気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2016年08月

今ならば⑨

その後、私らはたわいもない話しをした

最初の頃はどうだったとか

あの時のMVはこんなことがあったとか

お互いじゃなきゃ語れないことがいっぱいあった

「・・・あ、やば。もうそろそろ寝なあかんな」

「・・・あ、ほんまや」

夢中で話してたらええ時間になってしもた

「・・・ほな、帰るわ」

そういって、彩ちゃんは立ち上がる

「あ・・・」

私はとっさに手を伸ばして

Tシャツを引っ張る

「・・・」

彩ちゃんは驚いて振り返る

「・・・ここに・・・おって」

「・・・」

「最近な・・・私怖い夢見んねん。せやから・・・その・・・」

「・・・ここにおったって、夢の中ではどうしようもないで」

「・・・」

「・・・それでも、ええんやったら。・・・おったるわ」

彩ちゃんはそういって、また背を向けた

「ありがと」

私はその背中を見て微笑んだ

だって、照れて真っ赤になってるの

わかってるから・・・

「ほ、ほな。荷物のけてもらおか」

彩ちゃんはベッドを指差す

片方のベッドには私の荷物が広げられていたから

「んー。じゃあ、こう」

私は枕をつかみ、1つのベッドに並べる

「な・・・」

「この距離やったら、助けれそう?」

そういって笑った

ええやん

だって、嬉しいんやもん

今まで頑張ってきたんやから

これくらいのご褒美・・・許してくれるよな?


―――

彩ちゃんは照れて背を向けて寝ていた

ま、しゃあないか・・・

時々、ドキッとすることするくせに

意識したら、まんであかんのやもんなぁ・・・

・・・そういうとこも、好きやけど

私は彩ちゃんの背中を見ながら目を閉じた

―――

「「わぁぁぁっ」」

私はまた踊っていた

彩ちゃんの隣で

二人で息を合わせて・・・


バンッ!!

いきなり電気が消え

真っ暗になる


パッ!

電気が再びついた時

「あ・・・」

気付けば私は一番後ろで

先頭には彩ちゃんだけしかいなかった

「・・・」

私は、きゅっと唇を噛みしめる

胸が、痛かった

やっぱり・・・もう私の場所は

バンッ!!

