気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2016年12月

◆おしらせ

ども、しゅうです(・∀・)

またまたですが、更新お休みします

年末になると仕事とかやることとかが詰まってきて執筆が滞っておりまして・・・(^^;

でも2月は小嶋さんの卒業ライブに行くからそれまで頑張ります!(´∀`)前夜祭だけど笑

一般で2DAYSいけんかなーと思っております

せっかく東京に行くんだから、楽しまんとねー(´∀`*)

まぁ、ぼっちですけども笑

行かれる方おりましたら楽しみましょう☆

もしかしたら、毎日ではなく土日更新とかにかえるかもしれませぬ・・・

週刊誌的な感じで・・・

とりあえず、どうなるかは今後の忙しさによりますので、あしからず。

そして、こっちのブログもだいぶ知名度でてきたので、アメブロは年内で閉めようと思います。

こっちのブログは過去の作品を探すの大変だったりするかもしれませんが・・・

気力があればタイトルわけとかできたらなーとかおもっております。

でも、まぁ今回の話しが終わらなければできないんですがね・・・

気長にお付き合いしていただけたらと思います

では、みなさま寒いので風邪などひかれませぬように(^^)

僕の彼女は魔法使い28

―――

彩美堂に向かう道を美優紀達はあるいていた

その手前にある公園でサヤカは立ち止まる

「ほなな」

「え?」

「私はここで寝るわ」

「でも、そんなとこでおったら夏とはいえ風邪ひくで」

「1週間ここでおったんや。引くか」

「あ、そっか。でも、疲れ取れへんやろ」

「野宿にはなれとるわ」

そういって、サヤカはスッと離れようとする

「・・・あ」

気付けば、美優紀はサヤカの制服の裾を引っ張っていた

「・・・」

サヤカは驚いて美優紀を見る

「そ・・・その・・・」

美優紀はとっさの事で言葉に詰まる

「あ・・・せや・・・猫!」

美優紀はハッとして叫ぶ

「は?」

「猫になれるんやったら、うちにきたら?」

「なんで、いかなあかんねん」

「・・・だって、契約者・・・なんやろ?追いかけてきたん誰よ」

「・・・」

「うちにきたら、毎日どら焼き食べれるで」

「・・・」

サヤカの身体がピクッと動く

「おばあちゃんも前飼ってた猫おらんようになって寂しそうやったし。ちょうどええかも!な、人助けと思って」

美優紀はニコッと笑った

「・・・」

サヤカはその顔にドキッとする

(なんやねん。わろたら、かわええやんか・・・)

「まぁ・・・せやな・・・契約者やし・・・猫になるんなら・・・ええか・・・」

サヤカはぷいっとそっぽを向きながら答えた

「うんっ。ほなかえろう」

美優紀はそういって、くるっと向きを帰る

サヤカもその後をついていく

こんな気持ちで家に帰るのは久しぶりだ

そんなことを思った


「じゃあ、ここらへんで猫になってもろてええ?」

美優紀は彩美堂の裏に周り、こそこそという

「おう」

カッと光を放ち

彩は黒猫になった

「よいしょっと・・・」

美優紀は猫を抱き

店の方に回る

もう、店は半分シャッターが下りていた

「ただいまー」

美優紀はシャッターをくぐり、中に入る

「おかえり。もう、ごはんできてるよ」

白いかっぽう着を着た美優紀の祖母がにこっと出迎える

「うん」

奥の調理場では祖父がちらっと見て、また作業にいそしんでいた

「にゃー・・・」

彩はとりあえず鳴いてみた

「お?どうしたんだい?この猫」

「公園でおってん。なんかなついてしもて・・・ほっとけんし・・・なぁ飼ったらあかん?」

「あら・・・この子目が赤いんだね。珍しいねぇ・・・」

祖母は目を覗き込む

猫になるとき、瞳はその属性の色が出る

土使いなら黄色

風使いは緑

水使いは青

炎使いは赤だ

「そやねん。綺麗やろ?なーええやろ?おばあちゃん」

「んー・・・どうしようかねぇ」

そういって祖母は困った顔をする

「おねがい、おばあちゃん!私世話するし、この子もともと野良やから手間かからへんから」

(誰が野良だ・・・)

サヤカはぶすっとする

「美優紀がそういうんならしかたないねぇ・・・じゃあ、いろいろ買ってこなきゃいけないねぇ・・・あ、まだサクラの使ってたやつがあるか・・・」

サクラとは以前飼っていた猫の事である

「ありがとう、おばあちゃん!あ、あとなこの子、うちのどら焼きが好きやねん」

そういって、美優紀はニコッと笑った


――――

美優紀はサヤカを抱いて階段を上り

自分の部屋へとはいった

ピンクの絨毯の上にサヤカは着地する

「はい、もうええよ」

「おう」

サヤカはカッと光を放ち、元の姿に戻った

「そこらへん座って」

そういって美優紀は制服を脱ぎだす

「・・・」

彩はぷいっとそっぽを向く

そして、その目線の先にあった本棚に手を伸ばす

(なんや?女ばっかり出て来る変な本やのー・・・)

ファッション雑誌をぱらぱらとめくっていると

パサッ・・・

何かが落ちた

「?」

サヤカはそれを手に取る

短冊ほどの紙はプリクラだった

(なんやこれ?)

サヤカはいぶかしげにそれを見る

『みるきー&アカリン』とか『大親友』とかカラフルな文字と背景の中に大きくかかれていた

「ちょっと!何見てるん!?」

美優紀はそれに気づいてサヤカからプリクラを奪い取り

ゴミ箱に捨てた

「お、おい。ええんか?」

「ええよ。こんなん、もう持ってても仕方ないから・・・」

「・・・ふーん」

美優紀の表情にサヤカは違和感を覚える

「本棚の見てもええけど、一声かけてよね」

「あぁ、すまん・・・」

なんとなく、気まずい空気になる

そこに

「美優紀ー」

下で祖母の声が聞こえた

「はーい」

「猫ちゃんもつれといで、サクラにあげてた缶詰、まだ大丈夫みたいだから」

「えっ・・・」

美優紀は固まる

「なんや?缶詰ってうまいんか?」

「いや、人が食べるもんやったら美味しいけど猫用やし・・・」

「どうちがうねん?」

「全然ちがうよ!動物用やから下手したらお腹壊すかも知れへんねんで」

「なんやてっ!不味いんか?」

「たぶん・・・」

「「・・・」」

2人は目を合わせる

「だ、大丈夫。気に入らんふりしてくれたら、人間のご飯が好きみたいとか言うから」

「ホンマやろな?」

「うん。任せて」

美優紀は深く頷く

サヤカは重苦しい雰囲気が祖母によって和んだのを感謝しつつ

(変な飯出さんといてくれよ・・・)

祈るような気持ちで猫になったのだった


僕の彼女は魔法使い27


「なんか懐かしいねー」

「そうだねー」

宮澤と柏木は昔を思い出し、感慨にふけっていた

「あの頃の生徒会楽しかったなぁ。麻里子様も意外と熱い人でよく議論したよ」

「そうだね。でも結局それをまとめるのは敦子っていうね」

「そうそう。実は誰よりも権限持ってた気がするよ」

宮澤は笑う

「でも、あの時の麻里子様の告白はしびれたなー」

「うんうん。でも、私は佐江ちゃんの言葉が嬉しかったよ」

「そう?なんか、勢いで麻里子様に便乗したみたいで自分ではあの後ちょっと気にしてたんだけどね」

「え?そうなの?」

柏木はクスッと笑う

篠田が3年になり、生徒会を引退した後は

宮澤が会長、前田が副会長に就任していた

だが、篠田の引退は契約解除ということになる

生徒会室で、その事実を知らされた篠田は

小嶋にずっとそばにいてほしいと言ったのだ

―――

「たかみなは、敦子にずっとついてるじゃん。そういう風にはできないの?」

夕日が照らす薄暗くなった校舎の生徒会室で篠田が言う

「もちろん、契約は続けることができるが・・・私らの力は最近弱まってきてて・・・ここの学校を出れば、契約者にも負担がかかるんだ・・・大学進学とかでこのあたりの地区をでると相当な負担になる」

