気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2013年12月

年末です

今年も最後ですね


世間では9連休とからしいですが…


年末年始関係なく働いているので


全く年が明けるという感じがしません笑


でも今年は


元旦休みなのでゆっくり過ごそうかと思っています(^∇^)


小説の更新もぼちぼちしていきますので


よろしくお願いします(´∀`)



ガキつかをみるか


紅白を見るか・・・


悩む笑


初めての彼女 番外編⑭

「あ、あれ?宮澤さんたちは?」


山本はきょろきょろとあたりを見回す


「あれ、ほんまや」


渡辺もきょろきょろと見回す


階段下では


パトランプがまだ光っていた


「あかん、花火に夢中になってもうた。みるきーはよ病院いくで」


「・・・いやや」


「え?」


「だって、せっかく彩ちゃんと見れるんやもん」


「でも・・・」


山本はためらう


渡辺の浴衣は土で汚れており


襟元や帯も緩んでいた


それに犯人ともみ合った影響で打撲や擦り傷もあった




渡辺は山本の手を取る


山本はもやもやと考えていた自分の頭の中から現実に引き戻される


「彩ちゃん」


渡辺は山本を見つめ


「助けに来てくれてありがとう」


そういって笑った


「な・・・何改まってゆうてんねん。」


山本は照れ臭くなって目をそらす


「・・・でもな」


そう言って渡辺はうつむき黙りこむ


「な、なんやねん」


山本は不安になり


渡辺の顔を覗き込む


「私のせいで・・・怪我させてごめん・・・ごめんなぁ・・・」


渡辺は声をくぐもらせ


ぽろぽろと涙をこぼす


「みるきー・・・」


山本は渡辺のそんな姿に釘付けになった



ドーーーーーーーーン


山本の頭上に



大きな花火が打ちあがる



そして



山本の中にも


大きな気持ちが


打ちあがる



(なんやねん。自分が一番怖かったくせに・・・私のことでそんなに泣くなや・・・)



山本はほほえみ



渡辺を優しく抱きしめた



「彩ちゃん・・・」


「あほ、私のことで泣かんでええわ。みるきーこそ怖かったやろ。・・・遅くなってごめんな」


「うっ・・・うえぇぇぇぇん!!」


渡辺は山本の肩にしがみつき


大声で泣いた



その泣き声をかき消すかのように


花火の音がこだまする




山本は


渡辺を抱きしめながら


これが恋だと


確信したのだった


初めての彼女 番外編⑬

神社の境内には


人はおらず


遠くから、かすかにガヤガヤという音が聞こえるだけだった


男は渡辺の肩をつかむ


「きゃっ!」


渡辺は大木の幹に体をうちつけられる


「やっと2人きりになれたね・・・」


男はそう言って笑う


「いや・・・・」


渡辺は恐怖で身をこわばらせる


男はその反応を楽しむように


顔を近づける


「いやっ!」


唇が触れそうになり


渡辺は渾身の力で男を押しのけた



渡辺は逃げようと必死に


階段の方に向かって走るが


「きゃっ!」


男の手が帯をつかみ


渡辺は石畳の上に叩きつけられた


「どうして逃げるの・・・?ずっとみてたんだよ・・・」


男は渡辺に馬乗りになり


渡辺の浴衣の胸元をはだけさせる


薄暗い街灯に照らされ


渡辺の白い肌があらわになった


「いやっ!やめて!」


渡辺は恐怖でパニックになり


大声を上げる


男は口を手でふさぎ


ナイフを見せる


「静かにしてくれないとさー・・・わかってるよね?」


男はニヤッと笑う


渡辺はナイフから目をそらすことができず


目からぽろぽろと涙をこぼしていた


「じゃあ、大人しくしててねー」


そう言うと男は渡辺の胸元に触れる


(彩ちゃん・・・助けて・・・!!)


