私はコンビニで手早く買い物を済ませ

山田の部屋に戻った

山田はまたベッドで寝息を立てていた

今の状況で何を話したらいいのかわからなかったから

ほっとした・・・

コンビニの袋をそっとテーブルに置いて

私は鍵を閉め、玄関のポストの中に入れた



ジャーーー・・・

自分の部屋に戻った私は

シャワーを浴びて出勤準備を始める

寒空の下で立ち尽くしていたせいか

シャワーから出て来るお湯に

身体がじんとなった

シャワーを終えて

私は髪を乾かし、服を手早く着る

「あ、携帯・・・」

そう言えば、昨日からずっと鞄の中にしまいっぱなしだった

私はごそごそと鞄から携帯を取り出すと

着信を知らせるランプが点滅していた

連絡は・・・

佐藤からだった

私の心臓はドクドクとまたうるさく鳴り始め

手が震えた

おまけにメールまで来てる・・・

私がなんの連絡もないから、メールを送ったんやろうな

そんな推測をしながら

私はおそるおそるメールを開く

『何回も電話してごめんなー。菜々さん熱出たみたいなんや。行きたかったけど、まだそんな関係やないし・・・山本おんなじ寮やっていってたからちょっと様子見に行ってくれへん?頼むわ』

私はボタンを押して、メールを閉じる

「・・・ごめん。佐藤。お前が心配知る時に・・・私は・・・」

山田にキスをした罪悪感が襲ってきて

額に手を当て

まだ生乾きの前髪をぎゅっとつかんだ


しばらくして

私は上着を羽織り

いつもの時間に家を出る

しっかりせぇ、今日も仕事や

センチメンタルな気分も

罪悪感も引きずったらあかん・・・

私は白い息を吐きながら

歩道を歩く

信号で立ち止まり、辺りを見渡す

明るくなってきた街は

クリスマスの名残の飾り付けがちらほら見えていた

「・・・」

私は携帯を取り出し

『連絡おそくなってごめん。山田のところ行ってきたで。薬飲んでだいぶ楽になったみたいや』

「・・・」

『あと、山田が佐藤に申し訳ないって言ってた――

そう打とうとして

手が止まる

ピッポッ、ピッポッ・・・

信号が変わり

周りの人たちが動き出した

私は『メール消去』のボタンを素早く押し

携帯を上着のポケットにつっこんで、歩き出す

連絡ないの・・・佐藤、怒るやろうな

でも、そんなこと吹き飛んでしまうような嬉しいことが

これから彼に待ち受けてることを私は知ってる・・・

なぁ、佐藤・・・

「・・・お前、付き合えるんやで」

人ごみの中

私のつぶやきは

白い息と共に

虚しく消えた