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一方、その頃柏木は

学校内にある生徒会室に居た

「んー・・・人気のある人ねぇ・・・」

顎に手を当てながらむむむと考える

手の前にはクラス写真が並べられていた

(あ、そうだ。スポーツしてる人とかいいかも)

人気=スポーツマンという閃きがおき

柏木はふわりと浮きあがり、窓から外に出た

秋葉学園は北校舎と南校舎があり、グラウンドは北側にある

生徒会室は南校舎側のため、外に出て上から見た方が早いと思ったのだ

「あれ?」

が、生徒は誰も居なかった

(そっか、今日職員会議だから部活も全面禁止だった・・・)

校舎にかかった時計はもう3時を回っていた

夢中で写真を見ていた時間は結構長かったらしい

「仕方ない。明日探そ・・・」

柏木はため息をつき、戻ろうとした

その時・・・

ダムダム・・・

「ん?」

風にのって、音が響いてきた

「これって・・・」

柏木は体育館の方に飛ぶ

体育館はグラウンドの横にあり、1階は武道場、2階は体育館になっている

柏木は体育館上部の開け放たれた窓からそっと覗いた

「あ・・・」

そこにはリングにむかって跳ぶ女子生徒がいた

なびく髪、滲む汗、リングを見つめる真剣な眼差し・・・

「かっこいい・・・」

柏木は思わず漏らす

何度も何度も、彼女はボールを投げ

ボールは吸い込まれるように入って行く

そして

「よし・・・」

彼女はそう呟くと

フリースローラインに立ち、またボールを投げる

「あれ・・・?」

柏木は眉をひそめた

ドリブルシュートはあんなに入っていたのに

フリースローは全くと言っていいほど入らなかったのだ

「くそっ・・・!」

彼女の声が体育館に響く

だが、諦めることなく

何度もボールを拾っては投げていた

(あーもうやきもきするなー)

柏木は気付けば前のめりになり

窓に手が触れそうなほど近づいていていた

シュッ!

そして、彼女がまたボールを投げた

グルングルン・・・

ボールがリングの周りをまわり

ぐらっ・・・

端からこぼれ落ちそうになる

「あっ!」

柏木はとっさに手をかざし

ふわっ

下から上に突き上げるような

やわらかな風が吹く

「え・・・?」

感じたことのない風に、女子高生が違和感を感じた

その時

「あ」

シュッ!

トントントン・・・

ボールはリングの中に入り、下に落ちた

「ナイッシュー!」

柏木は思わず声を上げていた

体育館内に柏木の声が響く

「え?」

女子高生は振り返る

(しまった!)

柏木は勢いよく後ろに下がり、その場から飛んで逃げた

「あれ?いない?」

女子高生はきょろきょろとあたりを見渡し

首をかしげながら体育館内に戻った


「はぁはぁはぁ・・・」

柏木は生徒会室に戻ってきていた

(って・・・結界はってたんだった・・・とっさに逃げてバカ見たい・・・)

結界を張っていると、姿は見えないのだが

声は普通に聞こえてしまうのだ

「・・・はーっ」

柏木は結界を解き、机の上に広げていた集合写真に目をやる

そして、1枚1枚確認し

「あ・・・」

先ほどの彼女を見つけた

「宮澤・・・佐江・・・まだ1年生なんだ・・・」

そこには、口角を上げて微笑む先ほどの女子高生が写っていた