「いやーウケたウケた」

プライオリティーが終わり、百花は満足そうに水を飲んでいた

「はぁー・・・」

私も次の衣装に早々に着替え、水を一口飲んだ時だった

「彩さん」

「ゆーり・・・」

「プライオリティーのお願いなんですけど」

「え?今?」

「今じゃなきゃダメなんです!」

「えっ!おいっ!」

そういってゆーりは私の手をつかんで走り出した

カッカッカッ・・・

ヒールの音が響く中

「私のおねがいは・・・彩さんに守ってほしい約束は・・・」

ゆーりが息を切らしながらしゃべる

「みるきーさんにちゃんと思いを伝えてくださいってことです」

「え・・・」

カツン・・・

ゆーりの足が止まる

「私、二人の後ろで踊るの大好きだったんです」

「ゆーり・・・」

「最後のさやみるきー・・・私は2人の笑顔が見たいんです」

ゆーりは肩で息をしながら

うっすらと目に涙をためていた

「・・・ありがとうな」

私はゆーりの頭をポンポンとなでる

「・・・」

ゆーりはすっと端の方を指さし

「行ってください」

「わかった」

なんとなく、察しがついて

私はそっちの方に向かって走っていった


ーーーー
「ゆーりナイスアシスト」

岸野がひょこっと出てきて肩をたたく

が・・・ゆーりはずっと泣いていた

「・・・そっか。頑張ったな」

「・・・はい。でもいいんです。やっぱり、彩さんが一番うれしそうなのは・・・みるきーさんの隣にいるときですから」

ゆーりは頷きながら涙をぬぐった

「さっ!私、次の準備がありますから」

ゆーりはふっと息を吐き、また舞台の方へと走り出した

「はぁ・・・モテる女はつらいってやつか・・・さ、時間稼ぎすんで」

岸野はマイク付きヘッドフォンをつけ

『そっち、準備ええか?』

『ええで』

独特な声が響き

白いバンの中にいる人物はぐっと親指を立てた


ーーーー
カツン・・・

「・・・彩ちゃん」

「・・・みるきー」

舞台裏の明かりに照らされた顔は

すこし、目が潤んでいるように見えた

「・・・」

とは言ったもののどう声をかけていいかわからず

案の定固まる


「「・・・」」

わぁぁっ!

会場ではゆいはんのインタビューが流れている

やばい・・・はよせな・・・

もうすぐ山田との友達が始まる・・・

いろんなことがぐるぐるまわり・・・余計に言葉が出なくなって焦る

が・・・

「!!」

みるきがーいきなり抱き着いてきて

その思考は真っ白になる

「彩ちゃんはゆーりちゃんのことが好きなん?」

「は?いきなりなにゆうてんね・・・」

私の言葉はみるきーの唇で遮られる

「な・・・」

「私が彩ちゃんのこと一番好きやもん。大好きやもん」

みるきーは頬を赤らめながら、一筋の涙を流していた

「!」

私は反射的に抱きしめ返す

「あほ、あれは演出や。好きなんは・・・きまってるやろ」

「彩ちゃん・・・」

「・・・やきもちか?」

「・・・何そのイケメン感」

「ちゃうわ。だったらその・・・うれしい・・・な・・・って」

「もう・・・」

みるきーはくすっと笑う

あかん、その顔反則

私はぎゅっとさらに力を込め、みるきーの肩に顔をうずめる

みるきーもそっと背中に腕を回し、それにこたえてくれた

「ごめんな。今まで・・・いっぱい傷つけて」

「ううん。いいよ。なんやかんやゆーても私・・・彩ちゃんのこと大好きなんやってわかったから」

「みるきー・・・最後の曲、きいてくれ。それが私の答えや」

「うん・・・」

「ごめんな。まだ、アイドルやから」

「・・・いけるよ。そういうところも好きやで」

「終わったら・・・ちゃんと言う・・・」

「うん・・・」

私らは見つめあい・・・

そして・・・

「すまんお二人さん!そろそろ限界や!」

岸野が現れた

「おい!」

私は思わぬ邪魔に力が抜ける

そりゃ、こんな状況でもう一回キスできるかなあとか思ってしまった自分もあかんけど・・・

「彩、今あのバンの中で山田が時間稼いでくれてんねん」

「はぁ?」

「彩は今からドア開けて、山田とステージに行ってくれ!」

「お、おう!」

「山田結構粘ってくれたけどトーク力ないから、もう詰まってきてんねん」

岸野が持っている小型モニターには苦しそうに話題を出している山田が映っていた

「なんじゃそりゃ」

思わず笑ってしまった

「話はあとや、とにかく行って」

「わかったわ」

私はマイクをつかみ

ガラッ!
車のドアを勢いよく開けた

「お前は行くぞ!」

山田にマイクを持たせ走る

そして

「ありがとうな」

山田にしか聞こえない声で言った

「あたりまえやろ。友達やねんから」

山田の言葉に頬が緩む

なんだかんだゆうてもやっぱり1期生は最高や!