気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2014年11月

初恋の行方とプレイボール Another story32

明日はいよいよ総体の1回戦だ

皆、調整して帰ってるってのに

珠理奈は相変わらず練習を続けてる

カーブ教えてんけど

珠理奈はなかなか習得できてへんねん

低速カーブが理想や

珠理奈の球は速いから

逆に低速にすることで

振るタイミングをずらすことができる

でも、珠理奈はいつものように投げるから

スピード乗ってもうて大暴投になんねん

パンッ!

ほれ、またそれた

そう思いボールを受ける

「ごめん、もう一球」

「おう」

そういって私はボールを投げる

珠理奈はボールを受け取ると、握り方とかフォームとかを確認してる

ホンマに変わったよなー

女ったらしも無くなって

練習真面目にしだして・・・


・・・どないしよう

私はまだ悩んでいた

高橋先生からピッチャーをやらないかって言われたことを・・・

とりあえず、練習は相変わらずこっそりしてんねんけど・・・

まぁ明日は珠理奈が投げたらええやんな

珠理奈のコンディション見て判断しよう・・・

てなわけで、そろそろやめとかんとやばいよな

「そろそろ帰るで、珠理奈。明日本番なんやから」

そういって声をかける

珠理奈は渋ってたけど

雨降りそうやし・・・

私は雨が嫌いやねん

でもって、降りそうなこういう微妙な天気が一番嫌いや・・・

そんなこと思ってたら

珠理奈が急に玲奈をマネージャーに誘った理由を聞いてきた

私は東京で初めて美優紀の事を話した

珠理奈にならゆうてもええかなーって思った

なんか、改めて美優紀とのこと誰かに話すとかなかったから照れくさかったけど・・・

やっぱり、美優紀のことが好きやなって

そう思った

げ・・・そんなこと話してたら雨降ってきてしもたやん

明日試合やのに・・・

慌てて部室に入って

ロッカーをあけたら

鞄から

携帯のランプが光ってた

『彩ちゃん!私今東京におんねん。今から学校まで迎えに行くから待っててなー』

「え・・・?」

美優紀が?

噂をすればってやつか・・・?

