこと?)

「複雑なところで、取り出すことはできなって言われたの。まだ小さいから、どれくらいの期間で大きくなって行くかわからないって。5年なのか10年なのか・・・それとも来年なのか・・・」

「・・・」

「だからね、こんな私より若くて元気な敦子の方がいいと思って」

敬子は笑った

「ふざけんなっ!」

みなみはぴょんっと跳ね

その瞬間カッ!と光を放つ

「そんな状況の敬子ほっとけるわけねぇだろ!」

(!!!)

そこには、見ず知らずの小柄な女性がいた

前田は猫のみなみが人になったり、母が病気だということが分かったりと

自分の理解できる範囲をとうに越えていて

ただひたすら声を出さないように必死に耐えていた

「ありがとう。でもね・・・みなみは敦子の事も気になるでしょ?」

「・・・」

「心配でしょ?」

「・・・っ」

声をあらげて上下していた肩が・・・今度は小刻みに揺れ出しだ

「それにね・・・先生から・・・言われたの・・・記憶をつかさどるところにも影響が出てくる恐れがあるって。腫瘍がおおきくなったら、その器官を圧迫して・・・いろんなことを忘れるかもしれないって・・・みなみのこと、そんな風に忘れるくらいなら・・・あなたの手で消してほしいの」

「敬子・・・」

「そんな顔しないで」

「・・・」

「みなみはホントに敦子のとこ、大事にしてくれたよね。敦子が生まれたら私よりも号泣してさ、こけそうになったり危ない場所に行こうとしたら必死に止めて・・・ずっとみてきてくれたじゃない・・・だから・・・」

敬子の声がくぐもる

「私がいなくなっても、みなみがいれば寂しくないでしょ?それに、敦子は今一人でさびしい思いをしてるから・・・みなみが傍にいてあげて・・・契約者になって・・・ずっと・・・傍にいてあげて」

「敬子・・・」

「私は、あなたの契約者になれて幸せだったわ。ずっと、前田家に仕えてくれて・・・ありがとう。出会えて・・・よかった」

敬子の目に涙が伝う

「・・・礼をいうのは・・・こっちの方だ・・・」

みなみはベッド近くに膝をつき、敬子の手を握った

「・・・敦子をよろしくね」

敬子はそっと目を閉じる

「・・・っ。まかせろ・・・。約束だ・・・。」

みなみは肩を震わせながら

呪文を詠唱する

金色に輝く見たこともない文字が2人をぐるりと取り囲み

「・・・」

みなみは敬子の額にキスをした

カッ!!

