10月31日

街はハロウィンでにぎわっていた

とあるマンションの一室で

小嶋は携帯のディスプレイを見てむっと口をとがらせていた

『ごめん、ちょっと遅くなる』

そう書かれていた

「もーおそいー」

そう言って料理が並べられたテーブルの端に携帯を置くと

ソファーにもたれかかる

その連絡が来たのは1時間前

それから一向に連絡がない

暇つぶしにみていたDVDは、中盤でいいところなのだが

全く入ってこない

「あ、そうだ」

小嶋はハッとして

勢いよく立ちあがった


――――

「あーやばっ!」

そういってヒールを響かせながら篠田は街を走っていた

仕事が押して、気づけば1時間以上の遅刻だった

街はコスプレ衣裳の人でにぎわい

それを掻きわけながら進む

「あ・・・」

篠田はふと右側にケーキ屋を見つける

ハロウィンにちなんだケーキが並んでいた

「遅れちゃったし・・・買っていこう」

そう思い店の中にはいった


篠田はマンションに着くと

インターフォンを押す

返事はない

「・・・陽菜ー?」

もう一度押すが返事はない

(怒ってるのかなぁ・・・いつもは出てきてくれるのに)

そう思い、合鍵を使いドアを開ける

「陽菜?」

部屋に電気は付いていなかった

篠田は玄関の電気をつけ、廊下を進む

リビングのドアを開けると

懐中電灯を下から照らしたゾンビが浮かび上がる

「わっ!」

篠田は驚いてケーキの入っていた箱を落とす

「えへへーおどろいたー?」

そういって小嶋は部屋の電気をつけ

マスクを脱いで笑った

「陽菜・・・何してんの・・・もー」

篠田は苦笑いをする

「だって麻里ちゃんが遅いのが悪いんだもん」

「まぁ遅れたのは謝るけど・・・こっちは陽菜が悪いんだからね」

「え?」

篠田はケーキの箱を拾い

「中は悲惨だと思う」

そういって小嶋に渡した

「えー!なんで落としたのー?」

口をとがらせる小嶋に

「・・・」

篠田は苦笑いをしたのだった



気を取り直し

二人は夕食を食べる

「ここの店のおいしいねー」

「うん、そうだねー」

テーブルに並べられていたのは小嶋が作ったのではなく

店のデリバリー商品である

食事がおいしいのでお酒も進み

いい感じで酔っていた

「じゃあ仮装しよー仮装」

「ん?何するの?」

「なんかねー最近はいっぱいあるんだけどー麻里ちゃんカボチャ被る?」

そういって小嶋はごそごそと袋からジャック・オー・ランタンのかぶり物を手にとった

「まぁなんでもいいけど」

そういいながら篠田はワインを飲む

「んーこういうのどう?」

そういって小嶋は黒い角がついたカチューシャを着ける

「あーいいじゃん。かわいい」

「ほんとー?」

そういって小嶋が笑う

「じゃあ被りますか」

そういって篠田はカボチャを被る

「はい、チーズ」

そういって小嶋は携帯で写真をとりにこにこと笑っていた

「あ、カボチャと言えばさー」

そういって篠田は冷蔵庫からケーキの箱をとりだした

「あーびみょ―に無事・・・かな?」

そういって

少し形の崩れたパンプキンモンブランを小嶋の前に出した

ジャック・オー・ランタンに見せていたのだったが先ほどの衝撃で

デコレーションしていたチョコもずれてしまっていた

「んーなんか悲惨」

「それ、陽菜が言う?」

「でも食べちゃえば一緒だし、いっか」

そういってケーキをフォークで刺し

「はい」

篠田に向ける

「味見?」

「うん」

「あ、おいしいよこれ」

そういってもぐもぐと篠田はケーキを味わう

「カボチャの人がカボチャ食べてるー」

そういって小嶋は笑う

「あ、ホントだ」

そういって篠田は被っていたカボチャを外すと

「陽菜もカボチャになる?」

そういって小嶋に差し出した

「えーやだーこっちの方が可愛いもん」

そういって着けている角のカチューシャを触る

「じゃあ・・・」

「え?・・・んっ」

篠田はスッと小嶋の唇にキスをする

「んっ・・・はぁっ・・・」

先ほど篠田が食べたカボチャのモンブランの味が口の中に広がる

(・・・甘い)

予想していたかった濃厚なキスと酒の力もあわさって

小嶋は全身の力が抜けていく感覚に襲われ

篠田の背中に腕を回し、きゅっとしがみつく

「んっ・・・麻里・・・ちゃん」

唇が離れ

とろんとした目で小嶋は篠田を見つめた

「カボチャにキスされたから仲間入り」

そういって篠田はニッと笑った

「もーなにそれ。そういうルールなの?」

小嶋は笑う

「そーいうもんだよ」

そういうと篠田は小嶋をソファーに押し倒し

服を脱がし始めた

「もーエッチ・・・」

「いいじゃん。仲間入りの儀式ってことで」

そういって篠田はニッと笑う

「えーでもカボチャ被るのは嫌ー」

「・・・この状況で被られたらムードないからいいよ」

「あ、それもそうだね」

「こんな時も相変わらずだね」

そういって篠田は笑った

「そう?」

「うん、でもそれがいいんだけどね」

そういって篠田は小嶋の上に覆いかぶさる

「大好きだよ。陽菜」

「うん、私も」

そういって2人は唇を重ねた



Happy halloween !!


Fin