気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2016年04月

◆更新のお知らせ

ども、しゅうです(^∇^)

風ぐるまもいよいよ最終章でございます

無事に美優紀には会えましたが

果たして、2人は屋敷から逃げることができるのか・・・

ってことで

また、しばらく休みます(・∀・)

ちょいと構成に時間かかっておりまして

お許しください(;´▽`A``

4月に終わらせたかったのだけれど・・・

5月に入ってしまいそうな予感・・・

1週間くらいしたらアップ出来そうだとは思うんですが・・・

それまで少々お待ちを・・・(^▽^;)

風ぐるま28

「あはは」

「もっと飲め飲めー」

家臣たちの声が遠くで聞こえる

「・・・」

美優紀はぼんやりと明かりがともる部屋で

天井を見つめながら

そんな声で目が覚めた

「・・・」

むくりと起き上がり

脱ぎ散らかされた着物をつかみ羽織る

そして

明かりの横に鏡を置き

乱れた髪の毛を直すために覗きこんだ

「・・・」

ぶたれた頬がまだうっすらと赤みを残していた

美優紀は視線を落とす

手には朱色の櫛が握られていた

「彩ちゃん・・・」

そう呟き

ぽたりと雫が落ちた


―――

「あなたは私の嫁になってもらいます」

「え?」

剣術大会の翌日

裏庭の掃除をしようと箒を手にしていた美優紀に

清吉が言った

美優紀は朝一番にそんなことを言われ

目を白黒させていた

「もう、湯浅様にも言っております。あなたの様な方はきっと父上もお気に召されるはずだ」

清吉はぺらぺらとしゃべり続ける

「お待ちください。昨日、ご覧になったと思いますが私は彩様の元に嫁ぐことになっているのです」

「ほぉ・・・そうですか」

清吉は目を細める

「おかしいですねぇ・・・よりにもよって女の元に嫁ぐなど」

「な、なんでっ!」

美優紀は焦る

「聞いたんですよ。武田殿から・・・まぁ、半信半疑でしたが今ので確信が持てました」

「っ・・・」

「いいんですよ。今、ここであなたが断れば私は湯浅様に山本殿の事を報告するだけですから」

「・・・」

「ずっと、黙っていたんでしょう?健気ですねぇ。男が生まれなかった家のために隠し続けて・・・ホント・・・そういうの・・・虫酸が走りますよ」

「・・・」

その台詞と目の奥の冷酷さを感じ

美優紀は言葉を失ってしまった

「この話し、受けなければ山本殿がどうなるか・・・わかりますよね?」

「・・・わかりました。せやから、彩様のこと・・・黙っといてください」

美優紀はぐっと歯を食いしばり

頭を下げた

「ええ、わかりました。・・・やはり、武田殿は殺しておいて正解でしたね」

清吉はニコッと笑う

「ころ・・・した?」

美優紀は頭を上げ

まじまじと清吉を見る

「だって、私があなたを嫁にもらうと言ったら、絶対反発してくるでしょうから。私、反発する人嫌いなんです」

「・・・」

美優紀は言葉を失う

「では、式までの日取りは追って連絡いたしますので」

そう言って、清吉は去って行った

「・・・っ」

美優紀はその場にへたりこみ

頬には涙が伝っていた


やっと・・・

やっと・・・彩ちゃんと結ばれたのに・・・

こんなことって・・・


でも・・・

彩ちゃんがずっと隠してきた秘密・・・守らな・・・

それが・・・

嫁の・・・務めやんな・・・


嫁の・・・


美優紀は自分の心に

何度も何度も言い聞かせていた



それから

美優紀は清吉の元に嫁いだ

そして

清吉が家臣たちと金品を奪っていること

自分を嫁にした目的が呉服屋であることを知る

だが・・・彩の秘密を握られている美優紀は

ただただ耐えるしかなかった

清吉は調子に乗り

美優紀を物のようにしか見なくなっていった

「美優紀!おまえは何をやっていたのだ!」

湯浅家の宝飾品を盗ってこれなかったことを怒り

清吉は頬をぶつ

「すいません・・・」

「まったく、実家でも金になるようなものはとってこないし、金貸しの商人たちの名簿も盗ってこれない・・・使えぬやつだ」

そう言って清吉は美優紀を睨む

「つかえるのは・・・」

「きゃっ!」

