気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2014年12月

◆あとがきとご挨拶

『初恋の行方とプレイボール Another story』を読んでいただいてありがとうございました(^∇^)

いやー年内に書きあげることができてよかったです(^▽^;)

もともとこんなに長編になる予定ではなかったんですが・・・

彩と美優紀の両方の視点で書いていたら

気づけばかなりの長編になってしまいまして・・・(;´▽`A``

本当にお付き合いいただいてありがとうございましたm(_ _ )m


以下、長いですが・・・


今回のテーマは

過去の清算と未来への希望です


天才肌の珠理奈の裏でひっそりと努力をする彩

皆の前では気丈にふるまって、珠理奈を支えたりしていますが

本当は誰よりも傷つきやすくて気にしやすくて・・・

内面は女々しいんですが

それを認めてないっていうね


玲奈を見て幼い頃の美優紀を思い出して野球部に誘うという優しい半面

実は美優紀が倒れた時の事を心の底でずっと後悔していてそれが忘れられなかったり

キャッチャーとしてソフト部で活躍し、秋葉女学院でもキャッチャーをするんだけれども

少年野球時代のピッチャーが忘れられなかったり・・・

しかも、ピッチャーから外されたトラウマから言い出せなかったりと

表と裏の心の描写を力入れて書きたかったんですよね

でもそんな彩を支える美優紀も

彩を前にすると素直になれなくて

強がって好きと言えなかったり

野球をして欲しくて泣く泣く東京に送りだしたりと

まぁ、なんともプラトニックな2人なのです


でもそういうプラトニックでヤキモキするのがいいのです

それぐらいが高校生の甘酸っぱい恋愛といいますか・・・

幼い頃から恋愛感情を持っている美優紀と高校生でようやく自分の気持ちに気づく彩

2人は一気に恋愛としての距離が近くなりすぎると

彩の方が恥ずかしがると思うんですよねー

だから徐々に距離を詰めていかないと

河川敷であんな大胆に告白することにはならないわけです


リストバンドを持ってるのが彩にバレて

彩が美優紀の想いにちゃんと気づくっていうのは、結構最初から決めてました

なので、いつだそう、いつだそうとかなり考えました

でも、彩は優勝してから告白しないとっていう私の譲れないものがありまして

そして、言うならあの河川敷でないとダメだという思いがあり

あんな感じになりました


彩がずーっと練習してきて

励ましたり泣いたり

2人のドラマがあの河川敷にはギュッと詰まっているわけです

なので、あそこでこそ

彩は言うことができたのです


そして、美優紀の母ですが

個人的な思いも含めております

好きな人なら性別なんて関係ない!と

まぁ、なかなかそんなこと簡単には言えないでしょうけど・・・

美優紀を傍で支えている彩だから許せる

ちゃーんと親は見てるっていうのを書きたかったってのもあります

真剣に想いを伝えればわかってくれる

そういう世の中になってほしいものです

そして、タイミングいいのか悪いのか彩たちがキスできないようにするってのも

家に親がいるときのあるあるですよねー笑



あやちゃんですが、当初は1話目の登場しか考えてませんでした。

名前すら再度登場した時に決めたくらいです笑

でも、ファンになった女の子が自分と同じ野球をしてる

っていうのを書きたかったんです

テーマは過去の清算と未来への希望

この未来は彩と美優紀の2人のことだけではありません

男のスポーツとして見られてきた野球が

現に今女子プロ野球がある世の中になったんです

無理なことなんてないのです

だから

あやちゃんは次世代のエースであり希望という形で書かせてもらいました




何気なく書きだしたのに気づいたら

結構自分の想いを詰め込んだ作品になっていました

あとがきでこんなに語っていることに驚いております(;´▽`A``

でも2人の目線で交互に話しを書くのは難しかった・・・

うまく書けてなかったかもしれないけど・・・

達成感はあります笑


さて、初恋の行方とプレイボールはもう一つ話考えておりますが・・・

他の作品も考えておりまして

何から書こうかと悩んでおります


候補は

初恋の行方とプレイボール 番外編(じゅりれなメインでさやみるきーもあり)

不器用太陽 続編

じゅりれな新作

さやみるきー新作

の4つですかねー

全部構成はぼんやりとですができてるんですよねー

どれからがいいですか?笑


とりあえず、お正月にも入りますし

構成をしっかり考えながら

しばらく更新はお休みさせていただきます


今年の後半は気づけば『初恋の行方とプレイボール』の連載が主でしたね

皆さまから多くのいいねやコメントをいただき

本当にうれしかったです

ありがとうございますm(_ _ )m

アクセス数も増え

いいねや読者登録数も増えて

多くの方が私の小説を読んでくれているということを実感した1年でした(^∇^)

コメントもたくさんいただいてありがとうございます

かなり励みになります!

コメント返信が下手な作者ですが(;´▽`A``

これからもコメントいただけたら嬉しいですm(_ _ )m



皆さま、今年私の小説を読んでいただいて

本当にありがとうございました

良い作品が書けるよう精進していきますので

来年もよろしくお願いします


それでは、皆さまよいお年を(^∇^)

初恋の行方とプレイボール Another story59終

翌日―

ピピピピピ・・・・

「2人ともー目覚ましなってるんやけどーええ加減起きたらー?」

「はーい・・・」

私は寝ぼけ眼をこすりながらむくっと起き上がる

ベッドの下には布団で寝てる彩ちゃん

「すー・・・」

「まだ寝てるし・・・」

私は彩ちゃんの寝顔を見ながら

昨日の事を思い出していた

彩ちゃんが私の肩に手を置いて

見つめ合ったから・・・

キスするかと思ってたのに・・・

お母さんが入ってきて

せっかくのいいムード台無しやったんよなぁ・・・

その後の彩ちゃんは

「お母さんがおるから、ちゃんとせないかん」とかゆうて

結局なんもないまま・・・

ちょーっとだけ期待してたんやけど・・・

「すー・・・」

いっこうに起きる気配のない彩ちゃんを見て

私はむーっと口をとがらせる

「もー・・・彩ちゃん朝やで」

私はベッドから降り彩ちゃんの体をゆする

「んー・・・」

顔しかめるだけで

全然起きへんし・・・

「もー・・・」

私はくすっと笑って彩ちゃんの布団に寝そべる

「そんなに起きへんかったら・・・ちゅーするで」

「・・・」

じーっと顔を見つめてみたけど

起きる気配がない

「・・・」

私はそっと彩ちゃんの顔に近づく

「美優紀ー!」

「はーい!」

戸の外からお母さんの声が聞こえて

私はガバッと起き上がって叫ぶ

「わっ!」

彩ちゃんも私が隣で叫ぶからビックリして起き上がる

「お・・・おはよう」

「お・・・おう」

彩ちゃんは私が隣に居るから顔を赤らめて不思議そうな顔をしてた

「ふふっ」

寝ぐせでぼさぼさの髪でぽかーんとしてるから思わず笑ってしまった

「なんやねん」

「ううん、なんでもない。ほら、朝ご飯食べよう」

そういって私は彩ちゃんの手を引いた


―――――――

朝食を食べ終わった私らは

ある場所に向かった

「懐かしいなぁー」

「ほんまやなー」

そういって私らは顔を見合わせて笑った



「あーーーー!!」

グラウンドで

少し大きめのユニホームを着た女の子がこっちに走ってきた

「山本選手や!」

そういって目をキラキラさせて彩ちゃんを見つめた

「あやちゃん、おはよー」

「あ!この前のおねえちゃんや!ホンマに山本選手と友達やったんやなー!!」

「美優紀、この子が?」

「そうやでー」

「川野彩です!はじめまして!」

そういってあやちゃんは頭を下げる

「山本彩です。試合見に来てくれたんやって?ありがとう」

そういって彩ちゃんはにこっと笑った

「山本!それに渡辺も!」

グラウンドの向こうから声が聞こえて

私らは驚いた

「監督・・・」

そこに居たのは私らが少年野球をしてた時の監督やった

私らが卒業した後もずーっと教えてたんや・・・

監督は私らのほうに走ってきて

「山本。優勝おめでとう」

そう言って笑った

え・・・?