渡辺はギュッと目を閉じる




「うらぁぁぁぁぁっ!!!!」


「ぐあっ!」


叫び声とともに


渡辺の体にかかっていた体重が無くなった


「・・・え?」


おそるおろる目を開けると


そこには


肩で息をしながらたっている山本の姿と


横たわっている男の姿があった


「彩ちゃん!!」


渡辺は起き上がると勢いよく抱きついた


「大丈夫か!?」


いつもは照れる山本だが


今回ばかりは、ぎゅっと渡辺を抱きしめていた


「うん・・・」


渡辺は震えながらうなずいた


はだけている浴衣を見て


山本はきっと男を睨みつけ


「お前かストーカーは!?」


語尾を荒げて叫ぶ


「あーあー。やだなぁ・・・大体何なんだよお前さ。目ざわりなんだよ。いつもいつも・・・」


男は起き上がるとナイフを突き付ける


「みるきー私がこいつを引きつけるからそのうちに逃げるんや」


山本は小声で話す


「そんなん嫌や」


渡辺は山本にしがみつき拒否する


「あほっ!今そんなんゆうてる場合か」


「だって・・・」


2人は男を目の前にもめる


「うらぁぁぁっ!」


「!みるきー離れろ!」


山本はとっさに渡辺を突き放す


「・・・っ!」


男が振りおろしたナイフが山本の左腕をかすめる


とっさに抑えた左腕からは血が滲んでいた


「彩ちゃん!」


渡辺は山本にとっさに駆け寄ろうとするが


「来んな!!!」


山本が声を荒げて止める


その声に驚き渡辺は動きを止めた


「あーあ。ホントになんなの?消えてくんないかなぁ!」


男は怒りに満ちた表情で山本を睨みつける


「それはこっちの台詞や!男なら堂々と好きって言わんかい!」


山本は腕の痛みに顔をゆがませながら男を睨み返した


「うるさいんだよ!」


男は山本の発言に過剰に反応した


そんな男を見て


山本は冷静に構える


「おらぁぁぁっ!!!」


男が山本を刺そうとした瞬間


男の体は宙を舞った


「ぐはっ!」


男は石畳の上に全身を打ちつけ


鈍い声をあげた


「秋元さん直伝の合気道なめてもらったら困るで」


山本は、にやっと笑い


ナイフを没収する


「彩ちゃん!」


渡辺は山本の元に走り


また勢いよく抱きついた


「もーわかったら」


山本は照れながら渡辺を引き離す


「でも・・・腕・・・」


「こんなんかすり傷や。心配すんな。で・・・知り合いか?」


石畳の上でのびている男を指差す


「ううん・・・しらへん・・・」


渡辺は首を振った



その時


ウー・・・


サイレンの音が聞こえてきた


「そうか・・・ま、事情は署で聞こか」


山本はパトランプの赤い光がかすかに見える階段の方を見て呟いた




階段を上っているときに


渡辺の叫び声を聞いた山本は


無線で応援を要請していたのだ


そして


事件は刑事課に引き継がれることになり


男は刑事課の強面たちに連行された




「山本!大丈夫か?」

階段を駆け上り


宮澤と秋元が息を荒げながら尋ねる

「怪我したのか!?」


「大丈夫です。大したことありませんから」

山本は傷を手で隠しながら苦笑いをした

「で、どうなったんだ?」

宮澤が尋ねる


「今、刑事課が連行していきました。彼女はそこで事情聴取しています。」


山本が指差した先には


刑事課の人に囲まれている渡辺の姿があった



「そうか・・・よくやったな山本」

秋元はにこっと笑って


頭をくしゃくしゃとなでた


「えへへ、秋元さんに稽古付けてもらったおかげです」


「ホントだよ。さすが私らが見込んだやつだぜ!」


横から宮澤も山本の肩を抱き


頭をわしゃわしゃとなでる


「もー2人ともほめすぎですって」

山本は、2人にもみくちゃにされながら


照れ臭そうに笑っていた



「彩ちゃん!」



渡辺が刑事課との話しを終えて


駆け寄ってきた

「大丈夫か山本?」


その隣には


高橋が居た


「大丈夫です。それよりも、情報ありがとうございました。おかげで早く見つけることができました」


山本は頭を下げる


「いいっていいって」


そういうと高橋は自分のしていたネクタイを外し


山本の傷口にハンカチを当てその上からネクタイを巻き付けた


「た、たかみなさん!大丈夫ですから!」


「いいんだよ。早く病院行けよ。・・・よくやったな」


高橋は肩をポンとたたき去っていた


「たかみなさん・・・」


山本は高橋からほめられたことが嬉しくて


喜びをかみしめていた



「・・・」


高橋と山本のやり取り渡辺は複雑な表情で見つめていた


そんな渡辺の変化に宮澤は気づく


「さ、早く病院行かなきゃね。パトカーで送・・・」


宮澤がそう言いかけた時



ドーーーーーーーーーーン!!!



大きな音とともに


夜空が明るくなった


一同は一斉に空を見上げる


「わーここってこんなにきれいに見えるんや」


山本は目を輝かせた


「あ・・・ホンマやったんや」


渡辺はぽつりとつぶやく


「へ?」


山本は首をかしげる


「ううん、なんでもない。きれいやなー」


渡辺はそう言ってまた夜空を見上げた



「・・・才加、行こうか」


「え?でも送らなきゃ・・・」


「まーまー少し気を利かせてやろうぜ」


宮澤はウインクをして2人を残し


秋元とこっそり階段を下りた


初めての彼女 番外編⑫

「はあっ、はあっ・・・」


山本は高橋に言われた通り北東の方に向かって走っていた


山本以外はみんな屋台の方に向かっていく人ばかりだった


そんな波を掻きわけながら


必死に走る


(どこや・・・どこにおるんや・・・)


山本は周りの人たちを見回しながら


渡辺の姿を見つけれない自分に焦っていた


走り続けて


人だかりもまばらになってきた


息を荒げながら


電柱に前のめりにもたれかかる


「くそっ・・・!」


ぎりっと歯を食いしばる


(このまま見つからなかったら・・・みるきーは・・・)


最悪の結末を想像し、山本はぶんぶんと頭を振る


(あかん!何考えとるんや!!落ち着け・・・)


そう思い深呼吸をし目を閉じた


(犯人なら・・・どこに逃げる・・・ずっと姿を現わさんかったんや・・・今回も人目は避けるはず・・・)


山本は考えながら周辺の地図を頭の中でめぐらせた


(もしかしたらっ!)