まばゆい光が部屋の中に溢れる

「っ・・・」

前田は思わず目を閉じた



僕の彼女は魔法使い⑰

――――

「どこやここ・・・」

美優紀につれられ、サヤカは駅前に来ていた

田舎でも、駅前だけは栄えており制服姿の学生が何人もいた

「駅前やん」

「駅?なんやそれ」

「・・・なんか説明するんめんどくさい」

見るものすべてが初めてのサヤカはずっと美優紀に尋ねてばかりだったので

美優紀はそろそろ嫌気がさしていたのだ

「もう、ええから。実践あるのみ!契約やって解消できんのやったら、この世界楽しんだらええやん」

そういって、美優紀はサヤカの手を引いた

「な・・・」

サヤカはなんだかとても気恥かしくなり

「一人で歩けるわ」

そういって、美優紀の手を振り払う

「・・・ま、ええけど」

美優紀は口をとがらせ、歩き出した


美優紀は商店街を歩く

「クレープでも食べようかなぁ」

「なんやそれ?」

「食べもん」

「うまいのか?」

「おいしいで」

「・・・」

「食べもんには興味あんねんな」

「・・・」

サヤカはぷいっとそっぽをむく

「じゃあ食べる?んーでもお金あんまないしなー」

美優紀はクレープ屋の前で値段を見る

サヤカはお金をもっていなかったので、都心部まで2人分の旅費を払うということも出来なかった

それに、高校生のお小遣いでは限界もある

なので、駅前をぷらぷらするしかなかったのだ

「んー・・・はんぶんこしよか」

美優紀はそう呟き、イチゴのクレープを頼んだ

サヤカはクレープができるのを不思議そうに見つめる

美優紀はそれを横目で見ながら、クスッと笑った

「はい、食べてみ」

商店街の中腹にある広場のベンチで

美優紀はサヤカにクレープを差し出した

サヤカはがぶっとクレープにかぶりつく

「どう?」

「・・・」

サヤカには黙ってもぐもぐと口をうごかす

「もーなんかいいや」

美優紀は口をとがらす

「・・・いつものほうがうまい」

「え?」

「いつもくれてた・・・どら焼き。あれが一番うまい」

サヤカはそういって口の端についた生クリームを親指でとり、舐める

「たべる?」

「え?」

「いつもばあちゃん持って行けってくれんねん。それに、今日はようけ持ってきてたし」

美優紀は鞄の中からどら焼きを取り出して渡した

「・・・」

サヤカはじっとどら焼きを見つめる

「あ、そうかいつも皮だけあげてたから・・・ホンマはこんな感じやねん。中にあんこはいってんねんで」

「あんこ?」

「んーこれとはまた違う甘いやつ」

生クリームを指して美優紀は言った

「ふーん」

サヤカは包みをあけ、またかぶりついた

「うまっ!」

先ほどとはうってかわってサヤカは目を輝かせ一心不乱に食べる

「そんなに?」

美優紀は祖母たちのどら焼きをおいしいといってくれて、なんだかくすぐったくなった

「んぐっ!」

サヤカは勢いよく食べたので、どら焼きをのどに詰まらせる

「えっ!ちょっと待ってよ!」

美優紀は鞄からペットボトルの水を取り出し、あわててサヤカに渡した

「んぐっ、んぐっ!ぷはっ!」

サヤカは勢いよく水を飲み

「ん」

美優紀の方に手をさしだした

「なに?」

「・・・」

「もう一個?」

「・・・」

サヤカは黙って頷いた

その表情が可愛くて、美優紀はクスッと笑う

「ええよ。今日はいっぱい持ってきたし」

美優紀は持っていたどら焼きを全部サヤカに渡した

「全部・・・食べてええんか?」

「え?うん」

「そうか」

サヤカはそういって一心不乱にどら焼きにかぶりつく

「もーどんだけ?ゆっくり食べよー」

美優紀はそんなサヤカを見て、クスッと笑った



◆おしらせ

こんばんは、しゅうです

「僕の彼女は魔法使い」略して「僕マ」←言いたいだけ

いかがでしょうか?まだまだ謎があり

全体がぼんやりーとしてるので、どないやねんって感じですが

すいません

少し、連載止めます(^^;)

来週にはアップ出来るかと思いますので、よろしくおねがいします☆




僕の彼女は魔法使い⑯

「くそっ・・・めんどくさいやつやで」

理事長室をでて、裏山を目指し走っていた

『契約者の一人も守れないの?』

前田の言葉がよぎり

サヤカはイラッとする

(そんなに言うなら守ったるわ)

サヤカは更にスピードを上げた


「おやおや・・・あんなにスピード出したら怪しまれちゃうんじゃない?炎使いさん」

校舎の窓から誰かがぽつりと言った


――――――

ダムダム・・・

体育館で珠理奈はリングを目指して走っていた

そして

キュッ!

バッシュの音が響き、珠理奈の身体がふわりと浮かぶ

レイアップシュートだ

シュッ!

