気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2014年04月

あとがき

「紫陽花の君」を読んでいただきありがとうございました(^∇^)


この話は


「青いベンチ」で有名なサスケさんのアルバムの中にある


紫陽花の詩というのを参考にしています


めっちゃいい曲で大好きなのです( ´艸`)


「あの日の約束」を書いてる時に再結成のニュースを見て


久しぶりにアルバムを聞いて、この話を思いつき


勢いで書いてしまいました笑



さて、次は新しい話しか番外編書くかちょっと悩んでいまして


すこし更新が遅れてしまうかもしてれません


気長に待っていてくださるとうれしいですm(_ _ )m


紫陽花の君④終

――――――



「はぁっ・・・珠理奈っ・・・」


「玲奈ちゃん・・・」


薄暗い部屋で


2人は唇をを重ねていた


雨に濡れた後


玲奈のマンションで


シャワーも浴びず


そのままベッドに向かい


互いの体を温め合うように重なった


「好きだよ・・・玲奈ちゃん」


「うん・・・私も・・・」


玲奈の目には涙が滲んでいた



―――――


ザァァァァァ・・・・


外は変わらず雨が降り続いていた


玲奈は


珠理奈の腕にもたれ


先ほどのことを思い出し


シーツで顔を隠した


「そんなに照れなくても・・・玲奈ちゃんは可愛いなあ」


そう言って珠理奈は笑う


「だって・・・初めてだったんだから」


玲奈は真っ赤になりながらもごもごと言う


「あーもうかわいいすぎ」


そういって珠理奈はぎゅっと玲奈を抱きしめた


「・・・珠理奈はね・・・おひさまの匂いがする・・・」


そう言って玲奈は珠理奈の胸に顔をうずめた


「え・・・」


「このマンションからね大学のグラウンドが見えるんだ・・・毎日毎日・・・朝から晩まで跳んでる人がいるなぁっておもってたの。でね、まだ休学する前にこっそり覗きに行ったんだ・・・それが珠理奈だった。」


「玲奈ちゃん・・・」


「そのあとも時々練習見てたんだけど・・・病気が悪化しちゃって・・・ここの窓からしか見えなくなっちゃったんだ・・・」


「そうだったんだ・・・」


珠理奈は玲奈の頭をなでながら聞く


「太陽にむかって・・・高く跳んで・・・すごくきれいだなぁって思った。まるで、太陽にむかって伸びる向日葵みたいな人だって思った。ちゃんと話しもしたことないのに・・・そんなこと思ってたの」