「それは、私にってこと?」

篠田は尋ねる

「そうだ。それに、これから先は・・・本当にこの地区・・・いや、霊樹周辺でしか生活できない可能性だってあるんだ」

「・・・わかった。今はまだ大丈夫なんだね。じゃあ、契約は解除しない」

「え?」

「私、この学校にもどってくる」

「え・・・?」

その台詞に、一番驚いたのは小嶋だった

「陽菜は、私を変えてくれたんだ。4年間私の身体に負担がかかるなんてどうってことない。それに、ここは学校だし、教員になって戻ってくるよ」

「で、でも麻里ちゃんは生物学者になりたかったんじゃないの?」

小嶋によって生きることの意味を見つけた篠田は

生物学に興味をもった

死を考えていた彼女が、生を扱う学問を好きになったのだ

「それは、陽菜の身体が歳を取らないから・・・」

「え?」

「最先端の科学技術とかを学べば、何か手掛かりが見つかるんじゃないかなっておもって・・・」

「なにそれー。私に歳とらせたいの?」

「ちがうよ。私の方だよ」

「え?」

「どうやったら、歳とらないか・・・考えて、そういう結果になったんだ。ただ・・・一緒に居たいの。ずっと一緒に・・・生きていたいから」

篠田は俯く

「麻里ちゃん・・・ありがと」

小嶋は篠田の手を取る

「でも、私たちは生きてる世界が違うから・・・。だから、そんなに考えなくてもいいよ」

「考えるよ!・・・好きだから。陽菜の事が・・・好きだから。陽菜が他の人と契約結ぶの嫌だし、記憶がなくなるのだって・・・嫌なの」

篠田の目から涙がにじむ

「私も嫌だ」

話しを聞いていた宮澤が口を開く

「ねぇ、たかみな。私もりんちゃんとの契約解消するの嫌だよ」

「・・・佐江ちゃん」

「私も、ずっと一緒に居たい。私も教員になってもどってくる。大学だって東京にする。もし霊樹のそばでなきゃ無理だって言うんなら、この地区から通う」

「おまえら・・・」

「ねぇ、たかみな。王女様が来るのって、あと何年くらいなの?」

前田が口を開く

「え・・・あと・・・11、2年くらいか」

「じゃあ、私ら30前だね。大学いって、ここで就職して・・・丁度教員としてもいい時期なんじゃないかな?」

「え?」

「王女の契約者は生徒会長にして、私たち教員がフォローするのじゃ駄目なの?」

「あっ、それいい!」

宮澤は声を上げる

「それに、私もみなみと契約解消するつもりないよ。みなみだってそうでしょ?」

「う・・・でも、敦子に負担がかかるんなら・・・」

「今更そんなこと言わないでよ!私は一緒に居たいの!それに、みなみが居ない生活なんて・・・もう考えられないよ」

「敦子・・・」

「私も、同じ。陽菜が居ないなんて嫌だ」

「私も。りんちゃんにいてほしい」

「・・・」

高橋は黙る

「ねぇ、たかみな。私ね、ここ最近ずっと1年くらいで契約解除してたでしょ?それって、なんかピンとこないのもあってさ。別にそれでいいかなーって思ってたの」

小嶋は高橋の方を向いて話しだした

「でも、麻里ちゃんと契約解消する時期が来て・・・なんか、寂しかったの。私も・・・麻里ちゃんと一緒に居たい。ダメかな?」

「私も・・・佐江ちゃんがいい!この先も・・・ずっと!」

柏木も声をあげる

「おまえら・・・わかってるのか?私らの使命は・・・」

「わかってる。だから、せめて王女がくるまでは・・・好きにさせて。そこから、どうするか決めてもいいんじゃない?」

小嶋はいつになく真剣なトーンで言った

「・・・いつか、離れる日がくるんだぞ?ずっといる方が・・・辛いときだってあるんだぞ?」

「わかってる。でも、今離れるよりその方が、ずっといい」

柏木も真っ直ぐ高橋を見つめた

「そっか・・・みんな、いいパートナーに出会えたってことだか・・・」

高橋はフッと笑い

「じゃあ、2人には約束してもらう」

高橋は篠田と宮澤の方を向いた

「必ず、教員になって戻ってきてきてくれ。そして、王女が来る時・・・フォローしてほしいんだ。この世界で、生活ができるように」

「わかった」

「もちろんっ!」

篠田と宮澤しっかりと頷いた

――――

「ねぇ、佐江ちゃんはさ。教師になったこと後悔したことないの?」

「え?なんで?」

「だって、大鳥さんに憧れてたから・・・その・・プロとかそっちに行きたかったんじゃないのかなって」

「あー。ううん。全然。元々教員には興味あったしさ、それにこうしてバスケの顧問させてもらえてうれしいよ」

宮澤はニコッと笑う

「お・・・もしかして、佐江か?」

「え?」

聞き覚えのある声を聞いて振り返る

「お、当たった」

「佐江ー。久しぶりー」

そこには背の高い女性が2人立っていた

「大鳥先輩、千田先輩!」

宮澤は思わず駆け寄る

「今シーズンオフでさぁ。休暇取れたから久しぶりに遊びに来たんだよー」

「今は佐江が教えてるって聞いて、覗きに来ちゃった」

2人はにこっと笑う

大鳥と千田は大学もバスケを続け、実業団チームに所属しているのだ

いわば、プロの様なものである

「あー・・・でも練習終わっちゃったんですよねー」

「えーなんで?」

千田が尋ねる

「いや、今日テスト終わりで練習早く終わったんです」

「そうなんだ。で、生徒がいなくなった後こっそり練習してたの?」

大鳥はくすっと笑う

「もーそんなんじゃないですよー」

宮澤は口をとがらせる

「ねぇ、あの人は?」

千田が柏木の方を見る

「あぁ、ここの保健室の先生なんです」

柏木はぺこっと頭を下げる

「ん・・・?」

大鳥は首をかしげた

(どっかであったような・・・?)

柏木は宮澤と契約を結んだので、それまでに学校で会った人たちの記憶を消していたのだ

「佐江の彼女?」

そういって千田はにこにこと笑う

「はいっ!」

宮澤は迷うことなく頷いた

そして

「先輩達も順調なんでしょ?」

ニヤッと笑った

「そんなの当たり前でしょー。鳥ちゃんには私が必要なんだから」

「あはは。そういうこと」

千田に腕を組まれ、大鳥はにこっと笑った

―――
その頃

玲奈は寮にもどり、渡辺が渡してきた本に目を通していた

織田信長という名前は聞いたことあった

天皇から武士が政権を奪い

天下を統一した人物・・・

ヒスイがさらりと言って以来

歴史について学ぶことがなくなってしまった

レナはなんとなく疑問に思っていたのだが

『いずれ、あなたは日本に行くことになるかもしれません・・・歴史はその時に学んでください』

そう言われた

ヒスイの顔が寂しそうだったので

玲奈はそれ以上詮索できないでいたのだ

「たっだいまー」

部屋のドアが開き、部活を終えた珠理奈が部屋に入ってきた

「おかえりなさい」

玲奈は本を閉じ、珠理奈の方をむく

「いやーやっぱりバスケはいいわー。ずっとできなかったからさー楽しかったよー」

珠理奈はニコニコと笑いながら荷物を床に置く

「よかったね」

嬉しそうな珠理奈の顔を見て、玲奈はクスッと笑った

「玲奈ちゃん今日は何してたの?」

「私は、図書室でいたよ」

「ふーん。借りてきたの?」

「あ、うん」

珠理奈は玲奈の机をのぞき込み

「あー織田信長だ。かっこいいよねー。」

そう言った

「珠理奈は知ってるの?」

「え?信長?知ってるよー本能寺の変は私でもしってるからね」

あまり勉強が得意ではない珠理奈は苦笑いをしながら言う

「本能寺の変・・・?」

「あ、そっか。玲奈ちゃんは異世界の人だから日本の歴史とか詳しくないよね。明智光秀っていう家臣が信長に逆らって討つんだよ」

「そうなんだ・・・」

玲奈はぱらぱらとまだ読んでいない後半のページをめくる

『本能寺の変』

というフレーズが目にとまり、ページを止めた

そこには刺し絵がはいっており、炎の中で刀を構え今にも刺し合おうとしている2人の武士が居た

「これこれー。こっちが信長だよー。ちょび髭だし」

そういって、珠理奈は左の人物をさす

「そうなんだ・・・」

「でもさ、光秀もすぐに殺されちゃって三日天下とかいわれてるんだよー。その後は豊臣秀吉が天下とってさー」

「そうなんだ」

「私、唯一そこだけは歴史好きなんだよねー」

そういって珠理奈は笑う

「そっか。じゃあ、ちゃんと読んでみようかな」

「え?」

「珠理奈の話しきいたら、なんだか面白そうだし」

玲奈はニコッと笑う

「・・・」

珠理奈はその顔にドキッとする

ドンドンドン!

「わっ!」

「きゃっ!」

いきなり戸がたたかれ、珠理奈と玲奈は声を上げる

「珠理奈!大変やっ!」

その声は横山だった

「な、なんだよ。ゆいはんか・・・」

珠理奈は戸を開ける

「今、宮澤先生から連絡が来て、栄堂工業の大鳥さんと千田さんが来てるって!!」

「えっ、マジ!?」

珠理奈は声を上げる

「誰?それ?」

「女子バスケ界のアイドルみたいなもんやな。プレー技術もさながら、ルックス抜群で人気なんやで」

「そうなんだよ!すっごくカッコいいんだから!」

珠理奈は興奮しながいう

「なんや、宮澤先生の先輩なんやって。今から体育館に来れないかって連絡があってバスケ部に声かけてんねん」

「行く行く!あ、玲奈ちゃんもいこうよ」

「え?」

「見るだけでも、価値あるからさ」

「そうそう!ほな、私他の子にも声かけて来るから」

「わかった!行こう、玲奈ちゃん」

「え、う、うん・・・」

珠理奈は玲奈の手を引き走りだす

「・・・」

玲奈は握られた手を見つめ

胸があったかくなるのを感じていた


そして、珠理奈たちバスケ部は大鳥と千田に指導を受け

最後は宮澤も混じり試合をした


「やっぱり佐江ちゃんかっこいいなー」

そう言いながら、見つめる柏木の横で

楽しそうにプレーをする珠理奈を見て

玲奈はクスッと微笑んだ


僕の彼女は魔法使い26


―――

そして、準決勝が始まった

「「行け行けーーー!」」

「「守れーー!!」」

「「わぁぁぁっ!!」」

たくさんの観客が声を上げる中、柏木はぎゅっと手を握り試合を見つめていた

ガンッ!

宮澤のドリブルシュートが外れる

「くっ」

顔をゆがませる宮澤に

「リバウンドー!」

大鳥が叫ぶ

そして、スパッ!

同じ1年の佐々木がボールをとり、シュートした

「「わぁぁぁぁぁっ!!」」

観客たちは声を上げた

「ナイッシュー」

「はいっ」

コート内で大鳥と佐々木はニッと笑う

「佐江、いいからどんどん打てよ」

大鳥は宮澤の背中をたたく

「はいっ!」

宮澤は弱気な気持ちを振り払うように声を上げた

そして、試合は終盤

ピピー!

相手のファウルで宮澤にフリースローのチャンスが回ってきた

「はぁ・・・はぁ・・・」

宮澤はボールをつきながら、リングを見つめる

コートを走り回り、何度も何度もボールを投げたが、力が入ってうまく決めれないでいた

今回のフリースローもシュートが入らなかったので2回投げる

シュッ!

ガンッ!

