気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2015年01月

◆あとがき

『初恋の行方とプレイボール 修学旅行編』を読んでいただきありがとうございました(^∇^)


ちなみに今回舞台にした修学旅行の土地に住んでいるわけではないので

変なところがあってもご容赦ください・・・(;´▽`A``

一応それぞれの観光地にはいったことあるんですけどね

記憶曖昧ですけど…何せ小さい頃ですから(^▽^;)

参考資料で京都関連のサイトとか旅行本とか見てたから

作者、京都に行きたくなりました笑

ちなみに伏見稲荷に行きたい・・・そして京都の喫茶店でコーヒーが飲みたい

今回の話しに全然入ってないけれど笑



個人的には奈良の大仏とシカせんべいのくだりが書けたので満足笑

ただ、シカせんべいをフードの中に入れるのは止めてくださいね笑

よってくるのかな?でも来たら来たで危ないですから、ホント(;´▽`A``

でも鹿の勢いがえげつないのは本当・・・

そしてシカせんべい無くなるとスッといなくなるのもまた無情ですな笑

今回は4人の学校生活を書きたかったんですよね

皆でワイワイ、ギャグテイストな感じで

玲奈も手術して普通に学生生活が送れるようになったという設定でしたし

そして高2と言えば修学旅行だろう!となったわけです

もともとこの話は本編を書いてる時から考えてまして

another story編よりも前に案として出来てたんですねー

なので、のちに京都で野球する予定となる小谷を伏線として置いておりました

だから秋葉女学院のみんなは全国大会でみるきーとしか会って話しをしていないんですよー←ドヤ顔

で、京都でも野球をするっていう

愛すべき野球バカたちなのです笑

この話のじゅりれなはかなりソフトなので

甘々を期待していた方には物足りなかったのかもしれません

すいません(;´▽`A``

でも、今回は玲奈にヤキモチを妬かせたかったので書けて満足です笑

さやみるきーもかなりゆるめですが

じゅりれな好きの人もさやみるきー好きの人も読んでいただけたら嬉しいなぁと思ったり

『初恋の行方とプレイボール』本編を書いてる時は

まさか続編を2作も出す作品になるとは思っておりませんでした

本当に読んでくださってる皆さんに感謝です

ありがとうございますm(_ _ )m

今後も続編はあるのか・・・は、作者の気分次第ですが・・・

ご要望があれば書くかもしれません(・∀・)



さて、次はさやみるきーの『不器用太陽』の続編書こうと思っております

更新まで少しお待ちくださいねー

本編の連載から間があいているので

よければもう一度読み返していただけると

続編にスッと入って行きやすいかなと思います

それでは、次回の小説までお待ちくださーい(^∇^)

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑳終

――――――

修学旅行もいよいよ最終日となり

一同は大阪へと移動する

大阪では大阪城を見学した後、テーマパークで過ごす予定となっている

「やっぱり城はええわー」

気落ちしていた山本だったが大阪城を見てテンションが上がる

「でた、城好き」

そんな山本を見て珠理奈がぼそっとつぶやく

「ふふっ。でも、元気でたからいいんじゃない?」

玲奈はくすっと笑った

城に展示されている鎧や巻物などを見ながら珠理奈たちは歩く

最上階では大阪の街を一望できるようになっていた

「彩んちってどこらへんだったの?」

珠理奈が尋ねる

「あーここからは見えへんで。まぁあっちのほうかなぁ」

そういって山本は指差す

「へー・・・」

珠理奈は大阪の街を眺めながら

小谷との会話を思い出していた

―――――

「秋葉女学院の試合はホンマに鳥肌たったで!珠理奈のスピードと彩の変化球!それに最後の満塁ホームラン!もうホンマに興奮した!!」

夜の京都の情緒など感じさせないほど

小谷はきらきらと目を輝かせながら珠理奈に話しかけていた

道案内が始まってから、小谷は少年野球時代の事から中学のソフト部の事などを

ずーっとしゃべり続けており

今は全国大会の話しで

テンションは見る見る上がっていた

「そ、そう?里歩ちゃん・・・野球、好きなんだね」

「うん!」

小谷は頷き

「・・・でもな、こんなに野球が好きやって気づかせてくれたんはあの試合みたからやで」

「え・・・?」

「・・・私な、補欠やねん。1年からずっと・・・」

「・・・」

声のトーンが落ち、珠理奈は戸惑う

「しかも、彩たちにもそのこと言えてないねん・・・高校で野球するってゆうてしもた手前、未だに言い出せんねん・・・あかんやろ?私」

小谷は苦笑いをする

「里歩ちゃん・・・」

「・・・」

小谷はビルの隙間から見える夜空を見上げる

「彩は少年野球の時からピッチャーで頑張ってた。ソフトでキャッチャーに転向しても4番バッターで成績残してたし・・・。みるきーは最初身体弱くて、私と一緒の補欠やったのに、ソフトでピッチャーやって活躍して・・・。でも、私はなーんもパッとせんかった。正直、羨ましいとおもてた」

「・・・」

ぽつりぽつりと語られる小谷の話しを

珠理奈は黙って聞いていた

「親の都合で京都に引っ越すことになったんやけど。たまたま野球のある高校が近くにあってな。私、ここやったら活躍できるかもって思ってん」

「・・・」

「でも・・・そんなん甘かった。野球部員ようけおって、結局補欠。少年野球の時と一緒やなーって、何も変われへんなーって思っててん」

「・・・」

「でもな・・・あの試合が私を変えたんや」

そう言って小谷は珠理奈を見る

その目には曇りがなかった

「会場は完全に乃木女が勝つと思ってた。でも必死に守って、打って、皆が仲間の事を思ってて・・・スタンドからでも感じ取れた。だから、勝ってほしいって思った。彩がおるとかそんなんやなくて、このチームに勝ってほしいって思った」

「・・・里歩ちゃん」

「でな私、秋葉女学院と試合がしたいって思った!あのグラウンドで、思いっきり泥だらけになって試合したいって!」

「ホント?嬉しいな」

「うん!でな、気づいてん!私は勝手に落ち込んで文句言ってただけで腐ってたんやなって。補欠なんやったらもっともっと練習したらええんやって!彩やって、みるきーやってめっちゃ練習してたもん!」

「・・・そっか。頑張ってね。里歩ちゃん」

珠理奈は小谷のいきいきした表情に頬を緩ませた

「うん!あのな、私、今ピッチャー目指してんねん」

小谷は得意気にふんぞり返る

「え!?」

「えへへー彩には内緒にしといてな!補欠からまさかのピッチャー!かっこええやろ?私、決めてん!絶対なったるねん!でな、来年の全国大会でマウンドに立って彩が驚いてる顔見るんが今の私の楽しみやねん」

「ははっ。そりゃ彩驚くよ」

「やろー?私な、今は彩やみるきーのこと羨ましいや思てないで」

「え?」

「いつか、肩並べられるようになりたいっておもてる。」

「そっか・・・」

「あの2人は憧れでありライバルでもあんねん。あ、これも内緒やで」

「うん、わかった。内緒ね。」

そういって2人は「しーっ」と人差し指を立てて笑った



―――――

「なんやねん自分から聞いといて・・・あんまり興味ないやろ」

珠理奈がぼーっとしているので山本はむすっとする

「え?そんなことないよ」

珠理奈はハッとする

「ホンマかぁ?」

山本は眉をひそめ、珠理奈から目線を大阪の街に移す

(・・・里歩ちゃんに負けてられないよな)

