「卒業曲なんだが・・・」

「はい」

私は秋元先生に本社に呼び出されていた

腰が沈む柔らかいソファーに姿勢を崩されないよう力を入れじっと秋元先生を見つめていた

「デモテープ・・・聞いたんだけど」

「は、はい・・」

「歌詞も山本がかいたんだよな」

「はい」

「じゃあ、なおさらだな・・・」

「え・・・?」

「この曲は世に出していいの?」

「・・・!」

その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった

眼鏡の奥の瞳が私の胸に突き刺さる

「これは大事な人に贈るといいよ」

そういって、フッと笑った

「・・・とても、想いを感じるから」

秋元先生は机にCDを置き、立ち上がる

「そういうことだから、よろしくね」

「は、はいっ!」

私もとっさに立ち上がり

「あ、あのっ!あ、ありがとうございまいた」

深々と頭を下げる

「君は十分頑張った。だからね・・・もう、自由にしていいんだよ」

「!」

その言葉を聞いて、堰を切ったように目から涙があふれだした

「いい曲だったよ。とっても」

秋元先生は私の肩をポンっとたたくとそのまま部屋を後にした

あたしは頭を下げたまま固まっていた

涙のしずくがデモテープにかかっていた

ーーー

数時間後私は駅にいた

この駅にはボイストレーニングをしているスタジオがあるのだ

秋元先生に背中を押された気がして

デモテープの曲を練習しに来たという訳だ


「しゃっ・・・」

私は帽子を目深にかぶり

リュックをかけなおし気合を入れ・・・

どんっ

「っ!」

リュックを直したときに

後ろから急いできた人の荷物と当たり

よろける

なんやねん

幸先悪いなぁ・・・

と思ったつかの間

前から来た人とぶつかりそうになり

「あ、すいません」

私はとっさに顔を上げ

「え・・・」

固まってしまった

「さやか・・・ちゃん」

おいおい

嘘やろ?

目の前には

みるきーがいた