玲奈はクスッと笑う


「それが、あの日図書館前で雨宿りをしているの見つけて・・・傘を貸して・・・今こうして腕の中に居るなんて・・・ホントに不思議・・・」


玲奈は照れながら珠理奈の背中に手を回す


「珠理奈が向日葵なら・・私は紫陽花かなぁ・・・梅雨の時期だけは咲くことのできる・・・太陽よりも雨が好きっていうか・・・」


そういって玲奈は苦笑いをした

「玲奈ちゃん・・・」


珠理奈は玲奈を見つめる



「決めた。私、玲奈ちゃんの太陽になる」


「え・・・?」


「光に当たれないなら私が太陽になって玲奈ちゃんを元気にするよ」


「珠理奈・・・」


「大丈夫!紫陽花だって太陽は必要だもん!それに・・・」


「それに?」


「玲奈ちゃんの紫陽花の色は、私が染めるから」


「・・・っ!」


玲奈は真っ赤になる


「向日葵だから黄色かな?太陽の色に・・・私の色に染めるよ。だから玲奈ちゃんの紫陽花は太陽が好きで、梅雨を過ぎてもずっと咲いてるんだよ」


「珠理奈・・・ありがとう」


玲奈はクスッと笑ってさらに珠理奈にきゅっと抱きつく



「調子がよくなったらいろんなところに行こう」


そういって玲奈のおでこにキスをした


「うん・・・」


玲奈はそういって頷く


頬には一筋の涙が流れていた





―――――



そして


月日は流れ――



2年後



「あちー」


珠理奈は帽子にタンクトップ、ビーサンという


夏真っ盛りの格好でペットボトルの水を飲む




「珠理奈―!」


珠理奈はその声の方に振り向きに


こっと笑い


走り出す



視線の先には


大きめの麦わら帽子をかぶり


白いワンピースに長い薄手のパーカーを羽織った


玲奈が


ひまわり畑で手を振っていた






――紫陽花の君は

   向日葵色に染まる――




FIN


紫陽花の君③

それからというもの


珠理奈は図書館に頻繁に顔を出すようになった


玲奈は人見知りのせいなのか


最初はぎこちなかったが


徐々に打ち解けていった



季節は梅雨


陸上部の珠理奈にとっては


筋トレだけの日々で早く晴れればいいのにと思うところなのだが


今回だけは



梅雨がずっと続けばいいと思った



部活を早々に切り上げ


図書館で玲奈と会い


窓際の席でこそこそと話しをする



そんな毎日が


幸せだった




――――――


ある日の休日


ザァァァァァ・・・


雨の降り続く中


玲奈は図書館の脇にある紫陽花を見つめていた



紫陽花の花の隙間からカタツムリがひょこっと顔を出し


玲奈はくすっと笑う


「玲奈ちゃーん」


珠理奈が傘をさして走ってくる


「珠理奈・・・」


玲奈は振り向き笑う


「お待たせ!・・・紫陽花見てたの?」


「うん。綺麗に咲いたなぁって・・・」


玲奈の見つめる先には青色の紫陽花が咲き乱れていた


「あれ?大学にあるのはピンクだったよ―な・・・」


「それは、土がアルカリか酸性かで色が変わるんだよ」


「へー玲奈ちゃんは物知りだね―」


「ふふっ、そんなことないよ」


玲奈はにこっと笑い


紫陽花に目をやる


「もうそろそろ梅雨明けなんだってね」


玲奈はぽつりとつぶやく


「うん、そうだね。ねぇ玲奈ちゃん、夏になったら海見に行こうよ。別に泳がなくても見に行くだけなら大丈夫でしょ?」


「・・・」


珠理奈の発言に玲奈はびくっとして


黙りこんだ


「あ・・・なんか悪いこと言ったかな・・・ご、ごめん」


珠理奈は慌てる


「今日はね・・・珠理奈に言わなきゃいけないことがあるの」


そういって玲奈は珠理奈を見つめる


「・・・なに?」


「ごめんなさい・・・もう・・・会えない」


「え・・・」



ザァァァァ・・・・



2人の沈黙の間


雨の音だけが響き渡る


「ど、どうして?」


珠理奈はそう訪ねるので精一杯だった


「・・・私、病気なの」


「え・・・」


「簡単に言うと、日光に当たれないの。当たると調子がわるくなっちゃう病気・・・」


「・・・!」


珠理奈はハッとした


あの最初に出会った日から数日間


姿が見えなかったのは


晴れていたから・・・


だから


外に出れなかった?


だから


いつも長袖だった?



珠理奈の鼓動の音は脳内にまで響き渡っていた


「梅雨が明けたら・・・日差しが強くなって、また外に出れなくなっちゃうの」


「で、でも、夜なら!」


珠理奈は食い下がる


「・・・しばらくは駄目。月曜から私、入院して治療受けなきゃいけないから・・・」


「え・・・」


「本当はもっと早く入院する予定だったんだけど・・・先生にわがまま言って待ってもらったの」


そう言って玲奈は苦笑いをする


「・・・玲奈ちゃん」


「・・・珠理奈と話せて楽しかったよ。ありがとう」


玲奈はにこっと笑うと


傘で顔を隠し


すっと珠理奈の横を通り過ぎた


「ちょっと・・・ちょっと待ってよ」


珠理奈は玲奈の肩をつかむ


「・・・ごめんなさい」


玲奈は振り向かずに言う


「そんなのヤダよ!なんで今言うんだよそんなこと!」


珠理奈は頭の中が混乱していて


思わず叫んでいた


自分の傘を放り投げ


玲奈の正面に回り込む


玲奈の顔は涙でぐしょぐしょだった


「・・・」


珠理奈は


何も言わず


玲奈を抱きしめた


その勢いで玲奈の持っていた傘が


手から離れ静かに地面に落ちる





ザァァァァァァァ・・・・




玲奈の細く華奢な体を


容赦なく雨が濡らしていく


その中にあるぬくもりを


珠理奈は確かに感じていた


「・・・くっ・・・うっ」


珠理奈から嗚咽が洩れる


「・・・」


玲奈は黙って


そっと珠理奈の背中に手をまわした



珠理奈はよりいっそう玲奈を強く抱きしめた

雨がこのまま止まなければいい


一生降り続けばいい


そうすればずっと一緒にいれるのに・・・


ずっと・・・・




勢いよく振る雨の中で


2人の嗚咽がかすかに聞こえていた


紫陽花の君②

講義が終わった珠理奈は


木崎の質問をうまくかわしながら


部室に入った


珠理奈は陸上部に所属しており


走り高跳びの選手なのだ


ジャージに着替え


濡れた服をハンガーにかけ扇風機を当てた


「・・・ふぅ」


珠理奈はパイプ椅子に座り


揺れる服を見ていた


(傘返さなきゃなー・・・でも講義のこと知ってるってことはあの人もここの大学なのかなー・・・?)