清吉は美優紀を押し倒す

「これだけだな」

「・・・っ」

清吉は美優紀に覆いかぶさった


パタン・・・

襖が閉まる音で美優紀は目を開ける

「・・・」

寝たふりをもうしなくていい・・・

そう思い、むくりと起き上がった

情事が終わると

清吉はいつも早々と部屋を出ていっていた

美優紀は着物を羽織り

朱色の櫛で髪をとく

そして・・・

「・・・っ」

いつもぽろぽろと涙をこぼしていた



昼間も美優紀はほとんど部屋から出ることはなかった

いや・・・出してもらえないと言う方が正しかった

美優紀の部屋の前には家臣が張り付いており

ほとんど幽閉されているようなものだった

部屋から出るときは必ず清吉が隣におり

自由はなかった

「・・・」

美優紀は部屋の端に置いてある巾着から

風ぐるまをとりだし

ふーっと拭く

年季がはいりボロボロになってしまっていたが

風ぐるまはからからと回った

彩と初めて出会った時の事

再会した時の事

抱きしめてもらった時の事

そして・・・土手から見た多くの風ぐるまのこと

それを見ては何度も何度も思い出していた


・・・彩ちゃんのためや

それが・・・嫁の務めや・・・

美優紀は

ずっと言い聞かせていた

自分は清吉の嫁ではない

彩の嫁なのだと・・・

彩のためにここに居るのだと

そう思うことで

折れそうな心を必死に支えていた


――――

「あはははは」

家臣たちの声がさらに大きくなる

美優紀は思わず耳をふさいだ

美優紀の心はもう限界だった

必死に耐えていた思いは

もう、折れる寸前だった

「助けて・・・」

そう呟いた時

ガシャァァァ!!

「何者だ!」

「であえであえ!!」

「!!」

先ほどの穏やかな声から一変した

荒々しい声に

美優紀はびくっと身を震わせる

「ぐわっ!」
「がはっ!」

美優紀の部屋の前で

うめき声が聞こえた

「っ!」

美優紀は後ずさりし

壁に背中をつける

パンッ!

勢いよくふすまが開き

「美優紀!」

「あ・・・」

美優紀はぽろぽろと涙をこぼす

そこには、愛しい人が居た

ずっとずっと・・・

迎えに来てほしいと願っていた人・・・

「彩ちゃん!」

「美優紀!」

二人はしっかりと抱き合った

風ぐるま27

そして・・・

夜が来た

屋敷には明かりがともり

家臣たちの楽しげな声が聞こえてきた


目的の塀の前まできた麻友はかぎ爪のついた縄を塀にかけ

ぐらつかないか確かめる

「・・・優子さん、入れたんでしょうか?」

彩はきょろきょろとあたりを警戒しながら言う

「大丈夫ですよ。優子さん、そういうの上手ですから。さ、登ってください」

「はい・・・」

彩は縄をぐっと握り

ザッ・・・

細心の注意を払いながら敷地内に降り立った

すぐそばには離れの建物があり

今いるのは丁度、屋敷から死角になっている場所だ

「・・・」

彩は屋敷のあかりでぼんやりと照らされた

離れをまじまじと見つめる

離れ自体に明かりはついてなく

しんとしていた

誰も・・・おらんのか・・・?

でも・・・

彩は違和感を覚えた

窓がないのだ

「・・・」

視線を上にあげると

屋根ギリギリに格子状の隙間が見える

あれが・・・窓?


「彩様、ついてきてくださいね」

「あ、あぁ」

麻友の声にハッとして彩も歩き出した

―――

大広間は大いに盛り上がっていた

茂みに隠れ、麻友と彩はその様子をうかがう

その中に1人の芸者が家臣に酒をついでいる姿が見えた

「「・・・」」

麻友と芸者の目が合い

2人とも静かに頷く

それが、合図だった

「でも・・・こんなに騒がしかったら、この隙に出るかもしれませんねぇ」

「なにがだ?」

芸者の問いに家臣は首をかしげる

「鼠ですよ。鼠小僧・・・今日は喜一郎様も居ませんし・・・ひょこっとこの屋敷に」

「はっはっはっ!それはないわ!」

家臣は大笑いして酒を飲む

「あら、どうしてそう思うのですか?」

「実はな、ワシは鼠小僧の正体を知っているのだ。だから、わかる。ここにはけぇへん」

「あら・・・それはこの地域に出る鼠のことでしょう?」

芸者のトーンが変わり

「ん?」

家臣は首をかしげる

その首に

ガッ!

