「はぁ・・・」

結局プライオリティーのリハーサルを見ないまま

本番を迎えることになった

僕はいないの時は彩ちゃんと軽くハグするけど

ほんとにただ、軽く触れるだけで・・・さみしかった

そして、そのまま・・・本番を迎えようとしていた


「うわーめっちゃ入ってるわ。さすが彩やな」

控室のモニターには観客席が映っており、人であふれていた

「・・・」

彩ちゃんはバタバタしててろくに話もできてないままだ・・・

このまま本番を迎えるのか・・・

「みるきーさん」

うなだれていたところに

声をかけられ

振り向くとゆーりちゃんが立っていた

「どしたん?もうすぐ本番やけど」

「ちょっと話が・・・」

「?」

私は首を傾げ、ゆーりちゃんの言われるがままに楽屋を出た

ゆーりちゃんは黙って歩いて気づけば舞台の搬入口近くまで来ていた

スタッフさんはあわただしく動いてるから、私らのことは気に留めていなかった

「みるきーさん」

「なに?」

「彩さんのこと、どう思ってるんですか?」

「え?」

ドキッとしてうろたえる

「・・・好きなんですか?」

「ゆ、ゆーりちゃんどないしたん?」

「答えてください」

「・・・」

ゆーりちゃんがまっすぐ見つめるから

好きって言葉がのどの奥で引っかかって出てこない

「・・・じゃあ、私がもらいます」

「え・・・」

「私、彩さんのこと好きですから」

「!!」

雷にうたれたように頭から足の先まで一気にしびれが走る

「じゃあ、それだけなんで。プライオリティーみてくださいね」

ゆーりちゃんはフッと笑って駆けていった

『私がもらいます』

ゆーりちゃんの言葉が頭の中で響いて

私はしばらく立ち尽くしていた


ーーー

そして

『キャーーーー!!』


黄色い声援の中

彩ちゃんはゆーりちゃんにキスをした

舞台裏でその映像を見せつけられる

「・・・」

時が止まる

ドッドッドッ・・・

心臓だけがやけにうるさく聞こえた

「みるきー。ちょっと」

里香ちゃんは俺らの衣装そのままで私の腕をつかむ

「え?」

「このままやったら嫌やろ?ちゃんと自分の気持ちいわな」

「でも・・・」

「大丈夫。手配はできてる」

「え?」

里香ちゃんは私を引っ張り

ある車の前まで連れてきた

そこには菜々ちゃんとスタッフさんたちがいた

里香ちゃんは近くの物陰に隠れる

「何これ?」

「大丈夫、山田が時間稼いでくれるから。それまでに勝負きめや」

「え・・・」

「今から彩をこっちに・・・」

そう言い終わる前に・・・彩ちゃんが現れた

・・・ゆーりちゃんつきで

「お、もうきよった。あとは任せるわ。ここでおり」

里香ちゃんは私に耳打ちするとそそくさと消えていった

何はなしてるんやろ・・・

『私がもらいます』

ゆーりちゃんの言葉がフラッシュバックする

そんなん嫌や

ずっと好きやったんやで

ずっと・・・ずっと・・・

我慢して

もう、誰かにとられるの嫌や

私は覚悟を決めた