うそ?監督・・・彩ちゃんが優勝したの知ってんの?

隣を見ると

彩ちゃんも驚いて固まってた

「おいおい、なんて顔してんだよ」

監督は苦笑いをする

「だって・・・監督・・・なんで知ってるんですか?」

彩ちゃんが口を開く

「そりゃ関西で開催されてるからな。監督同士のつながりで山本がいるって聞いて・・・でも東京代表だしまさかとはおもったんだけど・・・いやーマウンドに山本が立った時は感動したよ。」

「監督・・・」

「本当に・・・辞めずに続けてくれてよかった・・・」

「え・・・?」

「昔、ピッチャーから外すって言った時があっただろ。あの時、本当に山本はよく頑張ってたんだよ。だけどチームの事しか考えてなくて、あんな言い方しかできなくて・・・裏で男の奴らがいろいろ言ってたことにも気づけてなかったんだ。全国大会で・・・最後の試合でようやく気づいたよ・・・山本の表情がいつもと違うって・・・。そんなことにも気づけてなかったなんて・・・監督失格だなって思ってさ。今はわけ隔てなくやってるし、女の子のメンバーも増えてるんだ」

そういって監督はグラウンドに目をやる

確かに準備運動やキャッチボールをしてる女の子がちらほらいた

「もう、そんなんええですよ監督。それに、この少年野球がなかったら私は野球に出会うことも、こうやって優勝してることもなかったですから」

「山本・・・」

「あの時は本当にお世話になりました。監督」

そういって彩ちゃんは頭を下げた

あぁ・・・

なんでやろう

なんか、じーんとして・・・私は泣きそうになるのをぐっとこらえた

「いや、こっちこそ・・・。そうだ、2人ともせっかくだから指導してやってくれよ」

「え?でも監督・・・」

おろおろする私らをよそに

「いいからいいから。みんなーせいれーつ!」

監督はグラウンドに向かって叫んだ

「「はい!!」」

ユニフォームをきた小学生たちが

勢いよくこっちに走ってきてピシッと横一列に並ぶ

「今日はこの2人も指導してくれるから、挨拶しなさい」

「「よろしくおねがいします!!」」

そういって皆頭を下げる

「・・・美優紀、やるか」

「うん」

私らは顔を見合わせて

ニッと笑った


―――――

彩ちゃんと私は準備運動をする

あやちゃんは素振りしてたんやけど

彩ちゃんに目が釘付けで

バットを持ったままぼーっと固まってた

ふふっ・・・かわええなー

私はくすっと笑う

「彩ちゃん、忘れんうちに渡しといたほうがええんちゃん?」

「あ、せやな。あやちゃん」

そういって彩ちゃんは手招きをする

あやちゃんは素早く反応して私らの方に走ってくる

彩ちゃんは、かがんであやちゃんと同じ目線になる

「これ、この前のホームランボール」

「え?ホンマ?ホンマに!?」

あやちゃんはボールを受け取ると、興奮してぴょんぴょんと跳ねる

その勢いであやちゃんの帽子が脱げた

「ホンマやでー。せやから・・・」

彩ちゃんは帽子を拾う

「練習頑張ってあの球場であやちゃんもホームラン打つような選手になってやー」

そう言って、あやちゃんに被せてニッと笑った

「・・・はい!」

あやちゃんもにこっと笑った


「よーし!じゃあ山本!ボール投げてくれ!」

「はい!」

彩ちゃんはマウンドに向かって走る

「頑張ってやー彩ちゃん」

「おう」

そういって彩ちゃんはグローブを軽く上げて笑った




「なーなー」

「ん?なに?あやちゃん」

打順を待っているあやちゃんが私に話しかけてきた

そしておもむろに私の左手を握る

「・・・」

「ん?どないしたん?」

「あのなー」


「「ファイトー!!」」


他の子たちが声援を送る中

あやちゃんと私は話しをする


「えー?そうなん?」

にこにことする私を見て

あやちゃんは不思議そうに首をかしげる

「あ、ほら!次あやちゃんの番やで!」

「あ、ほんまや」

あやちゃんは慌ててバッターボックスに立つ

「いくでー」

「よろしくおねがいします!」


バットを構えるあやちゃんの姿が

小さい頃の彩ちゃんと重なった


「・・・頑張りや、ちいさな彩ちゃん」

そう呟いて

私はにこっと笑った


―――――――


私らは河川敷に来ていた

「さーやるか」

そういって彩ちゃんは腕を回す

「うん」

私も鞄からグローブを取りだした


彩ちゃんは子供らの指導に熱入ってしもて

もう昼過ぎてもずーっと教えてて

親御さんがいつもより遅いからって迎えに来たくらいや

そのあと、よく行ってた店でたこ焼き食べて

またこの河川敷で私の球を受けるねん

彩ちゃんは休みでも

結局、野球ばっかりやねんなぁ

まぁ今から受ける球はソフトやけど・・・



「ボールやっぱりでかいなー」

「そりゃ野球と比べたらなー。ていうか3月までやってたやん」

「そりゃそうや」

私らはたわいもない話をしながら肩慣らしにキャッチボールをする



「美優紀ーこい!」

肩慣らしが終わって

彩ちゃんは私と距離を取りかがんだ

「うん!」

私は彩ちゃんのミットめがけてボールを投げる

パンッ!

パンッ!

「おーええやん!」

彩ちゃんは嬉しそうにボールを投げ返す

「えへへーせやろ?」

私はボールを受け取り笑った


私は左腕にしてるリストバンドを見て

あやちゃんが聞いてきたことを思い出した



グラウンドで

あやちゃんは私の左手をつかみ

私を見上げていた

「なーなんでおねえちゃんはさやかって書いてるリストバンドしてるん?」

「え・・・?」

「さっき帽子被せてくれた時、山本選手のリストバンドみゆきって書いてたんや。おねえちゃんら間違えてつけてるの?」

「ううん。間違ってないで。おねえちゃんらはとーっても仲良しやからこれでええねん」

「えー?そうなん?」


あやちゃんの不思議そうな顔を思い出して

私はクスっと笑う



そう・・・

間違ってないねん

だって・・・

私と彩ちゃんは・・・



「・・・プレイボール!」

私はスッと右腕をあげて叫んだ

「なんやねん、いきなり」

「えへへーええの、ええの。ほな彩ちゃんに私の本気見せるな」

「お、ゆうたな?こいっ!」

彩ちゃんは構える

そう・・・

これからが始まりやねん

ずーっと一緒におったけど

これからは恋人として・・・


「彩ちゃーん!」

「おう!」

「だーいすきやでー!!」

「な・・・」

彩ちゃんの顔が赤くなる

私はくすっと笑い

スッと構える


「渡辺選手・・・投げました!」


パァァァン!