ボールは無情にもはじかれる

「・・・」

宮澤は顔をゆがめる

「佐江、大丈夫だ!」

大鳥の声が聞こえ、ハッとした

そして、顎でくいっとメンバーがいる方を見る

「佐江ー!大丈夫だー!」

「入るよー」

皆、大声で声援を送っていた

「佐江、投げろ。絶対拾うから」

「そうそう、悩まないで投げなー」

コートに居るメンバーたちも声をかける

『チームでやってるんだ・・・って』

宮澤は大鳥の言葉を思い出す

そして、千田も力強く頷いていた

宮澤は、ふーっと息を吐き

シュッ

投げた

グルングルン

ボールはまたリングを周り

グラッ

外れたっ!

宮澤がそう思った時

ボールの下から手が伸びてきた

同じ一年の佐々木だった

がっちりとボールをつかみ

「佐江っ!もう一回投げろ」

佐々木は宮澤にボールを戻す

パンッ!

宮澤は反射的にボールを受け取り構える

「昨日の感覚!思い出して!」

どこからか、声が聞こえた

「!!」

シュッ!

ふわっ・・・

ボールは綺麗な孤を描き・・・

入る

直感的に思った

スパッ!

「「わぁぁっ!!」」

「よしっ!ナイッシュー!」

佐々木はガッツポーズをし、佐江に駆け寄る

「ありがと」

「何いっての?フォローするの当たり前でしょ?チームなんだから」

「・・・うん。そうだね。よしっ!守ろう!」

「そうそう!佐江はそれくらいがいいよ」

「え?」

「みんな、佐江が元気無くないって心配してたんだから」

「みんなが・・・?」

宮澤はコートの外を見る

「ほら、2人とも守るよー」

大鳥が声をかけ、ニッと笑った

「「はいっ!」」

宮澤たちは大鳥の方に駆け寄る



そうだ、シュート決めなきゃって・・・思ってたのって

皆と勝ちたいからだったんだ

このチームで・・・優勝したかったんだ


だめだなぁ・・・ホントに大事なこと忘れてた

宮澤は顔を上げ、手を大きくひろげ

守りに徹する

その顔に、迷いはなかった


―――

「みんなよく頑張った」

試合が終わり、会場のロビーで監督が話しをする

試合は苦しくも負けてしまった

みんな目を赤くしていたが

宮澤はしっかりと目を前を向いていた

大鳥はその表情見てフッと笑った


試合後、宮澤は学園の体育館に居た

ダムダム・・・

誰も居ない体育館にボールの音が響く

「・・・」

ボールをつくのを止め

「・・・いるんでしょ?」

宮澤は問いかける

「・・・でてきてよ」

「・・・」

「なんで、わかったの?」

体育館の中央から、柏木が姿を現した

「今日の会場で、声が聞こえたから。でも、姿が見えなくて・・・魔法使いだから姿とかけせるのかなと思って」

「・・・そっか。ばれてたんだ」

柏木はバツが悪そうに言う

柏木は姿を消し、コート近くで試合をみていたのだ

「・・・」

「・・・」

宮澤と柏木の間に沈黙がながれる

「・・・ごめんなさいっ!」

柏木は勢いよく頭を下げる

「いいよ。私もごめん・・・」

「・・・許して、くれるの?」

柏木はおそるおそる、頭を上げる

「うん・・・」

宮澤は頷いた

「キャプテンと話ししたんだね」

「うん・・・。今日、調子わるそうだったから・・・私のせいかなって・・・」

「・・・ううん。それは自分が悪いから」

「・・・私ね、ずっと風を操ることはいいことだっておもってた」

「え・・・?」

「この世界に500年くらい前からいるの」

「そっ、そんなに?」

「うん。私が来た当時は戦国時代で戦のたびに風を操って助けてたの・・・だから、それが当たり前だったし、いいことだと思ってた。戦が終わったあとも、火事のときは風を止めたり、広がらないようにしたり・・・最近だって追い風は喜ばれてたから・・・風を起こして怒られるなんて考えたことなかった」

「・・・」

「でも、それって私の考えだけだったんだよね。あなたの気持ち、考えてなくて・・・ごめんなさい」

「・・・ううん。私も・・・いきなり怒鳴ってごめん。・・・応援してくれてたんだよね」

「・・・」

柏木はこくっと頷く

その目には涙が滲んでいた

「キャプテンに言われた。一人で練習したら自分の考えに固執するって・・・私も、柏木さんの気持ち考えずに怒鳴ってごめんなさい」

「・・・」

柏木はふるふると首をふる

「うん。でも、約束して。もう、バスケの時は風をおこなさいって」

「うん、約束する。今日だって、ちゃんとなにもせずにみてたんだから」

「ありがとう。今日、シュートはいったの柏木さんのおかげだよ」

「え?」

「昨日の感覚、思い出してっていったよね」

「・・・聞こえて・・・たんだ」

柏木は苦笑いをする

「うん。おかげで、大事なことも気づけたし・・・感謝してる。試合は負けちゃったけど・・・私にとってはいい試合だったよ」

「・・・そっか。よかった」

「だからさ、契約者になるよ」

「え?」

「約束まもってくれるんだから。私も言ったことは守らないとね」

宮澤はニコッと笑う

「宮澤さん・・・ありがとう」

柏木もニコッと笑った

「「・・・」」

なんとも照れくさい空気が、二人をつつむ

そして

体育館の入り口から足音が聞こえて

宮澤は振り返る

「あれ、佐江?」

「何?佐江も来てたの?」

「え・・・みんな?」

1年生部員がわらわらとやってきた

「今日の試合くやしくてさ。自主連するっていったらみんなついてきちゃった」

佐々木は笑う

「私らだって負けてらんないからさー」

「そう思ってたら、佐江の方が先にいるんだもん。ビックリしたよ」

「抜け駆けなんてずるいよー」

「そうそう、相手要るでしょー?」

みんなニッと笑う

「ありがと」

宮澤も笑った

「さ、練習練習」

部員たちはコートの端に荷物を置きだす

宮澤はハッとして振り返ると、すでに柏木の姿はなかった

「よかったね」

耳元で声が聞こえた

柏木はとっさに姿を消していたのだ

「・・・ちょっと、残念だけど」

「え?」

「ううん。あ、あの契約者になる方法・・・あとで教えるね。じゃあね」

ふわっ

柔らかな風が吹き

宮澤の前髪を揺らした

宮澤は目を閉じ

その風を感じる

「何してんの?」

佐々木が不思議そうに問いかけた

「いや・・・いい風だなって思って」

「風?体育館で?」

「いいの。さっ、練習練習」

宮澤はニッと笑った

――――


そして、篠田と宮澤は生徒会長に立候補した

篠田は、あの一件から眼鏡もコンタクトに変え、根暗なイメージを変えるために同級生に話しかけるようになった

何があったのかとクラスの人たちは驚いていたが

男子からは黒縁眼鏡女子は実は美人だったというアニメの様な展開に一気に人気が高まった

そして、生徒会長立候補演説で緊張して博多弁が出たことも幸いし

男子からの投票獲得数No.1となり

篠田はこの年見事、生徒会長になったのであった

一方、宮澤は元々イケメン女子とて同級生から絶大な人気があった

そして、演説場所が体育館であることを利用して

ドリブルシュートを決め

先輩達のハートも鷲掴みにしたのだった

そして、女子からの獲得票数No.1となり

副会長に任命された

前田も、乗り気ではなかったのだが

この学園のために何かをしたいという思いが話しているうちに強まり

最後は泣いてしまっていた

その様子に胸を打たれた生徒たちから投票され

無事、書記として落ち着いたのだった



僕の彼女は魔法使い25



次の日―

昨日と同じ会場で試合が行われていた

ガンッ!

「あっ!」

宮澤の投げたシュートがリングにはじかれる

「佐江、ドンマイ!」

大鳥が声をかける

「・・・すいません」

宮澤は小さく呟き、走る

「・・・」

その姿を怪訝そうに見つめていた

朝、学園の体育館で集合になっていたのだが

鍵を取りに行った大鳥は、顧問から聞いたことに驚いていた

『昨日、宮澤最後まで残ってたんだけど、片づけもせずに帰ったみたいなんだ』

『えっ?』

『あいつ、いつもちゃんと掃除までして帰ってたのに・・・昨日は、なんにもせずにいなくなっててさ。荷物もそのままで・・・まるで・・・』


何から逃げたみたいだった


「・・・」

大鳥は顧問から言われたことを思い出し

宮澤の背中を見つめていた


ビーーー・・・

試合が終わり

なんとか秋葉学園が勝利した

だが、宮澤が入れたのは4点・・・

果敢にシュートを入れていたのだが

ほとんどが入らずにいた

「ベスト4だよー」

「次勝てば聖光だよねー」

「・・・」

わいわいと盛り上がるメンバーとは対照的に

宮澤は素早く荷物をまとめ

歩き出した

「・・・理恵、荷物お願い」

「う、うん」

大鳥は千田の腕に荷物を押しつけ、宮澤の後を追った

「・・・」

そんな様子を柏木は観客席でひっそりと見つめていた


「佐江のやつ、どこいったんだよ・・・」

大鳥は会場内を駆け回る

「あ、あの・・・」

「え?」

「バスケ部のキャプテンですよね?」

そこには、秋葉学園の制服を着た柏木が立っていた

「そうですけど・・・」

「あ、あのっ。宮澤さんのことで私謝らなきゃいけないことがあるんです」

「え?」

大鳥は首をかしげた

――――


宮澤は会場外のベンチにいた

わぁぁぁっ!!

ピーーー!