「え・・・」

私の頭上にスポットライトが当たる

他のメンバーがさーっと引いていき

目の前には、彩ちゃんしかいなくなった

「・・・」

ぽかーんとしてると

彩ちゃんが振り返り

「なにしてんねん。はよ、来いや」

そういって、手を伸ばしてくれた

その顔は

私の大好きな顔だった

いつも隣で見ていた

ぶっきらぼうだけど、優しい・・・

大好きな・・・

「うんっ!!」

私は彩ちゃんのもとに駆け寄り

その手を握った

「「わぁぁぁぁっ!!」」

さっきよりも大きな歓声が聞こえる

「いくでっ!」

「うん!」

私らはまた音楽に合わせて踊り始める

あぁ・・・

私・・・隣にいてもええねんな

―――

「・・・ん」

そこで、目が覚めた

「すー・・・。すー・・・。」

「・・・!」

目の前に、彩ちゃんの寝顔があって

ビックリしてしまった・・・

幸い半目ではなかったけど

「あ・・・」

私は目線を下に落とす

私の手に彩ちゃんの手が重なっていた

・・・ちゃんと、助けてくれたやん

「ありがと」

そう呟いて微笑んだ


あーあ・・・やっぱり、好きって言っとくんやったかなぁ・・・


でも、今ゆうたら

ルール違反やしなぁ・・・

私は別に卒業する身やからええけど

彩ちゃんが変に悩んでしもても嫌やし・・・

だって・・・真面目やから

せやから

5年半もずっと黙ってたんやもん・・・

なぁ、彩ちゃん

これ、誰にもゆうてないんやけどな

NMB入ってから、ずっとがむしゃらに走ってきて・・・苦しくなって立ち止まったら

自分が何のために頑張ってたのかわからなくなってしもたねん

だから、もう限界やっておもったん

・・・あとな、もう一つ

これ以上、彩ちゃんの傍におったら

辛くなるって・・・気付いてしもたから

好きって言えない環境で

隣にいるから、その関係でいいかなって言い聞かせてて・・・

でも、いつの間にか差がどんどん大きくなっていって

届かない位置にいってしもて・・・

大好きなのに・・・

悔しかったり、虚しかったり・・・

そんな気持ちも出て来るようになってしもたねん

だから、もう限界かなって

だって、彩ちゃんにそんな気持ちを持つ自分が嫌なんやもん

「・・・」

だから、今は言葉にしないけど・・・

この関係を・・・

どうか、続けさせて・・・

卒業するまでは・・・

さやみるきーでおらせて・・・

私は、彩ちゃんの手をそっと握り返した

今ならば⑧

話したい。そうみるきーに言われて

ホテルに着くまで

心臓の音がうるさくて

みるきーの顔を見れなかった

はぁ・・・情けなぁ・・・

ホテル着いたら

気合入れろよ私・・・


―――

「ほな、シャワーしたらそっち行くわ」

「うん。ほな、私もはいっとくね」

私は平静を装いながら、ぎこちなく手を振り

部屋に入った


パタン・・・


「おかえりー。おつかれさん」

ドアが開く音で

同室の岸野が携帯から目線を上げてこちらを見る

ホットパンツにキャミソールというラフな格好であぐらをかいていた

「おう」

私は自分のベッドに鞄を置いてごそごそと風呂に入る準備をする

「なんや、撮影長引いたん?えらい遅かったなー」

「あー。なんや帰り渋滞におうてなー。ま、私その間に爆睡してたんやけど」

「ふーん」

岸野とたわいもない話しをしながら、着替えやらなんやらを引っ張り出し

全部揃ったところで

「あ・・・私、風呂入ってたらみるきーんとこ行ってくるから」

顔を上げて岸野のほうを見た

「えっ!?えっ、えっ、え、え、え、えーーー!!」

岸野はぴくっと背筋を伸ばし、何かに反応した猫みたいに

素早く近づいてきた

「なんやねん」

私は眉をひそめる

「今日はみるきーんとこで寝るんか?」

「は?」

「だって、最近そんなんなかったやん。みるきーんとこに行くとか。私、めっちゃ嬉しいわ」

