気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

2017年02月

◆こんにちは

ども、しゅうです(^ ^)

案の定更新止まってすいません(・・;)

今、東京に来ています

東京は風強いっすねー

雨が降らないことを祈るばかりです

乃木坂ライブいかれるかた楽しみましょうねー(^ ^)

急な思いつきですが、明日のAKBライブも含み、開演前に私と会ってみたいという方おりましたらお話しませんか?

来年度新しいことにチャレンジするので、もう東京とかライブとかしばらく行けない可能性大なんですよね

ブログもいつまで書き続けられるかあやしいので…

この機会にどんな奴が書いてんねんって思った方は

コメント欄にお書きくださいませ。

まぁ、急なことなのでこの記事見てないと無理なんですが…(・・;)

もしよろしければ、お声掛けくださいませ☆

もちろん、公演後でもOKです(^ ^)

では、旅行先でお茶しながらぽちぽち書こうと思います(^ ^)



僕の彼女は魔法使い34

そして、美優紀は家に帰らなくなった

正確に言うと帰りづらくなったのだ

両親が居ない隙を見て家に戻り、すぐまた出て行くという生活をくりかえす

学校も休みがちになっていたが

もともと、成績の良い美優紀はテストだけはいい結果を残していた

だが、美優紀を見つめる学生たちの目は変わっていった

まるで、汚れた何かを見るような目だった

「・・・」

そんな視線が嫌だった

だから、冬休みに入る頃には

不登校になっていた

そして

「美優紀、大事な話しがあるの」

両親に言われ、しぶしぶ美優紀は家のリビングに居た

ダイニングテーブルに並んだ両親、その前に座る美優紀・・・

目を合わせづらくて、思わずそらしていた

「お母さんたちね、離婚・・・しようと思うの」

「・・・」

思わず美優紀は両親を見た

父親は何も言わず、黙っていた

「そう・・・」

「だから、どっちについていくか・・・決めてほしいの」

「・・・どっちも嫌ってゆうたら?」

「いい加減にしろ。おまえはまだ高校生なんだ。どっちかについてきなさい」

父親の台詞にカチンとする

「なによっ!散々好き勝手やってきたお父さんにそんなん言える権利あるん?」

美優紀は立ち上がりガタっと椅子が大きな音を立てる

「おまえは子供なんだ!おまえこそそんなこと言う権利ない!」

「なによっ!都合のいいときだけ親ぶって!私は・・・私は・・・」

あんたらの都合のいい娘やない

そう言おうとする前に、涙があふれてきて

美優紀はたまらず家を出た

走って、走って・・・

吉田がいつも居る、駅前のあの場所まで走っていた

「・・・」

吉田は美優紀の姿をみると、座っていた花壇の縁から立ち上がり

美優紀の傍に歩み寄ってきた

「はぁ・・・はぁ・・・アカリン・・・」

美優紀は肩で息をしながら、さっきあったことを吉田に言おうとした

だが

「え?」

吉田は美優紀の横をすりぬける

「朱里ーお待たせー」

「どこいくー。カラオケー?」

後ろを振り返ると、派手な格好をした女子たちが吉田を囲んでいた

「うそ・・・」

美優紀はぽつりと漏らす

「そうやなー。カラオケしよー。朝までいっちゃう?」

「いいねー」

吉田は振り返ることもなく女子たちと話しをする

「・・・アカリン!」

美優紀は絞り出すような声で叫ぶ

「「・・・」」

一斉に女子たちの視線が美優紀に集まり、たじろぐ

「・・・」

そして、吉田も振り返り

ゆっくりと美優紀の方に歩み寄ってきた

「みるきー。もう、会うんやめよう」

「え・・・?」

衝撃的な言葉に、頭が真っ白になる

「ずーっとさ、遊んでる間も考えてたんだよねー。あんたとおってもつまらんのよなー」

「なに・・・それ?」

冷たく言い放たれた言葉に心拍数が上がる

「タイプの違う子と遊んだらおもしろいかなーって思ったけど、やっぱり合わんなーっておもって。だから、もうおしまい」

「アカリン・・・私は・・・」

美優紀は言葉をはなとうとしたが、喉の奥でつっかえて言葉にならなかった

「朱里ー。なにしてるん?早くいこー」

後ろで女子たちが口をとがらせていた

「わかったー。じゃあね。はよ帰って勉強でもしたら?」

吉田はそういうと踵を返し、去って行ってしまった

美優紀には、もう追いかけていく気力もなかった

そこにへたりこんでしまうのを必死に耐えるだけで

精一杯だった

「なによ・・・なによ・・・・」

美優紀の脳裏に、吉田との思い出が蘇る

優しくしてくれたん、全部演技なん?