遠くで試合の音が聞こえて来る


「はぁ・・・」

宮澤はうなだれる

試合は散々だった

投げても投げても・・・あざ笑うかのようにリングにはじかれる

・・・結局、私は全然かわってないのかな

悔しくて涙が滲んできた

「佐江」

その声を聞いて、パッと顔を上げる

「キャプテン」

「探したよ・・・こんなとこに居たんだ」

大鳥は宮澤の隣に座る

「なんかあったのか?」

「・・・」

宮澤は答えない

「昨日の今日でスランプか?」

「・・・違います。スランプなんかじゃないです・・・そういうのじゃなくて、元々私はできないんですよ」

「え?」

「シュートが入らない・・・ダメなやつなんですよ」

「そんなことないよ」

宮澤は首を振って、俯く

「昨日、やっぱり遅くまで練習してたんだろ?」

「え・・・」

「それに、木曜学校が早く終わった時も、内緒でやってたんだろ?」

「え・・・なんで知って・・・」

「さっきさ、柏木さんって人と話したんだ」

「えっ!」

宮澤はバッと顔を上げる

「先輩、じゃあ・・・聞いたんですか?」

「え?なに?」

「その・・・風のこと・・・」

「風?いや、彼女そんなこと言ってなかったよ」

「へ?」

「詳しくは言えないって言ってたことに関係するのかな?ものすごく言いづらそうだったから、言わなくていいって言っちゃった」

(そっか・・・魔法使いだからそれは隠したんだ・・・)

宮澤はとっさに理解する

「練習してたのに、怒らせちゃったって・・・すごく申し訳なさそうに言ってたよ」

「・・・」

「ただ、佐江が頑張ってたから、応援したかっただけなんだって」

「え・・・」

「柏木さんにとってはよかれと思ってしたことなんだよ。でも、それが佐江にとっては許せないことだったんだね」

「・・・」

「気持ちはわかるよ。私もさ、実は理奈に練習してたのばれて、他のメンバー連れてきた時怒っちゃったんだ」

「え・・・」

「なんか、気恥かしくて、こっそりやってたのになんでばらすんだってね。でも、理奈にいわれたんだ。一人で練習しても、試合はチームでしてるんだって」

「・・・」

「みんなにも言われたよ。理奈が言ってくれるまで気付かなかったけど・・・聞いて私もやらなきゃって思ったって。皆で、強くなろうって・・・さ」

大鳥は空を見上げる

「意外とさ、一人でやってる時って結構固執しちゃうものなのかもね」

「・・・」

「あ、別に一人で練習してるのが悪いわけじゃないよ。意識の問題ね。なんか、他の人の意見を受け入れにくくなってたっていうか・・・気持ちが自分寄りになってたって言うか・・・相手がどう思ってるかちゃんと聞こうとしなかった」

大鳥は苦笑いをする

「あ・・・」

宮澤は柏木に怒鳴ってしまったことを思い出し、ハッとする

「私は理奈に気付かされたから・・・だから、今こうして2年生はまとまってるんだと思うよ。だからさ・・・」

大鳥は宮澤の方を見る

「柏木さんの話し、ちゃんと聞いてあげなよ。きっと、彼女には彼女の思うことがあるんだよ」

「・・・」

「それに、佐江がどんだけ外したってフォローするよ」

「・・・」

「だって、それがチームってもんでしょ?」

「あ・・・」

宮澤の目から涙がにじむ

「そんな顔しない。次の試合もあるんだから。じゃあ、アップ参加しなよ」

そういって大鳥はポンっと肩をたたき立ち上がり歩き出した

「・・・チームか・・・」

宮澤は自分の手を見つめた

―――

「鳥ちゃんどこいってたの?」

「いや、ちょっとね」

大鳥はメンバーが集まっている所に合流し、誤魔化すようにニッと笑った

「キャプテン、佐江みませんでしたか?」

1年生たちが声をかけてきた

「会場内探してるんですけどみつからなくて・・・」

「・・・」

大鳥はフッと笑う

「佐江なら大丈夫だよ」

「でも・・・」

「大丈夫。それに、みんなが佐江を励ますのは試合中が一番いいんじゃない?」

「・・・」

1年生たちはハッとしたが

「「はいっ!」」

みんな、しっかりと頷いてくれた

「うん。じゃあ、アップしにいこうか」

「「はいっ!」」

1年生達はボールを抱えアップするために移動しだした

「そんなに心配してるなら、佐江が練習してるの気付けばいいのにー」

千田は口をとがらす

「・・・」

大鳥は、柏木との会話を思い出す

『どんなことがあって怒らせたから言えないんですけど・・・。よかれとおもってしたことが裏目に出ちゃったんです・・・私はただ宮澤さんが頑張ってたから・・・応援したかっただけなんです』

そして

『鳥ちゃんが頑張ってるから、私も頑張ろうって思ったの!みんなだってそう思ったの!私は・・・ううん、皆だって鳥ちゃんのこと大好きなんだから!!』

ぐしゃぐしゃの泣き顔で千田が1年前に言った言葉も・・・


きっと、佐江もわかってくれるだろう・・・

自分が、どんなに支えられて思われているかって



「まぁ、どういう団結をするかは1年生達に任せよう。じゃあ、私たちも行こうか」

そういって、大鳥は千田の手を取る

「・・・わかった」

千田は照れくさそうに、ニコッと笑った




僕の彼女は魔法使い24

「えーっと ・・・この学校の生徒・・・だよね?」

制服姿の柏木を見て、宮澤は首をかしげる

「うん。私は柏木由紀。3年生なの」

「えっ?3年生って・・・勉強とかいいんですか?」

3年生は部活も引退し、現在受験に向けて猛勉強中であった

「え・・・んーまぁ。それはいったん置いといて。シュート、うまくなりたいんでしょ?」

柏木は誤魔化すように笑い

フリースローラインに立つ

そして

ふわっ

「きれいだ・・・」

宮澤は思わず呟く

素人の柏木はフォームもまるで出来ていなかったが

ボールが宙を舞う軌道は

ものすごく美しかった

スパッ

ボールは吸い込まれるように入った

「すごい・・・すごいよっ!どうやったらそんなに綺麗にはいるの!?」

宮澤は興奮して柏木に詰め寄っていた

顔が近づき

柏木は顔が熱くなる

「あ・・・ご、ごめんなさい。先輩にタメ口とか、失礼ですよね」

「ううん、いいよ。あ、あのね。投げる時に風を起こすイメージでやるといいんだよ」

柏木は照れて早口になる

「風・・・?」

「そう。ボールに回転をかけて風をおこすの。風っていっても小さな空気振動みたいな感じだけど」

「んー?なんかむずかしいですね」

「じゃあ、ボール持って」

柏木は宮澤をフリースローラインに立たせる

そして

少し離れて手をかざす

「投げて」

「え?」

「いいから。シュートして」

「は、はい」

宮澤はスッと構える

「え?」

誰かが、自分の腕や足を曲げているような感覚に襲われる

まるで、後ろから誰かが抱きついて操っているみたいだった

そして

跳んで、ボールが手から離れた瞬間

指先からふわっとボールが浮き上がるような感覚があった

スパッ

ボールは反射板にあたることなく入った

「すごい・・・」

「ね?この感覚だよ。あなたは力は入りすぎててブレてるの。優しく浮き上がらせる感じそれくらいがいいと思うよ」

柏木はボールを拾い微笑む

「すごい!すごいよっ!どうやったの?さっきの何?魔法?あ・・・ご、ごめんなさい」

宮澤は興奮してまたもタメ口になる

「ふふっ。いいよ。気を使わなくても。それに、私はあなたにお願いがあってきたの」

ころころ変わる宮澤の様子がおかしくてクスッと笑う

「え?」

「宮澤佐江さん。あなたに私の契約者になってもらおうとおもって」

「契約者・・・?」

「うん。ここの3年生って言うのは仮の姿なの。私は異世界からきた魔法使い」

「え・・・?ホントに?」

「うん。で、正確には風使い」

柏木は持っているボールを空中で浮き上がらせる

ボールはその場でくるくると回っていた

下に手をかざし、そこから風を送っているのだ

「すごい・・・浮いてる」

「だから、ボールの軌道とかは少しの風とか空気抵抗とか感じてわかっちゃうの」

「ホントに・・・魔法とかあるんだ・・・」

「驚いた?あ、でも他の人には内緒にしててね。そうしないと記憶消さなくちゃいけなくなるから。そうなると、さっきの感覚も消しちゃうからね」

そういって、ウインクをした

「うんっ!わかった!誰にも言わない!あのさっ!もう一回、もう一回さっきのやってもらってもいい?契約者でもなんでもなるからさ」

宮澤は目を輝かせる

(またタメ口になってる・・・)

柏木はクスッと笑い

「いいよ。何度でも」

そういって、手をかざした


宮澤は本当に何度も何度も練習した

ボールが離れていく感覚

力加減

明日の試合に向けて身体に叩きこもうとしていた

「どう?なんとなくわかった?」

「うん。ちょっとやってみる」

そういって、宮澤はふーっと深呼吸をして

ふわっ

ボールを投げた

スパッ!