珠理奈は山本を見てフッと笑う

「・・・ねぇ、彩。また大阪案内してよ」

「え?」

「だって自由時間は京都だったしさ。ね、いいじゃん」

「まぁ・・・別にええけど」

「決まり!じゃあ気合入れて練習しないとなー」

「え?」

「この全国大会の時は神戸の観光だったでしょ?だから、来年は大阪観光ね」

「珠理奈・・・」

「もちろん美優紀ちゃんも一緒にねー」

そういってニッと笑った

「お前はおちょくっとんのか真面目にゆうとんのかどっちやねん」

山本は少し感動してしまった自分が照れくさくなった

「まぁまぁ。でも、その意見は私も賛成やなー」

横山が言う

「私も」

玲奈もニコッと笑った

「・・・ったくしゃあないなぁ。珠理奈、帰ったらみっちり投球練習するからな」

「うん」

そういって2人はニッと笑った

「やれやれ、野球の事になったらめっちゃ仲ようなるんやから」

横山はフッと笑う

「ホントだね」

その横で玲奈も笑った

―――――

大阪城を後にし

テーマパークへと着く

「はーい。じゃあ集合時間まで自由時間です。時間になったらここにかえってきてくださーい」

先生の解散の合図で生徒たちは一斉に駆けだす

「玲奈ちゃんはどれくらいのアトラクションなら平気なの?」

「うーん・・・でも最近は走るのも少しならいいっていわれてるから乗れると思うんだけど・・・」

玲奈はそういって少し俯く

「あ・・・もしかして」

「乗ったことないから・・・激しいのはちょっと・・・怖い・・・かな」

もじもじと答える

「じゃあジェットコースター系はやめよう!ね!」

珠理奈はそんな玲奈にキュンとする

「ほな、ショーにする?」

「うん」

横山の提案に玲奈は頷く

「じゃあ行こうか」

そういって珠理奈は玲奈に手を差し出す

「え・・・でも・・・」

「大丈夫。みんな楽しんでるから気にならないよ。それに・・・」

「なに?」

「皆が何か言ってきたりしても、私が守るから」

「珠理奈・・・」

玲奈はスッと珠理奈の手を握ろうとした

その時

「あ、忘れてた!」

「「え?」」

山本の声に3人は驚く

「珠理奈!里歩から少年野球の時の話し聞いたんやろ?なんてゆうてたかまだ聞いてなかった!」

「今、このタイミングで言う?」

珠理奈は眉をひそめる

「なぁ、何ゆうてん!」

山本はそんな珠理奈にお構いなしに詰め寄る

「あ、美優紀ちゃん」

そう言って珠理奈は入り口ゲートの方を指差す

「へ?」

山本はとっさに振り返る

「玲奈ちゃん、行くよ」

「へ?」

そういって珠理奈は玲奈の手を握って走り出した

「あっ!珠理奈!」

山本は珠理奈にだまされたことに気づき顔を赤らめるが

「まんまとひっかかったな」

そういって横山が山本を見て笑う

「くっそぉ・・・どこいってん」

山本はきょろきょろしながら珠理奈を探す

「くくくっ・・・」

珠理奈は物陰に隠れて、そんな山本の様子を見ていた

「もー珠理奈ったら」

玲奈は珠理奈の隣で眉をひそめる

「ごめんごめん。でも、言ったら里歩ちゃんの計画の邪魔しちゃうからさ」

「計画?」

「んー来年わかると思うよ」

「え?」

玲奈は首をかしげる

「だからさ・・・来年も全国大会に連れて行くからね」

そういって珠理奈はニッと笑った

「珠理奈・・・うん、お願いします」

玲奈も顔を赤らめながら頷いた

「あっ!珠理奈ぁ!」

山本が珠理奈たちを発見し、走り寄ってくる

「あーもう、いいとこなのに・・・」

珠理奈は口をとがらせる

「ふふっ。見つかっちゃったね」

「玲奈ちゃん、もうちょっとだけ走れる?」

「うん」

珠理奈はまた玲奈の手を引いて走り出した

「待たんかい!」

「珠理奈ーそこ右やでー!」

山本と横山も後を追う

「はーい!」

「ふふっ。はーい」

珠理奈に腕を引かれながら

玲奈はくすっと笑った

「ねぇ、珠理奈」

「ん?」

「修学旅行って楽しいね」

「もちろん!最後まで楽しもうね玲奈ちゃん!」

「うん!」



アーケードを抜け

玲奈は空を見上げる

そこには雲ひとつない青空が広がっていた



こんなに楽しいのは

あなたが傍に居てくれるから・・・



そんなことを思いながら

繋がれた手のぬくもりを感じていた


FIN

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑲

――――
翌朝

「んー・・・」

山本は誰よりも早く目が覚める

「あー・・・やっぱり長風呂ってあかんわ。あの後の記憶が曖昧や・・・」

そう呟きむくっと起き上がり

部屋を見渡す

「な・・・」

山本は入り口の方を見て固まる

珠理奈と玲奈が布団をくっつけて寄り添って寝ていたのだ

「珠理奈のやつ・・・健全にってゆうたのに」

そういって布団から出ようとした時

「ん・・・彩?いけるん?」

隣の横山が山本の声で目を覚ます

「あ、あぁ。なんや、昨日はすまんかった」

「ええよ。玲奈がテキパキ看病してくれたから後でお礼ゆうときや」

そう言いながら寝ぼけ眼をこすり起き上がる

「玲奈が?」

「そうやで。まぁ私が引きとめて長風呂させてしもたから悪いんやけどな。ごめんな」

そういって苦笑いをする

「いや・・・まさか私ものぼせるなんて思わへんかったから・・・っていうかあの後どないなってん?それに、珠理奈と玲奈はなんやくっついて寝とるしよ」

「あー・・・それは彩にも原因が・・・」

「は?」

「もうろうとしてる彩が玲奈を押し倒してん」

「へ・・・?」

山本は間抜けな声を上げ

「ええーーーーー!!」

思いっきり叫んだ

「んー・・・?なに?」

「ん・・・」

その声で珠理奈と玲奈も目を覚ます

「彩?もう大丈夫なの?」

「あ・・・あの・・・」

山本は玲奈の方を見て真っ赤になっていた

「へ?」

玲奈はまだ眠そうな目でそんな山本を不思議そうに見つめ首をかしげた