ったく・・・

急に来やがって

心の準備ってのがあるやろ・・・

「どしたの?」

思わず声を漏らしてしまったから

珠理奈が不思議そうにしてる

でも、今はそんなことより・・・

「すまん、珠理奈!私、先帰るわ!」

私は慌てて着替える

雨やから練習着で帰ってもええかって思ったんやけど

泥だらけの練習着で隣におるんもなぁ・・・

久しぶりに一緒に帰るのに・・・・

「なに?どしたの?」

私の慌てぶりに不思議そうだった珠理奈の顔が不審な顔に変わる

う・・・言わなしゃあないか・・・

「・・・その、幼馴染が東京来てるみたいやねん。今学校に向かってるってメールきてん」

「えーマジ?私も会いたい」

「ええて、おうたら話し長くなるし、雨やし、な?また試合観に来ると思うからそんときにな」

私は早口でまくしたてると

会いたいっていう珠理奈を制止して

駆けだした

あほっ

私が一番会いたかってん

久しぶりの再会やねんで

邪魔されたくないやんな

初恋の行方とプレイボール Another story31後編

そして7月14日金曜日

私は新幹線に乗って東京に向かっていた

座席に座り

彩ちゃんの誕生日プレゼントがつぶれないように

大事に抱えていた

彩ちゃんのプレゼントはアンダーウエア

有名メーカーやったからええ値段やったわ・・・

まぁ、今回はお母さんからの援助もあって無事に買えたんやけどな

ホンマは今日1日休んで京都にいってお守り買っていきたかったんやけど

そこんところはお母さんは許してくれへんかった

まぁ午後の授業は理由つけて早退させてくれたから

文句は言えへんけど・・・



東京についたんは

夕方・・・といっても夏やからまだまだ明るい

私は携帯のナビを見ながら彩ちゃんちのマンションにたどり着いた

「はぁー・・・団地と全然ちがうなぁ・・・」

私は思わず見上げて言葉をもらす

建物に圧倒されながら

彩ちゃんちのインターホンを鳴らした

「いらっしゃい美優紀ちゃん」

「お久しぶりです」

彩ちゃんのお母さんの変わらない笑顔をみて

なんかほっとした

「ごめんなー彩、まだ帰ってきてないねん。部屋に荷物おいててやー」

そういってお母さんは部屋を開ける

そこには綺麗に片づけられた彩ちゃんの部屋があった

シンプルで本は主に野球

記念ボールも飾られてる

大阪ん時と変わらへんインテリアに安心した

「あ・・・」

勉強机の上に中学の時準優勝した時の集合写真が飾られてて

なんだか嬉しくてにやけてしもた

私は荷物をまとめておくと

リビングで彩ちゃんのお母さんと話しをする

たわいもない話しをしながらまってたんやけど

「あらー天気わるぅなってきたなー」

そういって窓をみつめる

「彩、傘もってんのかなぁ?」

「じゃあ私迎えに行ってきます」

「え?ええの?」

「はい、その方が驚くかなぁって思って」

「じゃあお願いしよかな。場所は―」

そういってメモを書いてくれた

「じゃあいってきますー」

「おねがいねー」

そういって私はマンションを出た

傘は・・・1つ

うっかり1本しか持って行けへんかったってことで

ごまかせるかなぁ


・・・久しぶりに会うんや

相合傘したいやんな

初恋の行方とプレイボール Another story31前編

私らは泥だらけのユニフォーム姿で

グラウンドに整列していた

現在閉会式の真っ最中

「優勝――高校」

私らの高校の名前が呼ばれ

拍手が沸き起こった

部長と副部長が優勝旗と賞状を手に笑う

私も隣にいたまーちゅんと目を合わせてニッと笑った


あの日以来

私はまーちゅんと遅くまで投球練習をして

総体も活躍することができた

まぁ3年生の先輩ピッチャーと交代しながらやったけど

自分なりに満足いく投球やった

「みるきー先輩!お疲れ様でーす!」

「百花ちゃーん」

百花ちゃんが私に抱きつく

「こら、百花。私にも言いや」

隣でまーちゅんが言う

「あ、お疲れ様でーす」

「なんやねんそれ」

そういってまーちゅんは突っ込みをいれていた

「なんすか?キャッチャーになったら山本先輩みたいに口うるさいんうつってますよ」

「そうかぁ?彩よりはましやと思うで」

「ふふっ、そうやね彩ちゃんやったらもう引き剥がされてるん違う?」

「そんなんされても諦めませんけどねー」

「百花は中学からこりへんなぁ」

そういってまーちゅんが笑った

「懲りるも何も、私みるきー先輩好きですもん。好きやから抱きつきたい衝動、抑えられるわけないでしょ」

そういって百花ちゃんはニッと笑った

「百花ちゃん・・・」

「はいはい、まぁ優勝したし今日はええんちゃうかー」

「しゃー!みるきーせんぱーい!」

そういって百花ちゃんは私に再度キュッと抱きつこうとした時

「全員集合!」

監督が集合をかける

「お楽しみは終わりや、整列すんで」

「・・・へーい」

まーちゅんはそういって百花ちゃんを引っ張り

監督の方に走る

私も一緒に走りながら

『好きやから抱きつきたい衝動、抑えられるわけないでしょ』

百花ちゃんの台詞が回る

あぁ・・・

やっぱり素直でええなぁ百花ちゃんは

私も、素直になったら

彩ちゃん・・・

気づいてくれるんかなぁ・・・

というか・・・

ちゃんと言わな彩ちゃん鈍感やから気づけへんってまーちゅんもゆうてたし・・・

でも今更どうやって素直になったらええんかなぁ・・・

ここは百花ちゃんを参考に・・・

でもいきなり抱きついたりしたら

驚かれるかな・・・?

でも・・・




あ、やば・・・

監督が何うゆうてるか

全然聞いてへんかった・・・


――――

監督の長い話が終わり

私は急いで家に戻った

大阪大会が終わって

次は静岡で全国大会や

でもな

私の中のイベントは

もっと早くにあんねん


私はユニフォームのまま勢いよく団地の階段を上って行く

ガチャ!