笑ってくれてたんも・・・全部・・・

「っ・・・」

美優紀は肩をふるわせて泣いていた

家族も、友達も・・・なにもかも・・・失った気がした


もう、大阪になんていたくない

消えてしまいたい

そんな思いしか抱かなくなった


僕の彼女は魔法使い33

それから、美優紀は吉田と遊ぶようになった

ファッション雑誌を参考に2人で化粧をしたり

駅前のゲームセンターでプリクラをとったり、買い物をしたり・・・

それは、美優紀の今までの生活とは全く違う世界だった

楽しかった

吉田と笑って、街を歩いて・・・

友達だと初めて思える人に出会えたと思っていた


だが・・・

「美優紀!あなたいい加減にしなさいよ!」

美優紀の母がリビングで声を上げた

「・・・」

美優紀はむすっとした顔で母を睨む

夏休みが開け、2学期が始まっても美優紀は吉田と遊び続けており

塾に行っていないこともばれたのだ

「あなた、なんであんな子とつきあってるの!?あの子、定時制の学校でしょ!?そんな子とあなたが一緒に居るなんてお母さん耐えられないわ」

「何も知らん癖に、なんでそんなこというん!?」

「いい、美優紀。あなたは勉強していい大学に行くの。だからあんな子とは遊ばないで」

「それはお母さんができんかったから?」

「・・・!」

その言葉に母は顔をしかめる

「全部聞いた。お父さんが浮気してることも、お母さんがいい大学に行かせたいのも・・・」

「・・・」

「今まで私にしてきたことは、全部自分らのためだったんやろ?だったら、こんな人生いらん!私は私の好きに生きる!」

パンッ!