軽快なミット音の後に見たのは

マウンドで見てた

私の大好きな笑顔だった





FIN

初恋の行方とプレイボール Another story58

「はーさっぱりしました。お先ですー」

私は美優紀んちの1番風呂に入らせてもらって

髪を拭きながら居間に戻る

「彩ちゃんは早いなぁー美優紀はお風呂入ったら1時間は出てこんで」

「もー別にええやん」

テレビを見ていた美優紀はむすっとする

「ほら、はよ入ってきぃ」

「はーい」

そういって美優紀は立ち上がり風呂場に向かった

代わりに私が美優紀が座っていたところに座る

テレビではバラエティ番組がドッキリ企画をやってて

私はそれをぼーっと見てた


「彩ちゃん。はい」

「あ、すいません」

おばちゃんは麦茶をテーブルに置く

なんか昼間とおんなじ感じやなー

「あ、そうそう。言い忘れてたんやけど」

「え?」

「昔な、美優紀と話してて彩ちゃんが男の子やったら彼氏にしたいくらいやって言ったことがあるんやけど」

「・・・」

男という言葉に一瞬固まる

「・・・そんなん関係ないな」

「え?」

「彩ちゃんでなきゃ・・・あかんねんなー」

「へ・・・?」

「大事な一人娘やから、あんまり泣かせんといてな」

「お・・・おばちゃん・・・?」

「あ、美優紀には内緒やで」

そう言っておばちゃんはニッ笑った

そ・・・それって・・・

ていうか、なんで気づいてん・・・

私は真っ赤になる

「ま、母親はなんでもお見通しってことやで」

そう言って笑う顔は

美優紀にそっくりだった・・・



――――――

しばらくして美優紀が風呂から出てきて

私らは美優紀の部屋に移動した

「明日は部活休みやし、彩ちゃんキャッチボールしよな」

「おう」

「明日何時に起きるー?」

そういって美優紀は目覚まし時計を手にとりアラーム設定をする

「・・・あーせやなぁ・・・」

私は生返事をしながら

美優紀が後ろを向いている隙に自分の鞄に手を入れ

ボールを取りだした

これを渡すために美優紀んところに来たんや

「あ、せや!私、彩ちゃんに渡さなあかんのがあんねん」

美優紀は勉強机の方に手を伸ばす

「・・・私も美優紀に渡したいもんがあんねん」

私は後ろを向いている美優紀に声をかけた

「え?」

美優紀は振り返る

「これ、もらってくれるか」

「・・・これって」

「決勝戦のホームランボールや」

「彩ちゃん・・・でも・・・」

「ええねん。もらってほしいんや」

半ば強引に美優紀にむかってボールを突き出す

「・・・ありがとう。じゃあ、私からも・・・はい」

そういって美優紀はボールを受け取り代わりに手紙を差し出した

「え?」

ウサギのキャラクターが描かれたピンクのかわいらしい封筒を見て

首をひねる

「彩ちゃんのファンから」

「え?」

私は封筒を受け取り

中から便箋を取りだした

美優紀も横から覗きこんで2人で読む

『山本せんしゅへ

はじめまして。私は川野彩といいます。今小学3年生です。2年生のときから野球をはじめました。じゅんけっしょうのホームランをみて、私もあんなホームランをうちたいって思いました。こんど大会があります。私はそこで初めてしあいに出ます。だから、れんしゅうがんばります。山本せんしゅもがんばってください。おうえんしてます。』

2枚目にはバットをふっている人とグローブを持っている人の絵がかかれていた


「かわええなー。2年生って私らが始めたんといっしょやん」

「せやなぁ」

私は手紙を見つめ

胸がジーンとした

自分のプレーをみてそんなこと思ってくれてる人がおるやなんて・・・

「あ、ちなみにこの子はあやちゃんっていうねんで。彩ちゃんと字がおんなじやから嬉しそうにしてたで」

「ほんまか?」

「これ、彩ちゃんとあやちゃんかなー?」

「えーそうなんかぁ?」

そう言って私はその子が書いた絵をまた見つめ

「あ・・・」

固まった

「え・・・」

美優紀もその絵を見て驚く

「「・・・」」

私らは顔を見合わせる


「これって・・・」

「あぁ・・・私らとおんなじ少年野球や・・・」

あやちゃんって子が書いた絵のユニホームのロゴは

私らの少年野球のロゴやった

「なぁ彩ちゃん・・・お願いがあるんやけど」

「ん?」

「このボール・・・あやちゃんにあげてもええ?」

「え?」

「このホームランボールな、あやちゃんのお父さんが取ったんやって」

「そうなんか?」

「でも、大会の人が来て彩ちゃんに渡すからって持って行ってしもたみたいで・・・あやちゃん泣いててん」

「・・・そうなんや」

私は美優紀を見る

美優紀にあげるって決めてたんやけどなー・・・

まぁでも美優紀が渡したいっていうなら・・・

「ふふっ。そんな顔しない。私はホームランボールより嬉しいもんもろたから」

「え?」

なんやそれ?