玄関を開け

勢いよくリビングに走り

「おかーさん!優勝したでー!」

夕飯の支度をしていたお母さんに優勝メダルを見せた

「あらーおめでとう」

「でなでな、約束通り行ってええ?」

「まぁしゃあないな。いっといで」

「やったー!!お母さんありがとう!」

私は思わず抱きつく

「もーわかったから。お風呂はいっといで。泥だらけやんか」

「はーい」

お母さんは笑いながら私を引き剥がす

私はにこにこと上機嫌でお風呂に向かった

「はー生き返るわー」

湯船につかりながら天井を見つめる

「・・・何着ていこうかなー」

そう呟いたら

なんか急に恥ずかしくなって

湯船に顔を半分つけて

ぷくぷくと泡を出す

次の金曜日、7月14日は

彩ちゃんの誕生日やねん

そんでもって15、16日は野球の試合があるって聞いてたから

その応援にも行きたかってん

うちんとこのソフトは参加する高校が多くて

試合数が多いから早めに総体がはじまってん

彩ちゃんとこの女子野球は関西と関東の違いなんか参加校の数の具合なんか

7月中ごろから始まるらしい

まぁ私としては

誕生日もお祝いできて

試合も見れて

好都合なんやけどな

でも、高校生の私が東京に行くってのは

もちろん親の許可がいるわけで

お母さんに交渉したら

優勝したらいってもええでーっていってくれてん

まぁ今思えば私のやる気を出させるためだったんかもしれへんけど

でも、宣言通り優勝できたから

私は東京にいけんねん

もちろん泊るとこは、もちろん彩ちゃん家

でも驚かしたいから彩ちゃんには黙ってんねん

もちろん、彩ちゃんのお母さんには口止めしてんで

あーなんかわくわくしてきた

プレゼントどうしよう

やっぱりタオルとか野球関連のかなぁ

あっ、お守りもええなー

うーん・・・

とりあえずのぼせてきたから

お風呂でてから考えよう

初恋の行方とプレイボール Another story30

夜になっても姿を見せなかった珠理奈は

次の日から

どっか頭打ったんちゃうんかってくらい真面目になった

ちゃんとサイン通りに投げる

まぁそれが普通なんやけど

ミットに構えたところに綺麗に飛んでくるってのは

やっぱり気持ちええ

変化球は・・・目ぇつむろう

でも、珠理奈が変化球教えてくれって言うや思わんかった

まぁそれだけ本気になったってことか

ええやん、やったろうやん

私も帝都女子の前田敦子ってやつに負けたないっておもたわ

合宿は3日目最終日

試合を終えた私らは、バスにゆられ帰っていた

私はゆいはんの隣に座って

前田さんの情報を聞いていた

最初は熱心に聞いていたんやけど

眠気が勝ってもうた

それはゆいはんもおんなじだったみたいで

気づいたら2人とも寝てしもた

――――

それから

毎日毎日練習の日々が続いた

珠理奈の真面目っぷりは続いてて

これなら上目指せるかもって本気で思ってきた

「なんか珠理奈ほんとに真面目になったね」

ベンチで玲奈がボールを磨きながら言う

「せやなぁ」

私は玲奈が用意してくれていたスポーツドリンクを飲みながら答える

「彩の真面目がうつったのかな?」

「そりゃどういう意味や」

「ふふっ。でも、ホントだね・・・」

「え・・・?」

「高橋先生が言ってたのバッテリーが仲悪かったらチームの雰囲気も悪くなるって。逆に仲いいと雰囲気やみんなの調子も上がるって・・・」

「そ・・・そうか?」

なんか照れくさくなってぽりぽりと頬を掻いてごまかした

玲奈もここんところ休むことなく学校に来てるし

調子ええんかな

「・・・試合」

「え?」

「今度の大会、ええ試合みせたる。この前の練習試合や比にならんくらい、わくわくさせたるからな」

「彩・・・。うん、楽しみにしてる。ホームラン打ってね」

「任せとけって。でっかいん打ったるわ」

なんか我ながら恥ずかしい台詞ゆうてるなと思ったけど

玲奈が調子よくなってきてて、それに笑うことが多くなったのを見て嬉しくなってん

やっぱり誘って良かったって、そう思った



「山本ーちょっといいか?」

高橋先生が私らの前に現れる

「あ、はい」

私は頷き

先生の後をついて行った


「ピッチャー・・・?私が?」

私は耳を疑った

「うん、この前の練習試合で投げてたから候補にどうかなと思ってな」

「でも、珠理奈がおるやないですか」

「珠理奈はもちろん投げる。ただ、一人で投げ切るのは相当な体力を使うからな」

「キャッチャーがピッチャーするや聞いたことないですよ・・・」

「まぁ常識にとらわれないってのが私のモットーだからな」

そういって高橋先生は笑う

「・・・そしたらキャッチャーどないするんですか?」

「それはー横山に頼むか、1年の島田とかになるかなー」

「・・・」

私は黙り込んだ

正直、ピッチャーをさせてくれるってのは夢のようなことだった

でも、もしするとなったら・・・

投球練習せなあかん

そしたら、珠理奈の相手は誰がすんねん・・・

「・・・すこし・・・少し、考えさせてください」

そういうと私は頭を下げてその場を去った

小学校の時

監督から告げられたピッチャー解雇宣言が頭をよぎる

マウンドに立つのは一人

その場所を奪われる悔しさを私は知ってる

でも、珠理奈の肩のこと考えると・・・

頭の中で同じことがぐるぐると回っていた

「彩ーどこ行ってたんだよー。受けてよー」

グラウンドにもどると珠理奈が手を振りながらニッと笑っていた

「あ・・・あぁ、すまん。今行くわ」

そういって私は珠理奈の方に向かった

どないしたらええんやろ

私は答えを出すことができなかった


そう、あの日・・・

玲奈が倒れる日まで

私はずっともやもやしてた

初恋の行方とプレイボール Another story29

「お疲れさま―」

「お疲れさまでーす」

そういいながら、みんな鞄をもち部室から出て行く

「はぁ・・・」

私は一人部室に残り

のそのそと練習着を鞄につめていた

月日は過ぎ

ゴールデンウイークの合宿も済んだ


この後は6月末から総体があって・・・

皆、気合入れて調節していく時期やのに

私の調子はすこぶる悪かった

キャッチャーが変わったからやって

皆、口には出さんけど

気遣ってくれてるのも逆に申し訳なかった

まーちゅんもキャッチャーに転向して

初めてのことだらけやし

私がひっぱっていかなあかんのやろうなって思うんやけど・・・


やっぱり、比べてしまう・・・


そう思ってしまう自分が

まーちゅんにものすごく申し訳なかった

今日やって一緒に帰ろうって皆がゆうてくれたんやけど

ちょっとグローブの手入れするとか、もう少し筋トレして帰るとか適当な理由つけて

こうやって一人で帰ることが多くなった