乾いた音がリビングに響き・・・

「・・・・っ」

美優紀は頬を押さえ涙ぐむ

「いいかげんにしなさい」

母は冷たく言った

「っ!なによっ!」

美優紀は鞄を手に、家を飛び出した

一旦出だした涙は、止まることなく溢れ続ける

「なによっ・・・なによっ・・・」

じんじんと疼く頬の痛みよりも

心が痛かった

―――

「みるきー」

外灯が照らす駅前の花壇の脇に腰掛けた吉田がパッと手を上げる

「アカリン・・・」

「え、どないしたん?その顔」

「叩かれた」

「え・・・?」

「お母さんに。でも、ええねん。私、高校辞めて家出て行こうかな」

「え?どないしたん。急に・・・」

吉田は眉をひそめる

「ええの。なぁ、アカリン家泊めて」

「え?」

「しばらくは帰らへんつもりやから」

「みるきー・・・」

「私、愛されてないねん」

美優紀はそういって笑った

その顔は、精一杯強がっている顔だった

「ごめん。みるきー。家は・・・泊めれん」

「え・・・」

「でもな、朝まで一緒におるよ」

吉田は美優紀をそっと抱きしめた

「うぅ・・・」

美優紀の頬に涙が伝う

「・・・」

吉田はそんな美優紀の背中をだまって撫でていた



僕の彼女は魔法使い32


―――

「はぁ・・・はぁ・・・」

美優紀は勢い任せに走り

駅前までたどり着く

肩で息をしながら

「・・・」

英新塾の看板が目に入り

美優紀は大阪に居た頃を思い出していた


―――

美優紀は裕福な家庭で育った

何不自由ない暮らしで何も気に留めることはなかった

幼い頃から英才教育と称して

塾や習い事をしていた

『100点とって偉いわね』

『美優紀は天才だな』

そういって両親が褒めてくれることが何よりもうれしかった

美優紀は中学でも成績優秀で有名進学校からも声がかかるくらいになっていた

そして、大阪の有名進学校から声がかかった

中学の時から、父親が大阪に単身赴任をしていたので

高校になることろに大阪にうつり、共に生活をするようになった

だが、そこから家族の歯車が少しずつ狂い始めていた

父親が帰りが遅く、母とその度に口論となっていた

どうすれば、家族がうまくいくのか・・・

美優紀は考えた

そして、自分がテストでいい点を取った時は両親が褒めてくれることを思い出した

私がいい成績をとれば両親は褒めてくれた

私がいい子で居れば、また家族が元に戻るかもしれない

頑張っていれば、きっとまた・・・

そんな淡い思いを信じ、美優紀は必死に勉強をしていた

そして、塾の夏期テストで成績優秀者として会報誌に乗り、両親も喜んでお祝いをしてくれた

しかし

それはすぐに消え去ってしまった

夏休みのある夜

「どうりで帰りが遅いと思ったら!」

「うるさいな!お前のそういうところが嫌なんだよ」

2階で寝ていた美優紀は1階のリビングで言い合いをする両親の声で目が覚めた

そっと階段を降り、ドアから漏れる光にそっと目を当てる

「私は家族のためにいろんなことを犠牲にしてきたの!それなのに何よ!?あなたはほかの女と遊んで」

「それはこっちの台詞だ!人が働いた金で何不自由なく生活してるくせに偉そうに言うな!」

「何よそれ!」

「だいたい、あのまま奈良に残ってくれていたら良かったのに。大阪の高校に行くとか言い出すから」

「なによそれ?美優紀が悪いって言いたいの?あの子はこのままいい大学に行っていい会社に就職するのよ!そのために大阪を選んだのに」

「それはお前のエゴだろ?自分がいい大学やいい会社にはいれなかったから美優紀にすべてを押してつけてるんだろ?」

「そうよ。悪い?子供に夢持って何が悪いのよ!」


(・・・・!)

美優紀の中で何かが音を立てて崩れていった


お父さんも、お母さんも・・・成績がいい子が好きなんだけなんだ


美優紀はスッとその場を離れた


そして、美優紀は塾をサボるようになった

勉強しに行くと言っては駅前をぶらぶらしていた

美優紀は勉強をせずに街を歩いていて気付いたことがあった

遊びに行こうと気軽に誘える友達が自分には居ないと言うことだった

もちろん、奈良にはそれなりに友達もいたのだが

新しく来た大阪という地で

美優紀は勉強しかしていなかった

クラスの子と話すことはあっても、それ以上でも以下でもない・・・ただのクラスメイトだった

「・・・」

ピッポッ、ピッポッ・・・

信号が青になり、皆が一斉に歩き出す

美優紀もその波のなかであわてて歩き出した

クラクションや交差点の音、排気ガスの匂い・・・

誰もかれもが早足で

私の存在なんてこの中の一部でしかないんだ・・・

このまま、波にのまれて消えて行くのかな・・・

そんなことが頭をよぎり

美優紀は足をとめた

バンっ!