「ぐはっ!」

手刀がめり込み

ガシャァァァン!!

家臣は勢いよく床に倒れ込む

その勢いで食器や酒、料理が散乱した

「貴様!何をする」

「何者だ!」

家臣たちは刀を構える

「そんな偽の鼠と一緒にしてもらっちゃぁ困るんだよ」

芸者はゆらりと立ち上がり

バッ!

勢いよく着物が舞う

そして、その中から忍び服に黒頭巾をかぶった

優子が姿を現した

「やいやいやい!てめぇら私の名前を使って散々好き勝手やってくれたな!」

「な、なんだ貴様は」

家臣たちはうろたえる

「しらざぁ言って聞かせやしょう。江戸に伝わる大泥棒。弱きを助け強きをくじく・・・世直し鼠小僧とは、あっしのことよ!」

優子はニッと笑った

「な・・・なんだと?」

「女・・・?」

「こいつ、本物の鼠小僧なのか?」

家臣たちは混乱し、ざわつく

「ええい、沈まれ!」

清吉の声に、全員が黙る

「・・・まったく最近は男と思っていたのが女ってのが流行ってるのか?」

そう、ため息混じりに呟いた

「まぁいい。ようこそ本物の鼠小僧さん。では、ここに来てくれたことを大いに歓迎し・・・」

シャッ・・・

刀を静かに抜き

「死んでもらいます」

ニッと笑った

「けっ!そりゃあこっちの台詞だ!」

「かかれっ!」

「「はっ!」」

清吉の合図で家臣たちが一斉に優子めがけて突進してくる

「おおっ!上等じゃねぇか!てめぇらやっつけて盗んだもん全部持ち主に返してやるよ!」

優子はそういって攻撃をかわしながら次々に家臣たちをやっつけていく

まさに大乱闘という図だった


「さ、今のうちです」

麻友は彩を見る

「おう!」

彩は勢いよく走りだした

「「わぁぁぁっ!」」

ザシュッ!

バタンッ!

ガシャーン!

家臣や物が次々と倒れるなか

「くっ・・・なかなかやりますね」

清吉はギリッと歯を食いしばりながら部屋の端でその様子を見ていた

「ん・・・」

視界の端に何か動くものが見え

反射的に庭に視線を向ける

・・・誰かが・・・動いた・・・

まさかっ!

