てな訳で

私は結婚式に参加しないことになった

正直言うと

佐藤と山田のキスシーンを見なくて済むからよかったと思っていた



「おう。やってるか?」

「お疲れ様です」

厨房に木野チーフが入ってきたから

私は一礼する

「で、デザイン決まったか?」

「あー・・・えっと」

「なんだよ。まだなのか」

「すいません・・・」

「前のコンクールの時の・・は・・・つかわねぇか・・・」

木野チーフは私の顔を見て

ため息混じりに言う

「すいません・・・」

「謝ってばっかりいねぇで、さっさと決めろ。もう時間ねぇぞ」

「はい」

「じゃあ、今日もやるか」

「よろしくお願いします」

私は頷いて

頭を下げた


そんなこんなで

家ではデザイン考えて

夜は遅くまで佐々木さんやチーフに指導してもらって

とかしてたら

あっという間に日々は過ぎて行った


「イチゴもっと切ってくださーい」

「生クリームまだ?」

「はい!もうすぐできます」

私はそう言ってカシャカシャと音をたてて生クリームを作る

今日は土曜日

相変わらず厨房は戦場と化していた

「ん・・・?」

下を向いて一心不乱に生クリームを作ってたら

一瞬視界がぐにゃっとゆがんだ

「・・・っ!」

それから力が入らなくなって

私はとっさにボウルから手を離し

調理台に手をつく

けど・・・

もう、腕に力が入らなかった

そして

視界が暗くフェードアウトしていく

「おい!山本!」

「しっかりしろ!」

そんな声が

うっすらと聞こえた・・・