私は首をかしげる

「もーわからへん?」

美優紀はくすっと笑って・・・

私に近づく

「・・・へ?」

「・・・それは・・・彩ちゃんでーす」

そういって私にきゅっと抱きついた

「彩ちゃんが好きってゆうてくれたんが一番のプレゼントやで。それに、ホームラン打った本人やしボールもらわんでも、もろたようなもんやで」

な・・・

なんじゃそりゃ・・・

というか・・・

可愛すぎやろ

心臓の鼓動がうるさくなる

そして

それが勢いをつけるように

私の理性を吹き飛ばした

「・・・」

私は美優紀の肩にそっと手を置き

ゆっくり自分の体から離す

「・・・美優紀」

「彩ちゃん・・・」

私らは見つめ合い

そして・・・


「美優紀ー」

部屋の入り口から声が聞こえて

勢いよく戸が開く

その瞬間に

私らはバッと離れる

「メロンこうてたのに出すん忘れてたんよ。今からでも食べへん?」

「そ・・・そうやね。食べようか。なぁ彩ちゃん」

「お、おう」

私らはぎこちなく笑う

「ほな今から切るな」

おばちゃんは満面の笑みで私らを見つめていた

初恋の行方とプレイボール Another story57

好きや・・・

その言葉を聞くのに

どれだけ待ったんやろう

ずっと・・・

ずっと聞きたかった言葉を

彩ちゃんが驚くほどさらりと言ったから

私は一瞬なにがおこったかわからへんかった

理解した瞬間に

涙が止まらへんようになった

小さい頃から今までの私の想いが

やっと実った瞬間やった

彩ちゃんは泣くなってゆうて

優しく抱きしめてくれた

嬉しくて、嬉しくて・・・

でも、そのせいで涙が止まれへんかった

好きって台詞をもう一回聞きたくて

ゆうてくれな泣きやまへんっていたずらっぽくゆうてみたら

彩ちゃんは何度もゆうてくれた

でも

嬉しすぎて

涙が止まるはずもなく

ずーっと私は泣いてた


「いけるか・・・?」

「うん・・・」

泣きやんだ頃には

もう当たりは暗くなってた

「おそうなってしもたからおばちゃん心配してるんちゃうか?」

「う・・・うん・・・」

私は彩ちゃんからゆっくり離れ

鞄から携帯を取り出す

お母さんから着信が何件もかかってた

「あー・・・そうみたい」

「でも、その顔見てもおばちゃん驚くんちゃうか?」

「あー・・・帰ったらすぐにお風呂かな」

そういって苦笑いをした

「ほな帰るか」

「う、うん」

「キャッチボールするんは明日やなー」

「そうやね」

そういって私は鞄にグローブとボールを入れる

「リストバンド、ちゃんと持ってるか?」

「う・・・うん」

なんか改めて言われると恥ずかしいから俯きながら返事した

「・・・美優紀」

そんな私の目の前に

彩ちゃんの掌がスッと現れた

「え・・・?」

私は顔を上げる

「・・・帰るで」

彩ちゃんも照れくさいのか

そっぽを向きながら言う

暗いからわからへんけど・・・顔赤いんやろうな

「うん!」

私はクスッと笑って

彩ちゃんの手を握った

久しぶりに握った彩ちゃんの掌は

前よりもマメができてて硬かった

でも、めっちゃあったかくて

私の胸の奥まであったかくなってた


あーあ

河川敷から団地までの距離が

もっと長かったらよかったのに・・・

ずーっと繋いでたいやんなぁ・・・


――――――

「ただいまー」

「おかえりー。セーフやセーフ!もうあとちょっと遅かったら食べごろ逃してたで」

お母さんが慌てて玄関で靴を脱ぐ私らをせかす

「もーわかった」

そういって私らはキッチンに向かう

なんかご飯出すんに夢中で

私の目が腫れてるんとかあんまり気にしてないみたいや

心の中でホッとした



「うまっ!やっぱりおばちゃんのご飯は最高や!」

彩ちゃんは私の隣でお母さんの料理をがつがつと食べてた

「あ・・・」

「ん?」

彩ちゃんは不思議そうにもぐもぐと口を動かす

「もーご飯粒ついてるで」

そういって私は彩ちゃんのほっぺたについたご飯粒を取る

「あぁ・・・すまん」

彩ちゃんは少し照れくさそうにして

またご飯をかきこんだ

「ふふっ。彩ちゃんご飯おかわりいる?」

「はい!」

お母さんはにこにこしながら彩ちゃんからお茶碗を受け取って

炊飯器の方に向かった



隣に彩ちゃんがおって

お母さんがご飯ついで・・・

なんか・・・懐かしいなぁ・・・



私はにやけるのを隠すために

ハンバーグを頬張った

初恋の行方とプレイボール Another story56

はぁ・・・

なんで言えんねん・・・


薄暗くなる河川敷で

私は土手を降りて行く美優紀を見つめていた

おばちゃんから美優紀が昔から好きやって事を聞いてから

なんか

意識してしもて顔見るんも恥ずかしくなってしもた

それに

さっき不意に抱きしめてしもたから

余計にドキドキしてしもたやんか

でも

おばちゃんのゆうてたことは

親友ってことかもしれへんし・・・

あーもう・・・どないしたらええんや・・・

「彩ちゃーん」

美優紀が下で手招きをする

「おう・・・」

私はのそのそと下に落りる

「久しぶりやなー」

そう言いながら美優紀は鞄からグローブとボールを出して

「彩ちゃんがおらん間に私やって成長してんでー」

そういってにこっと笑った

「・・・ほな、どれだけうまくなったか見せてもらおか」

私は美優紀の鞄の横に自分の鞄を置こうとして・・・

赤いハンカチみたいなんが落ちてるんに気づく

美優紀のか?

薄暗くて落としたん気づかへんかったんやろか?

「・・・あ」

何気なく手にとって

固まった


私が拾ったのはリストバンドだった

今、左腕につけてるのと一緒の・・・

美優紀がくれたリストバンドと・・・

何気なく裏返すと

「MIYUKI」って刺繍が入ってた


あ・・・そういえば

美優紀がいつかくれた写メにうつってたのって

これか・・・?

ん?てことはお揃い?

ペアってやつか?

私は美優紀の方を見る

準備運動をしてて

私がリストバンドを拾ったことに気づいてないみたいや

私は、その横顔を見つめ

今、自分のしているリストバンドに目をやる


なんや・・・

離れてても

ずっと繋がってたんや

私のそばで

一番近くで

支えててくれてたんや


あぁ・・・これではっきりした

美優紀も・・・

私とおんなじ気持ちなんや


「・・・ははっ。・・・はははっ!」

私はなんか胸の奥がくすぐったくなって

嬉しくて

笑いが止まらなくなった

「え?ど、どないしたん?彩ちゃん?」

私がいきなり笑いだすから

美優紀が驚いてこっちを見る

「なぁ美優紀」

「何?」

「リストバンド、交換せぇへんか?」

「へ?」

美優紀はきょとんとしてるから

私はスッとリストバンドを見せた

「えっ!」

美優紀は驚いて

勢いよくこっちに走ってきた

そして、私の右手からリストバンドを奪い取る

「えっと・・・あ、あのな・・・彩ちゃんの買う時に私も欲しくなってこうてん」

もごもごと言うしぐさが可愛くて

私はくすっと笑う

「・・・」

美優紀は恥ずかしそうにむすっと口をとがらせてた

「なぁ美優紀」

「・・・なに?」

「好きやで。」

「え・・・」

自分でも驚くくらい

スッと言えた

あんなに言えんかったのに

やっぱりこの河川敷は特別なんかな・・・?

「美優紀のことが・・・好きや」

「・・・」

河川敷には

土手を走るバイクの音や話し声が遠くから聞こえていた

美優紀は息してるんか?ってくらい

目を見開いて固まってた

「・・・っ」

そんなこと思ってたら

美優紀の目から大粒の涙がぽろぽろとこぼれおちる

「お、おい・・・泣くなや」

「今の・・・ホン・・マ?」

美優紀は息を整えようとしながらしゃべる

「当たり前や。ホンマでなかったら、そんな台詞言えるか」

「・・・っ・・・くっ・・・」

美優紀の涙の勢いが増して

しゃくりあげてて言葉になってなかった

ったく・・・

しゃあないなぁ

私はそんな美優紀をみてフッと笑い

すっと腕を伸ばして

「さや・・・か・・・ちゃん・・・」

きゅっと抱きしめた

「泣くなって。美優紀に泣かれたら困るってゆうたやろ?」

「・・・だって・・・嬉しいん・・・やもん・・・」

美優紀は私の背中に腕を回し

きゅっと力を入れる

「私も・・・だい・・すき・・・っ」

ひくひくとしゃくりあげるのをこらえて

美優紀が言う

「おう・・・」

私は背中をなでながら

胸がじーんと熱くなるのを感じていた

「なぁ美優紀・・・」

「ん・・・?」

「ずーっと・・・待っててくれてありがとう」

「・・・なにそれ」

美優紀がクスッと笑う

「だって・・・告白するん・・・遅すぎやから・・・」

「じゃあ・・・待たせた分、もう一回ゆうて」

な・・・

なんやて・・・

私は恥ずかしさのあまり躊躇した

「・・・でなきゃ・・・泣きやまへんから」

う・・・しゃあないなぁ・・・

「・・・好きやで」

「・・・もっと」

美優紀が私の肩に顔をうずめる

「・・・大好きや」

「うん・・・もっと・・・」

きゅっと背中に回っている手に力が入る

「・・・めっちゃ好きやで」

「うん・・・っ・・・もっ・・・と・・・」

さらに腕に力が入り、私にきゅっと抱きつく

・・・こらこら

全然泣きやまんやんけ

ていうか、言う度に涙の勢い増してるやろ

「・・・さやか・・・ちゃん・・・っ・・・ぐすっ・・・」


あぁ・・・もう・・・


ホンマに泣き虫の女神様やで・・・


私の彼女はよ・・・


「・・・世界で一番・・・お前が好きや」

「・・・っ。・・・私も・・・さや・・・かちゃんが・・・」

「・・・おう。わかってるで・・・」

河川敷で

私らは、しばらく抱き合ってた

今度は私が、美優紀が泣いてるのを他の人から見えんように隠しながら・・・

初恋の行方とプレイボール Another story55

「「ありがとうございました!」」

私らは監督に頭を下げる

練習が終わって

私らはトンボが置いてある倉庫の方に走った

「あー彩や!」

「え?」

グラウンドの端で手を振る彩ちゃんの姿があった

今日早くこっちにこれたんや・・・

私は慌ててリストバンドを外してポケットの中に入れた

私はあの日以来、練習でも試合でもリストバンドをつけてて

もうそれがなかったら違和感がでるくらいになってた

まぁタイミングよく練習が終わってたからよかった・・・

ホッとして彩ちゃんの方に駆け寄った

「おう・・・お疲れ」

ん?なんか笑い方ぎこちなくない?