そういって岸野はニッと笑う

「あのな。話しするだけや。話ししたら・・・帰ってくるわ」

「はぁ?なんでやねん。帰ってくな。おもんない」

「いや、なんで岸野が決めてんねん」

「だって、もう2度とないんやで」

岸野は真顔で私を見つめてきた

「え・・・」

「みるきーとこうやっておれるん。最後なんやで」

「・・・岸野」

「もうええんちゃん?告ってきぃ!」

「は?」

シリアスモードから一転、そんな話しになって私は間抜けな声をあげる

「いやいやいや、てかなんでそんな話しになんねん」

「え?だって、彩、みるきーのこと好きやろ?」

「・・・・」

一瞬で顔が真っ赤になった

「ほれ、みてみー。ま、他のみんなはどうか知らんけど。俺らのメンバーは薄々気づいてると思うで」

「な・・・」

「最初から見てきたんや。わかるで」

そういって、岸野はやや呆れ気味に笑った

「・・・と、とにかく風呂入るわ」

私は恥ずかしくなって、そっぽを向き会話を強制終了した

「はいはーい。ごゆっくりー」

ニッと笑って手を振っふる岸野を私はむすっとした顔でチラ見して

バスルームの扉を閉めた


ザーーーーー・・・

私は赤くなった頬を冷ますように

勢いよくシャワーを浴びる

『最後なんやで』

岸野の言葉が蘇る

キュッ・・・

蛇口をひねり、水を止める

ポタ・・・ポタ・・・

閉めたのに、シャワーからは雫がゆっくりと一滴、また一滴と落ちてくる

まるで、想いが溢れて滲みでてくる

自分の心みたいやった・・・


「わかってるわ・・・そんなん」

なんか、悔しくて

気付けばぽつりと漏らしていた

―――

シャワーから出ると

岸野は部屋に居なかった

代わりに、テーブルの上にメモがあるのを見つける

『冷蔵庫にカクテル入れといたからみるきーと飲んでなー』

冷蔵庫を開けると、瓶が2本入っていた

「酒の力借りろってことか・・・?」

そう呟き、苦笑いをした



コンコン・・・

私は2つの瓶を抱え

ノックをする

「・・・」

その数秒の間が、何十分にも感じられた

ガチャ

「どうぞー」

Tシャツとショートパンツのみるきーが現れる

まだ、髪が生乾きで

少し頬も赤くなっていた・・・

「お、おう・・・」

風呂上がりの姿にドキドキしながら

私は部屋へと入って行った

部屋の奥には

2人掛けのソファーと小さなテーブルがある

私らは、そこに腰かけた

「ほな・・・とりあえず。乾杯しよか」

そういって、私は瓶のカクテルドリンクをみるきーにさしだした

「えーこうてきてくれたん?ありがとう」

「お、おう・・・」

まぁ・・・買ったんは岸野やけど・・・

「タイのってどんなんやろうなー」

みるきーはそう言いながら蓋を開ける

私も蓋を回して開ける

栓抜きがいらないタイプをチョイスする岸野がなんか出来るやつみたいで腑に落ちへんわ・・・

「じゃあ、2日目の撮影終了お疲れさまでしたー」

「おつかれさん」

2人で乾杯し

ぐっと飲む

「お、けっこういける」

「うん、おいしー」

ピーチ味のチューハイの様な感じで飲みやすかった

・・・岸野、昨日これ絶対飲んでたな

そんなことを思いながら続けて飲む


「「・・・」」

部屋は沈黙に包まれていた

何から話したらええんやろ

いろいろ、聞きたいことがあってまとまらない

「・・・彩ちゃん。ありがとう」

「え?」

先に、みるきーが口を開いた

「作曲、してくれたやん。改めて、ありがとう」

「お、おう・・・」

タイでの撮影が終わったら、日本で『今ならば』のMVの撮影が入っている

だから、みるきーは今その話題にふれたのだろう

「それ以外にも、いっぱいいっぱい・・・ありがとう」

「なんやねん。まだ、最後やないで」

「最後になったら、ちゃんと言えんかもしれんから」

そういってみるきーは笑った