その瞬間後ろから衝撃があり、よろめく

「ちょっと!あんた何急に立ち止まってんのよ?」

甲高い声が後ろから聞こえ

振り向くと、背の高い色白の女の人がこっちを睨んでいた

「あ・・・すいません」

美優紀は俯く

「・・・信号変わるから、話しは渡ってからね」

「え?」

その女性は美優紀の手をとり

向こう側まで走りだした

美優紀はわけがわからなくてぽかんと手を引かれるままだった

ブーン・・・

信号が変わるやいなや車が一斉に走り出す

「セーフ」

女性は車を見つめフッと息を吐く

「あ、あの・・・すいませんでした」

美優紀は頭を下げる

「交差点で立ち止まったらあかんっていうん小学生でもわかるで」

「すいません・・・」

美優紀はなんだか虚しくて泣けてきた

「え・・・ちょっと?」

その女性はおろおろして辺りを見渡す

行きかう人はちらちらとこちらを見ており、気まずさしかない

「あー!もう!なんやねん!とりあえずこっちきて!」

女性はまた美優紀の手をつかみ

ずんずんと歩く

そして、駅前のマックに入り

「ポテトLとコーラ2つ」

慣れた感じで注文をし、注文番号のプレートを手に

席に座る

「あ・・・あの」

美優紀はおずおずと女性の方を見る

「名前」

「え?」

「名前は?何歳?」

鋭い言葉に、美優紀は太刀打ちできず

「渡辺・・・美優紀。15歳」

素直に応える

「中3?」

「いえ、高一です」

「うそっ!同い年やん」

「えっ!?」

美優紀は思わず声を上げた

「何よその反応?」

女性は口をとがらせる

「だって・・・大人っぽいから・・・」

「あーそれは化粧とか服でそう見えるのかもねー」

「化粧・・・するんだ」

「するよー最近の高校生はおしゃれしなきゃー」

「う・・・うん」

美優紀は俯く

勉強ばかりしてきた美優紀にはおしゃれなど無縁のものだった

服もTシャツにGパン・・・どこにでもいる高校生・・・いや、中学生に見間違えられるのも無理はない

「お待たせしましたー」

そこに、店員が現れ美優紀達の前にポテトとコーラを置いて去って行った

「あんた、暇?」

「え?」

「遊びにいかへん?」

「へ?」

「せっかくやから、おしゃれしたらええねん。私、吉田朱里よろしくね」

そういって、吉田はポテトをつまんで食べた


僕の彼女は魔法使い31

話しは少し前にさかのぼる

麻友と話しをして機嫌を損ねた美優紀は足早に下駄箱の方に向かっていた

「何よむかつく・・・」

苛々しながら下駄箱に上履きをいれ

校門に向かって歩き出す

歩いていると

「なぁなぁ、ちょっと聞きたいんやけど――」

関西弁が聞こえてきた

視界には私服を来た女性が生徒に話しかけていた

「え・・・」

美優紀はその姿をみて

「アカリン・・・」

ぽつりとつぶやいた


「すいません。よくわからないです」

「そう、ありがとう」

女子生徒2人は足早に去っていった

そして、女性は美優紀の方に視線を向け

パッと表情がかわる

「みるきー!みるきーよな!?」

その女性は美優紀に駆け寄る

「よかったー!なんや東京の有名進学校に言ったとかいう噂しか聞いてなくてなー。場所ようわからへんから美優紀がいってた彩美堂に行っておばあちゃんに聞いたんよ。いつ帰ってくるかわからんって言ってたから試しにこっちに来てみてん。いやーよかったー会えて」

