それから数日後――

『でなー。山本ー。菜々とさー・・・』

「・・・」

私はベッドの上であぐらを組み

携帯に耳を当てていた

『どこがええかなー?大みそか一緒にすごすより、初詣のほうがいいよなー?』

佐藤のテンションの高い声が

私をイラつかせた

「あーもう!どこでも行ってこいや!大体なーこちとら風邪引いとんじゃ!心配してかけてきたかと思えばデートの相談ってなんやねん!」

そう言った後に

私は咳き込んで携帯を遠ざける

『ごめん、ごめん。だって嬉しくてさー』

「もうのろけ話はええで。あとは2人で楽しくやったらええねん」

かすれた声が、何とも情けない・・・

『ありがとう山本。じゃあ、俺頑張るから!お大事に!』

「へいへい。ほななー」

私は電話を切り

ドサッとベッドに倒れ込む

「はぁ・・・なにやってんやろ」

そう呟きながら目を閉じた

結局、佐藤はもう一度告白することなく

山田からOKの返事をもらって付き合うことになった

最近じゃ呼び方も「菜々さん」から「菜々」に変わってる

私といえば、クリスマスの日に山田の部屋で寝てたせいか

朝方、外でぐずぐず泣いてたせいか

・・・はたまた、山田にキスしたせいか

仕事納めの今日、見事に熱が出てダウンしてしまった

熱っぽい頭が

あの日の山田の唇の感触を思い出させる

「・・・あかんあかん!何思いだしとんねん!あれは終わったことや」

私はそう自分に言い聞かせ

布団を勢いよく被った


ピンポーン・・・

ピンポーン・・・

「うーん・・・」

私はインターホンの音で目を覚ます

気付けば眠っていたらしい

寝ている間にかいた汗がべたべたして気持ち悪かった

「うーん・・・」

気だるさからインターホンを無視していたら

ブーッ・・・ブーッ・・・

今度は携帯が鳴った

着信は

山田からだった

「・・・はい」

かすれた声で電話に出る

『もしもし、彩?寝てた?今、部屋の前に来てるんやけど』

インターホンを押していたのは山田だったらしい

「あー・・・そうなんや」

『食べるもんある?買ってきたんやけど』

「・・・すまん。もう食べてしもて」

私は嘘をつく

『・・・そっか。薬飲んだ?』

「あー飲んだで。今からまた寝るとこや」

『そっか・・・。ほな邪魔してごめんな。おやすみ』

山田はそう言って、電話を切った

「はぁー・・・ほんま、何やってるんやろ」

私は天井を見つめる

山田とは正直、顔を合わせづらくなっていた

顔をみると、どうしても唇に目が行ってしまって

ぎこちなくなってしまうのだ

「・・・ちゃんと話せるようになるんかな・・・ちゃんと・・・前みたいに・・・」

そう呟きながら

私はまた眠りに落ちていった