―――――


「ホンマにすまんかった!」

山本は部屋で正座をして玲奈に平謝りをしていた

「もういいよ。彩ももうろうとしてたことだから」

「・・・その勢いで美優紀ちゃんも押し倒しちゃえばいいのに」

「はぁ?」

玲奈の横で珠理奈が嫌みを言ったので山本は眉をひそめる

「まぁまぁ。意図的にやったことちゃうし・・・な?」

横山はため息をつきながらなだめる

「ほなけど・・・」

山本の表情が曇る

記憶があいまいとはいえ、そういうことをしてしまったというのは事実なので

山本は自責の念に苦しんでいた

「美優紀ちゃんに言っちゃおうかなー」

「なっ!それだけは!」

珠理奈の発言に山本は敏感に反応する

「もー駄目だよ珠理奈」

さすがに玲奈が珠理奈の発言を注意する

「だってー」

珠理奈は口をとがらせる

「珠理奈もその後抱きついてたからええやん」

「・・・」

横山の発言に玲奈の顔が真っ赤になる

「ほれ、もう朝食の集合時間や。いくで」

そういって横山が促し

4人は部屋を出て廊下を歩く

「はぁ・・・」

とぼとぼと山本は一番後ろを歩く

玲奈はそんな山本を見て、歩くスピードを落とし

山本と肩を並べる

「そんなに落ち込まなくていいよ」

「でも・・・」

「大丈夫。それに、彩は私とみるきーを間違えちゃっただけなんだから」

「は?」

「その・・・抱きつく前に・・・美優紀って言ってたから」

玲奈は小声で言う

「な・・・」

山本の顔がみるみる真っ赤になっていく

「ふふっ。珠理奈たちには内緒にしとくね」

そんな山本の表情を見て玲奈はくすっと笑った

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑱

――――

そして、しばらくして・・・


「あー・・・もうのぼせるかとおもたわ」

「彩、風呂好きやーゆうてても意外と弱いんやなぁ」

そんな話しをしながら山本と横山が部屋に戻ってきた

「おかえりー」

「おかえり」

珠理奈と玲奈は横並びでくっついてテレビを見ていた

「ゆっくりできた?」

2人の様子を見て横山がニッと笑う

「うん、ありがとう」

にこにこと笑う珠理奈の横で、玲奈は恥ずかしそうに俯いていた

「あかん・・・」

山本は畳によろよろと寝そべる

「え?彩?あちゃー・・・ホンマにのぼせる一歩手前やったんやな」

横山が頭をぽりぽりと掻く

「大変!私タオル絞ってくるね」

「えーっと・・・」

珠理奈はスッと立ち上がった玲奈を見上げ

きょろきょろする

「珠理奈とゆいはんは布団しいて。あと高橋先生呼んできて」

「あ、うん」

「わかった」

玲奈の指示で2人は机をどかし

布団を敷く

「じゃあ行ってくる」

そういって珠理奈がスリッパを履こうとした時

「珠理奈」

玲奈が呼び止める

「何?」

「スポーツドリンクも買ってきて」

そう言って玲奈は珠理奈にお金を渡した

「う・・・うん」

珠理奈は玲奈の勢いに押されながら高橋先生がいる部屋に向かう

「なんか・・・さっきと全然違うんですけど」

照れてもじもじしている玲奈と

きびきびと動く玲奈の表情を比較して

珠理奈は苦笑いをした


―――

「山本!大丈夫か」

しばらくして珠理奈が高橋先生を連れて部屋に戻ってきた

「うーん・・・」

敷かれた布団の上で山本は唸り声をあげていた

玲奈はそんな山本の額にタオルを乗せ

自分の鞄に入っていたクリアファイルでパタパタとあおいでいた

「はー・・・さすがマネージャーだな」

高橋はその様子をみて感心する

「玲奈ちゃん。はい、これ」

珠理奈は頼まれていたスポーツドリンクを渡す

「ありがとう。彩、飲める?」

そういって玲奈は山本の肩を優しく叩く

「ん・・・」

山本はゆっくり起き上がる

玲奈はそんな山本を支えながらスポーツドリンクを飲ませる

「・・・」

「珠理奈、あれは看病や。ここでヤキモチ妬いたらあかんで」

むすっとしている珠理奈を見て横山が小声で言う

「・・・別にそんなんじゃないし」

「・・・そうか?」

なおも口をとがらせている珠理奈をみて横山は苦笑いをした

「先生、熱中症の時の対応にそってやってみたんですけど・・・合ってますか?」

「そうだな。その対応で大丈夫だ。もう少し様子をみて、それでも気分が悪かったら、また私に言ってくれ」

「はい、わかりました」

「それにしても・・・松井、すごいなぁ。感心しちまったよ」

「一応野球部のマネージャーですから・・・熱中症になった時の対応っていうの読んでたんです。のぼせたときも似たような感じなのかなとおもって・・・」

玲奈は照れくさそうに言う

「いやーマネージャーの鑑だねぇ。よかったなーお前ら松井がマネージャーで」

高橋はうんうんと頷き横山と珠理奈の肩を叩く

「そりゃ、玲奈ちゃんがマネージャーでなきゃ嫌ですから」

「ははっ。それは私も同感。玲奈、ありがとうな」

「あ・・・うん」

玲奈は照れくさそうに頷いた

「じゃあ、看病よろしくなー」

そういって高橋は部屋から出て行った

「うーん・・・」

玲奈に支えられたままの山本はまた唸りだす

「あ、ごめん・・・彩、今寝かすから」

「・・・美優紀」

「へ?きゃっ!」

そう呟いた山本は玲奈に抱きつく

山本の重みで玲奈はバランスを崩し

畳に押し倒される形になった

「あー!なにやってんだよ!」

珠理奈は山本を引き剥がす

「うーん・・・」

山本はわけもわからずそのままごろんと布団の上で大の字になる

「玲奈ちゃん、大丈夫?」

珠理奈は畳から玲奈を引き起こす

「え?う、うん・・・そ、それより彩のほうが・・・」

「そんなのいいの!」

そういって珠理奈は玲奈をぎゅっと抱きしめる

「ちょっ・・・珠理奈」

玲奈は真っ赤になって珠理奈の胸の中で暴れる

「あー・・・もう、ヤキモチ妬くなってゆうたのに」