アカリンという人はテンションがあがって早口になる

「なんで来たん?」

美優紀はそのテンションとは裏腹に冷たく言った

「・・・あのな。私、みるきーと話しがしたくて」

「あんたと話しすることやない!なによ!一方的に切ったんそっちやん!今更虫が良すぎるわ!」

「それは・・・謝る。でも、あの時はそうするしかないと思ったん」

「知らん」

美優紀はスッと横を通り学校を出ようとする

「待ってよ!話ししたいいんよ!」

アカリンは美優紀の腕をつかむ

「離して!」

「離さん!」

「離せってゆうてるやろ!!」

「嫌や!ちゃんと聞いてくれるまではなさへん!」

校門で大きな声で怒鳴り合っていたので遠巻きに他の生徒たちが見ていた

美優紀はそんなこと気にもならなかった

苛立ちがマックスで視界には目の前にいるアカリンしかうつっていなかった

「何やってるんだ!」

男性教員が駆け付け

「渡辺さん!」

その後に宮澤たちが続く

「やばっ!」

アカリンがひるんだ隙に

美優紀は腕を振り払い

一気に走りだした

「あっ!みるきー!」

アカリンは追いかけようとしたが

「待ちなさい」

男性教師に肩をつかまれる

「離して!」

「だめだ!どこの生徒だ!」

じたばたと暴れるアカリンだが、男性教師には通用しなかった

「田中先生。ここは私たちが引き受けます」

「宮澤先生」

「・・・」

男性教師とアカリンは宮澤の方をみる

「君、ちょっと話しいいかな?」

そう言って宮澤は笑った

「ほら、皆帰りなさい」

田中はじろじろと見る生徒たちを帰るように

手を大きく振る

ガヤガヤと騒がしく生徒たちが移動していく

「ふーん・・・。使えるかも・・・ね」

その様子を2階の窓から見て、麻友はニッと笑った


数分後・・・

アカリンは理事長室に連行されていた

中にはいつものメンバーが周りを取り囲み

部屋の端にはサヤカが居た

「じゃあ、名前と学校聞かせてもらいましょうか」

前田はにこにこと椅子に座ったまま尋ねる

「・・・」

「ちゃんと答えてくれたら、学校や親御さんには言わないから」

「ゆうても一緒やで」

「え?」

「親も学校も、私になんて興味ないから」

「君、大阪の子なんだよね」

宮澤も会話に加わる

「そうや。もうええわ。あーあー。東京でも教師に詰め寄られるとは思わへんかったわ」

アカリンは椅子にもたれ、観念したように天井を見上げ

「吉田朱里」

「え?」

「難波中央高校2年 吉田朱里や」

吉田は前田の方をみてフッと笑った

僕の彼女は魔法使い30


―――

バタン

「おつかれー」

「どうだった?渡辺さん」

篠田と高橋が声をかける

柏木と小嶋はお菓子をポリポリと食べながら宮澤の方を見ていた

「だめだよー。とりつく島もない感じ」

「そうか・・・」

篠田はそう言って手を差し出す

「なに?」

「採点。するよ」

「あ、あぁ。ありがと」

「・・・」

篠田は赤ペンをもち、丸をつけていく

「おいおい。全問正解じゃないか?」

篠田の採点を高橋が覗きながら言う

「・・・渡辺さん。大阪の有名進学校に通ってたからね」

篠田はぽつりとつぶやき

つぎつぎとさばいていく

「おーマジかよ。数学100点だぜ」

高橋は感嘆の声をあげる

「ちょっと!みなみ!感心してる場合じゃないんだよ」

理事長室の机をバンッとたたき前田が立ちあがった

その音に、全員目が点になる

「佐江も!テストだけクリアしても出席日数いるんだからね!」

「それは十分わかってるよ・・・ほら、夏休みに補習うけるとかまだ手があるし」

「ちゃんと説得できてないのに?」

「う・・・」

「はぁ・・・まぁいいわ。いずれ嫌でもここに来ることになるだろうから」

「なに?」

宮澤が眉をひそめる

「・・・あぁ、したんだね。連絡」

篠田は察したようだった

「さすが、麻里子様だね。まぁ、したっていうか、かかってきたって方が正しいけど」

前田はそう言って、宮澤の方を見た

「今日、渡辺さんのお母さんから連絡があったの。成績はこちらに郵送してもらうことは可能ですか?って・・・だから正直に言ったわ。ほとんど登校してないし、今日は受けなかったテストの補習だって。このままだと出席日数が危ないから1度面談させていただいていいでしょうか?って」

「ちょ、ちょっと敦子!まだ待ってって言ったじゃん!」

宮澤はあせって前田に詰め寄る

「佐江、結局説得できなかったじゃない。それに今、私は理事長代理なんだよ。親にも伝える義務があるもの」

「・・・でも、それなら一緒に生活してるおばあちゃんたちに・・・」

「前にも言ったわ。でも、待つしかいわなかったでしょ?何も変わらなかった。変わらなきゃだめなのよ。それに、親御さんにお伝えするのは義務でしょう?」

「・・・」

宮澤は俯く

「話したら、すぐにでも東京に行きますって言われたわ」

前田はくるっと椅子を回し

「子供の事を心配しているのか・・・それとも・・・成績が気になるのかは分からないけどね」

窓の外を見つめた


カタン

「邪魔すんで」

その声で皆は一斉にドアの方を向く

が・・・ドアは開いておらず、声は下から聞こえた

「あ、ちゃんと使ってくれる人がいた」

前田は目をきらきらと輝かせる

「うっさい。飛ぶな言われたんやしゃあないやろ」

そういってサヤカは人型にもどる

「・・・。あいつ、ここきてないんか?」

「あぁ渡辺さん?いやー連れてきたかったんだけどさー。断られちゃって」

宮澤は苦笑いをする

「ほな、学校にはきてたんやな」

「うん、きてたよ。ちゃんと追試も受けたから」

「そして、満点だ」

宮澤に続いて篠田が答案を見せる

「そうか。ほな、帰るわ」

「ちょい待ち」

高橋はサヤカの首根っこをつかむ

「はなせや」

サヤカはじろっと高橋を睨んだ

「サヤカ、お前もこの学校に通わないか?」

「はぁ?」

「だって、心配でここまで来たんだろ?ならいっそ一緒に通っちまえばいいじゃねぇか」

「なんで私がこんなとこに通わないかんねん」

「まぁまぁそう言うなよ。それに、あんまり契約者と離れてたらいいことないぞ。お互いにな」

高橋はサヤカの肩を抱き、ニッと笑う

「サヤカ!頼むっ!出席日数あぶないから連れてきてくれたらホントに助かるんだよ!」

宮澤もサヤカの前で懇願する

「・・・」

サヤカは眉をひそめていたが

寂しげな祖母の表情を思い出す

あいつをここに通わせたら・・・あんな顔することもなくなるんかもしれへんな・・・

そう、心が揺れた瞬間

ドンドン!

