そして、コンサートが終わり・・・

「はい、目線こっちにお願いしまーす」

私は劇場にかかった自分の写真を外し

カメラに向かって笑顔を向けていた

卒業公演が終わり

私のアイドル人生が終わった

「さやねぇー・・・さみしい」

「彩さーん」

楽屋で泣く美瑠をなだめながら

メンバーたちと別れを惜しんだ

ーーー

そして・・・

私はNMB劇場を後にする

本当にこの8年間いろいろあったな・・・

そう思い

一礼した

「さて・・・今からが勝負や」

そうつぶやき、携帯を手に取った

ーーー

「もしもし、あぁうん、もうすぐ着く」

私はタクシーに乗り込み

約束した場所に向かっていた

もちろん、ギターを抱えて・・・

ブロロロ・・・

タクシーが降り立ったところは

海の見える公園だった

「すまん、遅くなって」

「ううん。いけるよ」

そこには帽子を目深にかぶったみるきーがいた

「卒業おめでとう」

そういってみるきーは小さな花束を差し出した

「ありがとうな」

「うん」

「でな・・・私、アイドル卒業したらするって決めてたことあんねん」

「なに?」

「歌、聞いてくれるか?」

「彩ちゃん・・・」

「ホンマは卒業に向けて書いてたんやけど、秋元先生がさ大事な人のために歌うといいよって言ってくれて・・・その・・・みるきーのこと考えてつくったから、聞いてほしいねん」

「うん、わかった。ありがとう」

「・・・ほな、いくで」

チューニングをかるくし、弾き始める

みるきーは私の隣に座り、じっと見つめていた

今まで思っていたこと8年間の思い

言えない苦しさ、愛しさ

その思いを

ただ・・・君だけに歌う


ーーーー

ジャーン・・・

パチパチパチ・・・

みるきーは目に涙をためて拍手をしてくれた

「ありがとう。彩ちゃん」

「みるきー・・・」

私はギターを横に置き、みるきーの方を向いた

ドッドッドッ・・・

心臓の音がうるさい

「・・・もー」

みるきーはくすっと笑って

私の方に近づいて座った

「もう、アイドル卒業したんやろ?」

「あぁ・・・」

そうやな

今まで、長かった・・・

みるきーのその言葉にすべてのしがらみが取れた気がした

アイドルとか恋愛禁止と女とか

そんなのもう気にしなくていい

私は・・・

そっとミルキーを抱きしめ

「私はみるきーのことが・・・好きや」

耳元でそっとささやいた

「うん。私も大好きやで」

「「・・・」」

見つめあい

どちらかともなく、互いに唇を寄せる

溶けてしまいそうなほど

幸せだった


「・・・なんか、照れ臭いね」

「あぁ・・・」

「でも、こうして一緒におれてうれしい」

みるきーは笑って私の肩に頭を置く

「でも、彩ちゃんも芸能界におるし、浮気したらあかんよ」

「それはこっちのセリフや」

「大丈夫。どんだけ待ったと思てんの?」

「まぁ・・・そうか・・・」

「だから、片思いしてた分ずーっと大事にしてや」

「あぁ、大事にするわ」

私は星空を見上げる

そう・・・

ずっとずっと君だけなんだ

僕が愛せる女性は一人・・・


ーFIN-