横山は苦笑いをしながら

その様子を見ていた

――――

山本の看病は横山が交代し

珠理奈と玲奈は布団を敷く

「あー・・・だいぶ楽になってきた」

山本はぼーっと天井を見つめながら呟く

「へー。そりゃよかったねー」

珠理奈は嫌みっぽく言う

「・・・おう」

山本は珠理奈に対抗する気力はまだ回復していないのか

また目を閉じてうとうとし始めた

「まぁまぁ。そんなん言わんと。彩も回復してきたし、もうええ時間やし寝よか」

「そうだね」

玲奈は頷く

「どこで寝る?」

珠理奈は敷かれた布団を見渡す

山本は入り口から一番奥のところで横になっており

今まで寝ていた場所が変わることになるのだ

「あ・・・あの」

玲奈が口を開く

「なに?」

珠理奈は玲奈の方を見た

「珠理奈の隣で・・・寝ていいかな?」

そう言って顔が真っ赤になる

「玲奈ちゃん・・・もちろんだよ!なんなら一緒の布団でも!」

「こら、珠理奈。落ち着きぃ」

興奮する珠理奈を見て横山が笑う

「あ・・・ごめん。じゃあゆいはんは彩の隣でいい?」

「私はどこでもええで」

「じゃあ・・・玲奈ちゃん・・・どうぞ」

そういって珠理奈は入り口から一番近い布団の上に正座し

隣の布団に手を差し出し、玲奈を薦める

「う、うん」

玲奈は頷き

「・・・」

布団をずるずると珠理奈の方に寄せ

その布団の上に正座した

「え・・・?」

珠理奈はぴったりとくっつけられた布団から

ゆっくりと玲奈の方に視線をあげる

「・・・一緒の布団は恥ずかしいから・・・これなら・・・いいよ」

「玲奈ちゃん・・・」

「新婚旅行かい」

その様子を見ていた横山が思わずつっこむ

「新婚って・・・」

「・・・」

玲奈は真っ赤になって俯く

「はいはい、ほなそういうことで。でも、この部屋には私も彩もおるん忘れんといてな。変なことしたらあかんで」

そういって横山は笑った

「しないよ!健全だから」

「・・・」

珠理奈の発言に玲奈はまたさらに顔を赤くしたのだった

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑰

「あー・・・やっぱり広い風呂はええよなぁ」

露天風呂で岩にもたれながら山本は足を伸ばす

夜空には満月が煌々と輝いていた

「・・・」

山本はぼーっと月を見ながら

先ほどの事を思い出し

頬に触れる

温かい湯が

余韻を残し、スッと冷える

そう・・・まるで渡辺の唇が頬に触れた時のように・・・


「どうやった?キス。」

「へ!?」

いきなり横から声をかけられて山本はバッと離れる

「・・・そんなに驚かんでもええやん」

山本の勢いで露天風呂の湯が揺れ

顔にかかった水しぶきをぬぐいながら、横山は苦笑いをした

「す、すまん・・・」

今度はしぶきがかからないように、山本はゆっくり横山に近づく

「まぁ彩があんなにぼーっとするんはキスくらいやろと思てたけどな」

横山はニッと笑う

「う・・・でも、ほっぺたやし、ちゃんとしたわけやないで」

山本は口をとがらす

「ほっぺたでそんなになるんやったら、ちゃんとしたらどないなんねん」

横山は笑う

「う・・・うっさいなぁ」

「でも、美優紀ちゃんもやるなぁ。ひょっとしてご利益あったんちゃう?」

「え?」

「だって彩、神岩撫でてたやん」

「う・・・見てたんかい」

「そりゃもう、ばっちり」

横山はにやにやしながら言う

「・・・あ!せや、珠理奈に聞かなあかんかったことがあったんや!」

「え?」

「里歩が少年野球のときの話しを珠理奈にしたってゆうてたやろ?何ゆうてたか、聞こうとおもてたのにいろいろあってすっかり忘れてた!」

そういって勢いよく山本は湯船から立ち上がる

ザバッという水音と共に

山本の豊満な身体があらわになる

「相変わらず立派やなー・・・でも・・・」

横山は山本の手をつかみ湯の中に引き戻す

「な・・・なんやねん」

「今はあかんで」

「え?」

「もうちょっとだけ2人っきりにしたげな・・・な?」

そういって横山はウインクをした


―――――

「玲奈ちゃん・・・そろそろ顔見せてくれないかなー?」

「・・・無理」

「そんなこと言わずにさー」

珠理奈は苦笑いをする

触れるだけのキスをした後

玲奈は急激な恥ずかしさに襲われ

珠理奈に抱きついたまま離れなくなってしまったのだ

(うー・・・今は珠理奈の顔なんて見れないよ・・・)

玲奈は珠理奈を直視できなくて

抱きつくことで顔を見られないようにしていた

「もー・・・それなら・・・」

珠理奈はそう言って

「こちょこちょこちょー」

玲奈の脇腹をくすぐる

「きゃっ!あははっ!だめっ!」

玲奈は驚いて

バッと珠理奈から離れる

「やっと顔見せてくれた」

珠理奈はにこっと笑う

「う・・・」

玲奈は顔を真っ赤にして視線をそらす

「ねぇ玲奈ちゃん」

「なに?」

玲奈は視線をそらしたまま言う

「もう一回・・・していい?」

「え!?」

「お願い!ね?」

珠理奈は手を合わせて頭を下げる

「だ、駄目だよ!・・・そ、それにほら、お風呂入らなきゃ。ね?」

玲奈は言うやいなや珠理奈の横を通り過ぎ風呂場へと向かおうとした

が・・・

「きゃっ!」

慌てていたので畳ですべりバランスを崩す

「玲奈ちゃん!」

珠理奈は素早く玲奈を後ろから抱きとめる

「あ、ありがとう珠理奈」

玲奈はほっとしたが

同時に真っ赤になる

「ね・・・もう一回キスしていい?」

「・・・っ」

耳元で囁く珠理奈の声に

玲奈の全身の力が抜けていく

それを察知したのか珠理奈は玲奈を自分の方に向かせ

「・・・いいよね?」

素早く唇を奪った

「ん・・・」

部屋に玲奈の甘い吐息が響く

玲奈は力が抜けて座り込みそうになるのを

珠理奈に抱きついて必死に耐えていた


(やばっ・・・止まんないかも・・・)