彩ちゃんは相変わらず

メールを送っても

1日ほったらかしとかがある

電話かけても話してたら、相槌うちながら知らん間に寝てるとかもある

ただ、部活の話しは嬉しそうだった

『なんか珠理奈が真面目になってなー』

受話器の向こうからは必ず珠理奈って名前が出ていた

ゴールデンウイークを過ぎてから

なんか仲良くなったんかなって口調でわかった

あと・・・

玲奈って子を野球部のマネージャーに誘ったっていう話しも聞いた

『二人とも松井やねん。W松井や』

そんな漫才コンビみたいな名前しらんし・・・

彩ちゃんの話を聞くたびに

むっとしてしまう自分がいた

・・・彩ちゃんの中から

私という存在が少しずつ・・・少しずつ・・・

無くなっていってる気がして

怖かった

私の胸にぽっかり穴があいてしまったのに

彩ちゃんは・・・

もう私のことなんか・・・



「ん・・・?」

私は、ロッカーの足元に折りたたまれたメモ用紙を見つける

「誰のやろ・・・」

私はすこし罪悪感を感じながら

そっとその紙を開いた

「え・・・」

私は目を見開いた

そこに書かれていた文字は彩ちゃんの字やった

そこには私の癖とか得意なコースとか・・・びっしり書かれてた

最後には

『いきなりの転校で

キャッチャー頼んですまん

まーちゅん、美優紀のこと頼むわ』

そう書かれていた

「・・・っ」

私は、なんでまーちゅんがいきなりキャッチャーになったかがわかった

紙はすでに砂と手あかでボロボロだった

きっと、まーちゅんは何度も読み返してくれたんだろう

練習中に隠れて見たりもしてたんやと思う


そして

彩ちゃんは私の事、ちゃんと思ってくれてたんや・・・

もう・・・ホンマにそういうとこ不器用なんやから・・・

ちゃんとゆうてや

私は涙をぬぐう



ガラガラガラ・・・

その時、部室の扉が開く

そこにいたのはまーちゅんやった

あわててきたのか肩で息をしてる

「あー!・・・見られてもた」

私が手にしている紙を見て

頭を抱える

「・・・彩には見たってこと黙っといてや」

そういってバツが悪そうに私の方を見る

「うん。でも、いつこんなん渡されたん?」

「彩が引っ越す直前に・・・頼むって」

「そうなん・・・」

「みるきーは緊張しぃやから慣れてる人がええねんてゆうてたで。私は中学から一緒やからみるきーも投げやすいと思うからって」

そっか・・・

彩ちゃん、最初に私が先輩キャッチャーでうまく投げれなかったの覚えてたんだ・・・

「河川敷でキャッチャーの基礎的なことは教えてもろたんやけど・・・」

「うん」

「ソフトボールは投げにくいってゆうて野球のボールで投げるから受けるんめっちゃ怖かったわ」

「ふふっ。そうなんや」

「まぁ、美優紀はこうだとかあーだとか・・・どんだけ見てんねんってくらいしゃべっとったで」

そういってまーちゅんは笑った

「・・・彩ちゃんが・・?」

私の胸はドクンと鳴った

「せやで。彩はみるきーのことになるといっつも熱くなんねん。」

まーちゅんはにやにやと笑う

「え・・・?」

私はぽかんとする

「え?なにその顔?2人付き合ってんちゃうの?」

「へ?何ゆうてるん!違うよ!!」

私は驚いて叫んでた

「いやいや、彩転校してしもたし。みるきーは告白されてもずっと断ってるから・・・そういうもんかと思てたんやけど」

私はみるみるうちに顔が真っ赤になった

「あー・・・思い違い・・・でもなさそうやな。」

まーちゅんは私の反応ですべてを悟ったのか苦笑いをしてた

「好きなんやろ?彩のこと」

「・・・うん。」

素直に言ったら

また涙がこぼれてきた

「何で言わんかったん?彩が行く前に」

「・・・彩ちゃんに野球してほしかったから」

「野球?」

「彩ちゃん・・・ソフト部の前に野球やってたやろ?・・・ずっと野球が好きやってん。大好きやってん。東京には女子野球があるから・・・私は邪魔したらあかんって・・・応援せなあかんって思って・・・」

ぐすぐすと鼻をすすりながらしゃべる

「それで片想いのまま離れたと・・・」

まーちゅんの問いに私はただ頷いた

「はー・・・相変わらず世話のかかるやっちゃなぁ・・・お互いに・・・」

まーちゅんは額に手を当てため息をついた

「彩が東京行った日、あんなに号泣するんやったら言っとったらよかったんや」

「だって・・・」

私は涙があふれてきて言葉に詰まる

「見たやろ?さっきの手紙。彩はみるきーのこと思ってるはずやで」

「でも・・・そんなんわかれへんやん。幼馴染の親友としてしかみてないかもしれへんし」

「えらい弱気やなぁ。百花みたいに好きやゆうてどーんと当たっていったらええねん」

「え・・・」

「想ってるだけじゃ伝われへんで。言わなわからへんわ。特に彩はな」

そういってまーちゅんは私にハンカチを差し出した

「まーちゅん・・・」

私はゆっくりそれを受け取る

「素直になったら?素直に好きってゆうたらええねん」

「・・・変やない?」

「え?」

「女同士で・・・しかも片想い10年クラスやで」

「一途過ぎやろ!」

そういってまーちゅんはつっこみ

「って・・・まぁそんなん関係ないやん」

そういって笑った

「まーちゅん・・・」

「だって、好きになったもんは仕方ないやん。自分の気持ちに嘘ついて泣いてるより、正直に気持ち伝えて泣いたらええやん」

私はハッとした

いつからやろう

いつから・・・

彩ちゃんに素直になれてなかったんやろう

いろんなことを言い訳にして

自分の気持ちを押し殺してた

私は結局・・・

想いを伝えて振られるのが怖かっただけなんかもしれへん・・・

幼馴染の親友っていうポジションに甘えてたんや

バッテリーも組めて

甘えてたんや

なんの約束事もなく

隣に居れる幸せに

甘えてただけなんや・・・



「・・・まーちゅん」

「ん?」

「ごめんな」

「なんであやまるん?」

「・・・彩ちゃんがおらんようになって勝手に泣いて・・・勝手にやる気無くして・・・迷惑かけてた・・・ごめんな」

「ほー。じゃあ責任とってもらおうか」

「え?」

「総体。優勝すんで」

そういってまーちゅんは笑った

「まーちゅん・・・」

「私は今みるきーのバッテリーやで。彩に負けてないってこと見せつけたらなあかんしな」

「・・・うん。優勝しよう」

そういって私らは握手をした

「しゃっ!なんか気合入ってきた!みるきー今からちょっと練習せーへん?」

「えー今から?」

「ええやん。な?」

「うん!」

私は涙をぬぐって笑った



なんか

まーちゅんとバッテリーになったって感じた

彩ちゃん

私、頑張るな

手紙、ありがとう

あと

少し・・・

素直になってもええかな・・・?

