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そして、迎えた6月26日・・・

結婚式当日

式は滞りなく進み

披露宴会場はにぎわいを見せていた

「では、いよいよウエディングケーキの登場です!」

女性司会者の声を合図に

ウエディングケーキが新新婦の前に出る

「「わぁぁぁっ!!」」

歓喜の声と拍手

カメラのフラッシュが激しく光る

「それでは、このケーキを作ったパティシエの方に登場していただきましょう」

その声を合図に

私の体はスポットライトを浴びた

「ええっ!」

「あ・・・」

新郎新婦が驚くのを尻目に

私はマイクを手に取る

「えー・・・このケーキを作らせていただいた、パティシエの山本彩です」

そう言って、新郎新婦・・・

・・・佐藤と山田を見て、一礼した

「このウエディングケーキは、元々新婦、菜々さんからアイディアをいただきました。彼女はシュークリームが好きで・・・私が作ったのを食べていつも嬉しそうに笑ってて・・・。だから、今日は皆さんが菜々さんの様な笑顔になれるように、心をこめて作らせていただきました。ケーキにシュークリームを乗せて、それがバラに見えるように生クリームでデコレーションしています。ケーキの一番上にはパティシエ姿の創太さんと、ウエディングドレスを着た菜々さんが乗っています」

私は山田を見つめる

その隣には佐藤・・・


ええねん

これが一番ええねん


言うで・・・


私はマイクをぎゅっと握り


「創太さん。菜々さん。結婚、おめでとうございます。・・・末永く、お幸せに。」

精一杯の笑顔を2人に向けた

一礼して顔を上げた山田の顔は

口がへの字になっていた

その顔の意味を、私は知ってる

涙こらえてる顔や

・・・ったく

そのへの字口やめんかい

こっちやって

必死にこらえてるんや

ていうか、嬉しいんやったら素直に泣けや


あれ・・・?

もしかして・・・

辛いのは

私だけじゃ・・・ない・・・?


「山本さん、ありがとうございました。では、いよいよ新郎新婦のケーキ入刀です!皆さんシャッターチャンスを逃さないように、どうぞ前にお越しください」

司会者がそう言うと

出席者は一斉に携帯やデジカメを持って

ケーキの前に集まってきた

私はすっと身を引き

会場の端でそれを見つめる


あぁ・・・あかんな

やっぱり私は

何もかも気付くんが遅いねん


「おめでとうございまーす!」


パチパチパチ・・・!

パシャッ、パシャッ!


司会者が声高らかに祝福し

皆が拍手して

写真撮って

その中心に

佐藤と山田がいる・・・


山田は、もう

にっこり笑っていた


・・・これでええんや


なぁ、山田

もし、お前が私と一緒の気持ちやっても

きっと

今と同じ状況を選ぶやろ?

だって・・・失いたくないから・・・

仲のいい「友達」として

ずっと傍にいたいから・・・


ふと

山田と目が合った


その瞬間

山田の想いが

私の心の中に入ってきた気がした

うん・・・そうか・・・

やっぱりな・・・

やっぱり

私ら

似てるんかもな・・・



気づいたら

私は、自然と微笑んでいた

「・・・」

まだ写真撮影が続いている2人を見つめながら

私はすっと幕の裏側に引っ込んだ