そんなことをぼーっと考えていた



―――――


次の日


昨日の雨が嘘のように


晴れ渡っていた


講義が終わった珠理奈は図書館に向かい


昨日の彼女の姿を探したが


見つからなかった


次の日も


また次の日も・・・


時間の許す限り図書館に行ったが


彼女を見つけることは出来なかった


「もう会えないのかなぁ・・・」


そう呟きながら


傘を見つめる




『明日から東海地方は梅雨になります』


駅前の大型ディスプレイからそんなニュースが聞こえてきた


「おいおい、ゆりあ言ってること全然違うじゃん」


珠理奈は眉をひそめて笑う


「これじゃあ明日からの練習はしばらく筋トレかなぁ・・・ん?雨・・・」


珠理奈はふと気がつく



もしかしたら


明日


会えるかもしれない




不思議と確信のようなものが珠理奈の胸に湧き上がってきた



―――――



そして


ニュース通り


次の日は雨が降り続いていた



今日は休日であり


陸上部も筋トレだけだ


珠理奈は適当な理由を付けて部活を休み


そして


あの図書館に向かった




窓際の一角で


黒髪の女性が静かに本を読んでいた


その視界の端にすっと人が入り込む


「見つけた」


「え・・・?」


その声に驚き


女性は顔を上げる


そこにはにこにこと笑う珠理奈の姿があった



ガタガタッ!



女性は驚いて勢いよく立ちあがり


その拍子に椅子が倒れてしまった


「あ、す、すいません」


女性は集まる視線に真っ赤になりながら椅子を直す


「ははっ、ちょっと話ししませんか?」


「あ、は、はい。え?あ、ちょっ・・・」


珠理奈は真っ赤になったままの女性の手を引いていった



珠理奈たちは館内にあるラウンジに居た


自動販売機と椅子が何個かある簡素なところだが


2人で話しをするには十分だった


「はい、どうぞ」


そういって珠理奈はミルクティーを差し出す


「あ、ありがとうございます」


女性はおずおずと受け取った


「この前は傘、ありがとうこざいました。私、松井珠理奈っていいます。」


そういって頭を下げる


「あ、松井玲奈といいます」


「えー苗字一緒ですねー」


「は、はい」


珠理奈が身を乗り出してきたので玲奈は顔を真っ赤にして照れていた


「歳は?」


「えっと・・・今年二十歳です」


「えっ同い年じゃん!あ!もしかしてだけど大学って・・・」


「・・・一緒の大学です」


「やっぱりー?どうりで講義時間知ってると思ったんだよねー」


珠理奈は自分の勘が当たったことに喜ぶ


「でも、キャンパス内で全然会わなかったなー講義何とってんの?」


「あ、あの・・・私・・・今・・・休学してて」


玲奈はうつむく


「あ、ご、ごめん。」


「ううん、いいんです。ちょっと体の調子が悪くて・・・もう少ししたら通えるはずなんですけど」


「そうなんだ・・・」


珠理奈は申し訳なさそうにうつむく


「あ、私、一応文学部に居るんです。」


玲奈は慌てて話題を変えた


「そうなんだ。だから図書館に居るんだね。本好きなの?」


「はい・・・それに、家に一人でいるのも息が詰まるから・・・」


そういって苦笑いをする


珠理奈はそんな玲奈の横顔を黙って見つめていた


紫陽花の君①

あの日


そう・・・


紫陽花の咲くころ


大切な君にであった・・・



―――紫陽花の君――――



ザァァァァァァ・・・・



「わーやばいやばい!」


鞄を頭に乗せ


一気に駆け抜ける


その足もとでは


水たまりが勢いよく跳ねる


「あーもう無理だ!」


そういって図書館の軒先にはいり


雨宿りをする


「あーあ。こりゃ講義間に合わないなー・・・」


そういって勢いよく振る雨を見つめていた


この女性は


松井珠理奈


某私立大学の2回生だ


今日は2限目から始まる講義だったのだが


油断して寝坊し


家を飛び出していた


走っている最中に急な通り雨にあい


今こうして足止めをくらっているのである



「はぁー今日はついてないなぁ」


そういってびしょぬれになった服を見つめた


「あの・・・」


「え・・・?」


珠理奈は後ろから声をかけられ


振り向く


そこには


薄手の水色のカーディガンを羽織った


長い黒髪の女性が立っていた



歳は・・・自分と同じくらいだろうか・・・?