清吉は目を見開き

倒れている家臣たちの間をぬって廊下に出る

「あっ!待てこの野郎!」

優子は清吉の方に向かおうとしたが

次々と向かってくる家臣たちの波に押し返されてしまった

「麻友ーー!そっちいったぞーーー!!」

家臣たちを次々と倒しながら

優子は叫んでいた

風ぐるま26

松永家――

「清吉、留守を頼んだぞ」

門の前で喜一郎が言う

「はい。いってらっしゃいませ」

「うむ。美優紀殿も留守の間・・・よろしく頼む」

「はい・・・」

美優紀は深々と頭を下げる

「では、いってくる」

喜一郎は籠に乗り込み

家臣たちもその後に続く

そして

また、大きい籠が通り過ぎる

「・・・ちっ」

清吉は舌打ちをして

一行を睨んでいた

―――

「さぁ、お父上が居ない今日は宴会ですな」

「そうですな。くいっと一杯やりますか」

「それとも、またどこか物色しますか?」

清吉を先頭に家臣たちがワイワイと騒ぎながら廊下を歩く

清吉の隣には美優紀が俯いて歩いていた

美優紀は常に清吉の監視下におり

離れる隙がなかった

部屋に居る時も監視役がついており

逃げることも出来ない状態だった

「そうだなぁ・・・今日は皆で騒ぐか。ここのところむしゃくしゃしてばかりだからな」

「「ははは」」

皆、高笑いをする


「そうだ・・・うまい酒を飲むには・・・軽く汗を流さなくては・・・な」

清吉はニヤッと笑った

「・・・」

美優紀はびくっと身を震わせた
――――

一方その頃・・・

「行きましたね・・・では、作戦の説明をいたします」

茂みの中から喜一郎一行が出発したのを確認し

麻友は紙を広げた

そこには屋敷の図面が書かれていた

「喜一郎は質素倹約で有名です。清吉たちは本日はこれみよがしに宴会をするとおもわれます。そこをたたきます」

麻友はそういって一番広い大広間を指差した

「そして、美優紀様はここに居ます。彩様、迎えに行ってあげてください」

「・・・おう」

彩は深く頷く

「じゃあ、私は合図で大広間で暴れればいいってことだな」

優子はニッと笑う

大広間は屋敷の中心であり

美優紀の部屋に行くまでに

その前を通らなくてはいけなくなっていた

「私としてはひとつずつ潰していきたいのですが・・・彩様も居るのでこの作戦で行くしかないでしょう」

忍び二人なら屋根裏を伝って移動もできるし

人目につかずに移動できるであろうが

彩には到底できない技だ

それに、美優紀を連れて逃げるとなれば

注意をひきつけている間に逃げるというほうが得策だ

「でも、いいのかよ」

優子が彩を見る

「え?」

「清吉だよ。私が殺してもいいのか?」

「・・・」

彩の表情がくもる

本当は美優紀に酷いことをしている張本人なので

切ってしまいたい・・・

だが・・・

「・・・あなたが人を殺める必要はありません」

「麻友さん・・・・」

「そういう仕事は、私たちだけで十分です」

そういって微笑んだ

「今晩は月もでない。うってつけの日です・・・。あなたは美優紀様を連れて闇夜に逃げる・・・それでいいのです」

「はい・・・」

「では、日が沈んだらここから入りますよ」

そういって麻友が指差したところには

離れがあった

「ここは・・・?」

「・・・今は・・・言いません。ただ、今日はここに警備はいませんから」

「え・・・?」

「じきにわかりますよ」

そういって麻友は微笑んだ

「しゃっ!じゃあ、ちょっくら準備してくるわ」

そういって優子は立ち上がる

「おねがいします」

彩は優子を見つめる

「任せとけって」

優子はニッと笑うと2人の前から姿を消した

「さて・・・まだ時間はあります。それまでに作戦をしっかりと頭に叩き込んでくださいね」

「はい」

彩は頷き

覚悟を決めた

風ぐるま25

そして・・・

運命の日の朝・・・

彩は部屋を片付け

机の上に手紙を置いた・・・

母にだった

病弱な母にこのことを告げれば

さらに体調を崩してしまう

それに

引きとめられるのは胸が痛む・・・

結局

父にも今日旅立つことを告げることは出来なかった・・・


「・・・」

彩はそっと戸を開ける

「あ・・・」

囲炉裏の前には

父が座っていた

「・・・早いな」

「父上こそ」

母よりも早く起きることなどないのに・・・

「座りなさい」

「・・・はい」

彩は父の斜め前に座る

「・・・松永家に行くのだろう」

「!!」

「昨日、こんな紙が置いてあってな」

そういって父は手紙を見せる

小さな紙に

『明朝、彩様はこの町を出ます。どうか・・・最後の別れを』

と書かれていた

麻友さんだ・・・

彩は顔をゆがませる

「・・・清吉様は評判はよいが・・・何か感じるものがあってな。事情は知らんが・・・行かなければならないのだろう」

「・・・」

「・・・美優紀殿のためにいくのか」

「はい」

「・・・そうか」

父は目を細める

「彩よ・・・私は、ずっと後悔していた。私自身の立場のためにお前を男として育ててしまい・・・本当にすまなかった」

「父上・・・」

「だが・・・お前は、そんな中でもちゃんと大切な人に出会えたのだな」

「・・・はい」

「・・・持っていきなさい」

そういって、父は隣に置いてあった刀を差し出す

「・・・」

「美優紀殿を守りなさい。そして・・・どんなことがあっても・・・2人で必ず生きなさい」

「・・・はい」

彩は両手で刀を受け取った

「・・・お前が私の子供であることを・・・誇りに思う」

「父上・・・」

「こっちの事は任せなさい。それくらい、うまくやってやる」

「ありがとうございます」

彩は深々と頭を下げた

―――

彩はそっと外に出る

外の空気は冬に近づいてきていて

少し身震いする

朝日が出ていない町は薄暗く

誰も居なかった

「・・・」

彩は振り返り

父を見つめる

「行ってまいります」

「・・・」

父は黙って頷いた

彩は頭を深く下げ

背を向けて歩き出した


町を抜け

土手沿いの道に差し掛かった時

「彩」

「あ・・・」

薄暗い中に人影が2つ・・・

茂吉と由依だった

「なんで・・・」

「だって昨日聞いたから。見送りくらいせてや」

「ほんまやで。俺に何も言わんと何出て行こうとしてんねん」

茂吉は口をとがらせる

「あー・・・すまん」

一応、茂吉には道場でお礼ゆうたんやけどなぁ・・・

彩の勝手な別れ方を言うと

また茂吉が怒りそうだったので止めておいた

「まぁ湯浅家の皆にはうまいことゆうといたるわ」

そういって茂吉は胸を叩く

「父上もそう言ってくれてる・・・また、話し合わせてくれたら・・・助かる」

「任せとけ。彩・・・死ぬなよ」

茂吉は真っ直ぐに彩の目を見つめた

「おう」

彩は茂吉と拳を合わせ、ニッと笑った

「私からは・・・まぁこんなんしかできんけど」

そういって、握り飯の包みを渡す

「おー。すまんなぁ由依」

「松永家まで遠いんやから。少しでもたしになるようにっておもてな」

「ありがとう・・・ほな、行ってくるわ」

「うん」

由依は手に火打石を持つ

「景気づけや」

「おう・・・ほなな」

彩は背を向け

歩き出す

カンッ、カンッ!