「彩ちゃん、今日早めにこっちこれたんやな」

「あ、あぁ。さっき美優紀の家行って荷物置かせてもろたで」

「そうなんや。彩ちゃんのおばちゃんテンションあがってたし、久しぶりに大阪戻ってきてたから家にくるん夕方くらいやとおもてた」

「まぁ昨日まで散々振り回されたからな。今日はもう早々に解放してもらったんや」

「ふーん・・・」

・・・やっぱりなんかぎこちないなぁ

決勝戦前に珠理奈たちに会ってたこと黙ってたん、まだ怒ってるんかなぁ?

んーでもみんなで謝って許してくれたはずやったんやけど・・・

もしくはお母さんがなんかゆうたとか・・・?

「きゃっ!」

そんなことをぼーっと思ってたら

後ろから勢いよく抱きつかれた

「何しに来たんすか?」

「百花ちゃん・・・」

私の腰に抱きついた百花ちゃんはじろっと彩ちゃんを睨む

「はぁ?大阪に帰ってきたんやから、元母校にくるんは当然やろ」

「ふーん。帰ってきたからってみるきー先輩は渡しませんからね」

「いやいや、いつから所有物になってんねん」

「ふふっ・・・」

「「え?」」

私が笑ったから2人は不思議そうな顔をする

「なんか懐かしいなぁ。2人が言い合いするん」

「「・・・」」

2人は照れくさそうに目線をそらす

「百花ちゃん、久しぶりにバッティング見てもらったら?」

「えーなんでですか」

「だって前は一緒に練習してたやん。な?」

「まぁみるきー先輩がそういうなら」

「な?彩ちゃんもええやろ?」

「まぁ・・・別にええけど」

「別にやったらせんでもええんですけどー」

「はぁ?人がせっかく見たるゆうてんのになんやねん」

「ゆうときますけど中学の時より打率上がってますからね」

「ほぉーほなさぞかしバッティングフォームもようなっとるんだろうなぁ?」

「まぁ山本先輩よりはいいんちゃいますか?」

「ゆうたな。ほな見せてもらおうやんけ」

彩ちゃんと百花ちゃんは言い合いをしながらグラウンドを歩いて行く

「なんやかんやゆうて仲ええんやから」

私はそんな2人の後姿をみながら微笑んだ


―――――

彩ちゃんと百花ちゃんの練習が終わるのを待って

私らはいつも一緒に帰ってた道を歩く

「百花のやつ、ええフォームになってたな」

「ふふっ。だって1年生で早々にレギュラーになってんで。素質あるよ」

「ふーん・・・」

「彩ちゃんが教えてくれた練習メニュー私らが中学卒業してもちゃーんとやってたみたいやで」

「・・・へーそうなんや」

彩ちゃんはそっけなくゆうてるけど

嬉しそうな顔は隠せてないで

「ふふっ。仲ええのに素直やない2人やな」

「な・・・・別に仲ようないわ」

「ふーん。こんな時間まで練習してたのに?」

「・・・それは・・・気づいたらこんな時間になってん」

彩ちゃんは口をとがらせる

時刻はもう夕食時や

お母さんから何時に終わるんって連絡来たくらいやで

まぁ夏やからまだ薄暗いくらいやけど・・・

私らはいつもの河川敷まで歩いてきてて

家までもうすぐやから

完全に暗くなる前には家に着くなー


「今日はお母さん特性ハンバーグやって」

「え?ホンマ?」

「彩ちゃんお母さんのハンバーグ好きやもんな」

「美優紀んとこのはマジでうまいで。あれ店出せるわ」

「ふふっ。ありがとう」

お母さんも彩ちゃんがそういうから、彩ちゃんがくるってゆうたらたいていハンバーグやったもんなぁ

そう思いながらクスッと笑う

「じゃあ早く帰ろう」

そう言って私はタッと走りだす

「危ない!」

「え?」

私は後ろを振り返る

彩ちゃんとの会話に夢中で、後ろから来てた自転車に気づかへんかった

「あ・・・」

でも・・・

私は

自転車と接触することはなかった

「気ぃつけぇ。あほ・・・」

彩ちゃんがとっさに私の腕をつかんで引き寄せてくれた

その勢いで

彩ちゃんは私を抱きしめる形になる

「・・・あ、ありがとう。えへへ・・・ごめんなー」

「お・・・おう・・・」

いきなりのことで慌ててしまって

私はパッと離れた

「「・・・」」

お互いぎこちなく

また歩き始めた

あーしもた・・・

なんかあのまま抱きしめられてたら

よかったんかなぁ

私は彩ちゃんを横目で見る

「・・・」

んー・・・

やっぱりぎこちない

それも抱きしめる前から・・・

今日ずーっとやん・・・

そうや!

「彩ちゃん!キャッチボールしよう」

「え?」

「帰ってきたら私の球受けてくれるってゆうたやんか。今日、百花ちゃんの練習ばっかりやったし」

「でも・・・おばちゃんは?」

「ちょっとだけやから大丈夫。それにお母さんハンバーグには力入れてるから生地寝かしたりとかして時間かかんねん。さっき作り始めるってゆうてたし。」

「え・・・あ、あぁ・・・」

「どうせその鞄の中、キャッチャーミットはいってんねやろ?ソフトの。」

私は、彩ちゃんが肩から背負ってるエナメルバックを指差して

にこっと笑う

「う・・・」

彩ちゃんは図星をつかれて

少し恥ずかしそうな顔をした

「ほら!行こう」

そういって私は土手から草をうまくブレーキがわりにして

下に降りて行った


きっとキャッチボールしたら

してる間に自然になるはずや!

ぎこちないんとか嫌やんな

初恋の行方とプレイボール Another story54後編

数日後――

「久しぶりやなー・・・」

私は長年住み慣れた団地を見つめていた


優勝した日

美優紀と会って写真撮った後

結局ろくに話しもできないまま

バスに乗せられ

宿舎に

そのあとは

親と関係者も含めた

祝賀会に参加


次の日は

高橋先生と中西先生のはからいで

メンバーらと神戸観光・・・

で、その翌日はメンバーも東京に帰ったから

いざ美優紀んところにって思ってたら

親に「お祝いやー!」って言われて

親戚たちと食事会の連続・・・

ちなみに親は決勝の日に試合観に来てて

大阪の親戚んとこに泊っててん

いろいろ振り回された挙句・・・

ようやく私は解放された

で、今こうして団地に来てるというわけや

「・・・」

自分が長年住んでいた部屋は

既に誰かの洗濯物がかかってて

寂しくなった

「あ・・・」

その下からベランダに出て来る人が見えた

「おばちゃーん!」

そういって私は手を振る

「あ!彩ちゃん!」

美優紀のお母さんも気づいてくれて手を振り返してくれた


―――――

「久しぶりやなぁ彩ちゃん。優勝おめでとう」

「ありがとうございます」

私は扇風機の回る居間で

正座をしてかしこまっていた

ぺこっと頭をさげて、差し出された麦茶を飲む

今日は美優紀のところに泊ることになってて

おばちゃんは掃除をしてたみたいや

荷物置かせてもろたらソフトの練習してる美優紀んところに行こうとおもてたんやけど

差し出された麦茶を飲まんわけにもいかへんし

少し涼むことにした


「いやーあのホームランは感動したわ。彩ちゃんとこのお母さんと叫んでしもた」

そういっておばちゃんは私の斜め前に座り、にこにこと笑う

「ありがとうございます」

なんか改めていわれると照れくさい

色白自慢のおばちゃんが日に焼けて少し黒くなっていた

球場に応援しに来てくれた証拠や

美優紀のおばちゃんは私の母さんとおんなじくらの歳やけど

めっちゃ美人やねん

そんなんゆうたら、うちの母さんはどないやねんって突っ込みがきそうやけど・・・

人懐っこい笑顔が美優紀と似てて

何十年かしたら美優紀もこんな感じにるんかなぁって思ったりする

「・・・もう野球しだして10年くらいになる?」

「あー・・・そうですね。もうすぐそれくらいになりますね。まぁ途中はソフトですけど」

「でも、ずっと河川敷で野球の練習してたんやろ?それがこの前の結果につながったんやなぁ」

「え・・・?」

「あ・・・」

私のきょとんとした顔に

おばちゃんはあわてて口を抑えた

「・・・」

そして、観念したのか抑えていた手を離す

「・・・美優紀から聞いててん。彩ちゃんがずっと河川敷で練習してるって」

「え?」

「小学校の時、美優紀が夜おらんようになってこっそり帰ってきたからどこ行ったか問い詰めたことがあってな。そしたら、彩ちゃんとお兄ちゃんがどこに行ってるか気になってこっそり後ついてったんやって」

「え?」

そんなことあったんか?

