そして


プレゼントを渡すタイミングがないまま


古川の生誕祭がおこなわれ


紅白歌合戦など


バタバタとした日々を送っていた


何度も渡すタイミングは合ったのだが


いざ、渡そうとすると意識してしまい


渡すことができなかったのだ


苦し紛れに


クリスマスに作ったカップケーキを誕生日プレゼントとして渡し


誤魔化していた



1月――――


握手会のイベントで


2次元同好会がコスプレ合わせをしていた


中西は相変わらずのイケメンで


皆キャーキャー言っていた


木崎や都築も可愛さをふりまき


メンバーがより一層はしゃぐ


その中で


「ごめんごめん、髪型こんな具合でどうかなー」


そういって古川がみんなの前に現れる


「あ・・・」


高柳は思わず声を漏らした


金髪眼鏡の制服姿の古川に釘付けになる


「あいりんにあってるー」


そういって古川に近づいたのは松井玲奈だった


「え、そうですか?玲奈さんからそう言ってもらえるなんて嬉しいです」


そういって古川は顔を緩ませる


(なによ・・・デレデレしちゃって・・・)


そんなことを思いながら高柳は少し口をとがらせた


「ちゅりー写真撮ってよー」


そんな気持ちを知らない古川は


にこにこと高柳の方を見る



「あ、うん。わかった」


高柳は必死で笑顔を取り繕い


カメラを構え


ファインダーを覗く



(え・・・?)


高柳はカメラから顔をずらし


2人を見る



「どうしたの?」


古川は不思議そうに首をかしげた


「う、ううん。大丈夫。じゃあ撮るねー」


そういってシャッターを押した



―――――――


その日の握手会の帰り


高柳はとぼとぼと家までの道を歩いていた


「はぁ・・・」


夜空を見上げ漏らしたため息は


白い息とともにゆっくりと消えた



高柳は


首にかけられたカメラを手に取り


古川と玲奈の写真を見る


あの時


ファインダー越しにのぞいた二人は


とても小さく見えた


自分の手には届かないところにいるような気がして


慌ててファインダーから目を離したのだ


いつも隣に居ても


ふざけてばっかで


照れてそんなシリアスなムードにもできない


そんな自分が


今日は歯がゆくて仕方がなかった


いつかは


本当にあいりんは誰かと・・・


私じゃない誰かと


遠くにいってしまうのかな・・・



「・・・しかたないよね。こんな私の隣になんて・・・いつまでも居てくれないよね」


そう呟き


ぽたっ・・・


液晶画面に涙が落ち


古川の笑顔が


虚しくゆがんでいた