今度は勢いよく扉が叩かれた

「やばっ!サヤカ、猫になれ」

反射的に高橋は猫になり

つられてサヤカも猫になった

「理事長!失礼します」

細身の女性教師がドアを開ける

「あ、宮澤先生!やっぱりここにいらっしゃったんですね」

その先生は宮澤の顔を見るなり、勢いよく近づいてきた

「ど、どうしたんですか?」

宮澤の足元には猫になった高橋とサヤカがいたので

反射的に一歩前に出て対応する

「校門で生徒が揉めてるみたいで・・・それが、先生のクラスの渡辺さんなんです」

「えっ!」

皆一斉に窓の方を見た

そこには渡辺と女性らしき人がもみ合っている姿が見えた

そして遠巻きに見ている生徒たちと、そこに走っていく男性教師も・・・

「生徒が知らせに来て、宮澤先生にもお伝えしようと思いまして」

「ありがとうございます!」

宮澤は勢いよく部屋を出ていき

篠田達もそれに続いた

バタバタと慌ただしい足音が遠く鳴り

理事長室には前田と高橋、サヤカが残っていた

「あの人、渡辺さんの知り合いかな・・・」

「よし、事情聴取だ」

「そうね、彼女の事を知る手がかりになるかもしれないし・・・みなみ、捕獲」

「はいよ」

高橋は人の姿に戻り

理事長室を出て行った

「・・・なんや騒がしいなぁ」

「そうね。でも、ここにいると退屈しないわよ」

「はっ・・・」

サヤカは窓の外をみながら鼻で笑った

僕の彼女は魔法使い29

そして、1週間が過ぎた

「ふわーーー」

彩美堂の前で猫のサヤカは大きなあくびをする

「サヤ。どら焼き食べるかい?」

その台詞にぴくっと反応し

サヤカは祖母のもとに歩み寄る

「よしよし。ほんとにすきだねぇ」

「にゃー」

サヤカの猫の演技もなかなかである

「はい、おいで」

祖母は年季の入った椅子に座り、膝をぽんっとたたく

「・・・」

サヤカは膝の上に乗り、どら焼きを食べる


サヤカはここではサヤと名づけられていた

「よしよし」

祖母は皺だらけの手でサヤカの頭をなでる

「・・・にゃー」

嫌な気はしなかった

両親を失ったサヤカは幼い頃から長老シノに育てられていた

厳しい人だったが、修業が終わった後はいつも頭をなでてくれていた

でも・・・大きくになるにつれて反発するようになって・・・

言うことを聞かなくなった

そして・・・

サヤカは14歳の頃・・・

シノは死んでしまった

「・・・」

あの時の思いにを馳せながら

サヤカは喉を鳴らしていた


ジリリリリ!

「!!」

店の黒電話がけたたましい音をあげ鳴りだし

サヤカはびくっとして祖母の膝から飛び降りた

「おやおや」

祖母は穏やかな口調のまま椅子から立ち上がり、電話を取る

「はい。彩美堂です。おや、どうしたんだい?」

祖母の口調はいきなり慣れ親しんだものに変わる

サヤカはととっと祖母の足元に近づき見上げていた

「まぁ、そんなにやいやい言わんでも。美優紀もいろいろ思うこともあるんだよ」

『・・・!!』

「そりゃ、心配にもなるけど。私らでなんとかするから」

『・・・!!』

受話器から声が漏れでている

「あら、お客さんだ。切るよ」

祖母は平然とした顔で受話器をおき

また椅子へと座る

もちろん、客など来ていない・・・

「サヤおいで」

「・・・にゃー」

サヤカはまた祖母の膝の上に乗った

「やれやれ・・・ああも声がうるさくちゃ逆に耳遠くなっちまうよ」

祖母はサヤカをなでながら呟く

「・・・」

サヤカは祖母の顔を見上げる

困ったような寂しいような・・・そんな表情だった

「ホントに・・・こまった娘だねぇ・・・ねぇ、サヤ」

祖母は眉をしかめて笑った

「にゃー・・・」

「・・・美優紀、ちゃんと学校に行ってるのかねぇ・・・」

「・・・」

(はぁ・・・しゃーないな)