「入った!!」

宮澤は柏木の方をむいて笑う

「・・・」

その笑顔に、柏木はドキッとした

「ありがとう!よしっ。もう少し練習だ」

「頑張るね。もう遅いし、あんまりやると明日に響くよ」

「だって、出来るようになったのうれしいんだもん。今のうちに身体にたたきこまなきゃ」

そういって、宮澤はまたシュート練習をする

が、さすがに身体は疲れており

ボールはリングの淵を回る

「えいっ」

柏木は手をかざし、こぼれそうになったボールを入れた

ふわっ

下から突き上げるような風が吹いた

「・・・」

宮澤は目を見開く

この感覚・・・まさか・・・


「ほら、身体が疲れて回転が変になってるからもうこの辺で―」
「なに、今の?」

柏木が言いきる前に、宮澤の言葉がかぶさる

「え?」

「今、落ちそうになったボール入れたよね?」

「うん」

「私、この風感じたの2回あるんだ。ひとつはこの体育館・・・もう一つは・・・今日の試合で」

「・・・だって、あんなにぐるぐる回って期待させて落ちるなんて嫌じゃない。だから、少し手伝ってあげたの」

「・・・じゃあ、今日の試合も?」

「うん。なんか負けてほしくなくて。だからこうして教えに―」

宮澤の耳には後の言葉は聞こえてこなかった

『ずっと練習してた努力の結果かな?』

頭の中では大鳥の言葉がずっと回っていた


認めてもらえたと思ってたのに・・・


「なんでそんなことしたんだよ!!」

「っ!!」

宮澤の声が、体育館に響き

柏木はびくっと肩を震わせた

「自分でやらなきゃ・・・意味ないんだよ!そんなズルして、嬉しい奴なんていない!」

宮澤は叫び

体育館から出て行った

「・・・」

柏木は反論することも、追いかけることもできなかった

宮澤が怒ったことが

怒鳴ったことが

ただただ、悲しくて仕方がなかった

「っ・・・。なによっ・・・私は・・・ただ・・・」

(あなたが、頑張ってたから・・・力になりたかっただけなのに・・・)

言葉にならない想いが

涙になってあふれ出た


僕の彼女は魔法使い23

―――

翌日

「え、にゃんにゃんもう契約者候補みつけたのか?」

今日も3人は霊樹で会議をしていた

今契約している生徒たちには次の生徒会役員が決まると契約を解消すると伝えていないため

そういう話しをするときは決まって霊樹でおこなうのだ

「うん、2年生の子ー。んーと・・・名前わすれちゃった」

小嶋はてへっと笑う

「なんだそりゃ」

「あ、でも、下の名前はわかるよ。麻里ちゃん」

「ほー。麻里ちゃんねぇ。にゃんにゃんが気にいるなんてよっぽどだなー」

「うんうん」

高橋と柏木は頷く

「んー。なんかあの子といたらおもしろそうっておもったの」

小嶋はニコッと笑う

「いいなぁいいなぁ。なんか今回は期待できそうじゃねぇか」

高橋はニッと笑い

「ゆきりんはみつかったか?」

柏木に尋ねる

「え?」

柏木の脳裏に、宮澤が浮かぶ

「あ、何その間?もしかしているの?」

こういう時だけ、小嶋は鋭かったりする

「なんだよなんだよー。2人して仕事はやいなー」

「あ、いや、でも・・・候補ってだけで。どうだろうなーって感じだし」

そう言いながら、柏木は顔が赤くなっていくのを感じていた

(何照れてんのよ・・・)

自分でもわけがわからなかった

「で、誰誰?」

小嶋がずいっと近寄る

「その・・・宮澤佐江っていう子・・・バスケ部の1年生」

「ほーバスケ部か・・・そういや、クラスでも聞いたことある。イケメン女子って」

高橋は顎に手を当てて記憶をめぐらす

高橋は現在前田と同じクラスで1年生としてこの学園にいるのだ

(やっぱり・・・人気なんだ)

柏木の胸はちくりと痛む

「いいじゃん。スポーツやってる子は人気あるから立候補しても通るぜ」

「え、でも・・・まだ1年生だし・・・」

「大丈夫だって。2年生が主流だけど、1年生が立候補しちゃだめだっていう決まりはないし。副会長くらいいくんじゃねぇか?それに、敦子にも立候補してもらう予定だしよ。まぁ、本人はしぶしぶだけど」

高橋は苦笑いをする

「ねぇねぇ、今からその子見に行こうよ」

「お、いいねぇ」

小嶋の提案に、高橋はニッと笑う

「えっ!」

「いいじゃん。バスケ部だからまだ部活やってるだろー」

「うんうん」

そういって2人はふわりと浮きあがる

「ちょ、ちょっと待ってよ」

柏木も置いていかれないよう、慌てて浮き上がった


キュッキュッ!

ダムダム!

体育館では女子バスケ部が2チームに分かれて試合をしていた

「佐江ー!いけー!」

ダムダム・・・

シュッ!

「「ナイッシュー――!!」」

宮澤が華麗なレイアップシュートを決め

拍手と声援が響く

「ほほう」

「かっこいいねぇ」

「・・・」

窓の外からその様子を3人は眺めていたが

柏木だけやたら前のめりだった

「集合!」

「「はい!!」」

監督が招集をかけ、生徒たちは集まる

「いよいよ明日からウィンターカップの予選だ。昨日練習できなかったのは申し訳なかったが、リフレッシュできて逆に良かったかもしれない。今日も早めに切り上げて、明日に備えるぞー」

「「はい!!」」

「じゃあ、軽くシュート練習して終わりだ。いいな」

「「はいっ!!」」

そういって、生徒たちはまた散って練習を再開する

「へー明日試合なんだねー」

「みんな気合入ってるなぁ。青春だわ。青春」

小嶋と高橋が話しをする横で

(そっか・・・試合前だから内緒で昨日も練習してたんだ)

柏木は宮澤を見つめていた

(・・・試合、見に行ってみようかな)

柏木はなんだか、わくわくしていた

―――

そして、試合当日

柏木は都内の会場に来ていた

今日は高橋も小嶋も居ない

一人で見に来ていたのだ

入口のトーナメント表を食い入るように見て

秋葉学園の文字を探す

「あった・・・」

試合は2試合目・・・

1試合目には既に赤ラインがひかれていた

(やばっ、もう始まってるじゃん)

行こうかどうしようか迷っていたことを後悔しながら

柏木は慌ただしく会場に入った


体育館内は生徒たちであふれ、独自の応援歌や垂れ幕が観客席を彩っていた

「すごい・・・」

柏木はきょろきょろとあたりを見渡しながらその場の雰囲気にのまれていた

秋葉学園の垂れ幕を見つけ、制服姿も見つけたので

開いている席を探すが見当たらず

席の後ろで立ち見をすることにした

試合は後半戦だった

柏木は宮澤の姿を探す

(いた・・・)

10番のユニフォームを着た宮澤はコートを走り回っていた

シュッ!

宮澤は華麗なレイアップシュートを決める

「「ナイッシューー!」」

観客席から声援が飛ぶ

「ねーあの10番の子かっこよくない?」

「うん、イケメン。シュートもうまいしさー」

「まだ、1年生らしいよー」

「えーすごーい」

生徒たちの会話が聞こえて来る

(やっぱり・・・人気あるんだなぁ)

柏木はなんとなく、複雑な気持ちになった

そして・・・

試合は進み

58対60

秋葉学園が負けていた

観客の話しでは相手は去年準優勝の成城高等学校・・・

周りの話しからすると有名な強豪校らしい

試合時刻まで5分を切り

生徒たちの声援に熱が入る

ドンッ!

スパッ!

ピーーーーー!

宮澤のシュートを阻止した相手がファールとなり

宮澤のフリースローになる

幸いシュートは入ったので60対60の同点になった

残り時間は1分半・・・

宮澤のフリースローに皆が集中する

宮澤は青ざめているように見えた

(あ・・・)

柏木はハッとした

(あの位置・・・ずっと外してたやつだ)

宮澤はドリブルシュートは入るのだが、フリースローがめっぽう弱いのだ

ダムダム・・・

何度も何度もボールをつき、ふーっと深呼吸をして

構える

「「・・・」」

その一挙手一投足を

全員がかたずをのんで見つめていた

シュッ!

ボールが宙を舞う

「あ・・・」

柏木は思わず声を漏らす

(入らない)

柏木は瞬時にわかってしまった

風使いである柏木は、ボールが起こす微妙な風の動きを感じることができるのだ

ドンッ

反射板にボールがあたり

グルングルン・・・

リングの淵を回る

その様子をリング下で選手達がみつめる

グラッ・・・

ボールが淵からこぼれそうになる

(だめっ!)

柏木はとっさに手をかざしていた

ふわっ

会場に風が起こり

パサッ!

「「入ったーーーー!!」」

ワッと一気に歓声が上がる

選手達も宮澤を取り囲んで肩をたたいて喜んでいた

「守りきるよっ!」

「「はいっ!」」

キャプテンの声に、皆頷き

守りに徹する

そして

ビーーー!

試合が終了し、秋葉学園は1回戦を突破した

「佐江ーやってくれるじゃん!あの成城に勝ったんだよ!」

「うんうん。正に奇跡だよー」

先輩たちが宮澤にかけよる

「あ、ありがとうございます。あ、あの、なんかあの時・・・風ふきませんでした?」

「え?そう?」

「ボールに夢中で気付かなかったけど」

先輩は首をかしげる

「そう・・・ですか。なんか・・・こう・・・ふわっと浮き上がるっていうか・・・」

宮澤は手でボールの形をつくり

その時の事を伝えようとする

「まぁいいじゃん、入ったんだから!」

「そうそう!風さえも巻き起こす奇跡ってやつ?かっこいいじゃん」

「は、はぁ・・・」

「佐江フリースロー苦手なのに、ここぞってところは決めてくれるんだからー」

「次もたのむね」

「はいっ!」

宮澤たちはコートの中央に並び、一礼する

(よかった・・・)

柏木はホッと安堵のため息をついた


そして、秋葉学園はその後も勝ち続け、ベスト8まで残った


「みんな、今日はよく頑張った!でも、明日もあるんだ、まだまだ気合入れてけよ!」

「「はいっ!」」

秋葉学園の体育館で生徒たちの声が響く

「じゃあ、軽くシュート練習したら帰るように」

「「はいっ」」

皆、ボールをつきシュートを入れていく

「佐江」

「キャプテン」

声をかけたのはキャプテンの大鳥 舞だ

「初戦のフリースロー、決めてくれてホントによかったよ。ありがとう」

大鳥はニコッと笑う

「いえ・・・」

宮澤は照れ笑いをする

大鳥は周りをちらっと見て

「ずっと練習してた努力の結果かな?」

こそっと言った

「え・・・キャプテン・・・」

「なんで、遅くまで体育館が開いてたか考えたことなかったの?」

「え・・・まさか」

宮澤はハッとする

「そういうこと。先生には私が責任もって施錠しときますって言ってたんだ」

大鳥はクスッと笑う

「な・・・なんで?」

「実は、私も1年の頃は遅くまでのこってやってたんだ。あぁいう練習って誰かがいるとなんか気恥かしいだろ?だから黙ってたんだ」

「先輩・・・」

「そうそう、鳥ちゃんなんてしばらく私にも言ってくれなかったんだから」

後ろから声がして振り返る

そこには副キャプテンの千田 理奈が居た

「理奈。まだそのこと怒ってんの?」

大鳥は苦笑いをする

「だってー」

千田は口をとがらせる

「一人でやってたら理奈にばれて、みんなが残るようになったの。そしたら1回遅すぎて最終夕食時間に間に合わなくてさー・・・けっこうな人数だったから怒られちゃって・・・それ以来中止になっちゃったんだけどね」