「・・・」

「彩ちゃんの方が泣いてしまうかもしれんしなー」

「う、うっさいわ」

茶化されてすこし、ムッとする

「・・・でも・・・ホンマにそうかも」

「え?」

私の発言にみるきーが目を丸くする

「・・・ゆうたやろ。リハん時・・・その・・・行くな・・・って」

言ってて恥ずかしくなってどんどん小声になってうつむいた

「彩ちゃん・・・」

ベッドでのシーンは

本当はサヨナラと言わなければいけなかった

でも、リハでは思わず本音が出てしまった

「・・・そうやって思ってくれてたんや」

みるきーはニコッと笑って

私に顔を近づけてきた

「あたりまえやろ・・・ずっと隣でやってきてんから」

私は反射的に顔をそむける

やっぱり、こういうとき近いのは慣れない

「・・・隣か」

みるきーのトーンが下がったから思わず振り向いた

「・・・最初はライバルでいなきゃって思ってた」

「え・・・」

「彩ちゃんと私、キャラが全然違うからそれによってチームが映えるんやって。だからあんまり仲良くしたらあかんのかなって・・・」

「・・・」

「今思ったら、周りの期待が大きすぎたんやな。それに振り回されて・・・あほやなぁ私」

「・・・」

「でもな・・・最近はホンマに彩ちゃんとの差を感じてる」

「え・・・」

「だって・・・どんどん先にいくんやもん。いっつも並んで歩いてたのに・・・気づいたら彩ちゃんの背中を追ってた」

「・・・そんなことない!みるきーやって・・・」

「ううん。ええねん。これが私の限界やねん」

みるきーはフッと笑う

覚悟を決めた、その顔は・・・とても綺麗だった

どうして、卒業を決めた子はこんなにも綺麗になるのだろう・・・

「・・・」

私は、そんなみるきーを黙って見つめることしかできなかった

「でも、未練とかないで。やりきったし。はい、じゃあその話しはここまで!楽しい話ししよ!」

ぱんっと手を合わせてニコッと笑った


すまん、岸野・・・

酒の力を借りても・・・言えんと思うわ

だって、今ここでゆうてしもたら

私らは・・・今までの関係が壊れてしまうから・・・

だから・・・

卒業するまで・・・

このまま・・・この距離感でおらせてくれ






今ならば⑦

「・・・」

私は夜の砂浜で

みんなが帰って行く中

私は彩ちゃんを見つめていた


さっき・・・

伸ばしてくれた手の意味を

ぐるぐると考えていた


「じゃあ、移動しますよー」

「「は、はい」」

スタッフさんの声に驚いて私らの声がハモる

「「・・・」」

そして、見つめあい

クスッと笑った


そう、この顔や・・・

私な・・・

彩ちゃんの照れくさそうに笑う顔

大好きやねん


―――

「はい、では撮影終了になりまーす!」

監督の声で、スタッフさんたちも拍手をする

そして、ホテル行きのマイクロバスに乗り込んだ

宿泊のホテルまでそんなにはかからんはずなんやけど

何があったかしらんけど

バスは大渋滞にはまって動かなくなった

周りではクラクションがやたらと聞こえる

「事故ですかねー・・・」

「もうちょっとでつくのになぁ」

前の席でスタッフさんたちが立ちあがり、前の様子を見ようとする

「・・・」

私はちらっと横目で彩ちゃんの方をみた

彩ちゃんは、この状況ですやすやと眠っていた

あーあ。また、半目で寝てる・・・

私はクスッと笑った


私らは通路を挟んで一人ずつ座ってた

2人掛けやから並んで座ってもええねんけど・・・

十分スペースのあるバスの車内で

2人で座るっていうのもなぁ・・・

彩ちゃん、人がようけおるとこで近づいたらそっけなくなるとこあるし・・・

そんなわけで

こんな微妙な距離になっているというわけ・・・

「・・・」

私は窓から外を眺める

ここはタイだから私の顔を見ても騒ぐ人も居ない・・・

これが、普通の生活なんかな?

