一方、バックネット裏の観客席では

「じゃあ、私野本会長のとこに行ってくるから」

表彰式と世界大会の選手発表が終わり

客席から人がぞろぞろと球場を後にするなか

中西が玲奈たちに言う

「はーい。先生、また実習でおうたらよろしくなー」

美優紀はにこにこと手を振る

玲奈も横山もペコっと一礼し、中西を見送った


「この後、珠理奈たちどないするんやろ?」

選手達も居なくなり、整備が始まった球場を見つめながら横山が言う

「うーん。ミーティングとかありそうやなぁ。時間かかるかなぁ」

美優紀も顎に手を当て、首をひねる

「・・・」

玲奈は時間がかかるという言葉に肩を落とした

「大丈夫やって。珠理奈やったらすぐに飛んできそうやし」

横山が玲奈の表情に気づき、ニヤッと笑う

「え・・・いや、その・・・私は何も・・・」

玲奈はドキッとして顔が一瞬にして真っ赤になった

「せやでー。珠理奈、玲奈ちゃんがおれへんかったら投げるん気合入れへんのやから」

「そうやなぁー。玲奈がおらんときボール多かったし。そわそわして試合に集中できへんかったんちゃうか?」

「そ・・・そんなことなと思うよ・・・」

玲奈はそう言いながらも、さらに顔に赤みが増して行く

そんな玲奈の反応が面白くて、横山と美優紀はにやにやしていた

「中西先生!」

そこに、麻友が人ごみをかき分けて玲奈たちのもとに駆け寄ってきた

「渡辺先輩!」

「お、お久しぶりです」

横山と玲奈は一礼する

それに続いて美優紀も頭を下げた

「うん。久しぶり。で、中西先生は?」

渡辺は肩で息をしながら言う

「あー・・・野本会長のことに行っちゃいました」

「あー!一足遅かったか!」

横山の話しをきいて、麻友は頭を抱える

「仕方ない。玲奈」

「は、はい」

「また、中西先生に会うんでしょ?その時、私も呼んで」

「は、はぁ・・・」

「じゃ。珠理奈との再会楽しんで」

そういうと、麻友は片手を挙げて去っていった

「はは・・・なんか渡辺先輩らしいなぁ」

「そうだね・・・」

横山と玲奈は苦笑いをする

「あ!なぁなぁ玲奈ちゃん!」

「へ?」

美優紀がいきなり声をあげたので、玲奈はドキッとする

「珠理奈に向かって腕で丸作ってたやんか。あれってどういう意味?」

「え・・・?」

「あーホンマや。確かに、私も気になっててん。珠理奈えらいはしゃいでたし」

美優紀の疑問に横山も頷く

「えーっと・・・今日診察日だったでしょ?次の診察1年後になったの。だからその報告。大丈夫だったら丸するって言ってたの」

「えっ!ほんま?よかったなぁ!」

「そりゃ珠理奈もテンションあがるわなぁー」

美優紀と横山はうんうんと頷き、にこにこと笑う

「えへへ・・・ありがとう」

・・・ホントの意味は違うんだけどね

そう思いながら

玲奈は誤魔化すようにニコッと笑った