大鳥はクスッと笑う

「えっ、そうなんですか?」

バスケ部は全国から推薦で来ており、寮生活なのだ

寮は部活がない日は6時に寮生全員で食事

部活がある日は最終9時までに食堂で夕食をとるようになっている

2年生は全員で14人、顧問は黙っていたのだが

教頭が注意してきたらしい

「うん。でも、そのおかげで私もシュート率あがったし、皆団結できたきがするから結果オーライなんだけどね」

「そうそう、よきかなよきかな」

千田はにこにこと笑う

「じゃ、じゃあ・・・なんで、私の練習止めなかったんですか?中止になったんだったら・・・」

「うーん。なんか、1年前の自分を思い出してさ。おねがいしちゃった」

大鳥はクスッと笑う

「いつまで続くかなーと思ってたけど。4月からずっと・・・佐江はホント骨のある奴だよ」

「キャプテン・・・」

「他の1年生も気付けばいいのにー」

千田は口をとがらす

「ま、それはこの予選が終わったら変わるんじゃないかな?」

大鳥は他の1年生達をみる

皆、一心不乱にリングに向かってボールを投げていた

女子バスケ部の2年生たちはレベルが高いのだが

宮澤はその中でスタメン出場していたのだ

そのため、他の1年生も負けていられないと思っているのだろう

「みんな佐江に感化されてるよ」

「そ、そんな」

「いれくらいがいいのよ。それでこそチームも強くなるんだし。このまま行って打倒聖光!」

千田はぐっと拳を握る

千田の言っている聖光学園は強豪校で秋葉学園とは永年ライバル関係にある

夏の総体で負けてしまったことを千田は誰よりも悔しがっていたのだ

「はいっ!」

宮澤も拳を握る

「こら、理奈あんまり炊きつけない」

大鳥は苦笑いをする

「ま、あんまり気負いしないでね。仲間を信じれば必ず勝てるよ。今日みたいな奇跡だっておこるんだから」

「おー鳥ちゃんいいこというー」

「ちゃかさない。じゃあ、練習戻ろうか」

「はいっ!ありがとうございました!」

宮澤は頭をさげ、他の1年生とともにシュート練習をし始めた

反対のコートでは大鳥たち2年生がシュート練習をしている

宮澤はそれをちらっとみて、にやける顔を隠すようにリングにむかってボールを投げた

キャプテンに認めてもらえたことが

何よりも嬉しかった

宮澤はフリースローは苦手なものの、スピードやドリブルシュートの能力にたけており

いわば速攻の選手として

数校から推薦の話しが出ていた

そんな矢先、高校のウインターカップを見に行って

大鳥の3ポイントシュートに一瞬で心を奪われた

綺麗なフォームで

リングに吸い込まれるように入って行くボール

聞けばまだ1年生だという・・・

1歳しか違わないのに、この存在感・・・

宮澤はこの人とプレーしたいと思った

そして、宮澤は秋葉学園を選んだ

大鳥にコツを教えてもらっていたのだが

やはりフリースローは苦手なままだった

先輩に追いつきたくて、先輩みたいになりたくて

ずっとずっと練習してきた

それが、今日・・・少し近づいた気がして

嬉しかった

―――

みんなが帰った後も

宮澤はいつものように遅くまで練習していた

「・・・頑張るなぁ」

柏木は窓の外から、その様子を見ていた

(でも・・・いいな)

「決めた・・・」

柏木はスッと降り

宮澤の反対方向に立つ

ガンッ!

「あっ!」

リングにボールがはじかれ

勢いよく転がり、体育館入り口のほうに向かう

宮澤はボールを拾いに行こうと小走りになる

が・・・

キュッ・・・

足を止めた

「・・・」

転がったボールの先には人がいたのだ

「誰?」

「・・・シュート」

「え?」

「シュート。教えに来たの」

柏木はニコッと笑った



僕の彼女は魔法使い22


――――――

一方、その頃柏木は

学校内にある生徒会室に居た

「んー・・・人気のある人ねぇ・・・」

顎に手を当てながらむむむと考える

手の前にはクラス写真が並べられていた

(あ、そうだ。スポーツしてる人とかいいかも)

人気=スポーツマンという閃きがおき

柏木はふわりと浮きあがり、窓から外に出た

秋葉学園は北校舎と南校舎があり、グラウンドは北側にある

生徒会室は南校舎側のため、外に出て上から見た方が早いと思ったのだ

「あれ?」

が、生徒は誰も居なかった

(そっか、今日職員会議だから部活も全面禁止だった・・・)

校舎にかかった時計はもう3時を回っていた

夢中で写真を見ていた時間は結構長かったらしい

「仕方ない。明日探そ・・・」

柏木はため息をつき、戻ろうとした

その時・・・

ダムダム・・・

「ん?」

風にのって、音が響いてきた

「これって・・・」

柏木は体育館の方に飛ぶ

体育館はグラウンドの横にあり、1階は武道場、2階は体育館になっている

柏木は体育館上部の開け放たれた窓からそっと覗いた

「あ・・・」

そこにはリングにむかって跳ぶ女子生徒がいた

なびく髪、滲む汗、リングを見つめる真剣な眼差し・・・

「かっこいい・・・」

柏木は思わず漏らす

何度も何度も、彼女はボールを投げ

ボールは吸い込まれるように入って行く

そして

「よし・・・」

彼女はそう呟くと

フリースローラインに立ち、またボールを投げる

「あれ・・・?」

柏木は眉をひそめた

ドリブルシュートはあんなに入っていたのに

フリースローは全くと言っていいほど入らなかったのだ

「くそっ・・・!」

彼女の声が体育館に響く

だが、諦めることなく

何度もボールを拾っては投げていた

(あーもうやきもきするなー)

柏木は気付けば前のめりになり

窓に手が触れそうなほど近づいていていた

シュッ!

そして、彼女がまたボールを投げた

グルングルン・・・

ボールがリングの周りをまわり

ぐらっ・・・

端からこぼれ落ちそうになる

「あっ!」

柏木はとっさに手をかざし

ふわっ

下から上に突き上げるような

やわらかな風が吹く

「え・・・?」

感じたことのない風に、女子高生が違和感を感じた

その時

「あ」

シュッ!

トントントン・・・

ボールはリングの中に入り、下に落ちた

「ナイッシュー!」

柏木は思わず声を上げていた

体育館内に柏木の声が響く

「え?」

女子高生は振り返る

(しまった!)

柏木は勢いよく後ろに下がり、その場から飛んで逃げた

「あれ?いない?」

女子高生はきょろきょろとあたりを見渡し

首をかしげながら体育館内に戻った


「はぁはぁはぁ・・・」

柏木は生徒会室に戻ってきていた

(って・・・結界はってたんだった・・・とっさに逃げてバカ見たい・・・)

結界を張っていると、姿は見えないのだが

声は普通に聞こえてしまうのだ

「・・・はーっ」

柏木は結界を解き、机の上に広げていた集合写真に目をやる

そして、1枚1枚確認し

「あ・・・」

先ほどの彼女を見つけた

「宮澤・・・佐江・・・まだ1年生なんだ・・・」

そこには、口角を上げて微笑む先ほどの女子高生が写っていた


僕の彼女は魔法使い21


「よいしょっと」

小嶋は学校の屋上に着地する

以前までは理事長室はオープンだったのだが、記憶が消えてしまっている敬子がいるので入ることができなくなってしまっていたのだ

「んーどうしようかなぁ・・・」

小嶋はそうつぶやきながら屋上のドアを開けようとした

その時、視界の端に人影を感じハッと横を見た

「・・・」

一人の女子生徒と目があった

大きな黒縁眼鏡をかけた、ショートカットの女子生徒

「あ・・・」

(見られた・・・)

「・・・何してるの?」

「えー・・・っと」

小嶋はえへっと笑う

「どこから現れたの?異空間?」

女子高生は眉をひそめる

小嶋は空を飛んでいる時は結界を張っていたので、急に現れたように見えたのだ

「あ、あなたこそ、どうやってここに入ってきたの?ここって、鍵かかって・・・」

そう、いいかけて小嶋は彼女の手に目をやる

そこにはちいさな鍵が一つ、ぶらさがっていた

「・・・盗んできた」

「え・・・?なんで?」

「・・・飛んでみたいと思ったから」

そういって、彼女はフェンスのほうをみる

「それって・・・飛び降り?自殺ってこと?」

「・・・はっきり言うね」

女子高生はクスッと笑った

「んー。だってわざわざここまできたからそうかなーと思って」

「あんた・・・変わってるね。制服着てるってことは、ここの生徒?」

「んーまぁ、一応ね。私、小嶋陽菜っていうの」

(ま、いっか。記憶消せばいいし)

小嶋は開き直ってにこっと笑う

「そうなんだ」

「なによー。名前は?」

「篠田麻里子・・・」

「ふーん。何年生?」

「2年・・・だけど」

小嶋は篠田をまじまじと見つめ

「えいっ」

眼鏡をとった

「な・・・」

「あーやっぱり。きれいな顔してるー。眼鏡やめたほうがいいよー。こっちのほうがかわいいって」

小嶋はにこにこと笑う

「か、かわいくなんてないからっ!」

篠田は顔を真っ赤にして、眼鏡をうばった

(なんか、この子おもしろーい)