「あ、あの・・・」


その女性はおずおずと傘を差し出す


「え?いやいや、いいですよ」


珠理奈は慌てて遠慮する


「大丈夫。私のうち此処から近いですし・・・それに、今行かないと講義遅れますよ」


「え・・・?」


珠理奈は驚いて女性を見つめる




「・・・はいっ!」


女性は珠理奈に見つめられて照れたのか


顔を真っ赤にしながら傘を珠理奈にグイッと押し付ける


「え、ちょっ・・・」


珠理奈は勢いで傘を受け取る


珠理奈が受け取ったかみたかで女性は雨の中に走り出す


「え!あ、あの!!」


珠理奈は止めようとしたが


勢いよく振る雨で


その女性の姿は見えなくなっていた



「えー・・・どうしよう・・・」


そう呟き傘を見つめる


『今行かないと講義遅れますよ』


先ほどの女性の声が蘇る


「とりあえずご厚意に甘えとくか・・・」


そう言って傘を開き


ダッシュで駆け抜けた


女性が貸してくれたのは


ピンクの花柄の傘だった


「ははっ・・・似合わないな―」


そういって笑った



―――――――


「セーフ!」


珠理奈はギリギリで講堂に入る


「珠理奈ーここ、ここ」


そういって手を挙げたのは


同じ2回生の木崎ゆりあだった


「ゆりあ。おはよー」


そういって木崎の隣に座る


「うわっ!びしょぬれじゃん」


「だって急に雨降ってきたんだもん」


「あ、そういや今日から梅雨入りっていってたような気がする」


「梅雨?なんか梅雨って言うより嵐みたいな勢いだったけど」


そう言いながら珠理奈は鞄の中からタオルを出して頭を拭く


「でもそんな状態でよく講義でようと思ったね。私なら確実にサボってるわ」


「うーん・・・ま、出ないと悪いとおもったから・・・」


「誰に?」


「・・・内緒」


「えーなにそれ」


木崎が珠理奈に詰めよろうとした時


講師が入ってくる


「残念でした」


小声で珠理奈は木崎にウインクをした


「ちぇー」


木崎は口をとがらせ


恨めしそうに講師を見ていたのだった


あとがき

「あの日の約束」を読んでいただいてありがとうございました(^∇^)


「初めての彼女」に続いてかなり長くなってしまい


お付き合いいただき、本当に感謝ですm(_ _ )m



きっかけは


ある雑誌で女子剣道優勝者の方が写っているのを見まして


さや姉が剣道してたらかっこいいなぁと思ったのと


昔ヤンガンでやってたバンブーブレードが好きだったのからでございます(・∀・)


軽い気持ちで書き始めたのですが


まさかyoutubeで剣道の試合見て勉強するとは思いませんでした笑(;´▽`A``


まぁお粗末な文章なのは変わりないのですが・・・


あと、さやみるきーのなかに横山本を入れたかったってのもありました


今回のコンセプトは「太宰治を読んだか?」でして


なんかメインはどっちやねんって感じなんですが・・・(^▽^;)


横山本の友情は書いていた楽しかったです(^∇^)



後半の天王寺の試合あたりは


難波のライブDVDコンプリートボックスで


楽しそうにしているNMBメンバーたちと北川謙二で抱き合うさやみるきーを見て


高まりながら書きました( ´艸`)


そして、みるきーと付き合うところで


わたくしほぼ燃え尽きました(;´Д`)ノ



ちなみに、ゆいはんが京都に戻るのは元々考えていて


中学の時のわだかまりを解消するという意味と


約束を守りたいという真面目なゆいはんなら


これは戻るだろうと思ったからでございます(・∀・)




あと、けいっちがかなり嫌なキャラになってしまいすいません(;´▽`A``


好きな子に素直になれない子がいじわるするって感じで微笑ましく見ていただけたらと思います


個人的にはけいっち好きなんですよ(^∇^)


毒舌キャラは「げいにん」のけいっちをモデルにしています


あと、ゆいぽんとしまれなの島ぽんずコンビも好きで出演させていただきました


DVD見て


チームMええやんと思い、好きになりました(°∀°)b



さやみるきーの小説なのに


絡みが少なくてすいません


ほんまメインが横山本になっている気がする・・・(;´▽`A``


しかし、ずるずると続くよりはいったんこの辺で終了した方がきりがええかと思い


判断させてもらいました


番外編で大学生バージョンとか


かけたら書こうかとおもっております


ありがとうございました(^∇^)