◆買いました

こんにちは

しゅうです(^∇^)

連続2話投稿でしたが

作者、力尽きまして

また1話ずつに戻ります(;´▽`A``

相変わらず長くてすいません

気長にお付き合いください(;´▽`A``

そして、Another Story編は

本当に本編の裏側を書いているので

本編読んでないと

ん?

っていうところが出てきてしまうんですよね・・・

なんかすいません(><;)

なので、Another Story編から読んでいる方は

少しずつでもいいので本編も読んでいただけたら嬉しいです

で、本編の場面と番外編の場面を比較して、裏ではこうなってたのねーって思っていただけたら嬉しいです(^∇^)




そして、

今日は希望的リフレインの発売日ですね

みなさん買いましたか?

私は昨日フラゲしました笑(・∀・)


以下感想↓




感想としては

何回も聞いてると好きやなーって思える曲やなーと

そして

皆が走ってるので

走りたくなる・・・笑

ランニングの時とかに聞こうかなぁと思ったり

冬になって走るのサボってるから

気合入れようかなぁ(・_・;)


あと、走ってる珠理奈のポニーテールが好き( ´艸`)

ちょうど制服姿だし

今書いてる小説が野球なので

髪くくってる珠理奈はこんな感じかな―とか思ってて好きです

でも、あれぐらいの高い位置でくくったら帽子は被れんかぁとか

勝手に想像しております笑

そして、皆が走ってるときに珠理奈とさや姉が結構近くに居たり

歌うパートがさや姉と玲奈が一緒だったりして

『初恋の行方とプレイボール』を連載中の私としては

なんか嬉しい感じでした笑

まゆゆがさっしーに鞄渡すのとか

個人的に嬉しかった

もう、完全に小説上の関係図で見ている私・・・(;´▽`A``


ちなみに、サビの部分でさや姉の声が綺麗に聞こえて

すごく好き(・∀・)

やっぱさや姉の声はええわー

人数が多いから玲奈が映るのが少ないので悲しかったけど

仕方ない12月のカンガルーでにやにやするとしよう・・・(・∀・)


カップリングのゆり組の歌も好き

そしてPVヤバい

りおんー∑(゚Д゚)って感じやった・・・

チームKの歌も良かったし

今回のはなかなか良かった・・・

チームKの唄聞きながら

新たな小説のネタを考える私・・・(・∀・)

初恋の行方とプレイボール Another story28

『山本がピッチャーな』

高橋監督の台詞が

衝撃的すぎて

身体が震えた


私は今、ボールを持って立ってる

ゆいはんがキャッチャー

夢やない

私は大きく振りかぶって投げた

パンッ!

ボールはミットにおさまる

ゆいはんがマスクを外してめっちゃ驚いてる

その表情を見て

「私も経験あんねん」

今まで言えなかった台詞を

やっと言えた

―――

4月に玲奈をマネージャーに誘ってから

すぐに合宿になった

なんか、こっちでは女子野球も人気なんか

観に来てる女子生徒らがきゃっきゃしてて

秋葉女学院のメンバーが異様な人気なのに驚いてもうた

しかも珠理奈の奴、どんだけモテてんねん

てか、そういうの普通なんか?

なんかカルチャーショックって言うんか、これ?

そう思いながら私は周りを取り囲む女子から逃げていた

そんな私とは裏腹に

珠理奈の奴はボールはまともに投げんわ

宿舎で他校の生徒に手出すわ・・・

ホンマ素行どないなってんねん

私の怒りは頂点に達していた

こちとらなぁ

野球やりたくて来てんねん

練習試合と言えども

久しぶりに立った打席に

なんかじーんとしてしもたんやぞ


・・・まぁ女同士でそういう関係になれるってのは

私にとっては希望持つところやったろうけど

一途に思って付き合うんならええわ

それを少し話した相手とそんなことしやがって・・・

もうちょっと考えんかい

そんな苛々していた矢先

高橋監督の一声で

私はマウンドに立つことになった


バッターボックスに立った時の感動なんて

微塵に感じてしまうほど

心の奥から感動の波が押し寄せてきた

「いけるやん!すごいやん!彩!」

ゆいはんがニッと笑う

「珠理奈みたいにスピードはでぇへんけど・・・変化球ちょっとやっててん」

「いけるよ!めっちゃコントロールええやん!」

ゆいはんに褒められて私はなんだか照れくさくなった

ゆいはんも小学校のころにキャッチャー経験があったらしい

でも、珠理奈の大暴投とスピードを受けきれることができなくて

転校してきた当初の私には黙ってたらしい

まぁ、黙ってたのはお互いさまや

なんか2人ともテンションあがってもうて

隠しあってたことなんてどうでもよくなってた


河川敷でやってた自己満足の投球は

今日、ついに日の目を見る

美優紀、私マウンドに立つで

そう思い、リストバンドをキュッと握った


あれ・・・?

