私は水を汲んで


中西の元に戻った


「あっありがとー・・・・ってどうしたの?顔赤いけど」


「え・・・そんなことないよ」


「ふーん・・・」


中西は給水場の方を見る


「・・・・あーこんなんことをできるのは、あいつしかいないな。」


にやっと笑いながら


スプーンでさっき私の足を触った人を指す



「珠理奈になんかされたんでしょ?」


「え・・・珠理奈?」


「そう、あそこに座ってるのは松井珠理奈。この学校の人気No1ってとこかな」


「No1って・・・」


「珠理奈とは腐れ縁でね、小学校から一緒なんだー。昔からよくモテるんだよ。まぁ今が1番のモテ期って感じだけどさ。」


そう言いながら中西は平然とカレーを食べていた


・・・どうなっているんだこの学校は


私は昨日のキスシーンと太ももを触られた感触を思い出しながら


理解に苦しんでいた


「慣れる慣れる!最初はみんな戸惑うんだよー」


私の顔が相当困惑していたのだろう


中西が笑いながら言った



・・・その日のお弁当の味はわからなかった



―――――



昼以降ぼーっとして


授業も集中できなかった


こんなん時はすぐに帰りたいところだが


ここがバス通学の辛いところ


バスの時刻まで待たなければいけないのだ


自転車も考えたが30分以上かかるので挫折した



「さてと・・・」


私はいつもの場所に向かう


そこは学校内の図書館だった


この学校は校舎の少し離れたところに図書館があった


その規模はちょっとした町の図書館くらいあるんではないかと思うほどだ



ゆうに一般の学校の図書室というレベルは超えていた



本好きの私にとって


この図書館はとても魅力的だった



館内が広いため


生徒がいてもそんなに気にならない


テスト期間中はにぎわうらしいが


普段は利用者も少ない



私は大きな机が並べられたコーナーを通り過ぎ


奥へと入っていく


そこは文学書のコーナーで


ひっそりと4人掛けの机が置かれている



めったに人もこないので


私には絶好の場所だった


中西に初めて図書館を案内してもらってから


バスの時刻まで時間をつぶすことが日課になっていた


私はいつもの席に座り


隣の椅子に荷物を置き


文学集の続きを読むのだった



――――――――――


その日の放課後


中西は学級日誌を書いていた


教室には談笑するクラスメイトがちらほらいる


そこに


廊下から教室をきょろきょろと見ている珠理奈に気づく


「珠理奈。どうした?」


「あっにしし、あのさー」


そういって中西を手招きし耳打ちする


「松井玲奈ちゃんってもう帰った?」


「えっ?」


珠理奈の口から玲奈の名前が出ることに驚いた


「・・・なんで玲奈?」


「いや、気になってね」


「ふーん・・・」


「あの初な感じがかわいいからさ」


にやっと珠理奈が笑う


「・・・・あんまり遊ぶなよ。」


「遊ぶんじゃないよ。仲良くなりたいだけだって」


「そうやって後何人と親密になるつもりだ?」


「さぁー何人でしょう?」


珠理奈はニッと笑ってウインクした


「はぁー・・・そろそろ真剣に一人と付き合ったらどうだ?」


「うーん・・・そういうのよくわかんないからさ」

珠理奈は悪びれもなく答える


そんな珠理奈にあきれながらも


わざわざ、どこに居るのか聞いてくる珠理奈を見るのは


めずらしいと内心驚いていた


たいていは


珠理奈が声をかけると


すぐに女子はころっと落ちてしまうからだ


(・・・ちょっと玲奈に賭けてみるか。)


「玲奈なら図書館に居ると思うよ。バス通だし時間つぶしてるはずだ。」


「サンキューにしし!」




そう言って走り去って行った



「これで珠理奈も真面目に恋してくれたらいいんだけど・・・」




珠理奈が玲奈を傷付けてしまう可能性は十分にあった


でも、玲奈が珠理奈を変えてくれることに賭けてみようと思った



「・・・とりあえず 許せ、玲奈」


と、廊下を走り去る珠理奈を見つめ


ぱんっと両手を会わせて謝るのだった