「ナイッシュー」

体育館に女子たちの声が響き渡る

「くーっ。やっぱいいよなぁ!1週間もお預け喰らってたからテンションあがるわー」

珠理奈はボールをつきながら列に並ぶ

現在、シュート練習の真っ最中だ

「でたでた、バスケバカ。まぁ、新人戦まで日もないしなー。頑張らんとな」

隣に並んでいた横山はクスッとわらう

「うん」

「試合でもそんぐらい入れてくれたら何も言わんのやけどなー」

「う・・・」

その台詞に珠理奈は固まる

練習ではバンバンシュートが入るくせに、試合になるとからっきしなのだ

「ま、私も人の事言えんけど・・・今年の目標はとりあえず皆シュート率上げる。それやな」

「へーい」

珠理奈は口をとがらせる

「はー。絶対外さんような奴おれへんかなー」

「そんなやついたら救世主だっての」

「それもそやな」

そういって横山と珠理奈は笑った


――――

玲奈は図書館に居た

「ふー・・・」

深呼吸をし、本の匂いをかぐ

玲奈は本の匂いが好きなのだ

セイレートに居た時もたくさんの本を読んでいた

日本に行くのは王家の務めだと、勉強に力を入れられ

一人で居た玲奈にとって本は友達のようなものだった

セイレートの言葉と日本語は同じなのだ

だから玲奈は勉強も、こうして文章を読むのも何ら支障ない

それに・・・玲奈の学力はすでに日本で言う大学レベルくらいのものなのである

『おそらく、今はこれくらいまで進んでいるでしょう・・・』

そういいながら、ヒスイが勉強を教えてくれたのを思い出す

だが、玲奈にもひとつ苦手とする科目があった

「あ・・・」

玲奈はある本棚の前で立ち止まる

そこは、歴史のコーナーだった

玲奈は『近代の産業』とかかれた本を手に取る

中には写真なども載っておりパラパラとめくる

玲奈は日本の歴史について何も知らなかったのだ

正確にいえば・・・ヒスイが教えてくれたのは戦国時代までだった

(そうだ・・・)

玲奈はハッとして

本棚に目を移した

その時

「歴史、好きなんですか?」

「え?」

玲奈はびくっとする

そこには生徒会長 渡辺麻友がいた

「ごめんなさい。驚かせて。私は渡辺麻友。生徒会長をしてます」

「あ・・・松井玲奈といいます」

玲奈は頭を下げる

「私も歴史好きなの」

そういって、麻友はスッと本をとる

「特に、戦国時代が」

そういって、『織田信長』と書かれた本を見せた

「は、はぁ・・・」

「松井さんは?」

「えー・・・っと・・・」

玲奈はとっさに自分の手にしていた本を見せ

「私はそれよりも後の方が・・・」

「そう。やっぱり知らないことは気になるよね」

麻友はフッと笑う

「え?」

「ごめんなさい。邪魔して。じゃあ、また会いましょう」

そういって、麻友は持っていた本を玲奈に押し当て

「お薦めだから、読んでみて」

そういって、去っていった

「はぁ・・・」

玲奈は断ることもできず、その本を手にしたまま麻友が去るのを見つめていた


――――

美優紀はいつもの公園に居た

「なによ。あの理事長むかつく・・・」

そう呟き、むっとしていた

「おかーさん。あのね砂場で遊ぶー」

「うん。そうしようか」

子連れの親子が3組ほどやってきた

この公園は桜の時期以外あまり人が居ないのだが

今日はママ友会らしい

「・・・」

美優紀はこちらをちらちらみる母親たちの視線が気になり

座っていたベンチから立ちあがった

「なによ。今日はテストやから早く終わったの」

母親たちに言い訳するよう呟きながら

美優紀は公園を後にする

「・・・・」

どこに行こう・・・そう思っても行くあてもなかった

(帰ろ・・・)

