カツカツカツ


私は早足で街中を歩いていた


なんなんよ・・・

なんなんよ・・・

せっかく会えたのに

話ができると思ったのに

・・・うれしかったのに

私・・・なんか怒らせることゆうたんかな?

視界が涙でにじみ

私はまわりに気づかれないよう

ホームの柱の陰で涙をぬぐう

『まもなくホームに電車が参ります』

アナウンスの声に

とっさに階段の方を振り向く

彩ちゃんは・・・

来なかった

・・・やっぱり、怒らせたんかなぁ

ボイトレに行きだしたのは

芸能活動復帰っていうこともあるけど

彩ちゃんの卒業コンサートに出るつもりだったから

だから、厳しくても頑張ろうって・・・

最近回数増やしたんやけどなぁ・・・

でも彩ちゃん急に怒り出すし

頑張ってたのに何よって・・・

なんかイライラしてしもた

プシュー・・・

電車がホームに到着し

みんな足早に動き出す

私は階段の方を振り向きながら

勝手なんは

お互い様やなぁ

彩ちゃんのために練習してた、って言えば

きっと・・・

プシュー・・・

私のそんな思いは

電車のドアによって遮られ

ゆっくりと動き出した

ーーーー

結局

そのあとボイトレにも行っていたけど

彩ちゃんと会うことはなかった

そして

『山本彩卒業コンサート参加依頼』が正式に来た

断る気はないけれど

この前のことがよぎる

素直に・・・なれるやろか

この前はごめんねって

言えるやろか

ピロン♪

lineがなり、スマホの画面を見る


『岸野里香』

珍しいなぁ、里香ちゃん

そう思い、メッセージを開く

『久しぶりー。彩の卒業コンサートの時に1期生でなんかできたらいいなって、企画のために集まろうっていってんねんけど。いける日ある?』

1期生・・・

懐かしい響きだった

その文字に、NMBで活動していた日々が走馬灯のようによみがえる

はぁ・・・卒業の日には好きってちゃんと言えて

満足して

そのままになってしまってたんやなぁ・・・

こう思うと、本当に淡い初恋みたい

彩ちゃん・・・どう思ってるんやろ?

卒業の日、私は自分がしたみたいに

彩ちゃんの思いが聞けると勝手に思っていたけど・・・

もしかしたら、そうならないかもしれない

NMBの劇場で彩ちゃんとゆーりちゃんが見つめあう姿を想像してしまった

「ゆーりちゃんのこと・・・すきなんかなぁ」

この前、アカリンに言われてからなんとなく検索してしまって

余計にもやもやしてしまった

「はぁ・・・」

すぐに返事をする気になれず

ベッドに突っ伏していた