そんな玲奈の声が珠理奈の理性を崩して行く

「玲奈ちゃん・・・」

ついばむようなキスを繰り返し

珠理奈の唇は耳へ・・・首元へ・・・

そして

珠理奈の手が玲奈の胸に触れる

「・・・っ!だ、駄目っ」

玲奈は真っ赤になりながら珠理奈をぐいっと押しのける

「あ・・・ご、ごめん」

珠理奈は玲奈が拒んだことで理性が戻る

「・・・」

玲奈はふるふると首を振る

「あ・・・あのね。嫌とかそういうんじゃなくて・・・ただ・・・」

「え?」

「傷が・・・まだ・・・その・・・綺麗になってなくて」

玲奈は俯き、胸のあたりで手をキュッと握る

「先生が二十歳までは皮膚が盛り上がりやすくて綺麗に治らないって言ってて・・・二十歳を過ぎたら形成外科で手術して傷跡が綺麗になるように治そうと思ってるの」

「あ・・・」

珠理奈は以前、合宿の時に見た玲奈の傷跡を思い出した

「それに・・・この前、手術したばっかりだから・・・前に珠理奈が見た傷跡よりも赤みが残ってて生々しくて・・・」

玲奈はぽろぽろと涙をこぼす

「え?れ、玲奈ちゃん?」

「見たら・・・引いちゃうかもしれないし・・・嫌いになっちゃうかも・・・しれないから・・・」

「・・・っ!」

珠理奈は勢いよく玲奈を抱きしめた

「嫌いになるわけないじゃん。引くわけないじゃん。その傷跡は、玲奈ちゃんが手術を頑張った証なんだから」

「珠理奈・・・」

「それに、玲奈ちゃんがここにこうして居れるのも手術を受けたからなんだから。その傷跡に逆に感謝したいくらいだよ」

「・・・ありがとう」

玲奈は珠理奈に身体を預け、背中に腕を回す

珠理奈は玲奈の背中をなでながら

自分がしたことを反省していた



「・・・」

珠理奈はスッと玲奈を離し

涙が流れた頬にそっと触れた

「・・・ごめんね。私・・・待つから」

「え・・・?」

「玲奈ちゃんがいいよって言うまで・・・待つよ」

「珠理奈・・・」

「それに、中西先生からも止められてるしね」

そう言って苦笑いをした

「あ・・・そうだったね」

玲奈もクスッと笑う

「だからキスまでで我慢するから」

「あ、やっぱり我慢なんだ」

「あ。いや・・・えーっと。今はキスで十分だから」

「今は?」

「えーっと・・・」

焦る珠理奈をみて

玲奈はくすくすと笑っていた

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑯

珠理奈たちは言われていた集合時間にも間に合い

旅館で食事を取る

京都で食べる最後の食事なので

豪勢な料理が並んでいた

山本はのそのそと食べる

「どうしたの彩?さっきから、なんか魂抜けてるよ」

「心ここにあらずやな」

そんな珠理奈や横山の言葉も耳に入っていないのか山本はぼーっとしていた

「あ、わかった」

珠理奈はハッとして

「美優紀ちゃんとキスしたの?」

山本に耳打ちする

「だ、誰がやっ!言っとくけど美優紀が急に・・・」

そういってハッとした

「へー・・・したんだ」

「お?何がや珠理奈」

「あのねー」

珠理奈が横山に言おうとする

「ちょっちょっと待てって!それにほっぺたや、ちゃんとしたわけやないで」

「へーほっぺなの」

珠理奈はニヤッと笑う

「・・・」

玲奈はなんとなく会話で何があったかを理解して、料理を食べながら赤面していた

「なに!彩!もしかして噂の大阪の彼女のこと?」

「京都に居たんじゃないの?もしかして大阪にこっそり行ってたとか?」

山本が大声で言うので他の女子たちも話しに加わる

「なっ・・・」

山本は顔を赤らめる

「ホントだったんだ大阪に恋人がいるって」

「えーショック」

「ねぇ、珠理奈は今付き合ってる人とかいるの」

「え・・・」

山本の話題からいきなり珠理奈に話しがシフトして珠理奈は困惑する

「こら、そこ!静かにしろ!」

「「はーい」」

高橋が一喝して女子生徒たちはまた食事を取り始める

「・・・」

珠理奈は横目でちらっと玲奈を見る

玲奈は何も言わず

頬を赤らめたまま

もくもくと刺身を食べていた


――――

「ったく・・・珠理奈のせいでえらい目におうたで」

山本は部屋でため息をつく

「まーまー。ええやん」

「ゆいはん、楽しんでるやろ」

「あはは。まぁ聞いてきてた女子はみんな彩の反応楽しんでたと思うで」

「はぁ?」

「まぁまぁ文句は風呂場で聞くわ」

「え?」

「ほな、私らは下の大浴場に行ってくるから。ごゆっくりー」

「え・・・ちょっゆいはん?」

「ほら、ごちゃごちゃ言わんと行くで彩」

横山は山本をせかし

山本は促されるまま準備をして部屋を出て行った

「・・・」

珠理奈は玲奈をちらっと見る

「・・・」

玲奈も珠理奈の方を見て

俯く

「あ・・・あのさ」

珠理奈は自分の鞄をごそごそとあさり

「これ・・・」

玲奈に縦長の箱を渡す

「え?」

「開けてみて」

「うん」

玲奈は包みをはがし

箱をそっと開ける

「あ・・・」

そこには水色のかんざしが入っていた

「これ・・・」

玲奈は箱から取り出し、ゆっくりかんざしを回す

水色の玉かんざしには

金魚の絵が描かれていた

「清水寺近くのお土産やで玲奈ちゃんが見てたやつと似てたから・・・まぁ私のお小遣いで買える範囲だけど」

そういって珠理奈は照れくさそうに笑う

「・・・珠理奈」

「内緒で買ったら喜ぶかなって思ってたら、そのせいではぐれちゃって・・・で、里歩ちゃんに会って旅館に案内してもらってたんだ。こんなことなら、ちゃんと呼びとめて皆で店に入ればよかったよね」

珠理奈は苦笑いをする

「ううん・・・嬉しい。ありがとう」

玲奈はかんざしを嬉しそうに見つめていた

「玲奈ちゃん・・・」

珠理奈は玲奈にゆっくりと近づき

抱きしめようとそっと手を伸ばす

「あ・・・ま、待って」

「え?」

玲奈は机の上にそっとかんざしを置くと

きょろきょろとあたりを見渡し

部屋のテラスに設置されている椅子をせっせと珠理奈の方に向け

自分がそこに腰掛ける

珠理奈はよくわからず首をかしげていた

「いいよ」

玲奈はかしこまって恥ずかしそうに珠理奈を見つめた

「へ?」

「だ・・・だって・・・その・・・さっき抱きしめようとしたんでしょ」

「う、うん・・・そうだけど」

「だから・・・その・・・座ったの」

「へ?」

珠理奈はますます意味がわからなくなり

すっとんきょうな声をあげる

「だ・・・だって・・・珠理奈抱きしめるとき・・・いつも私座ってるから・・・その・・・小柄な子がホントは好きなのかなって・・・思って」

玲奈はしゃべりながらみるみる顔を赤らめ、俯く

「・・・っ!はははっ」

珠理奈はそんな玲奈が可愛くて思わず噴き出してしまった

「わ・・・笑わないでよ」

玲奈は真っ赤になりながら言う

「ごめんごめん。玲奈ちゃんがあんまりにも可愛いこと言うからさ」

そういって珠理奈は玲奈の腕を引く

「え・・・」

玲奈は腕を引かれるまま立ち上がり

二人の目線が一緒になる

「私が好きなのは玲奈ちゃんだけだよ。サプライズでなにかしようって思ったのも玲奈ちゃんが初めてだし、それくらい・・・大好きだよ」

「珠理奈・・・」

「それに、身長が似てる方がキスしやすいし」

そういってニッと笑う

「もう・・・なにそれ」

玲奈は顔を赤らめて視線をそらす

珠理奈はそんな玲奈の頬に触れ

目線を自分の方に向けさせる

「嫌・・・?」

「ううん・・・」

玲奈は首を横に振った

「大好きだよ・・・玲奈ちゃん」

「うん・・・私も」

2人はゆっくりと唇を重ねる

「ん・・・」

玲奈は珠理奈の背中に腕を回し

きゅっと制服を握った・・・

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑮

――――

5人はその後

白峯神社に来ていた

「やっぱり最後はスポーツの神様やで」

「球技っていったらここやからなー」

山本と横山が言う

白峯神社は「まり」の守護神が祀られていて

サッカー選手なども訪れる有名スポットである

球技や武道にもご利益があるとされている

「新人戦は出れんかもしれへんけど・・・絶対部員集めて、来年の夏も全国大会行くで」

「そうやな。部長として私もしっかりせんとあかんし」

「うん。中西先生とも約束したしねー」

「私も彩ちゃんたちに負けんようにソフトの全国大会で優勝目指すでー」

皆、めいめいに言いながらお参りをする

「・・・」

玲奈はスッと目を閉じ

(来年も皆が怪我なく野球ができますように・・・)