火打石の音が

しんと静まり返った町に響く

彩はぐっと拳を握り

歯を食いしばり

必死に涙をこらえていた

泣くなよ・・・

私は・・・

美優紀を迎えにいくんや

たとえ・・・清吉と刺し違えてでも

彩はキッと前を睨み

決して振り返ることはなかった


―――

ザッ・・・

彩は神社にたどり着き

迷うことなく裏手に回った

「お待ちしておりました」

麻友がどこからともなく現る

「おっ。何持ってんの?飯?」

優子もシャッと現れ

彩が手にしていた風呂敷をまじまじと見つめる

「優子さん。そういうのは後にしてください」

麻友はやれやれとため息をつく

「えー。準備とかいろいろやったんだから後で一個くれよな」

優子は口をとがらせ、これ以上麻友が怒らないようにスッと離れた

「お別れは・・・出来たみたいですね」

彩の表情を見て、麻友はフッと笑った

「まぁ・・・おせっかいな誰かさんのおかげでな」

彩は麻友を見つめ

「でも・・・ありがとう・・・ございました」

頭を下げた

「お礼を言われるのは、美優紀様を救出してからですよ」

麻友は彩の肩に手を置き、微笑む

「そうそう、じゃあ行くぜ」

優子も反対側の肩に肘を乗せ

ニッと笑った

「はいっ!」

彩は力強く頷いた

風ぐるま24

そして

日々は過ぎ・・・

彩は湯浅家の一室で机に向かって筆をすすめていた

いわゆるお勤だ

「彩様」

「うおっ!」

いきなり天井から麻友が現れ

彩は思わず筆を放り投げる

「あら、失礼しました」

麻友は飛び散った墨ところがった筆を見て苦笑いをした

「・・・もっと普通に出てこれませんか?」

彩は筆を拾い

汚れた畳を見て肩を落とす

「すいません。忍びってこういうものですから」

そういって麻友は笑って

天井から畳に着地した

「・・・麻友さんが来たってことは」

「そうです。お迎えに上がりました」

「・・・」

「その顔は・・・まだ、お別れができていないって顔ですね」

「っ・・・!」

「明日の朝まで待ちましょう。日が昇る前にあの神社にいらしてください」

「・・・わかりました」

「悔いの残りませんように・・・では」

そういって、麻友は素早く天井に跳び

もうどこにいるかわからなくなった

「・・・」

言わなければいけない

大事なことって

なんでいつも最後まで言えないんやろ・・・


―――

「いやー助かったわー」

「そうか?まぁこんなん余裕やで」

彩は両手に多くの荷物をかかえながら

由依と町を歩いていた

「最近、湯浅家でも評判やで。なんやよう手伝ってくれるとか」

「はぁ?なんやそれ。いつもやっちゅうねん」

彩は眉をひそめ笑う

そして

由依と会うのもこれが最後だと思うと

切なくなった・・・

「・・・なぁ、由依」

「ん?」

「ちょっと・・・寄り道していかんか?」

そう言って彩は笑った

―――

2人はいつもの川に来ていた

荷物を置き

大きな石に腰かける

2人は黙って川の流れを見ていたが・・・

「由依・・・私な・・・」

彩が口をひらく

「松永家に行ってくるわ」

そう言って由依をみて笑った

「え・・・?」

由依の顔がこわばる

「美優紀を・・・迎えに行ってくる」

「・・・」

由依は黙って彩を見つめていた

「事情は言えんけど・・・美優紀が泣いてんねん。だから・・・ほっとけんねん」

そういって彩は苦笑いをした

「・・・いつ行くん?」

「・・・明日の朝・・・この町を出る」

「・・・」

「由依はさ、幼馴染でずっと一緒におったから・・・やっぱり、ちゃんとゆうとかんとって思って・・・」

「そっか・・・それで、やたら手伝いしたり掃除したりしてたんや」