私はぼんやりと理恵たちと会ったことを思い出していた
―――

数か月前

私は奈良の高校時代の友達と集まっていた

居酒屋の個室で私は芸能界の事とかNMBのこととかいろいろ聞かれていた

とりあえず、言っちゃいけないことが多いから笑顔でやり過ごしていた

「ごめんよー」

そういって、同級生の理恵が入ってきた

「「お疲れさまー」」

「理恵ー。久しぶりー」

私はひらひらと手を振る

「みるきー久しぶりー。元気ー?」

「うん、元気やでー」

そんなやり取りをしながら理恵は私の隣に座る

「飲み物何にする?」

前の席に座る2人がメニューを見せる

「んービールかな」

「おーさすがー」

「飲み会って言ったらビールでしょ?なんかそれがもう定着しちゃった」

理恵はそう言って笑う

「今日忙しかったん?」

「んー。途中まではいい感じやったんやけど。夕方に入院せないかん人が来てしもて・・・バタバタしてなー」

「そうなんや・・・」

理恵は看護師として働いてる

私が・・・行こうと思っていた大学を卒業して・・・

「やっぱり大学病院って忙しいん?」

「かっこいい先生とか多い?」

前の2人は身を乗り出して尋ねる

「おらんおらん。忙しくてそんなん見てる暇ないし」

理恵はひらひらと手を振りながら笑う

「えーそうなん?」

「そうそう、そういうもん。今は恋より仕事かなー。なんか、やっと周りの事見えてきて、楽しくなってきたんよなー」

そんな話しをしていると

「おまたせしました」

ビールが運ばれてきた

「じゃあ改めて乾杯しよー」

「「かんぱーい」」

理恵は豪快にビールをのみ、ニカッと笑った

「わーおやじみたーい」

「でも似合うー」

「うるさいなー。働いた後のビールはおいしいの」

理恵は口を尖らしながら2人と言い合いをする

私はグラスを手にしたまま

そのやりとりをぼーっと見ていた

理恵は・・・キラキラしてた

他の2人だってそう・・・

社会人として働いて、上司がとか新人がとか・・・

そんな話しをしてる

そっか・・・就職して皆、3年目になるんやもんな

もう、立派な社会人やもんな・・・

・・・じゃあ私は・・・

私は・・・どうなんやろう?


・・・私、このままでええのかな?


―――

ブゥゥン・・・

バスが進みだし

私はハッとする

「ふぁぁぁ・・・」

隣から間の拭けた声が聞こえた

見ると、彩ちゃんが大きく伸びをしてる

「なぁ・・・彩ちゃん」

「ん?」

彩ちゃんは目をこすりながら、私の方を見る

「・・・やっぱり、ええわ」

「・・・なんやねん。ちゃんと言えや」

彩ちゃんは口をへの字に曲げていた

これは怒ってるんじゃなくて、真剣に聞こうとしてくれてるときの合図や・・・

ちょっとだけ・・・強気に出てもええかな?

「・・・ちょっと・・・話したいなっておもって」

「・・・おう」

「・・・ホテル着いたら、私の部屋来てくれへん?」

「え?」

彩ちゃんが目を丸くした

「だって、もう結構遅いし・・・ゆっくり話せるん部屋しかないやん」

「まぁ・・・せやな。・・・ほな、行くわ」

「うん。ありがと」


ブロロロ・・・

渋滞が抜け

バスはスピードに乗って走りだす


私らの会話はそこで途絶えた

これから2人で話すっていう緊張感が

私らを包んでいた





今ならば⑥

「久しぶりですよねー。メイキング」

みるきーとの撮影が中断している時

私はれいにゃんと美瑠とスタッフさんと話をしていた

で、カミまくりのトークを連発する羽目になる

なぜかというと・・・

それは、みるきーとのリハが原因なわけで・・・

あーもう、あの時なんであんなことゆうてしもたんや・・・

そんなことをおもいながら私は

悟られないように明るくふるまった

今回はみるきーとの絡みが多い

で、最初の絡みがよりにもよってなんでベッドやねん・・・

ベッドに寝そべりこっちを見るみるきーは

綺麗だった

失いたくないと思った

だから

思わず言ってしまった・・・


「――ねぇ」

「さやねぇ!」

「へ?」

美瑠に言われて思わずドキッとする

「さっきからスタッフさんよんでるで!」

「え・・・」

振り向くと眉間にしわを寄せたタイ人スタッフがこっちを睨んでいた

「やばっ!」

私は慌ててかけ出した


―――

2日目も

みるきーとの撮影がメインになった

「走って!」

スタッフさんに言われて、みるきーの手をとり走る

「・・・」

このまま、奪い去ってしまいたと思った

こんなこと思うのは歌の世界だけだと思ってたのに・・・


夜になり

皆、砂浜に召集された

コムローイという日本で言う灯篭の様なものをするらしい

ちなみに、タイは空に飛ばすらしい

私らは美瑠たちが飛ばすコムローイを見るようになっている

「「わぁぁぁっ!!」」

コムローイが空に浮かび

私も夢中で見上げる

「彩ちゃん」

名を呼ばれ、私は目線を横に移す

「綺麗やね」

「・・・」

私はその笑顔に引き込まれるように手を伸ばす


「はーい!では山本さんと渡辺さん以外、本日の撮影終了になりまーす」

「!」

その声でハッとして手をひっこめた

「・・・」

その動作を

みるきーが不思議そうな顔で見ている

ヤバい・・・

ばれたか?