そう思い、とぼとぼと歩きだした

「おい」

「きゃっ」

いきなり真横から声をかけられ

美優紀は思わず声をあげた

そこには、制服姿のサヤカがいた

「あんた・・・いつの間に」

「いや、そっちがぼーっとあるいとるけんやろ。そんなんすぐにおいつくわ」

「あの理事長に言われて追いかけてきたん?」

「・・・ちゃうわ。その・・・契約者・・・やから」

「ふーん。本心ちゃうな」

「う、うっさいわ!」

サヤカはムキになって叫ぶ

「まぁ、ええわ。ちょっと付き合って」

そういって、美優紀はニッと笑った

僕の彼女は魔法使い⑮

―――

「玲奈ちゃん急に出た行ったとおもったらそんなことになってたの?」

テストが終わり、珠理奈は理事長室隣の応接室に合流して昼食を取っていた

「そうなの・・・」

玲奈は急にテスト中に立ちあがり、とっさにお腹が痛いといって出て行ったのだ

その後、玲奈は帰ってくることなく

テストも終了、ホームルームも終わってしまっていた

篠田のフォローで玲奈は体調不良で保健室で休んでいることになり

荷物を持って理事長室に来るように耳打ちされたのだった

「はぁ・・・とっさだったとは言え大声でトイレに行くとか恥ずかしすぎて・・・」

玲奈はその時の事を思い出して顔を覆う

恥ずかしすぎてホームルームの時にもどることもためらわれ、このソファーでうなだれていたのだ

「まーまーいいじゃん。玲奈も人間なんだーってみんな思ったんじゃない?あ、まぁー異世界の人だけと」

宮澤は笑い肩をたたく

「うぅ・・・」

玲奈はますます真っ赤になる

珠理奈はそんな玲奈をかわいく思った

「ま、そういうこったからよ。よろしくたのむぜ」

「へ?は、はい!」

高橋に肩を叩かれて珠理奈はびくっとする

「何おどろいてるの?」

篠田がクスッと笑った

「うぅ・・・なんでもないっ!」

珠理奈がそっぽを向く

と・・・

「あ、たかみなさんたちだ」

窓に高橋たちが近づいてくるのが見えた

「おーみんなお揃いで」

結界を解き、高橋はニコッと笑う

その後ろでサヤカはまだぶすっとしていた

「あ・・・えっと・・・私、松井珠理奈っていいます。玲奈ちゃんの契約者」

珠理奈はスッと手をさしだす

「なんやねん」

サヤカはその手に視線を落としたあと、ギロッと珠理奈を睨んだ

「なにって・・・握手・・・」

「お前、あの時おったやつやな。なんやねんここの奴らは・・・いい人ぶりやがって」

「なんだよ!ひとがせっかく仲良くしようとおもってんのに!」

珠理奈はカチンとして怒鳴る

「私はそんな慣れ合いが大っきらいなんや!」

「まーまー。落ち着けって。な?こいつはサヤカってんだ。珠理奈よろしくな」

高橋が2人の肩をたたきなだめる

「「・・・」」

2人はしばらく睨みあい

そっぽを向いた

「あー・・・そうだ、サヤカ。渡辺さん探してこいよ」

高橋が話題を変える

「はぁ?なんでや?」

「だって契約者じゃん」

「契約者、契約者・・・ってそんなに大事なんか?」

サヤカは眉をひそめる

「あのな、説明したけどこの世界では契約者が居ないととどまれないんだ。だから、常に近くに居る必要がある。それに、お前はこの世界では私らとも性質が違うし、離れてる時間が長いほど弱っちまうぞ」

「・・・ちっ。そんなんゆうたかて・・・どこにおるかやわからへんやん」

「家ならわかるよ」

宮澤が言う

「ほら、裏山のふもとにある彩美堂っていう和菓子屋さん」

「あー。あそこ渡辺さんの家だったのか」

篠田が驚く

「うん、あそこのどら焼きおいしいよね」

「!」

どら焼きというフレーズに、サヤカは反応する

(確か、毎日もってきてくれてたやつや・・・)

