私は息を切らしながら


自宅まで走って帰った


幸い連れて行かれた場所が比較的家から近かったため


残った体力で帰ることができた



1日でいろんなことがあり


しかも雨に打たれたため


私は見事に風邪をひいてしまった


すぐに学校に行く気にもなれなかったので


むしろラッキーだと思った



でも、


ずっと珠理奈の顔が頭から離れなかった


何度も自分に言い聞かせて


嫌いになろうとした


でも


ふとした時に浮かぶ珠理奈の顔は




優しく笑っていた



そして


あの雨の日の


困惑した顔も


頭から離れなかった




しかし5日もたつと熱もなく


厳しい親が休むということを許してくれるはずもない


私はしぶしぶ学校に行った





―――――――――


学校に行くと


中西が心配してかけよってきた


「大丈夫?風邪ひどかったんだね」


「大丈夫。メールありがとね」


そういって私は席に着いた


「珠理奈も休んでるみたいだよ」


「えっ」


思わず名前に反応してしまった


「・・・?何かあった?」


中西が顔を覗き込む


「何でもないよ」


そう言うのが精いっぱいだった


「・・・なんか最近みんな様子が変なんだよ。」


「?」


「珠理奈の名前が全く出てこないんだ。休んでたらみんな騒ぐはずなのに」


私は高柳が何かしたのだろうと思ったが


知らないふりで通した


高柳は私を見ても


何も言わなかった


むしろ無視しているという表現の方があっているかもしれない



きっとあの人の中では


もう私は惨めな女というレッテルが貼られているのだろう


そして


同じことをされた自分が同類だと思いたくなくて


関わらないようにしているのだろう


「自分のあげたプレゼントが他の女のところにまわされていた」


という噂はすでに広まっているようだし・・・



変な嫌がらせを受けるより


よっぽどいいと思った



―――――――


珠理奈は次の週になっても休んでいた



私はいつものように図書館で時間をつぶす



もうすぐテストがあるから


今は小説ではなく参考書を見て勉強していた


他のことに集中して


珠理奈のことを思い出さないようにしていた




―――――――――



一方、珠理奈は自分の部屋でごろごろ過ごしていた


風邪はもうすっかり良くなっていたのだが


行く気になれなかったのだ


あの雨の日のことが忘れられず


思いだしてはもやもやしていた




休んでいる間


珠理奈は本を読んでいた


初めて会ったときに玲奈が呼んでいた本だった


最近では活字にも慣れてきてすぐに眠たくなることもなくなった


そして、最後のページを読み終えた



「終わった・・・」




そう言ってベッドに横になり



自分が読んできたページをパラパラと親指ではじいていた



「ん?」



文章が書かれていない一番後ろのページから


黄色い紙が見えた



「なんだこれ?」



手に取り


珠理奈はぎょっとした




[最後までよく頑張りました (れ・ω・な)]




それは玲奈が使っていた



シンプルな黄色の付箋だった



なんで玲奈が本を読んでいることを知っているんだ???


困惑しながら付箋を見つめていた


なんで、あんなことがあった後に


これを見つけてしまうのだろう


タイミングンの悪さを恨んだ




「あー!もう!」


珠理奈はベッドの上で


じたばたと体を動かす


あらかた動いた後で



「玲奈・・・・」



そう呟き


さっきの付箋を天井にかざし眺めた



蛍光灯の光で



その付箋の変化に気づく



「え・・・」



珠理奈は


がばっと起き上がった



「あ・・・・・・・・」


付箋見つめたまま


しばらく動けなかった


そして、また自分のタイミングの悪さを恨んで


ベッドに倒れこんだ



「あーーーーーーーーもやもやする!!!」



そう叫ぶと



珠理奈は制服に着替え


勢いよく戸を閉めて出て行った


その風で付箋がはらりと舞い


床に落ちた


そこには



[ずっと、あなたの隣に居たいな]



と、小さな文字で書かれていた