今ならば⑤

卒業発表してから

慌ただしく日々が過ぎて行った

寝る時間もないくらいになる時もあったけど

彩ちゃんとペアでの仕事が多くなったから

昔に戻ったみたいで、嬉しかった


「えへへー」

私はうきうきしながら荷造りをしていた

最後のMVはタイでの撮影だ

彩ちゃんとの撮影が多いから

もしかしたら相部屋かも

とか、そんなこと思ってたら

顔が自然とにやけてた


―――

せやけど・・・

ホテルのラウンジで渡されたスケジュールの下に書かれていた宿泊ペアは

ふうちゃんやった

そんなに、うまくいくわけないか・・・

「ふうちゃん、よろしくねー」

私はそんな思いを悟られないようにふうちゃんを見た・・・んやけど

ふうちゃんはそんな私の声を聞いてはいなかった

「い、いける?」

うつむいて、顔色が悪かった

「なんか・・・タイ来てから暑さで・・・」

そう言うのが精一杯そうだった

私はふうちゃんの体を支え

「ちょっと、ふうちゃんが大変です!」

スタッフさんを呼ぶ

「どうしました?」

「大丈夫か?」

スタッフさんたちもふうちゃんの様子にビックリして

すぐに病院に運んでくれた

「矢倉さんは撮影難しいな・・・」

監督は頭をぽりぽりと掻きながらいう

「・・・部屋、シングル取りましょうか」

そういってマネージャーは通訳の人を交えて何やら話しをし

「渡辺さんはせっかくだし部屋、そのまま使って」

「は、はい」

私は、言われるがままに頷き

ツインルームに一人で宿泊になった

「・・・どうせなら、ペアシャッフルしてやり直しとかしてくれたらよかったのに」

私はそう呟き

ベッドに寝転ぶ

おしゃれな照明と南国風のインテリア

ムードばっちりやん

あとは、ここに・・・

「・・・彩ちゃんがおったらなぁ」

思わず本音が漏れた

―――

そして

「えー渡辺さんがここで寝がえりをうっていただいて、そこに山本さんが居て一言おねがいします」

「はい」

「・・・はい」

私はちらっと横目で彩ちゃんを見る

数時間前に思っていたことが現実になったので驚いていた

彩ちゃんは淡々としていて

なんやいつもと変わらへんかった

「じゃあ、リハいきまーす」

私は促されるままベッドに横になり

ゆっくりと寝がえりをうつ

「・・・」

ドキッとした

彩ちゃんの瞳が

優しくて・・・

でも・・・すこし寂しそうで

目をそらすことができなかった

こういうのを憂いをおびた瞳っていうんかな・・・?

「・・・」

彩ちゃんの口が動く

(え・・・)

すごくすごく小さい声

きっと、私にしか聞こえてない

その言葉は

用意されていた台詞じゃなかった


「はい。じゃあ本番行きまーす。あと、山本さん台詞口に出して言ってくださいねー」

「はい。お願いします」

「・・・」

「え?器材の調子が悪い?すいません、ちょっと時間いただけますか」

そういうと、現場スタッフたちは集まりなにやら言い合っている

「時間がかかりそうだから、少し休憩にしましょうか」

「「はい」」

女性スタッフさんのその一言を、彩ちゃんは聞いたか見たかで

スッとどこかに行ってしまった

呼びとめようとしたけど

「渡辺さん、この後の撮影についてなんですけど――」

スタッフさんに捕まってしまった

「・・・」

私はプールサイドでれいにゃんたちと話してる彩ちゃんをちらっと見る

あの言葉・・・

彩ちゃんの本心なん?