山本はまた勢いよく走りだした




―――――

渡辺は無言で神社の長い階段を上っていた


その後ろには男がいた


(彩ちゃん・・・助けて・・・)


渡辺は目に涙をためながら


必死に祈っていた



事の発端は20分ほど前



渡辺が落としたリンゴ飴を捨てようとゴミ箱に近づいた時だった


「渡辺美優紀さんですよね」


「はい?」


帽子を深くかぶった警察官が後ろから声をかける


「山本さんから伝言を頼まれまして」


「え、彩ちゃんからですか?」


「実は花火の打ち上げ時間に休憩が取れたそうなんです。それで一緒に花火を見ないかと」


「えーホンマですかー?」


「はい、ただ此処ではなくて、いい場所があるので案内しておいてくれと言われました」


「じゃあ、一緒に来てる子みんなで行きましょ」


「いえ、ダメです」


警察官の男は渡辺の腕をつかむ


その拍子に持っていたリンゴ飴を落とす


「あ・・・あの・・・」


「すいません。山本さんは2人で見たいみたいで。他の2人にも説明していますので・・・」


「え?そうなんですか・・・?」


渡辺は少しためらった


シャイな山本がそんなことを言うのかと疑問に思ったのだ


「さ、早く行きましょう」


男は渡辺の手を引いて歩き出す


「え・・・ちょっと!」


渡辺は腕を引かれるまま歩き出した



促されながら


人の波と反対方向に歩く


最初は手を引っ張られたが


何か事件を起こした人と思われてはいけないと言われ


渡辺が前を歩き


男は渡辺の背後を歩いていた


(・・・どないしよう)


渡辺は歩きながら不安になっていた


ある程度人ごみを抜けたあたりから


男は渡辺の横につき歩き出した


「あの・・・まだですかー?」


渡辺はちらっと横眼で見る


「もう少しですよ」


男はニヤッと笑う


「でも・・・どんどん離れていくんですけど・・・」


「・・・・」


「あ、あの・・・」


「ほら、ここですよ」


男が指差した先は長い階段のある神社だった


「え・・・いやー此処のぼるんはちょっと・・・それに私浴衣ですし」


渡辺は嫌な予感がして後ずさる


「・・・上りましょう」


男は静かに言う


渡辺は自分を見つめる目が怖くて


走って逃げようとした


しかし


「きゃっ!」


浴衣ではうまく動けずに転んでしまう


(早く逃げなきゃ・・・)


そう思い痛む体を必死に起こした



そこには



ナイフを突き付ける男の姿があった



「・・・・・ぁ・・・」



渡辺は恐怖のあまり声が出なかった


「上りましょう・・・ね?」


男はにこっと笑うと


渡辺を起こし


神社の階段をのぼりはじめた


初めての彼女 番外編⑪

山本たちは屋台周辺の巡視を行っていた


「なー山本、さっきの子って前、署に来てた子だろ?ホントに仲良くなったんだな」


宮澤はニヤニヤしながら山本に話しかける


「な・・・覚えてたんですか?」


「そりゃ覚えてるよ。なんせ山本の担当がいいっていったの、あの子が初めてなんだから」


「う・・・そんな覚え方せんでもええやないですか」


山本は口をとがらせる


「へーあの子そんなこと言ってたんだ。これで山本も指名増えるかな―」


秋元も笑いながら会話に入る


「もーまた2人してそんなこと言って、ほら、ちゃんと巡視しますよ!」


山本は2人にからかわれるのを振り払うように歩き出す


「あ、おった!」


1人の女性がこちらに向かって走ってきた


「あ、君は・・・」


そこには息を切らしながら走ってきた福本がいた


「山本さん!みるきーが・・・みるきがー・・・」


福本は目に涙をためていた


その瞬間


山本は言いようのない不安に襲われた


「みるきーがどないしてん!なにがあったんや!!」


山本は福本の両肩をつかみ、ゆすった


「・・・いなくなってしもた・・・離れたらあかんてゆうたのに・・・ホンマにちょっとの間に・・・」


福本はぽろぽろと涙をこぼしながら話す


「・・・どこや・・・どこでおらんようになったんや!!」


山本はそんな福本を揺らしながら尋ねる


「おい、山本!落ち着け!」


山本の動揺ぶりを見て


宮澤が肩をつかみ止める


「あ・・・」


山本は、ぐっと歯を食いしばりながら福本から手を離した


「場所と時間教えてもらえるかな?」


宮澤はハンカチを渡し、福本に優しく尋ねた


「はい・・・場所はここから西の河川敷で、居なくなったのは20分くらい前です」


「20分前!?」


山本はまた声をあげた


「みるきーの荷物私が持ってたんです。携帯もその中に入ってて・・・連絡とれなくて。だから2人であたりを探したんですけど見当たらなくて・・・それで山本さんを探しに私がこっちに来たんです。もう一人は河川敷でまだ探してます・・・」