そう願っていた



――――――

お参りもすみ

お守りも買った5人は宿に帰るために京都駅に向かっていた

「今日はありがとう。楽しかった」

電車の中で渡辺が言う

「せっかくやからちょっと彩とおったら?」

「せやなー。集合時間までまだ時間あるし」

「ううん。さすがにそこまでおるんも悪いし」

渡辺は首を振る

そんなことを話していると

電車は京都駅に着く

「彩、いいの?」

珠理奈が耳打ちする

「う・・・」

「ほな、みんなありがとう」

改札前で渡辺は手を振る

「み、美優紀!」

山本が叫ぶ

「え・・・なに?彩ちゃん」

山本は後ろに居る珠理奈たちに目をやり

「ちょ、ちょっとだけ時間くれ・・・すぐ戻るから」

「「ごゆっくりー」」

珠理奈たちはにやにやと手を振り

山本を送り出した


―――――

山本と渡辺は京都駅内を歩く

「彩ちゃん?」

山本はきょろきょろとあたりを見渡しながら

エスカレータに乗り

足を止めた

「夕方でもやっぱり寒いなぁ」

渡辺はそう呟く

2人がいる場所は

複合施設との通路になっている場所で

建物の外だった

そこからは

京都タワーが見えており

数人が写真を撮ったりしていた

「ちょっとええか・・・」

山本は写真を取り終えた人たちが去るのを確認して

すたすたと歩き、ガラス柵の手前まで移動する

「なに?」

「・・・これ、やるわ」

「え・・・?」

真っ赤になりながら、山本は小さな長方形の包みを渡辺に突き出す

「開けてもええ?」

渡辺はそんな山本の様子にクスッと笑う

「お、おう」

「あ・・・」

包みを開けると

ピンク色ガラス玉のかんざしが入っていた


「きれーい・・・」

渡辺はかんざしを回し、ガラスに描かれた白い花の模様を見つめる

「そ・・・その・・・なんや。京都やし・・・あんまりそんなん自分で買わへんやろ?美優紀ピンクすきやから・・・お土産それがええかなー・・・って」

山本はもごもごと言う

「彩ちゃん。ありがとう」

「お、おう」

「じゃあ浴衣にこれ合わせてつけるから。来年の夏、一緒に花火大会行こう」

「お、おう・・・あ、でも野球・・・」

「もー・・・じゃあ試合が終わった後にある花火大会な」

渡辺はクスッと笑う

「おう!」

山本もニッと笑う

「・・・」

渡辺は周りに誰もいないことを確認し

「あ、京都タワーライトついた」

「え?」

渡辺が指をさすのにつられて

山本は京都タワーの方に目をやる

が・・・ライトはまだ着いていなかった

「なんやねん、まだ着いてな・・・」

そういって渡辺の方に向こうとした時

「へ・・・?」

頬に温かいものが触れ

間抜けな声をあげて

固まる

山本の頬には渡辺の唇が触れていたのだ

「な・・・な・・・」

山本の顔は先ほどよりも真っ赤になり

もはや汗をかくんじゃないかというくらいになっていた

「えへへー。お土産のお礼」

渡辺は顔を赤らめながら、いたずらっぽく笑った

「・・・」

山本はまだ状況を理解できておらず

どう言葉にしたらいいのかわからないのか

口をぱくぱくしながら

自分の頬を触って固まっていた

「・・・冬帰ってきた時は彩ちゃんからしてな」

「へ・・・?」

山本は渡辺が何を言ったか理解できず固まったままだった

「もー・・・まぁそういうとこもろ好きやけどな」

渡辺はそんな山本を見てクスッと笑った


――――

「お、戻ってきた」

1階の売店でお土産を物色していた珠理奈たちのところに

山本と渡辺が合流する

「いいこと・・・あったんだね」

にこにこと笑う渡辺と照れくさそうにそっぽを向いている山本を見て

玲奈はクスッと笑った


「ほな、みんなありがとう」

「またねー」

「気をつけて」

「また東京にも来てやー」

「・・・またなー」

山本はまだぼーっとしながら

手を振っていた

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑭

パンッ!

珠理奈のボールが軽快なミット音を響かせた

「わー・・・ホンマに早い」

渡辺は呟いて

再び構える

パンッ!

バットは空を切り

再びミットにおさまる

(今度こそ・・・)

渡辺は構え

カンッ!

ボールはグラウンドを跳ね

後ろで構えていたメンバーによって取られる

「今のはセカンドゴロってところかなー」

そういって珠理奈がニヤッと笑う

「うー・・・悔しいけどスピードあるから打ち返すんで精一杯やわ」

渡辺は口をとがらせる

「まぁあのスピードは私も認めるからな」

そういって山本はマスクを外して笑う

「・・・彩ちゃん。どっちの味方?」

先ほどまで「でっかいん打てよ」とか言っていた山本が

にこにこと珠理奈を褒めているので

渡辺はじろっと山本を見る

「え?」

山本はきょとんとする

「・・・キャッチャーバカ」

そう呟いて渡辺は苦笑いをした

「え?なんや?」

渡辺が呟いたことが聞きとれず

山本は首をかしげる

「なぁ!次、彩投げてやー」

珠理奈の後ろで守備をしていた小谷が山本の方に駆け寄る

「え?」

「ええやん、彩の球も見たいし」

「私もー」

小谷の提案に渡辺も賛同する

「彩、いっちょやるか」

そういって横山は山本に近づきニッと笑う

「しゃっ。ほな、やろか」

そういって山本はキャッチャーマスクを横山に渡して笑った

パンッ!

パンッ!

「おー珠理奈のストレートもいいけど、彩の変化球もええなぁ」

小谷はバッターボックスで興奮する

「里歩。感心しとらんでちゃんと構えんかい」

「はーい」

小谷は嬉しそうにバットを握って構えた


野球は盛り上がりを見せ、気づけばあっという間に時間が過ぎていた


「あーこんな時間や。そろそろ行かんとお参りできへんようになるで」

グラウンドに設置されている時計を見て横山が言う

「そうやな、そろそろ行くか」

山本も頷く

「みんな、ありがとう!めっちゃ楽しかった」

「ありがとう」

小谷とその部員たちは珠理奈たちのところに駆け寄り握手をする

「ここの片づけやっとくから、彩たちは京都観光してきて」

「え・・・すまんな」

「ええて、そんなん。付き合ってくれたんやから当たり前や。あ、みるきーもやで。わざわざ大阪から来てくれたんやから」

「え・・・ええの?なんか、ごめんな」

山本たちは申し訳なさそうな顔をするが

小谷は首を振り

にこにこと笑っていた



珠理奈たちは着替えて制服姿に戻る

「里歩ちゃん」

珠理奈がグラウンド整備をしている小谷に駆け寄る

「・・・頑張って」

「うん!ありがとう。私、頑張るな!絶対来年全国行くから。その時、勝負しような」

「うん」

そういって珠理奈と小谷は握手をして笑った



―――――

「ほななー。今日はありがとう!!」

ぶんぶんと手を振る小谷と部員たちに手を振りながら

珠理奈たちはグラウンドを後にした

「さ、予定は変わってしもたけどお参りいこか」

「おう」

「せっかくだから美優紀ちゃんも一緒にまわらへん?」

横山が声をかける

「え?でも・・・」

「ええて。彩もその方が嬉しいやろうし」

「な・・・何ゆうてんねん」

山本は顔を赤らめる

「そうだよ遠距離なんだから、せっかくだし」

「でも・・・」

「みるきーも一緒に行こう。ね」

珠理奈と玲奈も賛同する

「いい?」

渡辺はちらっと山本を見る

「・・・明日のテストに響かんのだったらええで」

山本は顔を赤らめながら言う

「・・・うん!」

渡辺はきゅっと山本の腕に抱きついた


―――――

渡辺を含めた5人は電車に乗り

神社を目指し歩き始める

「・・・」

「・・・」

珠理奈と玲奈はぎこちなく隣を歩く

誤解は解けたのだが

どう切り出していいものか2人ともわからず

ただただ歩いていた


「ついたで」

そういって横山が言い

玲奈は顔を上げる

「え?」

そこは思っていたところと違う神社だった

「ここは?」

玲奈は首をかしげる

「ここは釘抜地蔵があんねん」

「釘抜き・・・?」

「珠理奈が行こうってゆうてんで」

「ゆ、ゆいはん!」

珠理奈は慌てて声を上げる

「ええやん。昨日、北野天満宮に行ったときにな、珠理奈にここがどういう神社が聞かれてん。苦しみを抜いてくれる神社やーってゆうたら、行きたいっていいだしてな。玲奈が撫で牛で胸撫でれんかったからって」