今ならば④

―――

バタン・・・

「ふー・・・」

私はバスタオルで頭を拭きながら

ベッドに腰掛け

携帯を手に取る

ニュースの欄にはみるきーの卒業のことばかり書かれていた


公演が終わった後

私はそうそうに次の仕事のために東京に向かっていた

そして、今都内のホテルでようやく一息ついてるところだ


『運命の人やと思う』


「・・・なんやねん」

みるきーが言った台詞が

蘇ってきて

思わずクスッと笑う


あの時も、いつもの間の抜けた言葉に

思わず笑ってしまった

あんなに頑張ってこらえてたのに

それで気が抜けて

涙がこぼれてしまった


気恥かしかったけど

ホンマに嬉しかった


「・・・」

私はツイッターを開き

文字を打ち込んでいく

どう言っていいかわからない2人の関係・・・

私らだけの距離感・・・

うまく言葉にならないけど

でも、どうしても今言っておきたかった



初めて交わした言葉

厳しいレッスン

バラエティ

コンサート・・・

次々に来る難題

任せられるセンター、キャプテンという役割

でも・・・その隣にあんたが居たから・・・

乗り越えてこれたんや

なぁ、みるきー

こんなんいうん、子供っぽくて

あんたの言葉には敵わへんけど

並んだ時、無敵やっておもってたんやで


「・・・っ」

ポタっ

画面に一滴のしずくが落ちた

今ならば③


―――

そして、運命の日

「私、渡辺美優紀はNMB48を卒業します」

「「ええーーー!!」」

どよめく会場の中

隣にいる彩ちゃんだけが

静かに聞いていた


発表する時は、彩ちゃんに居てほしい

そうスタッフさんにおねがいしてた

私の、最後のわがままだった・・・

だって・・・言いたいことがあったから

「友達にはなれんかったけど・・・」

私は彩ちゃんの目を見つめ

「私の人生の中で、一番運命の人だと思う」

そう言ったら彩ちゃんは噴き出してたけど

ホンマの事やもん

私は、そう思ってるんやもん

だって、同い年で

身長も同じくらいで

血液型やって一緒なんやで

まぁ・・・その話し今してるんやけど・・・

とにかく

伝えたかった

あなたの一番近くに居て

あなたと喜びも悲しみも分かち合って

あなたと5年半一緒に入れて幸せだったって


あなたの事を運命の人って言えるくらい・・・

世界で一番・・・

大好きだってことを・・・


私の話しが終わって

彩ちゃんは泣いていた

素直に嬉しかった

でも、泣きながらも

ちゃんとお客さんにキャプテンとして話してて

そういうところが、彩ちゃんらしいなって思った



ねぇ、彩ちゃん

なんで、友達にはなれなかったけどって言ったかわかる?