福本は申し訳なさそうにいうと、また泣きだしてしまった


「・・・山本、あの子のストーカー被害って・・・」


宮澤が呟く


「一度家の前まで来ています。犯人の特定はできていませんが、居なくなったとしたらその線も考えられます・・・」


山本は自分で言いながら


不安で胸が押しつぶされそうだった


「20分か・・・まずいな、もう少ししたら花火も始まるし・・・身動きがとりにくくなるな」


秋元は時計を見ながら顔をしかめた


「私、探してきます!」


山本は居ても経っても居られなかった


「待て!やみくもに動いても見つからないだろ!」


そんな山本を宮澤は一喝する


「そうそう、それにこの人だかりじゃ動けないのは犯人も同じだろ」


そう言って秋元は携帯を取り出す


「どうするんですか?」


山本はきょとんとする


「とりあえず、警察官にその子の情報は周知させるとして・・・こういうことはプロに聞かなきゃね」


そう言って秋元は電話をかけ、少し話しをした後


山本に携帯を渡した


「もしもし・・・・?」


おずおずと出ると


「山本か?」


聞きなれた声が聞こえる


「たかみなさん!」


山本は思わず叫ぶ


「事情は大体聞いた。まず、居なくなった河川敷だが花火の打ち上げ近くで通行も規制している。それに、花火が始まるとますます人が集まってくる、屋台のある方になんか逃げれない・・・となると屋台エリアをはずして北東、南東方面に逃げるはずだ。そして、花火が上がるのは南西の方向・・・となると」