「え・・・」

「彩なりの別れの挨拶・・・のつもりなんやろ?全然、挨拶になってないし、逆にめっちゃ怪しかったで」

「えっ・・・」

「彩はわかりやす過ぎんねん。なんかあるんやろうなって思って、いつゆうてくれるんかってまっとったら・・・明日って・・・」

由依はクスッと笑う

「な、なんやねん」

彩はむすっと口をとがらせたが

「・・・なんで・・・もっとはよゆうてくれんの・・・」

ぽろぽろと涙をこぼす由依を見て

彩は固まった

「・・・すまん」

「もう・・・この町に帰ってこんのやろ」

「うん・・・」

生きて帰れるかもわからない

そう言いかけて

口をつぐんだ

「そっか・・・でも・・・彩が決めたんならしゃあないな。・・・行くからには、美優紀のことちゃんと守ったりや」

由依は涙をぬぐい

「あんたの嫁さんなんやから」

そういってパシッと背中を叩いた

「・・・おう」

彩はニッと笑い

「由依、今までありがとう」

「今までとか言わんの。これから先もや」

「え?」

「死んだらあかんで。どこにいってもいい、絶対・・・絶対に生きるんやで」

「・・・おう」

彩は涙がこみ上がってくるのをぐっと耐える

「美優紀助けたら、便りよこしてや」

「わかってるわ」

彩はニッと笑った

風ぐるま23

―――

「はぁ・・・はぁ・・・」

彩が湯浅家の前に着いた時

正門前には多くの人だかりができていた

「彩」

彩の父が気付き

隣に来るよう目くばせをする

「・・・」

彩は黙って頷き、スッと父の横に並んだ

「では松永様、お気をつけて」

湯浅や家臣たちが頭を下げ

続いて女中たちも頭を下げる

「よい会でした。またお招きいただきたい」

「それはもう!また、ぜひお越しください」

喜一郎と湯浅はにこにこと話しをしていた

「・・・」

彩はその後ろにいる清吉を睨む

「・・・」

視線に気がついたのか

清吉は彩の方を見て

フッと笑った

「・・・」

彩は今すぐに殴りたい衝動を拳をぐっと握って耐える

「では、そろそろ・・・」

そういって喜一郎は一礼し

家臣たちも一礼し

帰路の準備に取り掛かる

「・・・」

「・・・」

別れ際、美優紀と目が合う

本当は

今すぐにでも手を取って

奪い去ってしまいたい

いや・・・奪い返したい

あんな奴のもとから・・・

美優紀を・・・

『今は・・・耐えてください』

麻友の言葉を思い出し

彩はまた拳を握る

「・・・っ」

それだけでは耐えきれず

ぐっ歯を食いしばり

小刻みに震えていた


待っとれよ・・・美優紀・・・

必ず・・・助け出したるからな


「・・・」

そんな彩を父は隣で静かに見つめていた

―――

彩はその後

更に剣術に力を入れるようになった

カンッ!カンッ!

道場で木刀が激しくぶつかる

「でやっ!」

「ぐあっ!」

バタン!

カランカラン・・・

「つー・・・」

道場の壁に身体を打ちつけ

茂吉は顔をゆがませる

「茂吉!もう一本やんで!」

彩は肩で息をしながら、茂吉の木刀を拾い差し出す

「待てや、彩・・・もう、勘弁してくれ」

茂吉は苦笑いをする

「はぁ?何ゆうてんねん」

彩はムッとして突っかかろうとした

その時

「彩。それくらいにしなさい」

「・・・師範」

彩はスッと姿勢を正し、一礼する

「・・・私が、相手をしよう」

そう言って、師範は壁にかけている木刀を手に取った

「・・・お願いします」

彩は静かに一礼した

「はじめっ!」

茂吉の声を合図に

2人はじりじりと間合いを詰める

「・・・」

「・・・」

「はあっ!」

彩が動き

カンッ、カンッ!

