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それから

着々と卒業コンサートの話が進んでいった

「一期生の参加メンバーなのですが」

「はい・・・」

スタッフの方との打ち合わせに参加し、一期生と聞いてみるきーの顔が浮かぶ

「山田さんは正式にお伝えする前から申し出が出てますので・・・」

「「ははは」」

山田のフライング参加表明にスタッフたちも笑う

「あと参加者は・・・」

「すいませーん。遅くなりました」

「は?」

聞きなれた声に私は目を丸くする

そこには金髪、ピアスにダメージジーンズ

パっと見どこのもんやねんっていう木下百花がたっていた

「百花」

「卒業コンサート、私も参加させてもらいます」

そう言って机におもむろに紙袋を出し、ホッチキスで止めた紙を配りだした

「はい」

百花に渡された紙には

『企画 ダブルカップリング キス大作戦』

と書かれていた

「は?」

私は目を丸くして百花の方を見る

「百合はアツい」

「いやいや、なんでやねん」

「へーでも、面白そうじゃん」

スタッフさんがパラパラと企画書を見ながら言う

「うんうん、最近ゆーりちゃんと仲いいし。ちまたではさやゆーりはやってるんでしょ?」

「いやいやいや」

私はあわてて静止した

みるきーともちゃんとしたことないのに

それに、私は卒業したあとみるきーに・・・

みるきーに・・・

久しぶりに会って

ひどいことを言ったのに

私はまだ、心のどこかで許してくれると期待している

2年前のあの日

好きと言ってくれたから

『さやかちゃん』

みるきーの笑顔が浮かんだ

・・・ずっと、待っていてくれていたのだろうか?

「さや姉聞いてる?」

「え?」

百花が不満そうに問いかける

「あぁ・・・でも、なんでキスやねん」

「その方が盛り上がる」

「だから・・・」

「みるきー来るしお客さん喜ぶよねー」

「!」

百花と言い合っているうちに他のスタッフさんが

ホワイトボードに参加者の名前を記載していた

「・・・」

「みるきーとキスにする?」

百花の発言に我に返る

「あほっ!なにゆうねん」

その声にスタッフさんたちが一斉にこっちを見た

「あ、あはは。すいません」

私はあわてて取り繕った

ーーー

結局、百花の案が通り

なぜかスタッフはノリノリだった

一期生は愛菜以外全員参加ということを聞き

正直、仲間の絆の強さを感じた

「なーええ加減機嫌なおせや」

自販機前で百花が私にコーヒーを差し出してきた

「いや、別に」

私は受け取り、カコっと開けてぐっと飲んだ

「連絡とってんの?」

「・・・この前おうた」

「で、話したん?」

「したけど・・・怒らせた」

「はぁー・・・あんたは好きな子をいじめる小学生か」

「うっさい!」

「みるきーつらかったやろなー」

「・・・」

「あーわかったわかった。本気でへこんでんのをいじめる趣味はないからな。ええか、さやねぇだからこそ、みせつけたらええねん」

「は?」

私の肩に腕を回し

「女はやきもち妬かせてなんぼやで。その方が本心が出るってもんや」

「あんたはどこのイケメンやねん」

結局、流されるまま

卒業コンサートの日を迎えることとなった