そういえば・・・

美優紀の写メにも・・・



「彩ー行くでー」

昨日見た写メを思い出そうとした時

ゆいはんに呼ばれた

「あぁすまん!」

そういって私は駆けだす


グラウンドの真ん中の

少し盛り上がったマウンドに

私は立つ


あぁ・・・

これや・・・

この感じ・・・

でも、小学校の時と比べてバッターから遠くなってんなー

そう思い、足で地面をならす

「ふぅー・・・」

感無量でどう表現していいかわからん気持ちを落ち着けるために

私はゆっくりと深呼吸をし・・・

構えた

(いくでっ!)

そう思い

勢いよくボールを投げた




試合は負けてしもたけど

私は投げることができて嬉しかった

もうそれだけで十分だった

先輩も後輩も皆が私の投球を褒めてくれた

でも、そこに珠理奈の姿はなかった

なんやねん

ホンマどないなってんねんあいつ

試合中におらんようにはなるわ

宿舎にはかえってけーへんわ

「あー!もう消灯時間くるやんけ!」

私は時計を見て苛立っていた

「まぁまぁそのうち帰ってくるって」

ゆいはんがそういって私の肩に手を置いた

「そうそう、心配せずに寝るんだなー」

「え?」

声のした方をみると

大島先輩がドアの前でにこにこと立っていた

「おじゃましまーす」

その後ろから柏木先輩がひょこっと顔を出した

「は、はぁ・・」

私はぺこっと頭を下げる

「珠理奈の荷物もらってくね」

そういって2人は珠理奈の鞄を手にもつ

「えっと・・・珠理奈は・・・?」

玲奈がおずおずと尋ねる

「大丈夫、帰るとかじゃねーよ。ただ今日はこの部屋に帰ってきて喧嘩されちゃ困るからよ」

そういって大島先輩は私の方を見る

せーへんわ・・・たぶん

私はむすっと口をとがらせる

2人は荷物を持って去って行った

「珠理奈、部長らのとこで寝るみたいやな」

「迷惑かけすぎやろ。ホンマに・・・」

私は変わらずムスッとしていた

「てなわけでおじゃましまーす」

そういって入ってきたのは宮澤先輩やった

「宮澤先輩・・・」

「珠理奈の布団ってここ?」

宮澤先輩はそういって珠理奈の布団に、どかっと座った

「いやー定員オーバーだから出されちゃってさー」

「柏木先輩んとこには行かんかったんですか?」

ゆいはんがたずねる

「だめだめ、一応合宿ではおんなじ部屋に泊んないって決めてるから」

そういって宮澤先輩は苦笑いをする

「え?なんで決まりごとがあるんですか?」

私は不思議に思って尋ねる

「「・・・」」

ゆいはんと宮澤先輩はきょとんとした顔で私を見つめていた

「な、なんやねん」

「あー彩はしらんのか」

「あら?気づかれてないってことは私もちゃーんと隠せてるんだね」

「へ?」

「宮澤先輩と柏木先輩は付き合ってんねんで」

「・・・え?」

私は一瞬思考回路が停止し

「ええーーーー!!」

動き出した時には大声で叫んでいた

「そ、そんなに驚かんでも・・・」

ゆいはんは苦笑いをする

「いや、普通驚くやろ!え?皆、知ってんの?玲奈もか?」

「う・・・うん」

私が詰め寄ったせいか玲奈は視線をそらしながら頷いた

ん?なんか顔赤いな?驚かせてしもたからか?

とか一瞬思ったけど、興奮状態の私は宮澤先輩の方に振り返る

「ちなみに付き合って3年のラブラブカップルですから」

そういって宮澤先輩はピースをする

「3年て長いですよねー」

そのとなりでゆいはんが頷く

「いやーでも、幼馴染だからさー片想いも入れてたらもう10年くらいになるんじゃない?」

「え・・・」

なんやて?

幼馴染やて?