「一番離れる北東方面ですね!」


「そういうことだ。まぁあくまで予測だからな南東方面も探すようにするよ」


「ありがとうございます!」


そう言って山本は携帯を秋元に返し


走り出した


「おい!山本!」


宮澤が止めようとしたが


「佐江!」


秋元が止める


「才加・・・」


「あの顔見ただろ?きっと今は言うこと聞かないよ。私たちがフォローしないとな」


そういってウインクをした


「・・・ははっ、もー世話の焼ける後輩だな」


宮澤は無線を取り出しにこっと笑った


初めての彼女 番外編⑩

「みるきーはよせな花火の見る場所無くなるで」


「ほら、早く」


山田と福本は後ろを振り向き声をかける


「えー待ってよー」


渡辺はリンゴ飴を片手に2人の後を追いかける


「なんで今買うんよ」


「だってー食べたかったんやもん」


「もーええからはよ行こ」


3人はバタバタと目的地に急ぐ



屋台があるところから少し離れた河川敷は


人が集まりだしていた


花火が近くから見えると人気の場所なのだ


人だかりの中、3人は小さなスペースを見つける


「よっしゃ、場所ここにしよか」

「うん、そうしようか」


「わーい、花火や―」


渡辺ははしゃぐ


「みるきーそない動いたら・・・」


福本が止めようとしたが


「きゃっ!」


「あ、すいません」


渡辺は他の見物客とぶつかり


リンゴ飴を落としてしまった


「あー・・・リンゴ飴落ちた・・・」


渡辺は草の上に落ちたリンゴ飴を拾い


悲しそうに見つめていた


「そないはしゃぐからやで」


「さすがに3秒ルールも無理やしな。帰りにもう一回買う?」


「うん・・・そうする。ちょっとこれゴミ箱に捨ててくる」


そう言って渡辺はきょろきょろとあたりを見渡し


少し離れたところにゴミ箱を見つけた


「あ、みるきー一緒に行くわ」


福本が声をかけたが


「大丈夫すぐそこやからー」


そう言って渡辺は走り出す


「すぐそこって・・・離れたらあかんて!」


福本が止めようとしたが


他の通行人に遮られ


渡辺の姿を見失った


「え・・・」


福本は青ざめる


「ちょ、ちょっと!」


「どないしたん?」


レジャーシートを広げることに夢中になっていた山田に


福本は声をかける


「みるきー見失ってしもた・・・」


「えーー!!?」


「ちょっとそこのゴミ箱まで一緒に行こう」


「わかった!」


2人は渡辺が迷わないようにレジャーシートは広げたまま


渡辺が向かった方に走る


しかし


渡辺は


すれ違うことも


目的地のゴミ箱付近に居ることもなかった


ただ


渡辺が落としたであろう


リンゴ飴が


ゴミ箱の手前に


虚しく転がっていた


初めての彼女 番外編⑨

「彩ちゃん朝やで―」


渡辺がカーテンを開ける


「ん・・・」


山本は差し込む光を受けて目を細めながら起き上がる


昨日なかなか寝れず


やっと寝れたとおもったら


朝を迎えていたのだ


「ごめんな、寝れんかった?」


「いや、いける」


あくびをしながら答える


「朝ごはんしてん。ごめんな、私仕事やからいかなあかんねん」


そういって渡辺はトーストとコーヒーを机に並べていた


「ううん。なんかすまんな」


そう言ってソファーに腰掛ける


2人はたわいもない会話をしながら朝食をとり


渡辺は身支度を始めた


山本も洗い物を引き受け


乾かしてくれていた服を着る


渡辺はまだ支度に時間がかかりそうだった


「みるきーちょっと外見てくるから」


「え・・・うん。あ、鍵持っていって」


「わかった」


山本は警戒しながらドアを開ける


(廊下は誰もいないな・・・)


きょろきょろしながら下へとおりる


外は昨日の雨が嘘のように晴れわたっていた


道行く人はスーツ姿のサラリーマンばかりだった


(なんやねん・・・ええかげん姿見せろよな)


そう思いながら


また渡辺の部屋へと戻っていった



「おかえり、どやった?」


渡辺はおずおずと聞く


「大丈夫やで、今日は仕事場まで送るわ」


「えーほんま。ありがとう」


渡辺はニコニコしていた


「なーなー。この前の理由聞いていい?」


「なに?」


「バイクのこと」


「あー・・・」


山本はしばらく黙り


「後ろに乗せるんは特別な人って決めてるんや」


そういってヘルメットを差し出す


「え・・・それって」


「か、勘違いすんなよ。みるきー以外にものってるやつはおるからな」


山本は顔を赤らめながら自分もヘルメットをかぶる


「・・・なーんや。でも、嬉しいな♪」


そう言って渡辺は後ろに乗り


きゅっと抱きついた


「な・・・くっつきすぎや!」


「だってしっかりつかまっとかなあかんのやろ?」


「う・・・もう、好きにせぇ。ほな、いくで」


山本はエンジンをかけ走り出す



渡辺は背中にもたれて微笑んでいた



しばらく走り


渡辺の職場の前に着く


「ありがとう」


渡辺は下りてヘルメットを脱ぐ


「ほな、頑張って」


「あのな、彩ちゃん」


「なんや?」


渡辺は山本に近づき


「一緒におってくれてありがとう。おかげでよく眠れたよ」


と言いにこっと笑った


「お、おう///」


「ほな、いってきまーす」


渡辺は手を振り去って行った


山本も手を振り返す


バイクのエンジン音よりも


自分の鼓動の音の方が大きく聞こえていた




―――――


その日以降


時間があるときは山本は職場まで迎えに行くようになった


その後はマンション周辺の警察の巡視も増えたおかげか


謎の男が現れることはなかった




そして時は過ぎ


花火大会の日がやってきた



山本たち生活安全課は屋台周辺の巡視が当たっていた


チームで巡視を行っており


山本は秋元と宮澤の三人で組んでいた


仮設されたテントの椅子に座り


山本は用意された麦茶を飲みながら


じーっと一点を見つめていた


目線の先には




「すいません、佐江さん。これ、食べてください」


「あの、秋元さん・・・これ、どうぞ!」



「えーいいのー?ありがとう」


「ありがとう」


浴衣姿の女子たちが


屋台で買ったタコやきやイカ焼きを差し入れする


時間ごとにローテーションを組んでおり


現在山本たちは休憩中であった


それを知っているのか


先ほどからツインタワーファンがあとを絶たないのだ


2人の後ろにある机には食べきれないほどの袋が並んでいた


(どんだけ来るねん。てか、みんなタコ焼きもってきすぎやろ・・・)


そんなことを思いながら


口をとがらせていた



「彩ちゃん♪」


聞きなれた声が横から聞こえた


「へ?」


横を向くと


そこには浴衣姿の渡辺が立っていた


「な・・・///」


いきなりのことに山本は固まる


「どうー?にあってるー?」


渡辺はにこにこしながらくるっと一回転した


白地に朝顔の模様が入った浴衣姿に


山本は見惚れてしまった


(な・・・なんやねん。意外と和服似合うやん。それにうなじ・・・ええやん)