師範は流れるように攻撃をさばいていく

「くっ!」

「はっ!」

カラン・・・・!

一瞬の隙をつき

師範が彩の木刀をはじいた

「・・・」

師範は彩ののど元に木刀をつける

「・・・何を焦っている」

「!!」

「今の剣さばきは・・・本来のお前のよさが死んでいる」

「・・・」

「・・・そんな荒い技の繰り出し方ではだめだ・・・真剣なら切られておるぞ」

「・・・!・・・すいません」

「剣術は殺めるのではなく、守るためにある・・・それを忘れるでない」

「・・・はい」

「では、今日は終わりにしよう」

そう言って師範は道場から出て行った

「はぁー・・・さすがやなぁ師範」

「・・・師範には・・・ばれてるんかもしれんな・・・」

「はぁ?」

「いや、なんでもない」

「なんやねん、彩。最近お前おかしいで」

茂吉はいぶかしげに彩を見る

「・・・そうか?それより、茂吉。ほれ、掃除すんで」

彩は茂吉の肩をポンっと叩く

「あ、あぁ・・・」

茂吉はそれに押され、彩より先に進む形になった

「・・・茂吉。今までありがとうな・・・」

彩は茂吉の背中にむかってぽつりと言った

風ぐるま22

「じゃあ、今から美優紀を連れ出して逃げたらええんやな」

彩は空を見上げる

もう、薄暗さはなくなり

朝日がしっかりと顔を出していた

「待ってください・・・今、湯浅家で下手に動けばただの謀反者として彩様だけでなくお父上様にまで影響があります。今は・・・じっと耐えてください」

「・・・っ。でも、急がんと美優紀が・・・」

「焦りは禁物です・・・美優紀様を連れ去るのは松永家の方が都合がいい。10日後、喜一郎は所用で隣の藩に出向くことが決まっていますから、そこを狙います。喜一郎について行く家臣をのぞけば自然と清吉に仕えている家臣は残りますから。まとめて始末するには丁度いいです。」

「10日・・・」

そんなに待っていたら

美優紀がどんな目にあわされるか・・・

彩はぐっと歯を食いしばる

「・・・その間に、彩様は大事な人たちとお別れをしておいてくださいね」

「!!」

麻友の言葉にハッとする

「謀反を起こせば・・・もう、この町には帰ってこれませんから」

「・・・わかった」

彩はその言葉の意味を深く受け止め、頷いた

「では、せっかくなので・・・この方にも協力してもらいましょう」

「え?」

麻友はクナイを素早く出し

竹藪に向かって投げた

「うおっ!」

声が聞こえ

黒い塊が宙を舞い

彩たちの前に降り立った

「おーこわっ。相変わらず容赦ねぇなぁ。もうちょっとであたってたじゃねーか」

黒い頭巾をかぶった・・・忍びだった

「避けるってわかってましたから」

「へいへい、そういうとこも変わんないねぇー久しぶりの再会だってのに」

彩は2人のやり取りを不思議そうに見る

麻友はスッとその人物のほうを指し

「こちらが、江戸で有名な大泥棒・・・鼠小僧です」

「え・・・?」

彩は目が点になる

「そ、私が本物の鼠小僧だ」

そういって、黒ずきんを脱ぐ

ニッと笑った顔に、えくぼが印象的だった

顔立ちの整った

綺麗な人だった・・・

「久しぶりだなー麻友」

「優子さんも・・・でも、立ち聞きは趣味悪いですよ」

麻友はフッと笑う

「いやー忍びの癖ってやつ?」

「優子・・・?女?でも・・・小僧って・・・」

彩は驚く

「ははっ。まぁ黒頭巾して小柄だから?世間がそう呼んでんだよ。ってか、そっちだって女ってこと隠して武士やってんじゃん」

「う・・・」

「この胸も窮屈そうだしよー。いっそ解放しちまえよ」

そういって優子は彩の胸元を触る

「やめっ・・・」

「やめてください。いきなりでその挨拶は無礼すぎます」

彩が怒る前に、麻友が間に入ってたしなめる

「へーい。すまんな」

「・・・」

彩は胸元を抑えながら静かに頷く

「・・・私たちは忍びの里が一緒で・・・幼い頃良く修業を共にしていたんです。一人前になってから優子さんは東、私は西の任務に当たっていたので・・・会うのはひさしぶりですけどね」

