翌朝

「ほな、また撮影でな」

「うん、ありがとう」

扉の向こうで、みるきーが手を振ってにこにこと笑っていた


ガチャ

「おーっす。おはよう彩」

扉をあけるやいなや

岸野が私の方にすり寄ってきた

「なんやねん。もー私、準備せなあかんねんから」

私は岸野をあしらう

「まぁまぁそう言わんと。で、どやった?」

岸野の眼は告ったのか?と訴えていた

「なんもない」

私は岸野と目を合わさないようにしながらスーツケースまでたどり着く

「まじかっ!なにしてんねん!」

「しゃーないやろ!」

「・・・!」

「・・・すまん。私らは・・・今の関係が一番ええんや」

そういって、私は着替えをつかみ

「・・・カクテルありがとうな」

シャワールームのドアを閉めた

「・・・ホンマ、あほやで・・・2人とも」

「・・・」

私は岸野の台詞をドア越しに聞いていた


私は自分の手を見つめる

夜・・・みるきーが握り返してくれた手を・・・


―――

最終日は私とみるきー以外は撮影が早く終わった

「ほな、里香たちこれから吉本の芸人さんと買いもんしてくるからー」

そういって、岸野は朝のやりとりなんて微塵も感じさせず

私に手を振ってきた

「おう」

正直、こういうところはホンマにありがたい


しばらくして

撮影が終わり、私らも自由の身となった

「なぁ、彩ちゃん。ちょっと観光せん?」

みるきーがキラキラした瞳で言う

「あぁ、せやな」

「うん」

みるきーがにこっと笑う

私は・・・その顔が好きだ


―――

「あ、彩ちゃん。あれ何うってるんかな?」

「これ、おいしいー」

私らは市場を散策する

かわった食べもんとかデザートとかいっぱい見て回った

市場を抜けると、今度は服とか雑貨を売ってるとこに出た

何語かはわからないけど結構話しかけられる

「あ・・・」

思わず声が出た

アクセサリー店のピアスがみるきーに似合うと思った

「ん?なになに?あ、ピアスやー。彩ちゃんピアス好きやもんなぁ」

「お。おう」

みるきーが顔を寄せて来るからドキッとする

「どれがええん?」

「・・・」

私は、似合うと思ったピアスを手に取り

「これ、どや?」

「え?」

「・・・その・・・プレゼントや。撮影お疲れ様ってやつや!」

私は顔がだんだん赤くなってきたのに耐えきれず叫ぶ

「・・・ありがとう。じゃあ・・・私はこれ」

そういって今度はみるきーが私にピアスを指しだした

「彩ちゃんにもプレゼント」

そういって笑った


私らはお互いにピアスをプレゼントしまた歩く

「・・・不思議やね」

「え?」

「だって、みんな私らの事気にしてないんやで。日本ではこんなことできへんで」

「まぁ・・・せやな」

確かに、こんなに堂々と歩くことってないよなー・・・

そんなことを思ってたら

「!」

私の手に、みるきーの手が重なった

「あ・・・ごめん」

私の顔が驚いてたのか、みるきーが手を引っ込める

「・・・」

私はみるきーの手をつかみなおす

「彩・・・ちゃん」

「・・・はぐれんようにや」

「・・・」

みるきーは黙って私を見つめていた

私は目をそらすので精一杯だった

「ありがと」

そういって、みるきーはクスッと笑った

きっと・・・

思ってることはおんなじだ・・・

きっと・・・

そうやろ・・・?

みるきーの手のぬくもりが

私のもやもやした気持ちを

ゆっくりと溶かしていく


「なー彩ちゃん、あっちも見よう」

「おう」

私はみるきーと並んで歩く

人目を気にせず

堂々と

手をつないで・・・