「すごい・・・。そんなに一途に思えるのって素敵です」

玲奈が言う

「そう?なんか照れるなー」

宮澤先輩は嬉しそうに笑っている

私はそんな光景をぽかーんと口を開けてみていた

幼馴染で

女同士で

恋人・・・

絶対に無理だと思っていた

でも、可能なんや・・・

無理なことなんかないんや・・・

「まぁ女子校ってこともあって偏見とかも少ないからありがたいんだけどねー。そういうことだから彩、りんちゃんともどもよろしくね」

「は、はい!」

ぼーっとしてた私は驚いて返事をする

「な・・・なんか勢いすごいね」

「え?そ、そうですか?」

私は照れくさくなってぽりぽりと頭を掻く

「まぁそろそろ消灯時間だし寝ますか。明日も試合だしな」

「そうですね」

そういってゆいはんは電気を消した

私は隣の布団に居る宮澤先輩に、いろいろ聞いてみたかったんやけど

ゆいはんや玲奈がおる前でそんな話しもできへんから

諦めて天井を見つめる


なぁ美優紀・・・

ずっと好きやったって言ったら

お前は困るんかな

もしくは・・・


そんなことを考えながら

瞼が重くなる

あ・・・しもた・・・

美優紀に・・・

ピッチャーしたでって

言うん忘れてた・・・


気づいた時にはもう遅い

私は深い眠りに落ちていった

初恋の行方とプレイボール Another story27

『今日からゴールデンウイーク合宿やねん!美優紀も合宿やろ?ええ球投げぇや。私も打ってくるわ!』

早朝、家を出ようとした私の携帯に

彩ちゃんからメールが来た

「・・・嬉しいんやろうな」

そう思って私はクスッと笑った

彩ちゃんからメールが

しかも、こんな朝早くに来ることなんてなかったから

思わず笑ってしまった

「美優紀ー?どしたん?忘れ物?」

「え・・・ううん。行ってきます」

玄関で携帯を見てたから

お母さんが不思議に思って出てきてしまった

私は慌てて玄関のドアを開け

階段の踊り場で靴の踵を直す

「・・・」

私は階段の上を見る

『美優紀!いくで!』

いつもなら

そういって彩ちゃんが降りて来るのに・・・

そんなことを思っていた

彩ちゃんは

大会とか練習試合とかってなると

朝、めっちゃ早いねん

いつも私が呼びに行くのに

そういう日だけは

ピンポンが鳴ったりもする

きっと

今日はめっちゃ早く起きたんやろうな・・・

私は階段を降りきり

空を見上げた

天気は快晴

「東京も晴れてるかなー」

そう呟き

携帯を掲げ

空に向かって左手でピースをした

パシャ


『おはよう。大阪めっちゃ晴れてるでー。今日でっかいん打ってきてや!私も頑張るな』


そう書いて

さっきとった写真を添付した

「あ・・・」

送った後に

ハッとした

リストバンドちょっと写ってもうてる・・・

写メの中には数センチ手首にはめたリストバンドが写っていた

まぁ・・・メーカーのロゴは写ってないし

ただ赤いんしてるだけって思うかな・・・

彩ちゃん、鈍感やし・・・

うん、大丈夫やろ


そんなことより・・・

私は今日投げれるかやな・・・

そう思い

また青い空を見つめた

初恋の行方とプレイボール Another story26

帰り道

ゆいはんと別れて

私は月を見ながら

今日会った松井って子の事を思い出していた

あの人も、そういう境遇だったんだろうか

病気で、休みがちで・・・

存在を忘れられるほど・・・

あの頃の美優紀と・・・同じやったんやろうか


運動したら調子よくなるかな?

いや、重い病気かもしれんってゆうてたし・・・

うーん・・・

あの時、野球をした美優紀はどういう気持ちやったんやろうか・・・

帰り道、散々悩んでても答えでぇへんから

美優紀に電話してみた

そしたら

マネージャーって単語が出てきた

そうや、何も選手だけやない

一緒にできることがあるやんか

ちょうどマネージャー探してるってゆうてたし!

美優紀、ナイスやで!

せや、やっぱり野球部に誘おう!


私は興奮して美優紀との電話を早々に切り

ジャージに着替えだした

日課というのは恐ろしいもんで

東京に来ても毎日走らへんかったら落ちつかへんねん


「母さん、ちょっと走ってくる」

「明るいとこ走りなよー」

「はーい」

そういってドアを閉め

勢いよく階段を下りた

引っ越してきたところは

社宅ゆうてもマンションや

でもめっちゃ綺麗でセキュリティもしっかりしてんねん

キッチンだって対面式やし風呂場に乾燥機付いてんねんで


前はけっこう田舎やったし

都会暮らしにあこがれるんってやつかなー

近くにはにぎわってるアーケード街もあって

雨の日も安心やし、必要な物はなんでもそろうし・・・

母さんがこっちに引っ越したいって気持ちも

まぁわからんでもないか・・・と思った


「はっ・・・はっ・・・」

外灯が均等に並んでいる比較的明るい道を選んで走る

(でも、どうやって誘ったらええんやろう・・・)