「そうだなー。もう麻友は任務で死んだものと思ってたからよー。こうしてまた会えて嬉しいぜー」

そういって優子は麻友の肩に手を置く

「鼠小僧の話しを聞いてたら、優子さんではないかと思っていましたよ。ずっと同じ人に仕えるのとか嫌いでしたしね」

「ははっ。まぁなー。今は依頼受けたら引き受けるって感じだけどなー。鼠小僧やりだしたのも依頼人が気にくわない奴だったから逆にそいつから金品奪って長屋の皆とどんちゃん騒ぎしたかったから金撒き散らしてたら噂になったんだよ」

そういって優子は笑った

「・・・こっちで偽の鼠小僧が出てるなんてしったら絶対来ると思ってました」

「お、よくわかってんなー」

「ちなみに、昨日湯浅家で私と美優紀様の会話を聞いていたことも」

「あら、そんなとこまで?」

「はい。まぁ事を大きくしたくなかったですし、興味を持って私の後をつけて来るとわかってましたから」

「ちぇーなんだよー。全部ばれてたってことか」

優子はつまらなそうに口をとがらせた

「・・・で、協力してくれますよね」

「そりゃーなぁ。あんな雑な盗み方されて鼠小僧だなんて名乗られちゃ黙ってられねぇし・・・それに」

優子は彩の方をちらっと見る

「久しぶりに、骨のある奴に会っちまったからな」

そういってニッと笑った

「・・・では、準備に取り掛かりましょうか」

麻友もフッと笑う

「えっと・・・」

彩はそんな2人を交互に見る

「彩様・・・準備ができましたらお迎えに上がります」

「ほんじゃ、またなー。それまで楽しんでなー」

そういって2人は勢いよく上に跳び

そして・・・

「え・・・」

居なくなっていた

サァァァァ・・・

竹藪が風に揺れる音だけが聞こえる

「・・・10日後か」

それまでに

悔いのないように過ごそう・・・

もしかしたら

死ぬかもしれないのだから・・・

「・・・」

彩はぐっと拳を握り

駆けだした

◆あぁー…

どうも、しゅうです

昨日、仕事が終わってからパソコン開く時間もなく

今日おちついてパソコン開いたら

みるきー卒業の文字・・・

うーん、まぁ騒がれてはいましたが

なんか、みんな卒業していくなぁ・・・

難波のツートップも解散か

これで好きなカップリングもすべて消失してしまう

うーん、どうしたものか

とりあえず、書きたいものは書こうと思っておりますが・・・


みるきーのさや姉に対するコメントに感動し

さや姉のツイッターのコメントにも感動し・・・

なんか、こういう関係だからさやみるきー好きなんだよーと思ってしまいました

みるきーは普段明るくても本音は最後の最後まで言わない感じで

さや姉はこの関係がいつまでも続くと思ってて

変化があって、やっと自分の気持ちに気づく・・・でも素直になれなくて・・・みたいな

私はこんな感じのイメージで小説書いてるので

こんな時にさやみるきー熱がドカンときて

作者は複雑です・・・



友達にはなれなかったけど

運命の人だと思った


2人にしか感じることのできない

空間や距離感・・・安心感があったんだろうなぁ

本当に何て表現していいのかわからないんだろうな

そんな人に出会えるって素敵だ・・・


もう、作者勝手に妄想ですよね笑

あぁーくそう、しばらくさやみるきーメインになってしまいそうだ


卒業公演、行きたいなぁ・・・

◆更新のお知らせ

ども、しゅうです(^∇^)

4月に入り、新しい人も入り・・・職場は慌ただしいです(^▽^;)

私も一応、以前いたところとは言え環境が変わりましたので

緊張気味です・・・

そして、所用で数日小説が書けない環境になるので

おそらく1週間くらい更新止まります

毎度、いいところで止める私・・・笑

正直、こんなに長くする予定無かったのですが・・・(^▽^;)

やっと、この話しの裏事情を出すことができて

作者はすっきりしております笑

話しも後半にさしかかりましたので、気合入れて書きます!

なので、時間をください笑(;´▽`A``

ちなみに、今日は欅坂のCDを買いました

サイレントマジョリティーは普通に好きです

なんか、制服のマネキン感がある・・・

歌詞もいい感じやし

頑張ってほしいですねー(^∇^)

新しいことに挑戦する若い子たちを見ると

元気もらいます

歳だな・・・笑(・∀・)
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