全然気づけへんかった

「そしてたら河川敷で練習してるの見て、黙って帰ってきたってゆうてたわ。きっと彩ちゃんも内緒にして欲しいはずやから黙っといてって言われてたんやけど・・・本人にゆうてしもた。あかんなぁ私」

そういっておばちゃんは苦笑いをする

そうか・・・

だから美優紀は

私が東京に行くか迷ってた時も

決勝戦前の時も・・・

あの場所に来てくれてたんや

『一番練習してるんは彩ちゃんと思うよ』

そうやって言ってくれたんは

知ってたからなんや・・・

「・・・」

「美優紀には内緒にしといてな」

そういっておばちゃんは苦笑いをした

「は、はい・・・」

そういって私はぺこっと頭を下げる

「でも、彩ちゃんが優勝したあとの美優紀の喜びようがすごくてなー。もうおかしかったわ」

「え?」

「彩ちゃんは秋葉女学院にいってよかったんやーって。えーっとピッチャーの珠理奈とかマネージャのー玲奈って子?のこともようけしゃべってくれてな」

「そ・・・そうなんですか?」

「もう、彩ちゃんが東京に行った時なんて落ち込み方ひどくてこの子いけるんかいなって思ったんやけどな」

「え?」

「あ・・・」

おばちゃんはまた余計なことをいってしまったとハッとしてた

「ようけ話してしもたから、美優紀に怒られるな」

「いえ・・・いけますよ。美優紀には内緒にしときます」

「・・・彩ちゃん。余計なことついでに、もうひとつ話してもええ?」

「は、はい」

「・・・ありがとう」

「え・・・?」

「美優紀と友達になってくれて、ホンマにありがとう」

「な・・・なんですかいきなり」

そういって微笑むおばちゃんの顔が美優紀とそっくりで

どきっとする

「美優紀の喘息が治ったんは彩ちゃんのおかげやから」

「そ、そんなことないです」

私はわたわたと手を振る

「あんな・・・彩ちゃんと出会う前、あの子喘息がひど過ぎて・・・死ぬかもしれんっていう時があってな」

「え・・・?」

「なんとか峠越えたんやけど・・・この子にいい環境をって思ってここに引っ越してきたん。ばあちゃんちから近いっていうんもあったんやけどな」

「・・・」

美優紀は以前、梅田近くの方に住んでたらしい

おばちゃんは女手一つで美優紀を育てるために

いくつもの仕事をこなしてたって

聞いたことがあった

私らが住んでるところは田舎の方で

完全に住宅街ってところや

そういえば、引っ越してきた当時は美優紀のおばあちゃんがよく来てたな・・・

「前住んでたところは排気ガスも多くて空気もよどんでたから。こっちは静かやし、空気も前と比べてええし。今も気にいってるんよ」

そういっておばちゃんは笑った

その笑顔が私の胸を締め付けた

そんなことがあったのに

私は・・・

美優紀を危険な目に・・・

「・・・ごめんなさい」

私は俯いて

膝に置いていた手をぎゅっと握る

「え?」

「だって・・・私・・・昔・・・砂場で・・・美優紀を・・・」

そう言いながら徐々に涙がこみ上げて来て

声が震えた

「もー・・・そんなん気にせんでええよ」

そういっておばちゃんは私に近づいて

そっと私の手に触れた

「おばちゃん・・・」

「昔の話しやん。今の美優紀見てみ?すっかり元気になって喘息ってなんですかーって顔してるやん。」

そういっておばちゃんはにこっと笑った

「おばちゃん・・・」

「それにな倒れた時、病室で美優紀がゆうたんよ。彩ちゃんともう遊べんようになるん?って・・・そんなん嫌やって。」

「美優紀が・・・?」

「うん。あの時、美優紀があんまりにも必死に言うもんやから・・・なーんか嬉しかった」

「え・・・?」

「彩ちゃんと会う前の美優紀はな・・・保育所行ってもすぐに風邪もろて喘息出て・・・ろくに友達もできへんまま入院ばっかりしてた・・・。結局、保育所もやめなあかんくて家か病院で過ごしてばっかりでな。家族以外で傍におったんは看護師さんが一番多いんちゃうんかってくらいやった。」

おばちゃんは昔を思い出してるのか少し目を伏せる

「あの頃は風邪ひくからお外でたらあかんよってゆうても素直に頷いてた・・・。美優紀は病気やからって・・・私はいっつもゆうてた。せやから・・・なんの疑問もわかんかったんかもしれへん。・・・小さい美優紀にとっては家の中と病院が世界のすべてだったんかもしれへん。でもな、ここに引っ越してきて・・・彩ちゃんに会って・・・あの子は変わってん。ちゃんとわがままゆうてん。」

「・・・」

「でな、美優紀が必死に頼むから・・・私も決心した」

「え・・・?」

「美優紀の喘息を何が何でも直すって。あの子の願いは普通の子とおんなじことやから。病気を理由になんでも抑えるのはやめようって・・・な。」

「おばちゃん・・・」

「まぁさすがに野球するってゆうたときは時は私も先生も驚いたけどな」

そういっておばちゃんは笑った

「でも、私らが野球してもええよって言うまで美優紀は絶対諦めへんってわかってたから。医者に駄目って言われても頼み込むつもりでおったんやけどな」

「え?」

私は首をかしげる

「彩ちゃんが野球、野球って楽しそうやって。私と遊んでくれへんから、私もするってずーっとゆうててんで」

「へ・・・?」

「美優紀が必死に何かを頼むのは彩ちゃんのことだけやで」

「な・・・」

顔が赤くなる私をみて

おばちゃんはにこにこと笑った

「美優紀は彩ちゃんのこと昔から大好きやねんで」

「・・・」

その台詞で

私の顔はさらに赤くなった

初恋の行方とプレイボール Another story54前編

「山本選手!今の気持ちをお願いします」

「松井選手、今日の縦スライダーは前田選手を意識したんですか!?」

激しいシャッター音とフラッシュの中

記者たちが詰め寄ってくる

「えー・・・っと」

私らは顔を見合わせて

緊張した面持ちで答えていた

胴上げが終わると

記者たちが一斉に押し寄せ

周りでは他のメンバーも囲まれててそれぞれにインタビューを受けていた

こういう時、どういう風にコメントしたらええんやろう?