あの日の約束40 終

8月――


『只今より、全国総合体育大会 剣道女子 決勝戦を行います』


アナウンスの声が会場内に響き渡り


観客たちの視線がコートに集中する


そこには2チームが整列をしていた



互いに見つめ合い


両チームの間で見えない火花が散っていた


審判の合図で互いに礼をし


試合が始まった


互いに一歩も譲らぬ攻防で


2勝2敗となり


大将戦になる


「はじめっ!」


審判の掛け声とともに


両者同時に跳びだし


つばぜり合いになる


「・・・久しぶりやな」


「あぁ、ほんまや」


そういってニヤッと笑ったのは


山本と横山だった


「どんだけ上達したか見せてもらうで」


横山が言う


「そっちこそ、ちゃんと本気出してくれや」


山本も負けじと言う


「当たり前や。彩と闘いたくてここまで来てんで」


「そりゃ、こっちの台詞や」


2人はそう言うとバッと離れ


「やぁぁぁぁぁっっ!!」


「でりゃぁぁぁぁぁっっ!!」


竹刀を振り上げた



パァァァァァン



軽快な音とともに


わぁぁぁぁぁっ!!


と会場の歓声が上がった


――――――



そして月日はたち


山本たちは卒業を迎え


剣道の推薦で京都の大学に進学が決まっていた



山本は自分の道場で正座し、黙祷をしていた


「・・・お世話になりました」


そう呟き


道場の上座に向かって頭を下げる



「彩ちゃーん」


道場の入り口から渡辺の声が聞こえ


山本は頭をあげる


「引っ越し業者さんもう来てるでー」


そう言って道場の中に入ってくる


「あぁすまん」


山本はそういって立ち上がる


「・・・なんやそれ?」


山本は渡辺の手に持っているものを見て首をかしげる


「えへへーこの前の卒業試合の写真」


渡辺はそういって嬉しそうに写真を見せる


そこには卒業する山本、渡辺、上西そして横山を囲んで


部員全員で撮った写真だった


「今日で大阪離れるから記念にね。やっぱりここにも置いとかんとなー」


「離れるって・・・京都やで」


山本は笑う


「そんなんゆうて、律儀に道場に挨拶してたん誰よ」


「うっ・・・」


山本は照れて顔が赤くなった


「あ、あとな。この写真ちゃーんとマンションにも飾れるように用意してんねんでー」


渡辺はにこっと笑って鍵を見せる


「そ、そうか・・・」


山本は顔を赤らめながらそっぽを向いていた


「あー彩ちゃん照れてるー。同棲やもんなー」


「ル、ルームシェアって言えや」


「えへへー。あ、ちなみにゆいはんもおんなじマンションらしいよー」


「そうなんか?」


「うん、里歩ちゃんと住むんやってー」


「ほんまか?そりゃ上西が黙ってないなぁ」


「あーほんまやなぁ。しばらくは内緒やなぁ」


「いや、どうせすぐばれると思うで。一緒の大学やし」


「なんか楽しい学生生活になりそうやなーゆいはんも里歩ちゃんもけいっちもおって・・・それに彩ちゃんと一緒なんやもん」


渡辺はニコニコと笑う


「あぁ・・・」


山本もニッと笑う


「あ、でも大学で可愛い子おっても浮気したらあかんよ」


そういって渡辺はムスッと頬を膨らませる


「あほっ!そんなんするか。・・・ずっと一緒におるって約束したやろ」


山本は顔を赤らめながら言う


「・・・うんっ」


渡辺は山本に抱きついた


「・・・ほ、ほら、はよ行くで」


山本は顔を赤らめる


「あっ、そうやった」


そういって渡辺は


用具庫に向かい


写真をかざり


にこっと笑った


「さ、行こう」


そういって渡辺は山本の腕に抱きつく


「お、おう」


山本は照れながら道場の入り口まで歩き


立ち止まる


2人は目を合わせふっと笑うと


くるっと道場の方に向き


「「お世話になりました」」


そういって頭を下げ


剣道場を後にした





渡辺の飾った写真の横には


幼いころの山本と渡辺のツーショット写真と


賞状をもってはしゃいでいる難波女子高のメンバーの写真があった


そこには


『全国総合体育大会 女子剣道 優勝』


と、書かれていた





FIN


あの日の約束39

――――――


そして


横山は京都に転校していった



「はじめまして、今日から剣道部に入部しました横山由依です」


「みんな、私の幼馴染やねん。よろしくなー」


横山の隣で小谷がにこにこと笑う


「「よろしくおねがいします」」


部員たちが頭を下げ


「横山さんってインターハイ優勝したんですよね」


「私と勝負してもらえませんか?」


部員たちが横山を囲む


「よっしゃ!ほな横山の歓迎の意味を込めて試合すんでー」


顧問が声をかけ


「「はい」」


皆、一斉に気合の入った声を上げる


(・・・彩、みるきー・・・私はここでもう一回頑張るわ・・・)