小嶋はなぜかワクワクしていた

「ねぇ、飛んでみたいんでしょ?」

「え?」

「じゃあ、特別に連れてってあげる」

そういって、小嶋は手をかざし楕円形の水たまりが空中に現れた

「乗って」

「・・・」

「大丈夫。濡れないよ」

「いや、そう言うことじゃなくて・・・」

「いいから、いいから」

小嶋は篠田の手を引き

「じゃあ、いくよー」

そういって、2人を乗せた水の塊は上昇していく

「・・・っ」

上昇につれて、耳がキーンとな感覚に襲われる

そして

目の前に白い水蒸気が広がり、篠田は思わず目を閉じた

・・・・・

そして、音が消えた

「え・・・」

今まで経験したことのない感覚に篠田は目をゆっくりと開ける

「あ・・・」

目の前には青い空と太陽、そして雲が眼下に広がっていた

「雲の王国・・・」

「え?」

「昔、映画館で見たんだ・・・雲の王国」

篠田は目の前の光景に目を輝かせた

「なにそれ?」

「雲を固めて歩けるようにするんだよ。それでそこに国を作るっていう話し。すごく好きで・・・映画観終わった後、テレビで放送されたら録画して何度も何度も見てた・・・」

篠田は昔を思い出してクスッと笑う

「ふーん。降りて見る?」

「えっ!できるの?」

「うん。曇って水蒸気だから。一部分を固めれば大丈夫だよ」

小嶋は手をかざし雲の上に一本の長い道をつくり

2人を乗せた水の塊はそこに着地する

「・・・」

篠田は恐る恐る足を乗せた

「すごい・・・雲の上だ・・・」

篠田は歩をすすめる

「わっ!」

靴が氷の上を滑り、バランスを崩した篠田は後ろ向きに倒れる

が・・・

「え?」

水のクッションが身体を包み

なんの痛みもなく、空を見上げていた

「大丈夫?凍ってるから危ないよ」

視界の端から小嶋が顔をのぞかせる

「・・・」

無音の世界で青と太陽

そして、今自分は不思議な魔法使いと雲の上に居る・・・

「・・・ははっ。はははっ!」

篠田はなんだかおかしくて声を上げて笑った

「なになに?どうしたの?」

小嶋は何が起きているのかわからず眉をひそめる

「いや、自分のいた世界なんてちっちゃいなーっておもって。死ぬのがばからしくなった」

「え?なに?私自殺未遂止めたの?すごーい」

小嶋はにこにこと笑う

「・・・不思議な人だね」

篠田はむくりと起き上がり、小嶋を見つめた

「え?そう?」

小嶋はきょとんとしていた

「私さ・・・自分の事、蝉みたいだって思ってたんだ」

篠田はぽつりともらす

「え?」

「蝉って土の中に7年もいるでしょ?でも出てきたら1週間で死んじゃう・・・。私、全国模試でいい成績とってたら、この学校からスカウトが来て福岡からでてきたの。元々、地元でも浮いてる方だったし。東京に来たいって思いもあったから、何か変わるかと思ってた」

篠田はその時の事を思い出し、目を伏せる

「でも、何も変わらなかった。クラスの子たちともろくに話ししないまま2年になって・・・。何も変わんなくて・・・。退屈だった・・・。東京に憧れてた福岡の時は土の中に居て・・・東京っていう外にでたのに何も変わらなかった。だから・・・思ったの、私は何のために生きてるんだろうって」

「ふーん」

「そんなこと考えてる時に・・・蝉の死骸を見つけたんだ。夏の当たり前の風景・・・道路に転がってても誰も目にとめない。私も・・・こんな感じなのかなっておもって。だから・・・いっそこの世からいなくなってしまおうって。誰も、気に留めやしないから」

「んーそうだねー。よくわかんないけど。ずっと生きてるのってめんどくさいよね」

「え?」

思わぬ言葉に篠田は小嶋を見る

「私ね、こっちで500年くらい過ごしているの。もう正確には何年か覚えてないんだけどねー」

「500年・・・?」

「あっ、今こいつ何歳なんだって思ったでしょ?言っとくけど、私今20歳のままなんだからね、ピチピチなんだから!」

小嶋はむっと口をとがらせる

「いや・・・別にそんなこと思ってないよ」

篠田は苦笑いをする

「ま、ずっと若いままだからいいんだけどさー」

「歳・・・とらないの?」

「うん」

「それは、この世界の人じゃないから?」

「・・・ううん。違うよ。昔はねこっちに来てもじわじわ歳とってたの。セイレートの月日と同じスピードで」

「セイレート?」

「あぁ、私が元いたところなんだけどね。時空の流れが違うからんー・・・大体こっちの25年で1年くらいかな?」

「じゃあ・・・なんで」

「罰なの」

「え?」

「時を止めて、罪を償え・・・そういうことなんだろうね」

小嶋は寂しそうに笑った

「じゃあ・・・死ねないの?」

「んーまぁ、身体も若いままだから病気もしないし。そういうことだろうね」

「嫌にならないの?」

「うーん。でも、そんなの思ってもしかたないじゃん。だって、生きてるんだもん。そりゃ、心臓止めたら死ぬかもしれないけど、そういうの考えたことなかったなー」

「どうして?」

「んー。私と同じセイレートからきたのが2人居るんだけど。2人と500年ずっと生きてきたからかな?だから、寂しくないの」

「・・・そうなんだ」

「蝉だって、出てきた時は一人だから仲間を見つけるために鳴いてるんじゃなかな?自分はここに居るよって、しらせてるんじゃない?」

「・・・」

「私はあの2人がいて楽しいから、死にたいなんて思わないよ」

「そう・・・」

「でもね」

小嶋のトーンが変わる

「契約者が死ぬのはやっぱり辛かったな」

「契約者・・・?」

「うん。この世界に居るには、人間の誰かと契約を結ばなきゃならないの。で、契約してる間はずっとその人と居るんだけど・・・やっぱり、死んじゃうから。それを見るのが嫌で、最近は元気なうちに契約者変えちゃうの」

「そう・・・なんだ」

「私はずっと生きてるから。そういうのずーっと見てきたんだよね。だからさ、そんなに若いのに死のうなんて思わないでよ」

「・・・ごめん」

「あ、今私なんかいいこといったよね」

小嶋はあはっと笑う

「シリアスなのかふざけてるのかどっちかにしてよ」

篠田は苦笑いをする

「えー私はいたって真面目だよ。四宮さん・・・だっけ?」

「篠田です」

「あ、ごめーん。とにかくさ、篠田さんは蝉じゃないよ。蝉だとしても、まだ鳴いてないじゃん」

「え?」

「自分から、ここに居るってアピールしてないじゃん。そんなんじゃ誰も気付いてくれないよ。だから、大声で鳴いて生きてる時間を楽しんだらいいんじゃない?」

「・・・」

篠田はハッとする

自分は東京に来て何かしただろうか?

福岡の時とは違うことを・・・行動を起こしただろうか?

環境が変われば・・・そうやって周りのせいにして

自分は、何もしていなかった・・・

「ま、今日だって雲の上に来ることできたんだから、生きてたらいいことあるよー」

小嶋はにこにこと笑った

「そうだね・・・」

篠田は寝っころがり、青い空を見つめる

太陽が近くて、眩しくて・・・痛いくらいだった


でも、初めて

生きているんだ

そう、思えた


「あー熱い。かえろっか」

「え、はやくない?」

篠田は余韻に浸る余裕もなく、がばっと起き上がる

「だって、太陽近いんだもん。もう終わりー。おりまーす」

「ま、待ってよ」

「やだー」

小嶋は悪びれもなく言う

「じゃ、じゃあ今度また空の上つれてってよ」

「えー。無理だよ」

「な、なんで?」

「だって、契約者じゃないし。今日は見つかっちゃったからサービスしたけど。今日が終わったら記憶消えてるから」

「え・・・?」

「正確には消すんだけどね。柴田さんが死にたいって思ってた記憶も消すようにしてみるから」

「篠田だって!って・・・それはどうれもいい。消さないでよ」

「えー。無理ー」

「ま、待ってって」

篠田は思わず小嶋の腕をつかんだ

「どうしたら消さないでいてくれるの?このこと誰にも言わないから」

「んーそう言われても。一応決まりだし」

小嶋は口をとがらせた

「契約者・・・じゃないから?」

「うん。そういうこと」

「じゃあ・・・私を契約者にしてよ」

「え?」

篠田は真っ直ぐ小嶋を見つけた

「私、変わるから・・・なんでもするから・・・だから、契約者にして」

「・・・」

小嶋は困惑したが

嫌な気はしなかった

契約者でもない初めて会った人に、自分の話しをしたのは初めてだった

この人にならいってもいいかな

そう、自然に思っていたのだ

「あ、そうだ」

小嶋はハッとする

「生徒会」

「え?」

「今度生徒会の立候補あるでしょ?それに出てよ」

「なんで?」

「今は生徒会の人と契約結ぶことにしてるの。だから、出てくれたらなってあげる」

「わかった。約束する」

篠田は深く頷いた

「じゃあ、立候補してね」

小嶋はクスッと笑った


僕の彼女は魔法使い20

―――

「あーやっと終わった!」

「もー腕いたーい」

柏木と小嶋は机に突っ伏す

「はい、お疲れ様」

篠田は答案用紙を整えながら

「麻里ちゃーんご飯行こう」

「うん、そうだねー。陽菜頑張ったし。行こうか」

「やったー」

さっきとはうってかわって小嶋は元気になった

「じゃあ、焼き肉ねー」

「えーこの前もいったじゃん」

「いいのー」

小嶋は篠田の腕に抱きつく

「じゃあねゆきりん」

「まったねー」

篠田と小嶋は手を振る

「はーい」

柏木も手を振り、2人を見送った

「じゃあ私も佐江ちゃんとこいこうかなー」

柏木はそう言って、理事長室の戸を閉めた

―――

宮澤は部活が終わり、誰も居ない体育館に居た

ダムダムダム・・・

フリースローの位置でボールを何度かつき、スッと構える

「よっ!」

グルングルン・・・

宮澤の投げたボールはリングの淵を周り

シュッ!