「今の喜びを誰に伝えたいですか?」

「それは・・・」

美優紀や

私が今こうして野球出来てるんは

美優紀がいたからや

美優紀がいたから

東京に行って

このチームと出会って

優勝することができたんや

「大阪の幼馴染です。一緒に少年野球からやってきて私が東京に転校してからも支えてくれてました」

私の発言に記者たちは慌ててメモを取る

「ふーん」

珠理奈は私の方を見てにやにやと笑う

「なんやねん。珠理奈も言えや」

「ははっ。私は・・・」

そう言いかけた時

「はいはーい。じゃあそれくらいでいいですか?」

「中西先生・・・」

中西先生がにこにこと記者の間から割って入り

私の腕をつかむ

「え?」

「あんまり待たせちゃうと喜び、伝えそびれちゃうでしょ?」

「先生・・・」

「ほら、そうと決まったら走るよ」

そういってウインクをして私を引っ張る

「はいっ!」

私は力強く頷いた

「山本選手!山本選手にとって、その幼馴染の存在は?」

去り際に記者にそう聞かれ

私の脳裏に

微笑む美優紀が浮かんだ

「・・・大切な人です!とっても!」

そう・・・

世界中の誰よりも・・・


気づいたら笑って答えてた


私は中西先生に腕を引かれながら

夢中で走る


「いいねぇ・・・青春だ」

中西先生がそう呟いたのが聞こえた


――――


選手用の通路を抜け

私は球場の外に出る

そこには

「彩ー!」

まーちゅんらが手を振っていた

「ここ・・・関係者しか・・・」

そう呟いて

ハッとした

隣を見ると

「内緒ね」

そういって中西先生ニッと笑った


「彩!おめでとう!」

「もうテンションあがりまくったわ」

そういってまーちゅんや里歩らが駆け寄る

「おう!あそこで決めるんところがええやろ?」

冗談っぽくいって皆が笑う

その後ろに・・・

美優紀がいた

「・・・」

「はーもうしゃぁないなぁ」

「え?」

まーちゅんがスッと私の後ろにまわり

背中を押す

「え?な、なんやねん」

勢いよく押され

私は美優紀の前に立つ

美優紀もいきなり私が来たから

驚いて固まっていた

「押すなゆうたら?」

「「押すー」」

「な・・・」

まーちゅんの懐かしい台詞に

里歩、里香、ゆっぴが反応する

「てな訳で、みるきーと話ししなー」

そういってまーちゅんがニッと笑う

「な、なんでそうなんねん」

私は顔を赤らめる

「するなゆうたら?」

「「するー」」」

「逃げるなゆうたら?」

まーちゅんらは目で合図をして

「「逃げるー」」

そういって皆走りだした

「おい!こらっ!」

私は制止しようとしたけど

まーちゅんらは振り返って

「それが?」

「「俺ら!!」」

そういってニッと笑った

「なんやねん!!」

私の叫びは虚しく響いて消えた

そして・・・後ろを振り向くと美優紀が私を見つめていた

ったく・・・

目ぇ真っ赤やんけ

「どんだけ泣いてんねん」

「・・・だって・・・嬉しかったんやもん」

「嬉しいからってそんなに泣くか?」

私は苦笑いをして美優紀に近づく

「彩・・・ちゃん。優勝おめでとう」

「おう・・・ありがとう・・・」

私らは見つめ合う

今しかない!

「「・・・あのな!」」

2人の声が重なり

「な・・・なんや?」

「彩ちゃんこそ・・・」

照れくささが勢いを勝って言い出しにくくなってしもた

「彩ちゃんからゆうてや」

「いや、美優紀からいえや」

「・・・今日は彩ちゃんからゆうて。だって優勝したし、最優秀選手やし」

「なんやねんそれ・・・」

美優紀はじーっと私を見つめる

そんなに見つめんなや

照れるやんけ

でも・・・

今言わんと

「あのな・・・美優紀」

「うん」

「今日・・・優勝できたのは美優紀のおかげや。ありがとう」

「・・・ううん。彩ちゃんが今までずっと練習してきたからやで」

「いや・・・美優紀が励ましてくれんかったら・・・私は投げれんかった。下手したら野球辞めてたかもしれへんし、東京にも行けへんかったかもしれん」

「彩ちゃん・・・」

「いっつも、背中押してくれてありがとう」

「ううん・・・」

「でな・・・気づいたんや・・・」

「え・・・?」

「私は・・・」

言うで・・・

言うんや・・・

そう思ってぐっと拳を握った

その時

「おーいたいた!山本ー」

「え?」

振り返ると

大島先輩らが駆け寄ってきた

「せ・・・先輩」

「あー!叫んでた子だー!」

「あ・・・は、はい」

美優紀は大島先輩に照れくさそうにペコっと頭を下げた

「わーめっちゃかわいいじゃん。私宮澤っていうんだーよろしくねー」

そういって宮澤先輩がにこにこと美優紀に話しかける

う・・・なんか後ろで柏木先輩の殺気を感じる・・・

「あの・・・優勝おめでとうございます」

そういって美優紀も笑う

「いやーあの叫びで気合入ったよー」

「ありがとねー」

他の先輩らも美優紀を取り囲む

「みるきー。応援ありがとう」

「あんなに叫ぶからビックリしたよー」

そういって玲奈と珠理奈も美優紀の方に・・・って

「玲奈・・・今みるきーって・・・」

「え?うん」

玲奈はきょとんとしてる

「いや・・・だから・・・なんで美優紀のあだ名知ってんねん」

「あ・・・」

玲奈はハッとする

「おーなんだなんだぁ?山本見つかったのか?・・って、スタンドから叫んでた子じゃん」

高橋先生が美優紀を見つけてにこっと笑う

「私の幼馴染で渡辺美優紀っていうんです」

とりあえず私は美優紀を紹介した

「おーそうかそうか。あの叫びで皆気合はいったんだよーありがとなー」

「い・・・いえ・・・そんな」

「まーそんなに謙遜しなくてもいいって」

「よーし!みんな写真撮ろうぜー!」

そういって大島先輩が言う

「じゃあ私が撮ってあげるよ」

中西先生がひょこっと物陰から出てきた

おい、その場所って・・・

私らのやりとり全部見てたってことやろ!

白々しく出てきた中西先生を私はじろっと睨む

「はーい。じゃあみんな撮るよー」

中西先生はそんな私を見て

つっこまれないように皆に声をかける

「「はーい」」

私と美優紀は先輩らに誘導されて一番前になった

あーもう!なんでこうなんねん!

今なら言えるって思ったのに

むすっとしてる私の横で

「ふふっ・・・」

美優紀が笑った

「え?」

「もーそんな顔しない。ほら、笑って、笑って」

そういって私の頬をつんとつつく

「なんやねん・・・」

私は口をとがらせる

「私、秋葉女学院のみんな大好きやで」

「え・・・」

「彩ちゃんがこのチームと出会えて、優勝できて・・・私、めっちゃ嬉しいで」

「美優紀・・・」


「はーい!じゃあ撮るよー」

中西先生はデジカメを構えて叫ぶ

「ほら、彩ちゃん。笑ってー」

「・・・あー!もう!しゃあないなぁ!」


「いくよー!」

パシャ!

勢いよくフラッシュが光る

私の口元は・・・

もちろん

めっちゃ上がってんで!

◆最近の事…

どうも、しゅうです(^∇^)

クリスマスですねー

とりあえず昨日みるきーのCDは買いました笑

なんかタ●チ感が出てるMVで笑ってしまった

まぁ80年代アイドルな感じやからそういうんなんだろうけれど

マスターがパイプなのがタ●チっぽくて好き

あと勉強一緒にしてるところとか


というか、MVのみるきーかわいすぎ問題勃発です

えーなぁ( ´艸`)

個人的には自分の書いた小説の「不器用太陽」の感じで見てました

うーん・・・続編書こうかなぁ(・∀・)

とか思ったり


さて、わたくしクリスマスなので

コーヒーミルを購入してみました(^∇^)

まぁボーナスもでたんで自分のご褒美にちょいと買ってみようかなーと思いましてね

そんな大層な値段でもないんですが(^▽^;)

元々コーヒー好きなんですけど

小説で「珈琲店タレーランの事件簿」っていうのがありまして

その中でコーヒーミルを挽くシーンがあるんですよー

なんかやってみたいって思って買っちゃいました笑

結果・・・

買って良かった( ´艸`)

挽きたてって素晴らしい

コーヒーがうまい(*^▽^*)

まぁ腕は疲れますが、それもご愛嬌ですね(^▽^;)


