次の日―

昨日と同じ会場で試合が行われていた

ガンッ!

「あっ!」

宮澤の投げたシュートがリングにはじかれる

「佐江、ドンマイ!」

大鳥が声をかける

「・・・すいません」

宮澤は小さく呟き、走る

「・・・」

その姿を怪訝そうに見つめていた

朝、学園の体育館で集合になっていたのだが

鍵を取りに行った大鳥は、顧問から聞いたことに驚いていた

『昨日、宮澤最後まで残ってたんだけど、片づけもせずに帰ったみたいなんだ』

『えっ?』

『あいつ、いつもちゃんと掃除までして帰ってたのに・・・昨日は、なんにもせずにいなくなっててさ。荷物もそのままで・・・まるで・・・』


何から逃げたみたいだった


「・・・」

大鳥は顧問から言われたことを思い出し

宮澤の背中を見つめていた


ビーーー・・・

試合が終わり

なんとか秋葉学園が勝利した

だが、宮澤が入れたのは4点・・・

果敢にシュートを入れていたのだが

ほとんどが入らずにいた

「ベスト4だよー」

「次勝てば聖光だよねー」

「・・・」

わいわいと盛り上がるメンバーとは対照的に

宮澤は素早く荷物をまとめ

歩き出した

「・・・理恵、荷物お願い」

「う、うん」

大鳥は千田の腕に荷物を押しつけ、宮澤の後を追った

「・・・」

そんな様子を柏木は観客席でひっそりと見つめていた


「佐江のやつ、どこいったんだよ・・・」

大鳥は会場内を駆け回る

「あ、あの・・・」

「え?」

「バスケ部のキャプテンですよね?」

そこには、秋葉学園の制服を着た柏木が立っていた

「そうですけど・・・」

「あ、あのっ。宮澤さんのことで私謝らなきゃいけないことがあるんです」

「え?」

大鳥は首をかしげた

――――


宮澤は会場外のベンチにいた

わぁぁぁっ!!

ピーーー!

遠くで試合の音が聞こえて来る


「はぁ・・・」

宮澤はうなだれる

試合は散々だった

投げても投げても・・・あざ笑うかのようにリングにはじかれる

・・・結局、私は全然かわってないのかな

悔しくて涙が滲んできた

「佐江」

その声を聞いて、パッと顔を上げる

「キャプテン」

「探したよ・・・こんなとこに居たんだ」

大鳥は宮澤の隣に座る

「なんかあったのか?」

「・・・」

宮澤は答えない

「昨日の今日でスランプか?」

「・・・違います。スランプなんかじゃないです・・・そういうのじゃなくて、元々私はできないんですよ」

「え?」

「シュートが入らない・・・ダメなやつなんですよ」

「そんなことないよ」

宮澤は首を振って、俯く

「昨日、やっぱり遅くまで練習してたんだろ?」

「え・・・」

「それに、木曜学校が早く終わった時も、内緒でやってたんだろ?」

「え・・・なんで知って・・・」

「さっきさ、柏木さんって人と話したんだ」

「えっ!」

宮澤はバッと顔を上げる

「先輩、じゃあ・・・聞いたんですか?」

「え?なに?」

「その・・・風のこと・・・」

「風?いや、彼女そんなこと言ってなかったよ」

「へ?」

「詳しくは言えないって言ってたことに関係するのかな?ものすごく言いづらそうだったから、言わなくていいって言っちゃった」

(そっか・・・魔法使いだからそれは隠したんだ・・・)

宮澤はとっさに理解する

「練習してたのに、怒らせちゃったって・・・すごく申し訳なさそうに言ってたよ」

「・・・」

「ただ、佐江が頑張ってたから、応援したかっただけなんだって」

「え・・・」

「柏木さんにとってはよかれと思ってしたことなんだよ。でも、それが佐江にとっては許せないことだったんだね」

「・・・」

「気持ちはわかるよ。私もさ、実は理奈に練習してたのばれて、他のメンバー連れてきた時怒っちゃったんだ」

「え・・・」

「なんか、気恥かしくて、こっそりやってたのになんでばらすんだってね。でも、理奈にいわれたんだ。一人で練習しても、試合はチームでしてるんだって」

「・・・」

「みんなにも言われたよ。理奈が言ってくれるまで気付かなかったけど・・・聞いて私もやらなきゃって思ったって。皆で、強くなろうって・・・さ」

大鳥は空を見上げる

「意外とさ、一人でやってる時って結構固執しちゃうものなのかもね」

「・・・」

「あ、別に一人で練習してるのが悪いわけじゃないよ。意識の問題ね。なんか、他の人の意見を受け入れにくくなってたっていうか・・・気持ちが自分寄りになってたって言うか・・・相手がどう思ってるかちゃんと聞こうとしなかった」

大鳥は苦笑いをする

「あ・・・」

宮澤は柏木に怒鳴ってしまったことを思い出し、ハッとする

「私は理奈に気付かされたから・・・だから、今こうして2年生はまとまってるんだと思うよ。だからさ・・・」

大鳥は宮澤の方を見る

「柏木さんの話し、ちゃんと聞いてあげなよ。きっと、彼女には彼女の思うことがあるんだよ」

「・・・」

「それに、佐江がどんだけ外したってフォローするよ」

「・・・」

「だって、それがチームってもんでしょ?」

「あ・・・」

宮澤の目から涙がにじむ

「そんな顔しない。次の試合もあるんだから。じゃあ、アップ参加しなよ」

そういって大鳥はポンっと肩をたたき立ち上がり歩き出した

「・・・チームか・・・」

宮澤は自分の手を見つめた

―――

「鳥ちゃんどこいってたの?」

「いや、ちょっとね」

大鳥はメンバーが集まっている所に合流し、誤魔化すようにニッと笑った

「キャプテン、佐江みませんでしたか?」

1年生たちが声をかけてきた

「会場内探してるんですけどみつからなくて・・・」

「・・・」

大鳥はフッと笑う

「佐江なら大丈夫だよ」

「でも・・・」

「大丈夫。それに、みんなが佐江を励ますのは試合中が一番いいんじゃない?」

「・・・」

1年生たちはハッとしたが

「「はいっ!」」

みんな、しっかりと頷いてくれた

「うん。じゃあ、アップしにいこうか」

「「はいっ!」」

1年生達はボールを抱えアップするために移動しだした

「そんなに心配してるなら、佐江が練習してるの気付けばいいのにー」

千田は口をとがらす

「・・・」

大鳥は、柏木との会話を思い出す

『どんなことがあって怒らせたから言えないんですけど・・・。よかれとおもってしたことが裏目に出ちゃったんです・・・私はただ宮澤さんが頑張ってたから・・・応援したかっただけなんです』

そして

『鳥ちゃんが頑張ってるから、私も頑張ろうって思ったの!みんなだってそう思ったの!私は・・・ううん、皆だって鳥ちゃんのこと大好きなんだから!!』

ぐしゃぐしゃの泣き顔で千田が1年前に言った言葉も・・・


きっと、佐江もわかってくれるだろう・・・

自分が、どんなに支えられて思われているかって



「まぁ、どういう団結をするかは1年生達に任せよう。じゃあ、私たちも行こうか」

そういって、大鳥は千田の手を取る

「・・・わかった」

千田は照れくさそうに、ニコッと笑った