横山はニッと笑う

「珠理奈・・・」

玲奈は隣に居る珠理奈に目をやる

「・・・ほ、ほら。玲奈ちゃん手術後も傷が痛むって言ってたし・・・それに撫で牛もちゃんと撫でれなかったし・・・」

珠理奈はもごもごと顔を赤らめながら言う

「優しー。珠理奈ええとこあるやん」

渡辺がにこにこと笑う

「と、とにかく!行こう」

珠理奈は照れくさくなって足を進める

「ええ恋人やな。玲奈ちゃん」

渡辺は玲奈に微笑む

「・・・うん」

玲奈も照れくさそうに笑った


―――――

5人はお参りをし

玲奈は絵馬を購入する

「・・・美優紀も書くか?」

「え?」

「ほ、ほら・・・喘息治ったってゆうてもまた出てきたら困るし・・・」

「心配してくれてるん?あ、もしかしてお参りした時も祈ってくれたりした?」

「な・・・何ゆうてんねん」

「えへへー彩ちゃんのそういうとこ好きやでー」

「・・・はいはい。お二人さん、邪魔になるから向こうでやってやー」

横山は真っ赤になる山本を見て笑っていた


玲奈は絵馬を書く

珠理奈はその隣で本堂に奉納された絵馬を眺めていた

「・・・珠理奈」

「ん?」

「ありがとう」

「・・・ううん。玲奈ちゃん・・・その・・・ごめんね」

「ううん。私の方こそ・・・ごめんね」

「玲奈ちゃん・・・いいよ、それに修学旅行は楽しくしなきゃね」

「珠理奈・・・うん」

2人はにこっと笑い

絵馬を奉納した

その後姿を横山はにこにこと見つめていた

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑬

グラウンドで

玲奈以外の3人は準備運動をしていた

玲奈はグラウンドにあるベンチに座り

その様子を眺めていた

小谷から昨日のことのいきさつを聞き

今日野球をしてくれると約束してくれたことが嬉しくて珠理奈に抱きついてしまったということを知る

(昨日私が見てたシーンはたまたまその時だったんだ・・・)

玲奈は恥ずかしくて顔を赤らめていた

「玲奈ちゃんはマネージャーさんなんやなぁ」

「え?あ、はい」

小谷に話しかけられて玲奈はハッと顔を上げる

「えーなぁ。彩と珠理奈のプレーが近くで見れてうらやましいわ」

そういって小谷は玲奈の隣に座る

「そ、そうかな」

「そうやで!彩は少年野球ん時からセンス抜群やったし、珠理奈の球のスピードは女子野球会でもそうはおらんで」

そういって小谷は目をキラキラさせて玲奈に詰め寄る

「・・・野球、好きなんですね」

玲奈はそんな小谷の言動を見てクスッと笑う

「うん!もう今日めっちゃ嬉しくてな!テストヤバかったけどそんなん気にならへんわ」

「いや・・それは気にした方が・・・」

玲奈はにこにこする小谷を見て苦笑いをする

「おーい。いつでもええで―」

グラウンドで山本が手を振る

「はーい!」

小谷は嬉しそうにグラウンドに駆けて行った

「さ、私は出番が来るまでここで待とうかな」

そう言って今度は横山が玲奈の隣に座る

「・・・そういうことだったんだね」

玲奈は横山をちらっと見て言う

「すまんな。昨日珠理奈から小谷さんに会ったこと聞いてたんやけど。珠理奈の説明ではうまくつたわれへんとおもってな」

横山は苦笑いをする

「ちゃんと言ってくれたらわかったのに・・・」

そう呟き、玲奈は俯く

「まぁ、ええんちゃう?そんだけ好きってことなんやから」

「へ?」

「だって、ヤキモチ妬いてたんやろ?」

「え・・・?」

玲奈の顔が一気に真っ赤になる

「いやいや、どう考えてもそうやろ」

横山は笑う

「でもな、私が言うんもなんやけど珠理奈は玲奈にぞっこんやで」

「へ?」

「でなかったら、この修学旅行で珠理奈は何人もの女の子に手ぇ出してるで」

そういって横山は笑った

「そ・・・そんな言い方・・・」

「でも、昔の珠理奈はそうやったんや。玲奈、あんたが変えたねんで」

そういって横山はマウンドに居る珠理奈を見る

「女ったらしの不真面目エースから全国大会で優勝できるまでのエースに・・・な」

「・・・」

玲奈も珠理奈を見つめる

マウンドでボールを投げる珠理奈の真剣な表情に

玲奈はドキッとする

「まぁ野球バカになってしもたんは、あそこの熱血キャッチャーの影響かもしれへんけど」

「ふふっ・・・そうだね」

「玲奈、この後のことは2人に任せるわ」

「・・・うん。ありがとう。」

玲奈は静かに頷いた


――――

玲奈の誤解も解けて

元気を取り戻した珠理奈は

軽快にボールを投げる

パンッ!