ペースを保ちつつ、私は考える

まぁ走ってたらすっきりして

良い案思いつくかな・・・

『透明人間』

その言葉

絶対無くしたんねん


私はその言葉が嫌いやった

小学校の頃

美優紀もそんな感じになってたから・・・

―――

1年生の時は美優紀と私はクラスが一緒で

何も思わんかった

美優紀が休んでてもプリント届けるんも

明日何がいるかとか言うんも

全部私がやってたから

2年生になって

美優紀とはクラスが別になった

私は親に頼みこんで少年野球にも入れてもろて

帰りの挨拶が済むと教室から一番に出て帰ってた

はよ帰って野球や!って

そんなことしか頭になかった


そんなある日

うちのクラスの帰りの会が長引いて

学年で終わるのが最後になった

他のクラスの子が廊下でうちのクラスが終わるの待ってたし

私は早く帰りたくてうずうずしてた

「「せんせーさよーなら。みなさんさよーなら」」

そんな挨拶がすむと

私は一目散で駆けだした

でも・・・

美優紀のクラスの扉が開いてて

なんとなーく覗いて

足を止めた

教室の扉から見える

窓側の一番後ろが美優紀の席・・・

その机から

大量のプリントがはみ出ていた

「え・・・」

私は驚いて

教室で話をしている女の子たちに駆け寄った

「なぁ、美優紀んとこにプリント届けてないん?」

「えーしらん?美優紀ってだれ?あの席の子?」

「先生が届けてるん違うの?」

女の子たちはきょとんとする

「え・・・?」

私は驚いた

美優紀は何度も入退院を繰り返したり

家で寝てることが多くて

1年生の時も大抵休んでいたから

美優紀の事を知らない子がいても不思議じゃない

そして、2年生になって

5月が終わろうとしていたが

美優紀が学校に来ているのは数える程度だった

「なにゆうてんねん!美優紀や!渡辺美優紀や!ここの席のやつや!こんなにプリントあるやんけ!」

私はカッとなって

美優紀の机からプリントを手にとり見せた

女の子たちはバツが悪そうに俯く

「・・・そんなん、知らんよ」

一人の女の子が口を開く

「だって、その子全然学校来てへんやん。来たとおもっても咳ばっかりして帰るし。私、話ししたことないもん」

「な・・・」

私はその言葉にたじろぐ

「そうや!私やってどこに住んでるかしらんし」

「一緒のグループでなんかしたとかないもん!」

私が引いたのを見て

女の子たちが次々に言い出す

「・・・」

私は言い返せなくなってしまった

美優紀は「渡辺」っていう名字も悪い

50音順だから

絶対に最後になるのだ

だから、一番後ろの席になって

誰からも気づかれていなかった


プリントがこんなにはみ出ていても気づかれないほど

美優紀の存在は薄かった

そう・・・

透明人間のように・・・


「・・・もうええわ!」

私は泣かないようにぐっと歯を食いしばり

大量のプリントを抱えたまま教室を出た



下駄箱で上履きを入れようとしたとき

抱えていた美優紀のプリントが散らばった

スノコの上に着地しなかったプリントたちは

コンクリートの地面に広がり、砂にまみれる

「やばっ・・・」

私は慌てて拾う

日付が4月のプリントも

提出期限が過ぎている宿題も

もう行われた後の行事のお知らせも

砂にまみれたプリントをはたきながら・・・


その1枚に

美優紀が提出した宿題があった

『わたなべ みゆき』

名前欄にちゃんと書かれている

「おるんや・・・渡辺美優紀は・・・ここにおるんや・・・ちゃんと・・・」

涙がこぼれた

みんなが美優紀の存在に気づいてなかったことに腹が立った

でも

自分の事に夢中で

美優紀の事を忘れていたのは自分も同じだった

そんな自分に

一番腹が立った

悲しいのか、悔しいのか、情けないのか・・・よくわからない涙をぬぐいながら

私はプリントをランドセルに大事にしまった


そして

クラスが違っても

美優紀のプリントを届けることが

私の日課になった


――――

「はぁー・・・」

近くを軽く一周し

私は家の前に帰ってきていた

結局、どう誘うかなんて全く思いつかへんかった

まぁええか。直球勝負や

球種は変化球が得意でも

口下手やから

そういうことはストレートにしかできへんねん


・・・好きやっていう思いを美優紀に直球で伝えられたら楽なんやけどな

美優紀に寂しい?って聞かれて

素直に言えんかった・・・

そう言うところは

珠理奈の変化球みたいに

大暴投やねんなー・・・

初恋の行方とプレイボール Another story25

その夜

私の携帯が鳴った

ディスプレイは『彩ちゃん』の文字

私は慌てて電話に出る

「もしもし?」

『おう。私やけど…』

「うん」

『今、いけるか?』

「うん」

『そ、その・・・昨日は悪かった』

電話口のもごもごとした口調で

彩ちゃんの表情がわかってクスッと笑ってしまった

「ええよ。私もいらんことゆうたし」

『・・・なぁ美優紀。』

「ん?何?」

『小学校の時、野球やってよかったか?』

「え?どないしたん?いきなり・・・」

『いや・・・なんとなく。』

なんかあったんかな?

もしかして高校でなんか悩み事できたんやろか?

ここは、元気づけな

「よかったよ。おかげで喘息治ったし。皆と一緒に何か一つの事するん楽しかったし。友達もようけできたしな。」

まぁ私としては彩ちゃんとおれたことが一番やねんけど

『そ、そうか』

「彩ちゃんに感謝してんねんで」

『え・・・?』

「あの時、彩ちゃんが楽しそうに野球してたの見て、私もしたいって思ったんやから」

『美優紀・・・』

「せやから、何があったかしらへんけど元気だしー」

『べ、別に何もないで』

「ほんま?私に会えんで寂しくない?」

ちょっと冗談っぽく聞いてみた

『だ、誰がや』

ふーん・・・

私は寂しいけど

そう思い、少し黙ってしまった

『・・・まぁ・・・その・・・なんや』

「ん?」

『美優紀の球受けれんのは・・・寂しい・・・かな』

なにそれ・・・

もう、ホンマにキャッチャーバカっていうん?

私は思わずクスッと笑う

「ほな、またこっち帰ってきたら受けてや」

『当たり前や!どんだけ成長したか見せてもらうで』

もう、そういう話しになると急に元気になるんやから

私はまた、彩ちゃんが気づかないようにクスッと笑う


「でも不思議やな」

『え?』

「あの時、野球してなかったら今、こうしてソフトでピッチャーややってへんもん。喘息やって今も治ってなかったかやろうし」

『美優紀・・・』

「せやから彩ちゃんが小学校から野球してくれててよかってん。中学からソフトするってゆうてたら、私はきっとマネージャー選んでたで」

うん、きっと

彩ちゃんと、どうやったら一緒におれるか考えるから

そういう結果になってたと思う

『・・・マネージャー?』

「だってそうやん。喘息もちで学校休んでばっかりの子が中学でいきなりソフトやりますーゆうたってレギュラーにやなれんかったよ。きっと諦めてた」

『美優紀・・・そうや、そうやな!ありがとう!』

「え?さ、彩ちゃん?」

『ほな私走ってくるわ!ほなな!』

プーップーッ・・・

彩ちゃんはそう言うと早々に電話を切ってしまった

はぁ・・・

もうちょっと話ししたかったんやけどなー・・・

でも

『寂しい・・・かな』

まぁ・・・ええか

彩ちゃんの台詞を思い出し

私は携帯を抱きしめて

微笑んだ
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