横山は自分の胴に手を当て


ふっと笑った



―――――


一方、難波女子高校では


「はぁ・・・」


始業式のあと


山本は一人屋上にいた


「彩ちゃん」


そこにひょこっと渡辺が現れる


「・・・美優紀」


「やっぱり寂しいな。ゆいはんおらんと」


渡辺はスッと山本の横に座る


「あぁ・・・なんか調子でんわー」


山本はそう言って空を見上げた


「でもまた京都の道場に行って稽古するゆうてたやんか」


「あぁ。でも、学校の練習が積んできたらなかなか会えんようになるやろ」


そういって寝そべる


「・・・えいっ」


その上に渡辺が覆いかぶさる


「わっ!なんやねん」


いきなりのことに山本は顔を赤らめる


「好きやで」


そういって渡辺は笑った


「・・・それ言うん今なん?」


思わず山本は笑う


「落ち込んでる彩ちゃんも好きってこと。ゆいはんおらんのは寂しいけど、練習頑張ろう」


「美優紀・・・」


「インターハイいかなな。私も頑張る。一緒に強くなるで」


「・・・あぁ、せやな」


山本は渡辺につられて笑った



そして


日々は過ぎ


「・・・なんでお前らがおんねん」


4月になり


意気揚々と道場に入った山本の顔が一瞬にして引きつる


「なんでって入部希望や。それと由依様何処?姿見えへんのやけど」


難波女子高の制服を着た上西が入部届けを突き出しながら山本に言う


「みるきー!転校してきましたー!!」


「百花ちゃんよろしくなー」


その後ろで木下が渡辺の手を握っていた


「2人とも熱意が強すぎて天王寺から転校してきたみたいですよ」


小笠原が言う


「そんなんありなんか?」


山本は引きつる


「ええねん。それに、天王寺は私がおらんでも強いから」


上西はさらりという


「いやいや、そういう問題やないやん」


山本はツッコむ


「ちなみに由依先輩は京都に帰りましたよ」


小笠原がさらっと言う


「へーそうなん。京都に・・・って・・・ええーーーーー!!」


道場に上西の声が響く


「そんなん、調べてからこいや」


山本は耳を押さえながら怪訝そうに言う


「驚かそうと思って極秘に転校手続きしてたんや!もー私の労力返してよ!!」


上西は山本に八つ当たりする


「そんなん言われてもおらんもんはおらんのやからしゃーないやろ!!」


山本もカッとなり身を乗り出す


「まぁまぁ2人とも落ち着いて。もう同じ部活仲間になったんやから喧嘩したらあかんよー」


その間に渡辺が入り込む


「ええんか?みるきー?散々いろいろ言われてたねんで?」


「ええよー。それに、前の総体のとき謝ってくれてん。なーけいっち」


そういって渡部は笑う


「そうやで。なーみるきー」


上西も笑う


「な・・・・女子ってわからんわ」


山本は仲よさそうに笑う2人を見て困惑する



「もーみるきーは優しいなぁーますます好きやわー」


後ろで木下がキラキラした瞳で見つめる


「あ、あかんで。渡辺先輩は山本先輩と付き合ってるから」


小笠原が冷ややかな目で言う


「なっ!」


木下の顔は一変し、殺意に満ちた目になる


「こらぁっ!なんで私のみるきーと付き合おうてんねん!」


木下が山本につっかかる


「な、なんやねんいきなり!」


「ごめんなー百花ちゃん。私は彩ちゃんのもんやから・・・」


「こらっ!美優紀もそんないい方せんでええわ」


「・・・美優紀やとぉ・・・絶対許さん!!」


木下の目がますます血走る


「もーええかげんにせぇーーー!!」


山本の叫び声が道場に響き渡っていた






あの日の約束38

山本と横山は


コートの中央で構える


その様子を仲間たちが見守っていた


「はじめっ!」


岸野の合図とともに


横山が小手を狙うが


山本は竹刀をはじきそれを防ぐ


「おーなかなかやるやん」


「はっ!最初の小手なんざ何回もくらってるからええかげん覚えるわ」


そういって山本は上段の構えをとる


「・・・」


横山は中段に構えたままだった


沈黙の中


2人の間合いの取りあいが続く


「でやぁぁぁっ!」


山本が竹刀を振りおろし


面を狙うが


パァァァァン!


