秋元は宮澤から離れ


歩きながら人々を見渡していた


「はぁ・・・まったくどうしたらいいもんだか・・・」


そうぽつりとつぶやく


秋元には宮澤が無理しているのがわかっていた


わかっていたが


あんな宮澤を見るのは初めてで


どうしていいかわからなかった




「あ、警察の方ですか?」


歩いていると急に男性に声をかけられる


「はい。どうされました?」


「あそこで泥酔してる人がいるんですよ。おねがいします」


そういって土手の方を指差す


「はい」


秋元は指差されたほうに近づき


「あ!」


思わず声をあげた


そこにはあの日


一足先に犯人を捕まえた瀬部が


缶ビールを片手に土手に寝ころんでいたのだ


「ちょ、ちょっと。大丈夫ですか?」


「あ・・・ん?」


瀬部はゆっくりと起き上がりビールをまた飲んだ


「あ、この前の婦警さんですよねー」


呂律があまりまわっていないことから


そうとう飲んでいることが理解できた


「相当飲んでるね。とりあえず、ついてきて」


そういって秋元は手を差し伸べる


瀬部はうつむいたまま動かなかった


「ほら、立って」


そう言って腕をつかんだ時


「僕ね、振られたんですよ。ははっ情けないでしょ・・・」


そうぽつりとつぶやいた


「え・・・」


その発言に秋元の動きが止まる


「だから、無理してこんなに飲んじゃいました」


瀬部はそう言いながら笑う


「・・・」


「帰りも送るっていったんですけどねー。一緒に帰りたい人がいるからって断られちゃいました」


秋元はすっと手を離し


「ちょっと此処で待ってて!すぐ戻る」


そういうと勢いよく走りだした


「なんだぁ・・・?」


瀬部はうつろな瞳で秋元が走り去るのを見ていた



――――――――――


「・・・っー」


宮澤は頬を押さえ


行き交う人を見ていた


仲よさそうに帰っていくカップルたち


がこれほど恨めしく思ったことはない



(はぁ・・・またぶたれちゃったな・・・でもりんちゃんが幸せになるんなら・・・)


そんなことを思いながら


宮澤の頭の中には先ほど自分をぶった柏木の顔がぐるぐると回っていた


忘れようとすればするほど


柏木の姿が頭から離れなかった


(だめだ!今は勤務中だぞ!)


そう思い


気合を入れ直す



「佐江!!」


「さ、才加」


先ほど別れた秋元が

血相を変えて走ってきた


「ど、どうしたの?」


「佐江!今すぐ柏木さん追いかけろ!」


「え・・・?何?」


秋元に両肩を掴まれ


宮澤は事態が飲み込めず固まる


「さっき、柏木さんと一緒にいた人が泥酔してた」


「え?」


「振られたんだとよ」


「え!?」


「・・・いい加減ちゃんと言ってこい」


「・・・」


宮澤はうつむく


「柏木さん、お前に伝えようとしてたんじゃないか?」


「!?」


宮澤はハッとする


「ちゃんと自分から行ってこい!」


そう言うと秋元は宮澤の肩をバシッと叩いた


「・・・ありがとう才加!」


そういうと宮澤は向きを変えて走り出した


「まったく、世話の焼けるやつだな・・・ま、ごまかせるとこまで誤魔化しますか」


秋元はふっと笑い


無線のスイッチを入れたのだった