みるみるうちに顔が赤くなるのがわかった


「あ、照れてるー」


そんな山本を見て渡辺はからかう


「な、ちゃうわ!///」


真っ赤になりながら否定するが


説得力はなかった



「はじめましてー」


「この人がみるきーと仲いい警察官?」


渡辺の後ろには同じく浴衣姿の女性が2人立っていた


「あ・・・山本彩です」


山本はぺこっと頭を下げる


「山田菜々です」


「福本愛菜です」


2人も一礼する


「職場の同僚で、2人も関西出身なんやでー。今日は3人で花火見に来てん」


「そうなんや・・・って・・・ちょっと」


そういって山本は渡辺の腕を掴んで


2人から距離をとる


「おい、こんなに人がおって、しかも暗かったら危ないやんか。」


山本は小声で渡辺を叱る


「えー、でも2人とも事情は知ってんねんで。家泊めてくれてたのも2人やし。それに離れんようにするから大丈夫やって」


「あのなー・・・」


山本が口を開こうとした時


「だって」


渡辺がさえぎる


「だって、彩ちゃんの仕事姿見たかったんやもん」


渡辺はにこっと笑う


「制服姿、かっこええよ♪」


「な・・・///」


浴衣姿で微笑渡辺に山本は照れてしまった


普段は山本は


普通のスーツ姿で仕事をしているのだが


今日は巡視のため


警察官の制服を着ていたのだ


ちなみに3人ともスカートではなくパンツ姿である




「山本ーそろそろ巡視行くぞー」


真っ赤になっている山本に


秋元が声をかける


「はいっ!」


山本は我に返り


威勢よく返事をした


「ははっ、そんなに驚かなくてもいいじゃん。」


秋元は笑いながら山本たちの方に歩み寄る


「山本の友達?」


「はい、渡辺美優紀といいます」


「秋元才加です」


2人は一礼をする


「来てくれて申し訳ないんだけど、巡視時間だから・・・ごめんね」


秋元は渡辺に謝る


「いえ、お仕事頑張ってくださいね」


「ありがとう。じゃあ、山本行くぞ」


そういって秋元は背を向けて歩き出す


「は、はい」


山本はあわてて後を追おうとしたが


ピタッと止まり


渡辺の方を振り向いた


「みるきー絶対はぐれるんやないで!」


「うん、気をつけてなー」


2人は手を振り別れた



「お待たせしました」


山本は荷物をまとめ秋元と宮澤のところに戻ると


「へーそうなんだー。でも関西弁って可愛いね―」


「もーそんなんゆうてもなんも出ませんよ―」


「ほんまですよー」


宮澤が山田と福本と談笑していた


「な・・・」


山本は口をポカーンとあける


「このすぐに仲良くなれるのが佐江の特技なんだよなぁ・・・だから女性ファン多いんだよ」


秋元が山本の隣で腕を組みながら笑った


「佐江、巡視だよ」


「あ、はーい。じゃあお祭り楽しんでねー」


「「はーい」」


手を振り宮澤は秋元と山本の元に戻ってきた


「さ、行こうか」


にこっと笑う宮澤を見て


山本はこの人には勝てる気がしないと思ったのだった


初めての彼女 番外編⑧

「ほな彩ちゃんお風呂はいろー」


「いや、一緒には嫌やで」


「えーなんでー」


「いや、せまいやろ」


「えー一緒にちゃぷちゃぷしよー」


渡辺は頬を膨らます


「ええて、先入り」


それを山本はあしらう


「いや、彩ちゃん濡れてるし先入って」


「・・・ほな、先借りるわな」


そう言って山本は脱衣所に行く


「これがシャンプーで、これボディーソープやから。」


渡辺はあらかた場所を説明すると脱衣所から出て行った


「さてと・・・」


山本は渡辺に借りていた服を脱ぐ


「彩ちゃん。タオルこれつこて」


渡辺はガラッと戸をあける


「ちょ!いきなり入ってくんなや」


山本は下着姿だったため慌てて胸元を隠す


「・・・・」


そんな恥ずかしがる山本に渡辺はつかつかと歩み寄る


「な・・・」


思わず山本は身をこわばらせる


「彩ちゃん。そのブラジャー合ってないで」


「へ?」


山本は渡辺の発言に気が抜けてぽかーんとしていた


渡辺はまじまじと胸を見る


「胸おっきいなぁ・・・でもこれやったらもうワンサイズ・・・いや。種類によってはツーサイズかなぁ」


渡辺の発言で我に返る


「ちょ!なにじろじろ見てんねん!」


「彩ちゃん!こんな合ってないやつしてたらかわいそうや!!」


渡辺の目はいつになく真剣だったため


山本は反論できず、言葉をのみこんだ


「彩ちゃん!今度私と下着屋いこ」


「へ?え、ええよ。今ので十分・・・」


「あかん」


渡辺はずいっと山本の顔に詰めよる


「・・・わ、わかったわ。また今度な」


「約束やで。近いうちに必ず行こうな」


そう言うと渡辺はまた戸を閉めて出て行った


「な・・・なんやねん。あいつ職場ではあんな感じなんかな―」


山本は戸の方を見つめ


ぽかーんとしていた


渡辺は某下着メーカーのデザイン部にいるため


下着のことになると目の色が変わるのだ




「ま、とりあえず入ろ」


山本は気を取り直して風呂場に入った



―――――


「すまんな」


山本はささっと風呂をすませて出てきた


「ううん。ほな私も入るから」


そう言って渡辺はリビングを後にする


山本は部屋を見渡す


花柄のカーテンにピンクのクッション・・・


女の子の部屋って感じだな・・・


そう思いながら白色の2人掛けのソファーに座る


「どうしたもんかなぁ・・・」


山本は呟く


結局訪ねてきた人物は


帽子を深くかぶってわからなかったらしい


痕跡がないし、手掛かりがない・・・


このままでは事件に発展する可能性がある・・・


(とりあえず、ここのマンション周辺の巡視を強化してもらって・・・)


