10月31日

今日はハロウィンだ

「お疲れー」

「お疲れさまでしたー」

そういってAKB劇場の楽屋を後にするのは山本彩だった

明日も東京で仕事のため、ホテルに宿泊することになっていたのだが・・・

「彩ちゃーん」

「は?」

前方の廊下から見なれた人が走ってきた

「みるきー!?」

山本は驚く

「おつかれさまー」

「え?いや、なんでおんねん」

「明日仕事いっしょやん。せやから私のとこ泊ってマネージャーさんが迎えに来るってことになってんで」

「え?そうなん?」

渡辺は東京でマンションを借りているのだ

「あ、おつかれさまでーす」

混乱している山本をよそに、渡辺は行き交うスタッフににこにこと挨拶をしていた

(ホテルに宿泊って聞いてたけど・・・まぁええか)

「ほな、そうしよか」

そういって笑った

「ほんま?ほな、これ着てー」

「はぁ?」

そういって渡辺が撮取り出したのは黒いマントと服

「ドラキュラやでーベタやけど」

そういって、にこにこと山本に衣装をもたせる

「私はなーこれやねん」

そういってコウモリの羽をイメージしたカチューシャを着け、上着の下にはゴスロリ調の黒い服を着ていた

「なんやその格好は・・・」

「ドラキュラとコウモリで合わせてみてんけど。あかんかった?」

「いやいや、あかんかったとかやなくて。なんで着なあかんねん」

「だって、今日ハロウィンやで」

「いや、知ってるけど」

「今日は仮装してる人いっぱいおるから、なーんも気にせんと街歩けるやん。変装したら誰も気づけへんて」

そういって渡辺は笑った

「はぁ?そういうもんか?てか、公演終わってシャワーも浴びてんねんけど・・・」

「お風呂は後で私とはいったらええやん。ほら、メイクメイク」

そう言って

再び楽屋に戻され

他のメンバーがじろじろと見る中、メイクをする

「あーさや姉ドラキュラー?」

そういって鏡に映り込んできたのは珠理奈だった

「みるきーが着ろ着ろって、うるさいねん」

「へーいいなー。仲良くて。迎えに来てくれたんだ」

そういって鏡越しに笑う

「な・・・」

山本は顔を赤らめる

山本と渡辺は付き合っており

チームKの中では横山と珠理奈は知っているのだ

そのほかのメンバーは半信半疑というか暗黙の了解といったところである

「私もさー今日は玲奈ちゃんと泊りなんだー」

「えーめっちゃめずらしい」

「そうなんだー。最近はなかなか一緒に入れなくてさー。私もなんか仮装して驚かそうかなー」

そういってにこにこしながら去って行った

(・・・めっちゃ嬉しそうやん。あの2人は相変わらず仲ええなー)

そんなことを思いながら

言われるがままにメイクをする

(んーけっこうええやん。1回メイクしとくもんやな・・・)

昼の生放送番組で化粧した知識が役に立ったと、後ろを振り向くと

渡辺の撮影会が行われていた

「わーさや姉もかっこいいー」

「ほら、2人ならんで」

そういって言われるがままに渡辺と並んで写真をとる

「何枚撮るねん。もうそろそろええやろ」

撮影が長引き、山本は苦笑いする

「じゃあそろそろ行こう。彩ちゃん忘れもんない?」

「あ、あぁ・・・」

そういって山本は鞄を持つ

「みるきーはコウモリっていうよりサキュバスって感じやな・・・」

そういって横山が笑った

「なんですかそれ?」

山本は首をかしげる

「んーなんかゲームとかでおるやん。セクシーな悪魔や。あのパ●ドラの」

「あー・・・」

(そういえばそんなキャラもおったな・・・あと昔お兄ちゃんがやってた格闘ゲームにも居た気がする・・・)