「胴あり」


横山が胴を決める


「くそっ!」


「竹刀下ろすん遅いわ。もっとはよふらなあかんで」


そういって横山は中央に戻り構え直す


「ったく・・・最後の最後まで指導すんなや・・・」


山本はそう言いながらも笑っていた


「2本目!」


2人はじりじりと間合いを取る


山本が竹刀を振りおろそうとしたのを見計らって


「でやぁぁぁっ!」


横山が突きを狙い動く


「おらぁぁぁっっ!」


山本はとっさに一歩下がり


竹刀を振りおろす


パァァァン!


「面あり」


山本の面が決まった



「おー!山本先輩やるー」


「彩ちゃんええでー」


コート端で声援がとぶ



「なかなかやるやん。ちゃんとええタイミングで下がってたわ」


横山はニッと笑う


「当たり前や!どんだけ練習させられたとおもてんねん!」


そういって山本は笑う


2人の脳裏に


何度も練習してきたことが蘇る


(・・・何度も練習したなぁ・・・彩、私もあんたに出会えて、みるきーに出会えて・・・剣道部のみんなに出会えてホンマによかったで)


横山は構えながらフッと笑う


「3本目!!」


「最後は・・・気合入れなあかんな」


横山はそう呟くと


すうっと息を吸い込み


「はぁぁぁぁぁっっ!!!」


気合の入った声が道場内に響き渡る


「せやで、本気出してくれな困るわ・・・」


山本はニッと笑うと


「やぁぁぁぁっ!!」


負けじと気合の声をあげ、構える


2人の間にはピリピリとした空気が流れていた


渡辺たちも息をのんで見守る



「やぁぁぁぁっっ!」


「はぁぁっ!!」



2人は同時に打ちあい


つばぜり合いになる


「強くなったなぁ彩」


「おかげさまでな」


「最後の餞別、ちゃんと受け取ってや」


「それはこっちの台詞や」


2人はニッと笑って離れ


横山はスッと上段に構えた


2人はじりじりと間合いをとる


(やっと上段になってくれたわ・・・でも・・・やっぱり手強いわ・・・)


山本は横山を見つめ間合いを詰める


(先手必勝や!)


「でやぁぁっ!!」


山本が小手を狙い打つ


横山は一歩下がり


山本の竹刀が空を切る


その瞬間を狙い


「はぁぁぁぁっ!」


パァァァァァン!!


