「はっはっはっ・・・・」

秋元は肩かけ鞄を斜めにかけ

勢いよく揺らしながら走っていた

そして

ホテル前で

宮澤と柏木を見つける

「佐江っ!」

「才加!」

2人は顔を見合わせ

ニッと笑うと

勢いよく自分たちの部屋に向かった

「私ここでまってるからねー」


「うんっ」

「おう!」

ロビーで足を止めた柏木に

2人は後ろ手を挙げて返事をした


「・・・3年ぶりだな」

「あぁ!わくわくするよ!」

そういってエレベーターを待ちきれない2人は

勢いよく階段を駆け上がっていった

―――

3年前の卒業式の日

大島たちは卒業証書を手にグラウンドを目指していた

「あー。この試合が終わったら2人とは敵同士かー」

大島は卒業証書が入った筒を持ったまま

首の後ろに手を回し

晴れた空を見上げる

「まぁドラフトだからしかたないなー。でも、取ってくれるだけありがたかったよ」

その横を歩いている秋元はニッと笑う

「そうそう、住めば都だし。名古屋も絶対いいとこだよ」

反対側に居る宮澤もそう言って笑った

「うん、佐江ちゃんと居たら私はどこでもいいしねー」

宮澤の横で腕に手を回し、柏木も笑った

「・・・バカップル」

柏木の横で麻友がぼそっと呟く

「バカップルで結構。離れたら嫌だもん」

「・・・」

柏木の返答に、麻友は黙る

「おーおー。熱すぎて麻友も黙ったかぁ?」

秋元の横に居る指原は身体を前のめりにして麻友の顔をのぞく

「・・・」

麻友はそんな指原をじろっとみる

「・・・はーい。もう言いませーん」

指原は苦笑いをし、身体を戻す

「・・・」

グラウンドに入る手前で

大島が立ち止まる

「ん?どうした?」

秋元は首をかしげ

他の皆も立ち止まる

「私さ・・・決めたっ」

「え?」

「なになに?」

皆、大島の顔を覗き込む

「私、プロ野球の監督になる」

そういって大島はニッと笑った

「ええっ!」

「選手じゃなくて?」

「そりゃまた大きい夢だなぁ」

「・・・」

皆めいめいに違った反応を見せる

「いやー、皆の進路聞いてさー面白いなーって思ってよ」

「え?」

秋元は首をかしげる

「佐江と才加は私と同じプロだけど、さっしーは経済学で麻友はスポーツ医学、ゆきりんは栄養士だろ」

「うん、そうだね」

皆、頷く

「だからさ、作ろうぜ。みんなでプロ野球チーム」

大島はニカッと笑った

そんな大島を見て

皆ポカーンと口を開ける

「ははっ。いいじゃねーか。私が監督で、佐江と才加はコーチか選手。さっしーは経理担当でチームの運営。ゆきりんは栄養士として皆の食事管理して、麻友は医学の観点から選手を分析するトレーナー。うんうん、いいねー。最高だ」

大島は腕を組み、にこにこと頷く

「優子、チーム作るってそんなに簡単なことじゃ・・・」

秋元がそう言いかけた時

「・・・おもしろいじゃん」

麻友がフッと笑って

大島の前に立つ

「ただし・・・私を使うんだったら納得するくらい選手としても実績あげててよね」

「麻友・・・」

「私もー。使うんだったら給料は高くお願いしまーす」

指原も前に出て手を挙げる

「選手の栄養管理かぁ・・・佐江ちゃんの献立考えてたらいっぱいレシピできそうだなぁ」

柏木もニコッと笑う

「ははっ、おもしろいじゃん。あ、ちなみに私は優子がチーム立ち上げるんだったら年俸安くてもいいかんねー」

宮澤は指原を横目に見ながらニッと笑う

「あー、なに一人だけいい子ぶってんの」

「別にー。野球ができたらいいんですー私はー」

「あははー。ありがとうなー」

宮澤と指原が言い合うのを見ながら大島笑い

そして

秋元を見る

「・・・わかったよ。お前は言い出したら聞かないからなー。・・・ただし、条件がある」

「お、なになに?」

「やるなら、優子お前も選手として出ろ」

「え?」

「監督兼選手。それが条件だ」

「才加・・・おう!」

大島は秋元に抱きつく

「よーし、じゃあ皆でチーム作りますかっ!」

指原は卒業証書の入った筒を手に腕を伸ばし

ガッツポーズをする

「「おうっ!」」

「うんっ」

「・・・」

皆めいめいに頷いた

「ありがとうな、皆!さっ、じゃあ気合入れて最後の試合行くぞー!」

大島は空に向かってめいいっぱい腕を伸ばし叫んだ


――――


ガチャッ!

2人は部屋のドアを開け

野球バッグに荷物を詰めこむ




大島が言い出した夢は

いつしか現実味を増していた

麻友は学科首席を独走中

指原は経営学の傍ら、プロ野球の販売員として働いている

柏木は料理の腕もあげ、ちゃくちゃくとレパートリーが増えている

そして、宮澤と秋元は選手としてトレーニングをする一方

後輩の指導にあたり、コーチとしての技術も磨いていた

そして、大島も本場アメリカで監督やコーチの指導方法を学んでいた


「佐江!行けるか?」

「あ・・・ちょっと待って」

宮澤はごそごそと鞄を探り

「やっぱり、これつけなきゃね」

そういってリストバンドを見せてニッと笑った

「・・・そうだな。私もちゃーんと持ってるぜ」

秋元も宮澤と同じデザインのリストバンドを見せて笑う

それは、高校の卒業記念に

皆で買ったリストバンドだった


『今、東京、名古屋、神戸、博多だろ?次は東北・・・新潟とかどうだ?』

『『いいねぇ!』』

昨日の夜、この部屋で話しをしていた時に大島が言った台詞を思い出し

2人はニッと笑う

「行くぜっ!」

「おうっ!」

2人は力強く頷くと

また勢いよく走りだした