「よしっ。とりあえず、そこに行ってこい」

高橋はポンっと背中をたたく

「なんでやねん・・・」

「いいから行けって。それに、渡辺さんにはまだ契約者としての仕事が残ってるから連れてきてもらわなきゃ困るんだよ」

「はぁ?」

「おまえの命名だよ。こっちで暮らすときに必要なんだ。名前決めてもらったら、この学園の生徒として生活してもらうから」

「だから、私は一言もいいっていってないやろ」

サヤカは苛々しながらいう

「もーしつこいわね。さっさと行ってきなさいよ」

前田が言う

サヤカはキッと前田を睨む

「何よ?私のせいで飛び出してったって言いたいの?私は当然の事を言ったまでだからね。それに・・・契約結んだんだからあんたも腹きめなさいよね。それとも何?渡辺さんに助けてもらったくせに放っておくの?契約者の一人も守れないの?」

「・・・ちっ」

サヤカは舌打ちをし、部屋を出て行こうと歩をすすめる

「あーまてまて、にゃんにゃんとりあえず制服にしてやって」

高橋が制止し

「オッケー」

小嶋は呪文を唱え

サヤカの身体は水に包まれる

「なっ・・・」

そして、黒いローブは秋葉学園の制服に姿を変えていた

「なんやねん・・・このスースーするやつ」

サヤカは慌ててスカートを押さえる

「なんだよ。スカートも知らねーのか」

高橋は苦笑いをする

「まぁ動きまわるんならそれがいいから。じゃあ、いってきなー」

「ちっ・・・」

サヤカはそっぽをむいて

ドアを開け出て行った

「一人で行かせて大丈夫なの?」

篠田が尋ねる

「大丈夫。ああいってるけど、意外と根はやさしいとおもうぜ。魔法もつかわないだろうしな」

高橋は笑う

「そう・・・ならいいんだけど」

「私はやなやつにしか見えないけど」

珠理奈は口をとがらせる

「まぁ、許してやってくれ。あいつもいろいろあってな難しいんだよ」

「ふーん・・・」

「ま、気にしない気にしない。ほら、珠理奈!新人戦に向けて練習練習!」

宮澤が肩を叩く

「あっ!そうだった!部活!」

珠理奈は時計に目をやる

「やばっ!もうすぐ始まるじゃん!」

慌てて弁当を掻きこみ

「じゃあ、玲奈ちゃんまた後でねっ!」

珠理奈は理事長室を出て行った

「う、うん・・・」

玲奈はもう姿が見えなくなっている扉に手を振った

「よしっ。じゃあ・・・玲奈も修行するか」

「はい」

「じゃあー今日はにゃんにゃん教えて・・・」

「だめだよ」

篠田がニコッと笑う

「え?」

「にゃろとゆきりんは答案用紙とばした罰としてここで採点してもらうから」

「「ええーーーー!!」」

「みなみもダメだよ」

前田が言う

「え?」

「今日は私に付き合ってもらうから」

そういって笑った

(あー。こりゃ相当腹立ってたんだな・・・)

渡辺とサヤカとやり合ったので、前田は相当苛々しているらしい

「ごめん、玲奈。今日は修行休み。それに、テストも魔法使わないで頑張って受けてたしゆっくり休め」

「え・・・あ。はい」

玲奈は言われるがまま頷き

「じゃあ・・・失礼します」

「すまんなー」

高橋たちは手を振り

パタン・・・

扉が閉まった

「さて・・・敦子様。いきましょうか」

高橋は振り返り、前田に一礼した

「うん、よろしい」

前田はふふっと笑う

「えーいいなー。デート?麻里ちゃん私も肉食べたい」

「だーめ。てか、そこで肉とか可愛くないのチョイスしないの」

「むーー」

「採点終わったらね」

篠田は小嶋の頭をポンポンとなでる

「佐江ちゃーん」

柏木は助けと目で訴える

「うーん。りんちゃんごめん。私も部活見に行かなきゃいけないから・・・採点終わったらご飯行こうね」

「えーーー」

「ごめんねー。麻里子様の意見には逆らえないから」

「そういうこと」

篠田はニヤッと笑った




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