友達やなくて

私は・・・あなたのこと・・・ずっと前から・・・


私は彩ちゃんの横顔を見つめながら

微笑んでいた


きっと、今この顔は

卒業発表してすがすがしいとか

感極まってるとか

そんな風に映るんやろなー・・・





今ならば②

いつも一緒だった

いつも2人でひとつだった

隣を見れば君が居て

無敵だって思ってた

でも

無敵になるには

いつも距離が必要だった

近づくことも、離れることもない

一定の距離・・・

長い月日の中で

私たちは無意識に学んでいたんだと思う

でも・・・

『もうここにはいないとおもうので』

携帯でその文字を見た時

「え・・・」

思わず声が漏れた

直感だった

距離が・・・離れる

そう思った


「おいおいおい・・・」

私はラインを起動させ

文字を打つ

そう、いつも私の隣に居た・・・

相方・・・みるきーに

みるきーからの返事は

『そういうことやで』

と、そっけないものだった

「まじかよ・・・」

私は勢いよくベッドにダイブし

「はぁ・・・」

くるっと向きを変え

天井を見上げた

煌々と光る蛍光灯に目を細める


スポットライトを浴びて、踊って・・・

隣にはみるきーがいて・・・

それが当たり前だと思ってた

そりゃ、いずれ卒業することにはなるだろうって思ってたけど・・・

そんなこと

まだまだ先だと思ってた・・・

『彩ちゃんは卒業とか考えてるん?』

以前、みるきーにそう言われたことがあった

『もしするんなら、そんときは私が先に卒業するわ』

そういって笑って誤魔化した気がする

だって

考えたくなかったから

私の隣からみるきーが居なくなるなんて


『やっぱりみるきーとはライバル関係って感じですか?』

ふと、雑誌記者から結成当時言われた言葉が蘇ってきた

『やっぱり、仲わるいんじゃねぇの?』

『俺は、みるきー派だなー』

雑音の中から聞こえて来るファンの会話も・・・

そして

『山本と渡辺はNMBのダブルセンターになってもらう』

秋元さんに呼ばれて、そう聞かされたあの日のことも・・・


そう・・・

きっと・・・

あの日から、私たちは

お互いに距離をとることを選んだんだ

「・・・っ」

私は腕で目を覆った

暗くなった視界には

これまでの思い出が映画のスクリーンのように映し出されてくる


あぁ・・・

あほやなぁ・・・

なんで、今頃気づくねん・・・


気付けば頬に一筋の涙が伝っていた

今ならば①


「「わぁぁぁぁっっ!!!」」

まぶしく光るスポットライト

その隙間から光る無数のサイリウム

私は歌い、踊る

「はぁっ、はぁっ・・・」

苦しかった・・・

限界や・・・

そう思った時

隣を見たら

あなたが・・・私を見て笑った

私も笑い返して踊り続ける

不思議やなぁ・・・

さっきまでの苦しさが消えていく・・・

ずっと、2人はこの場所で一緒だった

そう・・・これからも・・・


バンッ!!

照明が消え

突然視界が真っ暗になった

「はぁはぁ・・・」

私は踊るのを止めて辺りを見渡す

パッ!

照明が再び着いた時

「え・・・」

私は思わず声を漏らした


彼女だけが・・・センターに居た

「「わぁぁぁっ!!!」」

お客さんたちは彼女の名前を叫んでる

それを私は一番後ろで彼女を見つめていた

周りのみんなも何事もなかったみたいに踊ってる

そう、まるで・・・

昔から彼女一人だけがそこにいたかのように・・・

「・・・っ!彩ちゃん!」

私はたまらなくなって彼女の名前を叫ぶ

ピタッ・・・

音楽もメンバーもお客さんも

すべてが止まった

そして・・・彼女はゆっくりと私の方を向いて

「なんやねん?」

気だるそうにそう言った


―――今ならば―――

ピピピピピピピ・・・・・

「・・・!!」

目覚ましの音で目が覚めた

「はぁ・・・はぁ・・・っ・・・・」

私は顔を手で覆い

しばらく起き上がれないでいた


また・・・同じ夢を見た


ジャーーー・・・

のそのそとベッドから起き上がった私は

洗面台の鏡を見つめていた

寝ている間にも泣いていたその顔は

酷い顔だった・・・

「・・・もう・・・限界なんやな」

私は鏡に映った自分にむかって呟いていた

夢に出てきた彩ちゃんのゆがんだ顔が蘇る

「・・・」

私は水を止め

部屋に戻り

携帯電話を手にし、電話をかける

プルルル・・・

ガチャ

『もしもし?』

「金子さんですか?」

『おぉ、どないした?みるきー』

「お話しがあります・・・今日、お時間いただけますか?」

『あぁ、ええで。』

――その日、私は卒業したいと告げた・・・


◆おまたせしました

どうも、しゅうです

お待たせしました(^^;)

8月23日6時から投稿を開始したいと思います

1日1回ペースは変わりませんが、お付き合いいただけたらうれしいです(^^)
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  • ◆おはようございます