そんなことを思っていると

「彩ちゃん。いくでー」

楽屋のドアを開け渡辺が口をとがらせていた

「お、おう。ほな、ゆいはん。おつかれさまでしたー」

そういって山本は慌てて楽屋を後にした


――――

街はハロウィンでにぎわっていて

ジャック・オー・ランタンとオレンジの電飾がちりばめられていた

「みんないろんな仮装してんなー彩ちゃん」

「あーせやなぁ。てかなんで私だけホラーメイクしてみるきーはしてないねん」

渡辺は黒縁めがねをかけ、顔は普段のメイクをしていた

眼鏡は一応、変装らしい

「ええやん。こっちの方がかわええし」

「じゃあなんでメイクさせてん」

「んー雰囲気出るかなぁって思って」

「・・・おい」

そんな話しをしながら街を歩く

「なー彩ちゃん」

「え?」

後ろから声が聞こえたので山本は振り向く

そこには渡辺がふくれっ面で立ち止まっていた

「どないしてん?」

そういって山本は駆け寄る

「ん・・・」

そういって手を差し出す

山本は差し出された掌と渡辺の顔を交互に見る

「あ!あれか?お菓子くれってやつか?」

「ちがうー!」

渡辺の顔はますますむっとする

「じゃ、じゃあなんやねん・・・」

「手」

「え?」

「手繋いでくれたってええやん・・・」

そういってそっぽを向いた

「あ・・・あぁ・・・」

山本は顔を赤らめる

「すいませーん仮装の人たちで一緒に写真撮りませんかーって・・・え?みるきー!?」

「えっ!みるきー?」

「さや姉?撮影?」

ざわざわと周りが気づき始めた

「やばっ!いくで!」

そういって山本は渡辺の手を握り、駆けだした

「うんっ」

焦る山本をよそに渡辺は繋がれた手を見て嬉しそうに笑っていた


―――――

2人は渡辺のマンションに入ると

エレベータにのり込む

「はーなんとか撒けたなー」

「はーよう走ったー」

ふとエレベータの鏡に映る自分たちの姿を見る

「・・・ふふっ」

「・・・ははっ」

2人は顔を合わせ、笑った

「はー疲れたー」

そういって山本は渡辺の部屋に入るとマントを脱ぎ

シャツをめくり、洗面台で顔を洗う

「えーもう落とすん?」

「いや、もう仮装はええやろ」

「もー・・・」

渡辺は口をとがらせながら部屋のほうに向かった

「あーさっぱりし・・・た・・・」

(な・・・なんちゅう格好してんねん)

洗面所から部屋に入った山本は真っ赤になり固まる

黒の下着にガーターベルト

おまけにコウモリのカチューシャは外さずにつけていた

(ゆいはんの言ってたサキュバスって・・・こんな感じか?)

「彩ちゃん・・・」

そういって渡辺は山本に近づく

「な・・・なんや?」

「トリック オア トリート」

「は?」

「だから、トリック オア トリート」

「あー・・・お菓子・・・もってないわ」

「ふーん。じゃあいたずらしよー♪」

「わっ!」

そういうと渡辺はベッドに山本を押し倒すと

上から抱きつく

「な、なにしてんねん」

「えへへー」

「・・・くっ!はははははっ!」

顔を赤らめていた山本は突如笑い苦しむ

渡辺が山本の脇腹をくすぐっていたのだ

「ほらーこちょこちょこちょー♪」

「だーっ!みるきーやめろって!」

山本は目に涙をにじませながら身をよじる

「いたずらやでー」

「くそっ!こっちやってな!」

そういうと山本はぐるっと身体を返し

自分が上になる

「お返しじゃー」

「あはは!彩ちゃんあかんー」

今度は山本が渡辺の脇腹をくすぐる

「あかん!もう、あかんて・・・ゆるしてー」

「わかったか。これぐらいで許したるわ」

そういってニヤッと笑った山本は

我に返り真っ赤になった

今、自分の下に居るのは

下着姿のみるきーなのだ

しかもくすぐられていたので身をよじり、髪も乱れていたため

そのポーズが余計に色っぽく感じられた

(・・・あーあかん。もう無理や)

そう思うと

山本は肘をベッドに付き

体重を前にかけ、渡辺を見つめる

「彩・・・ちゃん?」

「ちゃう」

「え?」

「今、私ドラキュラやから」

「えー?さっき自分が仮装止めるって言ってたや・・・んっ」

そういって笑う渡辺の唇を

山本は自分の唇で塞いだ

「はっ・・・んっ・・・」

濃厚なキスをし、ゆっくり唇を離す

「美優紀・・・好きやで」

山本は囁く

「んっ・・・さやか・・・ちゃん」

耳元で名前を囁かれ、渡辺はキュッと服をつかんだ

「ゆうとくけど、ドラキュラは血ぃ吸わんとおさまらへんから」

そういって耳にキスをし

そこから首筋にそってキスをしていく

「んっ・・・」

ついばむようなキスに渡辺は身をよじり、頬を赤らめる

そして胸元に山本の唇が触れ

薄い痣を残す

「・・・吸われた」

そういって渡辺はくすっと笑った

「一応見えんとこにって気はつかってんねんで・・・でも、まだ血ぃ足りへんわ・・・」

そういってすっと手が下に降りていく

「今日・・・どないしたん?ホンマにドラキュラ憑いてんのちゃう?」

あまりにも積極的なので渡辺は笑う

「・・・んーていうかサキュバスのせいかも」

「さきゅばす・・・?」

「まぁ美優紀のせいってことや。そんな恰好してんのが悪いねんで」

「んっ・・・」

そういってまた唇を奪う

「彩ちゃん・・・好きやで」

「私もや・・・」

「たまには・・・こういうんもええかも」

「なんやそれ」

そんな話をしながら


甘い時を過ごしたのだった

Happy Halloween!!



Fin