「ぐぁ・・・」


7月某日。私、山本彩はスマホ画面を見て固まっていた

そこには『渡辺美優紀 誕生日に芸能会復帰』と書かれていた

「あいつ・・・」

ホンマ、どんだけ気まぐれやねん

そう思いため息をつく

ま・・・でも、あいつらしいか。

ふっと笑みがこぼれる


プルルルル・・・

「うわぁっ!」

いきなりの着信に思わずスマホが宙に舞い、慌ててそれを受け止め電話にでる

「もしもし、彩か?」

電話は金子支配人だった

「はい」

「記事見たか?」

「あぁ・・・。みるきーのやつですね」

なんとなく照れ臭くなってポリポリと頭をかく

「そうや。いやーこんなタイミングで出てくると思わんかったなぁ」

「ははは・・・。まぁあの子らしいっていうか」

私は苦笑いをする

「で、どや?曲できそうか?」

「いやぁ・・・まだ、なんとも・・・」

私は机の上に散らばった紙とソファーに置かれたギターに目をやる

「・・・ほんま、タイミング図ってるみたいにでてくるなぁ」

「・・・」

「彩の卒業が正式に決定した次の日やもんな」

「・・・そう、ですね」

私はギターを見つめたままぽつりと漏らす

昨日、私は秋元先生に卒業することを告げ、正式に決定したばかりだった

『卒業の曲は君が書きなさい』

そう言われ、作曲作りに取り掛かった矢先だった

「発表はライブの初日になる。ええな?」

「はい」

「ほな、また状況教えてや」

「わかりました」

電話を静かに切り

画面は先ほどの、みるきー芸能界復帰の記事に戻る

2年前、みるきーが卒業した時にも夜な夜な作曲してたよなぁ・・・

『彩ちゃんのことが・・・大好き』

「・・・」

卒業公演の後、告白されたことを思い出す

あの時は恋愛禁止だから言えなかった思い・・・

「はぁ・・・」

私は手で顔を覆う

本当なら、卒業発表してみるきーを驚かせるつもりだった

なのに・・・

「ほんま・・・先先いってんのはあんたのほうやで・・・」

卒業したかとおもったら、復帰宣言

私はいつも後手に回ってる

・・・こうなったら、黙っといてやる

みるきーには先に言おうと思ってたけど、もうええ!驚いて私の気持ちをわかれ!

なぜか変なテンションになり、私はドカッっとソファーに座った