話しは少し前にさかのぼる

麻友と話しをして機嫌を損ねた美優紀は足早に下駄箱の方に向かっていた

「何よむかつく・・・」

苛々しながら下駄箱に上履きをいれ

校門に向かって歩き出す

歩いていると

「なぁなぁ、ちょっと聞きたいんやけど――」

関西弁が聞こえてきた

視界には私服を来た女性が生徒に話しかけていた

「え・・・」

美優紀はその姿をみて

「アカリン・・・」

ぽつりとつぶやいた


「すいません。よくわからないです」

「そう、ありがとう」

女子生徒2人は足早に去っていった

そして、女性は美優紀の方に視線を向け

パッと表情がかわる

「みるきー!みるきーよな!?」

その女性は美優紀に駆け寄る

「よかったー!なんや東京の有名進学校に言ったとかいう噂しか聞いてなくてなー。場所ようわからへんから美優紀がいってた彩美堂に行っておばあちゃんに聞いたんよ。いつ帰ってくるかわからんって言ってたから試しにこっちに来てみてん。いやーよかったー会えて」

アカリンという人はテンションがあがって早口になる

「なんで来たん?」

美優紀はそのテンションとは裏腹に冷たく言った

「・・・あのな。私、みるきーと話しがしたくて」

「あんたと話しすることやない!なによ!一方的に切ったんそっちやん!今更虫が良すぎるわ!」

「それは・・・謝る。でも、あの時はそうするしかないと思ったん」

「知らん」

美優紀はスッと横を通り学校を出ようとする

「待ってよ!話ししたいいんよ!」

アカリンは美優紀の腕をつかむ

「離して!」

「離さん!」

「離せってゆうてるやろ!!」

「嫌や!ちゃんと聞いてくれるまではなさへん!」

校門で大きな声で怒鳴り合っていたので遠巻きに他の生徒たちが見ていた

美優紀はそんなこと気にもならなかった

苛立ちがマックスで視界には目の前にいるアカリンしかうつっていなかった

「何やってるんだ!」

男性教員が駆け付け

「渡辺さん!」

その後に宮澤たちが続く

「やばっ!」

アカリンがひるんだ隙に

美優紀は腕を振り払い

一気に走りだした

「あっ!みるきー!」

アカリンは追いかけようとしたが

「待ちなさい」

男性教師に肩をつかまれる

「離して!」

「だめだ!どこの生徒だ!」

じたばたと暴れるアカリンだが、男性教師には通用しなかった

「田中先生。ここは私たちが引き受けます」

「宮澤先生」

「・・・」

男性教師とアカリンは宮澤の方をみる

「君、ちょっと話しいいかな?」

そう言って宮澤は笑った

「ほら、皆帰りなさい」

田中はじろじろと見る生徒たちを帰るように

手を大きく振る

ガヤガヤと騒がしく生徒たちが移動していく

「ふーん・・・。使えるかも・・・ね」

その様子を2階の窓から見て、麻友はニッと笑った


数分後・・・

アカリンは理事長室に連行されていた

中にはいつものメンバーが周りを取り囲み

部屋の端にはサヤカが居た

「じゃあ、名前と学校聞かせてもらいましょうか」

前田はにこにこと椅子に座ったまま尋ねる

「・・・」

「ちゃんと答えてくれたら、学校や親御さんには言わないから」

「ゆうても一緒やで」

「え?」

「親も学校も、私になんて興味ないから」

「君、大阪の子なんだよね」

宮澤も会話に加わる

「そうや。もうええわ。あーあー。東京でも教師に詰め寄られるとは思わへんかったわ」

アカリンは椅子にもたれ、観念したように天井を見上げ

「吉田朱里」

「え?」

「難波中央高校2年 吉田朱里や」

吉田は前田の方をみてフッと笑った