「あぁぁっ!やっぱり速いなぁ」

小谷のバットは空を切り

マウンドで珠理奈はニッと笑う

他の部員たちも何度もバッターボックスに立ち

珠理奈の球を打とうと必死にバットを振っていた



「おった!里歩ちゃーん」

「え?」

聞きなれた声に、山本は驚いてキャッチャーマスクを取り立ち上がった

「美優紀!」

「彩ちゃーん!」

その女性は制服姿でグラウンドに向かって駆けだし

勢いよく山本に抱きつく

「わっ!な、なんでここにおんねん?」

山本は顔を赤らめながら女子高生を引き剥がす

「えへへー驚いた?」

そういって女子高生はにこっと笑う

彼女は渡辺 美優紀

山本の幼馴染で少年野球を共にし、現在はソフトボール部のピッチャーをしている

この夏、めでたくお付き合いをすることとなった彼女である

「学校は?」

「え?今テスト期間中やで?」

「はぁ?」

山本は首をかしげる

「彩ちゃんが転校して行ったあと、うちの学校2学期制になってん。せやから、今中間テスト中」

「はぁ?そうなんか?せやからって京都まで・・・」

「だって彩ちゃん、大阪では自由行動できへんってゆうてたし。京都まで行くってゆうてたら絶対来るなってゆうてたやろ?」

「う・・・」

山本は渡辺の発言に言葉を詰まらせる

「そしたら里歩ちゃんから京都で珠理奈に会ったって聞いて、しかも野球するってゆうたから私もとんできてん。なー里歩ちゃん」

「なー」

2人はにこにこと笑う

「なんか・・・してやられたって感じやわ」

山本はそう呟き、苦笑いをした

「でもな、私も実際肌で感じてみたかってん」

「え?」

「珠理奈の球、私も打ってみたいねん」

そういって渡辺は笑った



ジャージに着替えた渡辺はバッターボックスに立つ

「えへへーなんか、彩ちゃんの前に立つんって不思議やなぁ」

そういってマスクを外して立っている山本の前に立つ

「せやなぁ・・・いつもはあそこでおったからなぁ」

山本は珠理奈が立っているマウンドを見つめる

「せっかくやからヒットは打って帰りたいなー」

「ははっ。せやな。どうせならでっかいん打って珠理奈驚かしたったらええねん」

「あのーイチャイチャしてるとこ申し訳ないんですけどー投げてもいい?」

珠理奈がマウンドでにやにやしながら言う

「だ、誰がや!」

「えへへーマウンドからでもばれてるみたいやでー」

渡辺はにこにこと笑う

「う、うっさい!とにかく・・・美優紀!でっかいん打ったれよ」

そういって山本は赤くなる顔を隠すために慌ててキャッチャーマスクをつけ、しゃがむ

「うん!」

渡辺はぐっとバットを握り、にこっと笑った

初恋の行方とプレイボール 修学旅行編⑫

翌日、嵐山―――



「ふわぁぁっ・・・」

秋風を受けながら

珠理奈は眠そうなあくびをする


「お客さん寝不足ですかー?修学旅行だから夜、話しこんだんでしょー?」

人力車の俥夫が話しかける

「え?」

「あははーそうなんですよー」

隣の山本が珠理奈の代わりに答える

結局、昨日珠理奈と玲奈は話をすることなく布団に入った

誤解の理由を珠理奈が説明したところで

今、意固地になっている玲奈には何を言っても無駄だろうと言われ

逆にややこしくなるから何も話すなと釘をさされていたのだ

そのため、珠理奈の悶々とした気持ちは晴れることなく

なかなか寝付くことができなかったのだ

「あほっ。せっかくなんやから楽しまんかい」

小声で珠理奈に言う

「はー・・・ホントは玲奈ちゃんと楽しく人力車のってるはずだったのに・・・よりによってなんで彩なんだよ」

珠理奈はため息をつく

「悪かったな。私やってゆいはんのほうがよかったわ」

山本はムッとするが

珠理奈があまりにも覇気がないので、その怒りもすぐに冷める

「・・・まぁ、とにかく。ゆいはんがうまいこと話してくれてることを祈るしかないなー」

「そうだねー・・・」

そういって珠理奈は前を走る人力車を力なく見つめていた


渡月橋から始まり

人力車は竹林の道に入る

「すごーい・・・きれい」

玲奈は真っ直ぐと伸びる竹とその上から降り注ぐ太陽の光が織り成す風景に感動する

「なぁ、玲奈」

「ん?なに?」

「少しは落ち着いた?」

「え?」

「珠理奈の事」

「・・・別にどうもしないよ」

玲奈は俯く

「まぁ珠理奈の方は玲奈に冷たくされてえらい落ち込んでるみたいやけど」

「・・・でも。珠理奈だって、なんでかって理由も聞いてくれないし」

(昨日ちゃんと謝ってくれたら・・・私だって・・・)

玲奈は口をとがらせる

昨日そっぽを向いて話をしなかったので

今日、どう接していいのかわからなくなっていた

落ち込んでいる珠理奈を見て、申し訳ない気持ちになるのだが

見知らぬ女子高生と抱き合っている光景が頭をよぎり

またムッとしてしまう・・・

その繰り返しだった

そして、そんな自分に嫌気がさしていた

「私でよかったら、話し聞くで」

「・・・うん」

玲奈は俯きながらぽつりぽつりと話し始めた


人力車はその場所その場所の説明を交えながら

軽快に走る

珠理奈はもはや聞いているのかいないのかという状況

歴史好きの山本は俥夫と話しを楽しんでいた

そんなこんなで

4人は野宮神社に着く

「ここは縁結びで有名で、あの源氏物語にも出てましてですねー・・・」

俥夫の説明を聞きながら

「今、この状況で縁結びって・・・」

珠理奈は肩を落とす

「まぁコースやからな。それより珠理奈。昨日の私の見解でおうてるみたいやで」

横山が小声で珠理奈に言う

「えっ!ホント?」

「あぁ、まぁとりあえず珠理奈は余計なこと考えんと野球しいや。話しはそれからや」

「え?・・・うん」

「えーこの石は神石って呼ばれてて撫でると願いがかなうって言われてますー」

「珠理奈、なでとけ」

「・・・う、うん」

山本に押されて珠理奈は石に触れる

「あ・・・」

「・・・」

先に石に触っていた玲奈がスッと石から手を離し

すたすたとその場から立ち去る

「あ・・・すまん」

山本は苦笑いをする

「ううん・・・。ねぇゆいはん。」

「なんや?」

「昼、野球したら大丈夫なんだよね」

「あぁ、大丈夫やと思うで」

(・・・玲奈ちゃんと仲直りできますように・・・)

珠理奈はそう願いながら石をなでる

「なんか・・・えげつないくらい撫でてんな」

山本はそんな珠理奈をみて苦笑いをした

珠理奈が気のすむまで撫で終わった後

「・・・」

山本はそっと石に触れ2、3度撫でた


結局、珠理奈と玲奈は当初予定していた縁結びのお守りも買うことなく

野宮神社を後にしたのだった


―――
その後も4人は二尊院や清涼寺などを見て回った

「はい、ここで人力車ツアーは終了となりまーす」

渡月橋に戻り俥夫がにこにこと笑う

「ありがとうございました」

4人は礼を言い

近くの店で昼食をとる

珠理奈は斜め前に座っている玲奈の動向を気にしながら食事をし

山本と横山はこれ以上気まずい空気にならないようにその場を和ませようとしていた

ブーッ、ブーッ

山本の携帯が鳴る

「さ、行きますか」

山本が携帯を見てニッと笑う

「せやな」

そういって横山も笑った


――――――

「ねぇ・・・駅向こうだけど」

玲奈は3人が駅とは反対方向に行くので首をかしげる

「ええねん。こっちであってんねん」

「そうそう、今日一番の見どころスポットやで」

そういって山本と横山は笑った

珠理奈はただ黙って歩く

「えー・・・?」

玲奈は不思議そうな顔をしながらも後をついて行ったのだった


4人は公園に入り

なおも歩き続ける

「ねぇ・・・」

玲奈はどこに向かっているか再度尋ねようとした

その時

「おーやってるやってる」

山本がニッと笑う

「え?」

数メートル先ではグラウンドでキャッチボールをしている人たちがいた

「彩ー!」

そういって一人の女性がこちらに走ってくる

「あ・・・」

玲奈はその女性の姿を見てドキッとした

その女性は昨日珠理奈に抱きついていた女子高生だったのだ

「里歩、昨日は珠理奈が世話になったな」

「全然ええよ!今日こうして野球してくれるって約束してくれてんから」

山本はその女性と話しをする

「えー・・・っと」

玲奈は首をかしげる

「紹介するわ。私の大阪の時の同級生、小谷里歩や。今は京都に住んでて野球やってんねん」

「小谷里歩です。はじめましてー」

そういって小谷はにこにこと頭を下げた

「え・・・ええっ!」

玲奈は驚いて

しばらく固まっていた
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