入った

「よしっ」

「ナイッシュー」

後ろから声が聞こえ、宮澤は振り返る

「りんちゃん」

「お疲れ様」

柏木は宮澤に近づく

「もしかして、入れたのりんちゃん?」

「違うよー。風吹いてないでしょ?」

柏木はムッとする

「あはは、ごめんごめん。りんちゃんはあの時からずっと約束守ってくれてるもんね」

「そうだよー」

2人はクスッと笑った

―――

「お肉っお肉ー」

小嶋は篠田と腕を組みながらにこにこと歩く

「もーどんだけ肉好きなの」

篠田はクスッと笑う


ミンミンミン・・・

ジーーーー・・・

外に出ると

夕方でも校庭の木々から蝉の声が聞こえてきた

「・・・蝉・・・か」

篠田はぽつりと呟いた

「うん。夏って感じだねー」

「なんか、陽菜と初めてあった時のこと思い出しちゃった」

「え?」

「んー渡辺さんのせいかな?あの子の事、ちょっと気になってて調べてたんだ。そしたらさ、あの子実はめちゃくちゃ頭いいんだよ。中学の成績オール5だし」

「えーすごーい」

「それだけじゃないんだ。全国模試も上位に入ってて、それを見つけてうちの学園もスカウトしたみたいなの。まぁ大阪の高校に入るからって断られたみたいなんだけど、2年になって転校するからって声かけてたうちを選んだみたい」

「へー・・・」

「なんか、今楽しくなくて夜遊んでみたり、学校行かなかったり・・・いろいろ悩んでるんだろうなっておもって・・・私は不登校にはならなかったけど、あの時期っていろいろ考えるからさ」

「そうだねー。なんとなく、麻里ちゃんに似てるかもね」

「うん。なんていうか・・・敦子と私が合わさったって感じじゃないかな?佐江の話しだと家庭問題っぽいし」

「そうなんだ」

「だから、サヤカと出会ったのも運命じゃないかなって思うの」

篠田は茜色に染まる空を見上げる

「私が、あの時・・・陽菜と出会ったみたいに・・・ね」

「・・・そうかもねー」

小嶋も赤く染まった空を見上げて言った

――――――――――

少し、昔の話しをしよう

それは篠田と宮澤がこの学園の生徒だった時の話し・・・

「今日は3時までには学校から出ろよー」

秋晴れの光が降り注ぐ校舎で

担任の先生が教壇から言う

「なんでですかー?」

男子生徒が声を上げる

「ん?都内の学校の先生が集まって会議するんだよ。それまでに先生達もここで会議しなきゃいけないんだ」

「そうなんだー」

「先生も大変ですねー」

「ねぇ、駅前行こうよー」

「いいねー」

生徒たちはやいやいと話しをする

「こーら。あんまりハメはずしすぎんなよー。じゃあ、話しは終わりだ。気をつけてなー」

そういって、先生は教壇から出て行った

ガタガタガタ

先生が出て行ったか見たかで、生徒たちは椅子から立ち上がる

「ねーどこ行く?」

「ケーキ食べに行こうよー」

「今日おまえんちいっていい?」

「いいよー」

生徒たちは一斉に話しをしながら教室を出ていく

「・・・」

窓側の一番後ろの席で

黒縁めがねの女子高生はそんな様子を黙って見ていた

そして、彼女に誰も話しかけないまま

あっという間に、一人になった

「・・・」

静まり返った教室で

彼女は窓の外を見る


(・・・今ならいけるかもしれない)


彼女はゆっくり席を立ち、教室を出て行った

「おう、どうした?早く帰れよ?」

校内を巡視している先生から声をかけられ、ペコっと頭を下げる

見つからないように点々と場所を変え、時間をつぶす

そして、生徒たちの話声も聞こえなくなった頃

職員室に向かい

扉を開けた

会議をしているのは本当だった

薄暗い職員室には男性教員が一人バタバタと資料やら何やらを抱えてこっちに向かってきた

「どうした?何か用か?」

先生は明らかに焦っていた

おそらく会議に遅れているのだろう

「あ・・・田中先生って・・・」

とっさに嘘をつく

「あれ?話しきいてなかったか?もう皆会議いってるんだよ」

「そう、ですか」

「おーすまんすまん。遅くなって」

そこに稲田先生が現れた

分厚い眼鏡に白髪まじりの髪、そしてエンジ色のベストはまさに古典教師という風貌だった

昨年、定年を迎えたのだが臨時教員としてこの学校に居続けてるのだ

「あ、稲田先生。じゃあ、あとお願いします」

「はいはい」

そういって稲田は職員室に入って行った

「質問は今日は無理だと思うから、早く帰れよー」

そう言って、足早に階段を下りて行った

「・・・」

(臨時だから、稲田先生は会議には参加しないってことか・・・。つまり・・・留守番ってわけだ・・・)

そう思い、女子高生は階段を上り、踊り場で息をひそめる


ガラガラガラ

扉が開き

女子高生は顔をのぞかせた

稲田が職員室近くのトイレに入って行くのを見計らい

女子高生は音をたてないよう階段をおり、慎重に扉を開け

迷いなく教頭が座っている机まで足早に移動し

その後ろの壁にある鉄の箱に手をのばす

彼女は、職員室に何度も足を運んで、そこにあることを知っていた

ガチャ

中には学校中の鍵がかけられていた

女子高生は『屋上』とかかれた鍵をサッととり、扉を閉めて

職員室から出て行った

―――

一方その頃・・・

「今年の生徒会どうよ?」

霊樹の上で

高橋は顔写真と名前が乗った用紙を眺める

「んー。どうかなー」

「びみょー」

柏木と小嶋もその用紙を見ながら口をとがらせていた

「女子がいないんだよなー」

高橋は苦笑いをする

「うん。そうなんだよねー」

小嶋は髪の毛をくるくると回しながら言う

小嶋はめんどくさいと思ったり、気に入らないことがあると髪の毛を触る癖がある

「男子はめんどくさいんだよねー。この年頃って・・・。彼女だとか言い出すから」

柏木もため息をつく

小嶋と柏木は秋葉学園生徒会のメンバーと契約を結ぶようになっているのだが

なんせ、年頃の男子

目の前に小嶋や柏木が現れると、浮かれてしまって

秘密をばらしてしまう生徒が何人かいたのだ

高橋たちはその度に何度も記憶を消したりして余計なエネルギーを消費しており

負担もかかるため、女子と契約を結ぶ方向になっていた

「こりゃ、勧誘だな」

高橋はため息をつく

「えーめんどくさーい」

「候補とかいるの?」

小嶋と柏木は口をとがらせる

「んー。女子から人気が高い奴とか?頭がいい奴とかいないか?そうすりゃ、生徒会もいいかんじになるんじゃねぇか?」

「要は、私らが気に入った人を誘えっていいたいのね」

「ゆきりん、よくわかってるじゃん」

「えー。何百人って生徒いるんだよー。めんどくさいから、生徒会から選ぶんじゃないの?」

「いや、にゃんにゃん。生徒会から選ぶのは理事長とつながりができやすいからであって・・・」

「でも、もうたかみなの契約者、敬ちゃんじゃないじゃん」

「う・・・で、でもそういう伝統的な流れの方がいいだろ?それに、敦子だってのちのち理事長になるんだから」

「んーでも、それってずいぶん先の話しだよね」

「う・・・」

高橋は固まる

「まぁまぁ、陽菜。そんなにたかみなのこといじめないの。理事長になるかどうかはともかく、敦子はこの学校にのちのち勤務することが決まってるんだし。王女が来た時、そういう土台を作ってた方がいいってことでしょ?」

「そう!それだっ!」

高橋は身を乗り出す

「んーまぁたかみながそうしたいんならいいけど」

小嶋はふわりと浮きあがり

「めんどくさいから、いいなーって思う子がいたら誘っといて」

そう言って、学園の方に向かって飛んで行ってしまった

「あー・・・にゃんにゃん怒ったかなぁ?」

「いや、怒ってるんじゃなくて・・・ホントに興味ないんだと思うよ。たかみなはさ、真面目だからずーっと前田家に仕えてて、前田家も協力的だったけど・・・私らは結構間、間で契約者変えてるからね」

「そうだなぁ・・・あの時、歴史が変わらなきゃ2人ともずっと変わらなかったのかな・・・」

「それはもう言ってもしかたなんじゃない?まぁ、ここに居るのは私らの責任でもあるし。それに、私は陽菜と戦うの嫌だったから契約解除したの。途中で、歴史は変わっちゃったけど軌道修正はできてるからいいんじゃない?」

「そういってくれると、ありがたいよ・・・ホント」

高橋は安堵のため息をもらす

高橋は前田がいるため、生徒会でなくても契約者がいるのだが、小嶋と柏木は新たに契約者を見つけなければならないのだ

「んーとりあえず、契約者候補探してみるね」

「おう。すまんな」

柏木もそういってふわりと飛び立ってしまった

「・・・」

高橋は霊樹からおり、ふわりと地面に着地する

「・・・なぁレイラ。徐々に力が弱まってきてるんだ」

高橋は霊樹にむかって話しかける

「レナが成人するまで・・・むこうだと12年くらいか?・・・できれば避けたいと思ってたけど。無理みたいだ。・・・ごめんな力不足で。でも・・・レナが来たら、また結界を強くできると思うんだ。力だって・・・日本中どこにでも行けてた時代に戻れると思うんだ・・・だから・・・許してくれ。」

サァァァッ・・・

高橋の問いかけにこたえるように

木々がざわめいていた


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