山本は頭をひねり考える

「おまたせー」


そう言って渡辺が部屋に入ってきた


「はやいやん。なんか風呂長そうやのに」


「・・・だって、一人になるん怖いし・・・」


渡辺はうつむく


「あ・・・すまん」


山本はしまったと思い、言葉を飲み込む


「ううん。なんか飲み物入れるね」


「あ、ありがとう」


2人はソファーに座っているが


何も話さず


テレビの音だけが部屋に響いていた


「・・・この部屋に返ってくるん怖いな」


「・・・みるきー」


「また、きたらどうしよう・・・」


渡辺はうつむく


「大丈夫や。巡視強化してもらうし」


「でも・・・マンションの中にまで入ってきてるんやで。わかれへんやんそんなん」


「う・・・」


反論できず山本は言葉を飲み込む


「・・・こわい」


渡辺の目には涙がたまっていた



その横顔を見て


山本は渡辺に吸いこまれるように手をのばし


自分の方に抱きよせていた


「え・・・」


不意に山本に抱きしめられ


渡辺は何が起こったのか一瞬理解できなかった


「さやか・・・ちゃん?」


「あ・・・す、すまん!」


山本は我に返り渡辺から離れる



「と、とにかく!しばらく友達のところにいるか、早々に引っ越しした方がええかもしれん。なんかあったら私に連絡して、少しの情報でもいいからいってくれたらそこから犯人に結び付くかもしれんから」


照れているのを隠すように早口でまくしたてた


「うん。ありがとう」


渡辺は涙をぬぐってクスッと笑った



その後、2人は一つのベッドで寝たが


渡辺が隣に居ると思うと何故か寝付けなかった


(なんでドキドキしてんねん・・・)


隣から渡辺の寝息が聞こえる


先ほど渡辺を抱きしめたことを思い出す


(あーもう・・・なんであんなことしてもうたんや)