「面あり」


横山の面が決まった



「勝負あり」


渡辺たちは拍手で2人をたたえる





「上段、良くなってきてるで」


「そりゃぁ全国1位とその師範に教わってたからな」


山本はニッと笑い


すっと横山の胴に拳を当てた


「インターハイや」


「え・・・?」


「次はインターハイで勝負すんで!」


「彩・・・」


横山はふっと笑い


「あぁ、せやな。インターハイで会おう」


山本の胴に拳を当てた




「横山先輩!私も最後試合してください!」


「せやな。私もやるー」


コートの端で2人は立ち上がる


「まーちゅん・・・みるきーも」


横山は2人を見つめる


「あー私も見たらしたくなってきた」


山田も立ち上がり言う


「せやな、私も久しぶりにゆいはんと試合したいわ」


福本もそういって立ち上がる


「え・・・?先輩たち・・・でも、防具が・・・」


横山は困惑する


「安心しーこうなるやろうと思って2人には防具持って来いってゆうてたから」


そういって岸野がニッと笑った


「よっしゃーそうと決まれば!着替えるで」


「「おーー!」」


山田の掛け声で皆は更衣室に走って行った


「ははっ!最後の最後に総当たりやなゆいはん」


「ああ。でも、ホンマに・・・最高やで」


横山はうっすらと目に涙を浮かべながら微笑んでいた



あの日の約束37

12月31日


横山は山本を学校の道場に呼びだしていた


「なんやねん。てか、年末やで。どこの部活も休みになってんのに・・・」


山本は不思議そうに首をかしげる


横山はそんな山本をよそに準備体操をして体を温める


「・・・岸野先生に頼んで特別にあけてもろてん」


「え?」


「・・・ここで最後に彩と試合がしたいって」


「な、何ゆうてんねん・・・あ、わかった。今年最後にって意味やろ?」


山本は冗談交じりに言う


「・・・ちがうねん」


横山は真剣な表情で山本を見つめる


「なんやねん・・・」


山本は状況が理解できなかった


「私、1月から・・・京都に・・・里歩のおる高校に転校すんねん」


横山のその発言に


山本は愕然とする


「な・・・なんやねん!大阪きて1年もたってないねんで。年末にそんな冗談きついわー」


「・・・すまん」


横山は頭を下げる


「・・・なんやねん!なんでや!!」


山本は思わず横山の胸ぐらをつかむ


「私は・・・ゆいはんがおったから、ここまでこれてん・・・剣道とも美優紀とも・・・また向き合うことができてん・・・それやのに・・・なんでや・・・」


山本の声は徐々に涙ぐみ


横山の胸に顔をうずめる


「・・・すまん。でも、私も・・・約束守らなあかんっておもたんや」


「え・・・?」


山本は顔をあげる


「私も昔、里歩と一緒に全国大会目指すって約束したんや」


「あ・・・」


山本の脳裏に


小谷が話していたことが蘇る


「里歩にインターハイに出ることができたら二条高校の顧問に私の試合見てもらうように伝えてもらってたんや・・・あんたら見てたら・・・私もちゃんと守らなあかんとおもてな。」


そういってふっと笑った


「ゆいはん・・・」


「彩たちには感謝してる・・・こんなに充実した学校生活初めてやった。部活仲間ってええもんやなって・・・ホンマに思った」


「・・・」


「・・・それにな、転校するんはもう一つ理由があんねん」


「え・・・?」


「この前、私と本気で闘いたいってゆうたやんか。」


「あぁ・・・」


「私も、本気の彩と闘いたいねんで」


「・・・なんやねん。私はいつでも本気やで」


山本は口をとがらす


「ま、無意識なんやろうけどな。団体戦の方がはるかに力でてるで。天王寺との戦い見て・・・彩と闘いたいと思ってん。」


「ゆいはん・・・」


「せやから、私は京都にいく」


「・・・どんだけゆうても、変わらんのやな」


「あぁ・・・なかなかいいだせんくてごめん」


「・・・っ!ホンマやで!こんな際の際で言いやがって」


そういって山本は涙をぬぐうと


「ほな、転校祝いや!最後くらい本気出してくれや」


そういってニッと笑った


「彩・・・ありがとう」


横山もフッとわらった


―――――


2人は準備運動をした後


正座し、面をつけようとした


「お、ええタイミングやったみたいやな」


そこに岸野が現れる


「先生・・・」


横山が呟く


「最後の試合や。審判と観客もおらな盛り上がらんやろ」


そういって岸野はニッと笑う


「え・・・?」


横山が困惑していると


「えー2人で試合?」


「どないしたんですかー?」


ワイワイと岸野の後ろから声が聞こえ


渡辺、小笠原が現れた


「みるきー・・・まーちゅん・・・」


横山は2人を見つめる


「なんやー試合するん?」


「なんや、なんやキャプテン入れ替えの試合かー?」


その後ろから、山田と福本が現れた


「・・・先輩たちまで」


横山は困惑する


「・・・みんなにゆうてないこと、岸野先生にはバレとったみたいやな」


山本はニッと笑う


「・・・はは、バレバレや・・・」


横山は苦笑いをすると


スッと立ち上がり


「みんな、言うん遅くなってごめん。私、1月から京都に戻んねん」


そういって頭を下げた


「え・・・?」


「うそ・・・」


小笠原と渡辺は事態が飲み込めずぽかーんとしていた


「えーーー!!」


山田の高音が道場内に響き渡る


「声出しすぎや!ゆいはんホンマなん?」


福本が隣でツッコミながら言う


「・・・はい。」


そういって横山は頭を下げた


「・・・横山はインターハイで優勝したやろ?そこで京都の二条高校からお声がかかったんや。本人の希望もあって、転校することになったんや。」


岸野が言う


「ゆいはん行っちゃうのー?」


「せっかく来年は優勝目指そうってゆうてたところやないですか!」


渡辺と小笠原は目に涙をためていた


「みんな、泣くな!」


山本がスッと立ち上がる


「これから、私は此処でゆいはんと・・・部活仲間として最後の試合すんねん。涙拭いてちゃんと見よってくれ」


「彩・・・」


横山が隣で必死に涙をこらえながら話す山本を見つめる


「さ!やるで!」


山本は精一杯の笑顔で横山を見る


「あぁ、せやな」


横山もそれに答えるように笑った


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