「では、発表します」

そう言って、野本は名簿を手に読み上げる

東京リリーガル
前田敦子、山本彩、木崎ゆりあ、川栄李奈、島崎遙香、田野優花

名古屋スコープアウル
秋元才加、宮澤佐江、橋本奈々未、峯岸みなみ、北原里英、須田亜香里

神戸ストークス
白石麻衣、松井珠理奈、西野七瀬、生田絵梨花、白間美瑠

博多ウォーブラ
兒玉遙、宮脇咲良、小谷里歩、岸野里香、谷真理佳

呼ばれた選手たちは

他の選手たちよりも前に出て整列する

「すごいで!彩ちゃんメンバーや!」

「珠理奈・・・それに秋元先輩、宮澤先輩・・・ゆりあも・・・」

「川栄やって・・・すごいで!うちからプロ入りした人ら皆入ってるんやん!」

美優紀、玲奈、横山は皆それぞれに喜びをかみしめていた

「そして・・・レッド・エンジェルズから大島優子!!」

「「えっ!?」」

玲奈たちは驚いて顔を見合わせる

グラウンドに居る選手たちも、その名前を聞いてざわついていた


ジャーーーーン・・・―――

そのざわつきをかき消すように

大音量である音楽のイントロが流れ始めた

「この曲は・・・佐江!」

「ああ!優子の入場曲だ!」

秋元と宮澤は顔を見合わせる

そして

「みんなーー!!大島優子!!帰ってきたぜーーー!!」

その声に選手たちは一斉に振り返り

観客の視線もグラウンド後方に集まった


そこにはリリーフカーに乗り、観客に手を振る大島の姿があった

「「わぁぁぁぁぁっ!!」」

観客は大島の姿に興奮し

声援や拍手を送る

「はは、大島キャプテンは相変わらずやなぁ」

「ふふっ、さすがだね」

横山と玲奈はその様子をみて笑った


大島優子

元秋葉女学院野球部キャプテン

玲奈たちより1つ年上の先輩だ

プロ野球チームが発足してから東京リリーガルに所属し

初代盗塁王に輝いている

また、そのルックスとパフォーマンスからファンの人気も高く

グッズ販売はすぐに完売するという人気ぶりだった

しかし、去年の秋にアメリカの女子プロ野球チームと契約し

日本のプロ野球界から去っていったのだ

元々、前田の方が先にアメリカに行くかと噂されていたので

大島が渡米すると言う報道は

スポーツ新聞の表紙を飾ったほどであった


リリーフカーで手を振り続けた大島は

マウンド手前で止まり

グラウンドに降り立った


「優子ーーー!!」

「帰って来てんなら連絡くらいしろーー!!」

宮澤と秋元が駆け寄り、大島に抱きつく

「ごめんごめん。でも、驚いただろー?」

「ったく!やってくれるぜ!」

「アメリカ行ってサプライズのスケールが大きくなりすぎだっての!」

秋元、宮澤、大島は高校時代から仲が良く

プロ野球界でも

3人の仲の良さはチームを越えて公認されており

心友トリオと呼ばれていた

久しぶりのスリーショットに

観客も興奮し拍手と声援を送る

3人は手を振りながらその声援にこたえていた



「えー・・・大島選手、宮澤選手、秋元選手・・・とりあえず整列しなさい」

「「「あ・・・」」」

さすがに収拾がつかなくなったのを見越した野本が低いトーンで言う

3人はそそくさと代表選手の列に加わった

「優子先輩!お帰りなさい!」

「また一緒に野球出来るの嬉しいです!」

「もー登場かっこよすぎでしょ!」

皆、めいめいに大島に声をかけ

久しぶりの再会を喜んでいた

「えー・・・コホン・・・」

野本の咳払いがマイクのエコーで場内に響き

観客も、選手たちも静かになる

そして、それを確認した野本は

すーっと息を吸い込み

「以上、23名で女子世界大会に臨みます!!」

「「わぁぁぁぁぁっ!!」」

観客席から拍手の雨が一気に降り注いだ


「いやー楽しみだねぇ」

中西は玲奈たちの方をみてにこにことしていた

「ほんまぁ。でも、試合はアメリカなんがつらいなぁー。応援行けんし、しばらく会えんし・・・また遠距離や」

美優紀は口をとがらせる

「でも、喜ばしいことやんか。それに、試合終わったらすぐ帰ってくるし。応援せなな」

「うん・・・そやな!」

「そうそう、それに私たちも実習頑張らなきゃね」

「うー・・・玲奈ちゃんそれ言う?」

「ふふっ」

「うんうん、うちの病院に来たら先生がいろいろ教えてあげるねー」

中西もニヤッと笑い、美優紀の方を見た

「あー先生なんかやらしー」

美優紀は中西の顔を見て笑う

「あははー。でも美優紀ちゃんと玲奈ちゃんの白衣姿・・・いいねぇ。リアルタイムで見れない珠理奈たちに写メでも送って優越感に浸ろうかなぁ」

「中西先生も相変わらずですね・・・」

横山はそんな中西の様子をみて苦笑いをした



「えー・・・そして、今回の監督ですが・・・わたくし野本と元帝都女子高等学校野球部監督でありました篠田麻里子とで務めさせていただきます」

「え・・・?」

そのアナウンスに中西は目が点になる

そして、いつの間にか

スーツ姿の篠田が野本の隣で頭を下げていた

「「えーーーー!!」」

篠田のことを知っている珠理奈たちも

そして、観客席にいる玲奈たちの驚きの声が球場に響いていた