顔を手で覆いながら後悔と恥ずかしさに耐える


ちらっと横を見ると


渡辺はこちらを向いて寝ていた


山本はドキッとして壁側の方に体を向けた



不謹慎だが


渡辺の泣いている顔を


綺麗だと思ってしまった


自然と手が伸びて


気がつけば抱きしめていたのだ



山本自身もこの気持ちを


どういうものか理解していなかった




ただ


心臓の音がうるさくて


それをかき消そうと


寝ようと意識することで精一杯だった


初めての彼女 番外編⑦

渡辺を送った後


山本は官舎に戻り


テレビを見ていた


ゴロゴロ・・・


ザーーーーーーーーーーーー



窓の外から勢いよく雨の降る音が聞こえた


山本はカーテンを開けて外をのぞく


「わーめっちゃ振ってきた。濡れんでよかったわ―」




プルルル・・・



「ん?」


山本はカーテンを閉め


携帯を手に取る


ディスプレイには渡辺の名前があった


「もしもし?」


「・・・さやか・・・ちゃん」


電話口の声は明らかにいつもと違っていた


「なんや?どないしてん?」


山本が問いかけるが


渡辺は黙っていた


その後ろでインターホンが鳴っている


「おい!どないしたんや!!」


山本は嫌な予感がして思わず叫んでいた


「・・・知らん人が・・・部屋の前に立ってる・・・助けて・・・」


今にも消えそうなか細い声で


渡辺が必死に声を絞り出した


「待ってろ!今行く!!」


山本は携帯を切ると鞄とヘルメットを抱え勢いよく部屋を飛び出した



降りしきる雨の中


山本はバイクを走らせ渡辺のマンションに着いた


服も鞄も雨でぐっしょり濡れていたがそんなことは


もう、どうでもよかった




急いでインタ―フォンを鳴らし


中に入る


そして渡辺の部屋がある階に着いたが


そこには誰もいなかった


警戒しながら渡辺の部屋のインターフォンを押す


しばらくして


ゆっくりとドアが開いた


山本は周囲を見ながら部屋に入ると


急いで鍵を閉めて


振りかえった


その瞬間


渡辺が勢いよく抱きついていた


「わっ!こ、こらこら!私めっちゃ濡れてんねんで!」


いきなりのことに山本は照れてしまい


渡辺を離そうとした



「・・っ・・・怖かった・・・」


その言葉に山本の手が止まる



渡辺は山本の首にしがみつき


小刻みに震えていた


「・・・もう、大丈夫やで」


山本は渡辺の背中に手を回し


しっかりと抱き寄せていた



「うん・・・」


渡辺もさらにきゅっと力を入れ


山本に抱きついていた








――――――


「もう、大丈夫か?」


山本は玄関で渡辺を抱きしめたまま落ち着くのを待っていた


「うん・・・ありがとう」


渡辺はゆっくり体を離す


その目は真っ赤になっていた


「すまん、みるきーまで濡れてもうたな・・・」


抱きついた前面だけ濡れている渡辺を見て


申し訳なさそうに言った


「ううん。そんなんええねん」


渡辺は首を振り微笑んだ


「入って。彩ちゃんびしょぬれやし、着替え用意するから」


そういうと渡辺は奥の部屋から着替えを持ってきた


「あ・・・うん。」


山本は素直に着替えを受け取り


着替えるために脱衣所に入った


渡辺の表情を見ていると帰るとは言えない状況だったのだ



渡辺の用意した部屋着に着替え


リビングへと向かった


「彩ちゃん・・・今日泊って?」


「え!?」


「外すごい雨やし・・・それに・・・」


渡辺はうつむく


先ほどの恐怖からして一人で居ろと言う方が無理だ


「わかった。明日休みやし。ええよ」


「ほんま!?」


渡辺はまた山本に抱きつく


「ちょっ!わかったから!抱きつくなって!!」


「えへへー」


真っ赤になる山本を見て


渡辺の恐怖心は少し薄れたのだった




初めての彼女 番外編⑥

プルルル


生活安全課の電話が鳴る


「はい、生活安全課山本です。」


山本は受話器をとり、電話の対応をする


「わかりました。そちらに向かいます。」


そう言って電話を切る


「すいません。看板が傷つけられてるって被害報告がありました」


山本は同じ課の先輩に話しかける


「またかー最近多いんだよな。場所は?」


「はい・・・場所は―」


山本は場所を伝える


「ここかー」


別の先輩が地図に被害場所を書きこむ


「これでもう10件以上だよ。しかもうちの最寄り駅周辺で多発してるし・・・」


「花火大会もあるのに勘弁してもらいたいよ」


そういって2人は身支度をして出て行った


山本は地図を眺める


そこには駅周辺で被害があった場所が赤い×マークで記され日付が書かれていた




「ほんま多いなぁ・・・」


山本は呟きながら駅から一番遠い被害場所までを目で追った


「え・・・?」


山本は固まる


その×マークは渡辺のマンションの方向にむかって伸びているように見えた


「ま・・・まさかな」


そういって山本は自分のデスクに戻る


しかし、地図のことが気になって仕方なかった


そして携帯を取り出し


『今日、職場まで迎えに行くから』


と渡辺にメールをしたのだった



――――――


仕事が終わり


山本は渡辺の職場までバイクで迎えに来ていた


「どーしたん?今日は職場まで来てくれるやなんて?」


渡辺は不思議そうに山本の顔を見る


「いや・・・なんとなくな。」


山本は苦笑いをしながらヘルメットを差し出す


「えー彩ちゃんバイク乗ってたん!?わー私後ろ乗るん初めてや―なんかテンションあがるなぁ」


渡辺はまじまじと山本のバイクを見る


「あんまりはしゃぐと落ちるで。ちゃんとつかまっときや」


そう言って山本はエンジンをかけ走り出した




赤信号でバイクは止まる


「なーなー」


後ろから渡辺が声をかける


「なんや?」


「なんで今までバイクで迎えに来てくれへんかったん?」


「・・・」


「なーなー!なんでー?」


渡辺は山本にしがみついたまま体を揺らす


その振動で山本の背中に渡辺の胸の感触が強くなった


「あーもう!たまたまや!あんまり揺らすな!!///」


山本は恥ずかしさのあまり大声で叫ぶ


「えーそんなに怒らんでもええやん」


声だけでも渡辺が拗ねていることが分かったが


山本はバイクのエンジン音で聞こえないふりをしていた


そして信号が変わりまた走り出したのだった





――――――――


「ほれ、ついたで」


バイクを止めてエンジンを切る


「ありがとう」


渡辺はバイクから降り、ヘルメットを脱いで笑った


「ほな、ちゃんと鍵閉めておるんやで」


山本はヘルメットを受けとろうと手を伸ばす


「・・・・なぁ。」


渡辺はヘルメットを抱え込んだままうつむいていた


「なんや?」


「今日おかしない?」


渡辺は真っ直ぐ山本を見つめる


「別に、いつもと変わらんやん」


「だって・・・職場まで来てくれるし、それに鍵しろとかいつも言わへんやん」


「・・・たまたまや」


「ほんまに?」


「ほんまや」


渡辺はしばらく疑いの眼差しで山本を見つめていたが


「・・・またバイク乗せてくれる?」


と尋ねた


「お、おう・・・///」


「約束な。じゃあ、ありがとう」


そういってヘルメットを差し出した


「ほな、おやすみ」


「おやすみ~」


渡辺は手を振ってマンションへと入って行った


そんな渡辺の姿を山本は静かに見つめていた


「気のせいやったらええんやけどな・・・」


そう呟き自分のバイクの方に向かって歩き出した


ポツッ


と、山本の頬を雨粒がうった


「あ、雨や。はよ帰ろ」


山本はヘルメットをかぶり


急いで家路へと向かった


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