サヤカはぴょんっと膝から飛び降り

勢いよく走りだした

――――

その頃、美優紀は

テストをサボったので追試を受けていた

「できました」

美優紀はシャーペンを置く

「うん。じゃあ、回収するよ」

担任の宮澤が答案用紙を手に取る

「じゃあ、失礼します」

「ま、まってよ。この後話ししない?理事長室で」

宮澤はにこっと笑う

「嫌です」

「つれないなぁ」

宮澤は苦笑いをする

「どうせ、契約者の話しなんでしょ?」

「うーん。まぁそれもあるけど・・・。学校・・・どうしてこないの?」

「・・・通う意味がないから」

美優紀は筆箱にシャーペンを入れ、鞄にしまいだす

「・・・たかみなたちとさ、話ししてたんだ。サヤカもここの生徒にして、通わせようかって」

「・・・」

「だから、どうかな?もう夏休みにはいっちゃうから、サヤカは2学期からの転校生として・・・」

「興味ないです」

美優紀は立ち上がる

「このままだと卒業できなくなっちゃうんだよ」

「・・・失礼します」

美優紀はそう言い残し、部屋をでていった

「はぁー・・・」

宮澤はため息をつき、答案に目をおとしていた

―――

渡辺は学園の廊下を歩く

「あれって、渡辺さん?」

「学校来てたんだ?」

「誰よ、辞めたって言ってたの」

ひそひそと話す声が聞こえてくる

「・・・」

美優紀は、ムッとしながら出口に向かって歩く

そこには一人の女子生徒が立っていた

美優紀はその横を通り過ぎよう足早に歩く

「渡辺さん」

美優紀は反応して振り返る

そこには生徒会長の麻友がいた

「はじめまして。私は生徒会長の渡辺麻友って言います」

「・・・」

満面の笑みに美優紀はむすっとした顔をする

「偶然よね。おんなじ名字」

「渡辺やようけおりますから。失礼します」

「まってよ。私、あなたのこと知ってるの」

「え?」

「英新塾いってたでしょ?そこの統一テストの1年生の部で1位になってたじゃない」

麻友はすっと雑誌を見せる

そこには、表彰状を手に笑う美優紀の姿があった

「・・・」

美優紀は固まる

英新塾は全国に展開する塾で、決まった時期に全国テストが行われる

そこで1位になった人は表彰され、塾の会報誌に写真が載るのだ

「ちなみに私は2年生で1位になったの」

次のページをめくると、そこには麻友が写っていた

「渡辺さん、どこかでみたことあるなぁって思ってたの。昔とはずいぶん印象が違うけど」

麻友はにこにこと笑う

雑誌の美優紀は眼鏡をかけたやぼったい高校生だった

「そんなん昔の話しです。会長さんもそんな過去の栄光、ずっともっとかんと捨てたらどうですか?」

「あら、自分がどんなことをしてきたかって大事じゃない?それが今を作ってるのよ。だから、生徒会長として心配してるのよ。成績優秀だったのにうちに来てからほとんど学校に来なくなって。何か悩んでるんじゃないかと思って」

「余計なお世話や!」

美優紀は麻友の手から会報誌をうばい床に投げつけた

「あら、怖い・・・そんなに怒ってたら失うわよ」

「え?」

「過去の栄光だけじゃない・・・そうね・・・家族とか友達とか・・・そのうち、自分の心さえもね」

麻友は美優紀に近づき、じっと目を見る

その目は、なにもかもを吸いこんでしまいそうなほどの暗く冷たい色だった

「っ!なんやねんあんた!気持ち悪いねん!」

一瞬麻友の方にぐっと身体がひきこまれそうになって、美優紀は反射的にのけぞり

走り去って行った

「残念。いけるとおもったのに・・・やっぱりだめね・・・」

麻友はため息をつく

こうなったら・・・周りから攻めて行くしかないか

自ら契約を解除してもらうか・・・もしくは、消えてもらうか・・・

「気持ち悪い・・・その台詞ぞくぞくするわ」

麻友はニッと笑い

足元の会報誌に目をやる

「忍びこんでデータ取ってきた甲斐はあったかしらね・・・」

そう呟き、指を鳴らす

床に投げつけられた雑誌は

跡形もなく消えてしまっていた・・・



◆お知らせ

ども、しゅうです(^^)
お待たせしましたー。11日から投稿再開します。また途中で止まるかもしれませんがよろしくお願いします(^^)
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