で、そんなことしてましたらですね

年末なんで職場の方も急に忙しくなってまいりまして

急遽、出勤しなければいけなくなったりとかで

バタバタしておりまして・・・

あと親から今年は餅つくから手伝ってと言われまして笑

なんか田舎感が出まくってますけれども・・・(^▽^;)

年末の休みは家に帰らなければならなかったりと

意外と「あー年末やなぁ」と感じております


てなわけで・・・

小説の更新、一旦止まります

構成を練りたいっていう理由もありまして・・・

毎日読んでいただいてる方、すいませんm(_ _ )m

とりあえず

今年中の完結目指しますので

いつも0時更新だったんですけど

随時に切り替わるかもしれませんし

1日に何回か更新することになるかもしれません

「書けたかな―?」とふと思った時に覗いてやってください(^∇^)

よろしくおねがいしますm(_ _ )m

初恋の行方とプレイボール Another story53

ウゥゥゥゥーーーーー

試合終了のサイレンの音が聞こえて

私はもう涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた

彩ちゃんの逆転満塁ホームラン

ピッチャー姿も見れたし

彩ちゃんのことをずっと見てきた私にとっては

夢のような試合やった

あんまりにもできすぎてるから

ほっぺたつねって痛いから夢やないんやなって

こっそり確認したほどや

「彩マジですごいなぁ」

「やりよったで!」

「あっ!こっち来た!彩ー」

まーちゅんらも興奮しててグラウンドに向かって手を振る

私は不細工な顔になってるからハンカチで隠してたけど・・・

「おめで・・・とう・・・さやか・・・ちゃん」

声を詰まらせながら

泥だらけのユニーホーム姿の彩ちゃんを見つめていた


――――――

閉会式ではまたまた号泣

「みるきー・・・明日目ぇ腫れ過ぎて開かんようになるんちゃん?」

まーちゅんはハンカチやなくてポケットティッシュを差し出して苦笑いをしていた

「だっでぇ・・・さい・・・ゆう・・しゅう・・・せん・・・・・しゅ・・・」

「はいはい。もうしゃべらんでええから。鼻かみな」

「ごめん・・なぁ・・・」

チーーーン

勢いよく鼻をかみ

まーちゅんが私の横に設置してくれた小さなビニール袋にティッシュを捨てようとしたけど

すでにティッシュが山盛りになってたから

ぐいっと押しこんだ


「おー胴上げやー!ええなぁー」

式が終わると

監督らしき人が胴上げをされていた

でも

「あ、落ちた」

「え?」

監督が地面に落ちたから観客席はどよめく

「あ、起き上がった」

「タフやなー」

そんな話しをしてる横で

私は彩ちゃんが珠理奈に詰め寄ってるほうに目が釘付けやった

あーありゃさすがの彩ちゃんでも気づいたなぁ

そこに中西先生が近づいてきて

彩ちゃんがめっちゃ驚いてきょろきょろしてた

「あ・・・ネタばらしされたんやな」

そう呟いてチ―ンと鼻をかんだ

そのあと

メンバーが彩ちゃんを胴上げし始めた

「おー今度は彩かぁ・・・って・・・みるきー・・・もうティッシュないで」

「だってぇ・・・」

また私はぼろぼろ涙をこぼす

彩ちゃんめっちゃ嬉しそうなんやもん

ホンマにええチームや

ありがとう・・・

彩ちゃんのこと

支えてくれて

ありがとう・・・

私は宙に舞う彩ちゃんの笑顔を瞳に焼き付けていた


―――――

「あー・・・これはひどいわ・・・」

私はトイレの鏡の前でため息をついていた

彩ちゃんたちはインタビューとかがあるやろうから

出て来るまでに時間がかかるってわかってたから

その間に少しでも化粧で誤魔化そうと思ってたんやけど・・・

「化粧してもせんでも・・・これは泣いたってばれるわ・・・」

はれぼったく充血した眼を見ていた時

「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」

通路の方で鳴き声が聞こえた

「もう、仕方ないやんか。あれは山本選手に返さな。な?」

「だって・・・せっかく捕ったのに・・・取られた・・・」

私はトイレの入り口の方にそっと近づいた

あ・・・あの子や

通路の端で泣いている女の子と慰める父親

私は見おぼえがあった

準決勝で彩ちゃんのホームラン見て興奮してた子や

「どないしたん?」

「え?」

私が声をかけたので女の子はびくっとする

まぁ私も女の子に負けんくらい泣きはらした目ぇしてるから

かなり怪しい人やな・・・

「あ、ごめんな。私、山本選手と友達やねん」

私はその子の父親にペコっと一礼すると、女の子の前にしゃがみこんだ

「え?ほんまに?」

そう聞いてくる女の子の表情は明るくなった

「うん、そうやでー。ちいさいころからずーっと仲良しやねん」

「すごーい!」

そういって女の子はぴょんぴょんと跳ねる

「で、どないしたん?」

「・・・」

女の子は途端に俯いてしまう

「今日は・・・外野スタンドの方にいたんです」

父親が口を開いた

「山本選手ならホームラン打つって、だから捕るって聞かへんくて・・・1塁スタンドの方じゃなくてそっちで応援するってゆうてね」

「え・・・」

私は女の子を見つめる

彩ちゃんのファンになってくれたんや・・・

「で、9回裏のあのホームラン。本当に目の前にボールが飛んできて。捕れたんですよ」

「ホンマですか?すごーい」

「それで、閉会式は近くで山本選手を見たいからって1塁スタンドの方に移動してたんやけど・・・。そしたら・・・」

父親は女の子の方に目を向ける

「さっき大会の人が走ってきて・・・記念ボールだからすいませんって、持っていかれてしもて・・・」

「・・・せっかくお父さんが・・・捕ったのに」

女の子は目に涙をためていた

「でも・・・仕方ないわ。あのボールは山本選手にとっても大事なボールやから。な?」

「・・・うん」

女の子は俯いていた

「彩ちゃんのファンになってくれたんや。ありがとう。彩ちゃんにゆうとくな絶対喜ぶで」

私はにこっと笑った

「ホンマ?あのな!私、山本選手に手紙書いてん。おねぇちゃん渡してくれる?」

そういって女の子はピンクのかわいらしい封筒を差し出した

「うん。もちろん」

私は受け取り、何気なく裏がえす

「え・・・。さやか・・・?」

私は顔をあげて女の子の顔を見る

「え?私、あやって言うねんで」

「え・・・?」

私は封筒に書かれた名前を見返す

『川野 彩』

「かわの・・・あやちゃん?」

「うん」

女の子はにこにこと笑う

「ビックリしたー山本選手もな一緒の漢字やでー。さやかって読むんやけどな」

「えっホンマ?お父さん!名前一緒やって!!」

「名前は違うわ。漢字が一緒やねんで」

「ふふっ。でもすごい偶然。じゃあ渡しとくな」

「うん、ありがとう!あのな、あのな!おめでとうございますってゆうといてな!」

「うん、わかった。ゆうとくな」

「すいません。ほないくで」

「うん、おねえちゃんばいばーい」

「ばいばーい」

私はそういって手を振った




「みるきー」

後ろからまーちゅんの声が聞こえた

振り向くと

「あれ?中西先生・・・」

皆の後ろで中西先生がにこにこと立っていた

「これから彩んとこいくで」

「え?でも・・・彩ちゃんまだインタビューとかで会えんのちゃうん?」

「大丈夫なんやって!」

里歩ちゃんがニッと笑った

「もしかして・・・」

私は目線を里歩ちゃんから中西先生に移した

中西先生はにこにこしながら

人差し指を唇に当てて「しーっ」というポーズをした

この人って

ホンマに謎・・・

でも、彩ちゃんに会えるんならええか

私はあやちゃんからもらった手紙を

大事に鞄にしまった

あ・・・リストバンドも外さな

バレたら恥ずかしいやんな・・・
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