気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

小説 さやみるきー

sing a song⑦

カツカツカツ


私は早足で街中を歩いていた


なんなんよ・・・

なんなんよ・・・

せっかく会えたのに

話ができると思ったのに

・・・うれしかったのに

私・・・なんか怒らせることゆうたんかな?

視界が涙でにじみ

私はまわりに気づかれないよう

ホームの柱の陰で涙をぬぐう

『まもなくホームに電車が参ります』

アナウンスの声に

とっさに階段の方を振り向く

彩ちゃんは・・・

来なかった

・・・やっぱり、怒らせたんかなぁ

ボイトレに行きだしたのは

芸能活動復帰っていうこともあるけど

彩ちゃんの卒業コンサートに出るつもりだったから

だから、厳しくても頑張ろうって・・・

最近回数増やしたんやけどなぁ・・・

でも彩ちゃん急に怒り出すし

頑張ってたのに何よって・・・

なんかイライラしてしもた

プシュー・・・

電車がホームに到着し

みんな足早に動き出す

私は階段の方を振り向きながら

勝手なんは

お互い様やなぁ

彩ちゃんのために練習してた、って言えば

きっと・・・

プシュー・・・

私のそんな思いは

電車のドアによって遮られ

ゆっくりと動き出した

ーーーー

結局

そのあとボイトレにも行っていたけど

彩ちゃんと会うことはなかった

そして

『山本彩卒業コンサート参加依頼』が正式に来た

断る気はないけれど

この前のことがよぎる

素直に・・・なれるやろか

この前はごめんねって

言えるやろか

ピロン♪

lineがなり、スマホの画面を見る


『岸野里香』

珍しいなぁ、里香ちゃん

そう思い、メッセージを開く

『久しぶりー。彩の卒業コンサートの時に1期生でなんかできたらいいなって、企画のために集まろうっていってんねんけど。いける日ある?』

1期生・・・

懐かしい響きだった

その文字に、NMBで活動していた日々が走馬灯のようによみがえる

はぁ・・・卒業の日には好きってちゃんと言えて

満足して

そのままになってしまってたんやなぁ・・・

こう思うと、本当に淡い初恋みたい

彩ちゃん・・・どう思ってるんやろ?

卒業の日、私は自分がしたみたいに

彩ちゃんの思いが聞けると勝手に思っていたけど・・・

もしかしたら、そうならないかもしれない

NMBの劇場で彩ちゃんとゆーりちゃんが見つめあう姿を想像してしまった

「ゆーりちゃんのこと・・・すきなんかなぁ」

この前、アカリンに言われてからなんとなく検索してしまって

余計にもやもやしてしまった

「はぁ・・・」

すぐに返事をする気になれず

ベッドに突っ伏していた






sing a song⑥

ザワザワザワ・・・

駅の雑踏の中

私とみるきーの間には音がないように感じた

お互い見つめあったまま時が止まったようだった

「ひさし・・・ぶり」

沈黙を破ったのはみるきだった

「お、おう」

「駅で会うとかすごない?」

みるきーは笑ったが、その笑顔はぎこちなかつた

きっと、私が卒業をだまってて何にも連絡よこさなかったからだろうな

「彩ちゃんはこれから用事?」

「え、あ、あぁ・・・」

「私、今さっき用事終わったとこやねん。時間あったら、少し話さへん?」

私は時計に目をやる

スタジオを借りてるけど・・・まぁ多めにとってたからいいか・・・

「1時間くらいやったらええで」

「ホンマ?ほな、ちょっとお茶しよ」

みるきーは少しほっとしたように笑った

ーーー
「ここの紅茶ラテおいしいねん」

そう言ってみるきーは手慣れたようにカフェに入っていった

「ここらへんよく来るんか?」

「きだしたのは最近。ボイストレーニングはじめてん」

「ん?まてぇ、もしかしてそこって・・・」

私はスタジオの名前を言う

「え、そうそう。もしかして彩ちゃんも?」

「あぁ。スタジオ借りて練習しようと思って」

「そうなんや。実はおんなじところにいってたんやね。すごい偶然。先生って・・・」

みるきーはスタジオ講師の話を始めた

担当の講師は違っており、ギターとかのスタジオとボイストレーニング専用のスタジオは分かれているから会うことがなかったのかもしれない

私はみるきーおすすめの紅茶ラテを飲みながら

こんなに会える機会があったのに

このタイミングで会うなんて・・・

と、ぼーっと見つめていた

「腹筋とか落ちてしもてて、よくおなかから声が出てないっていわれてなぁ」

「あー・・・」

「立ち方とか音程のつけ方とか、厳しいわぁやっぱり」

みるきーは苦笑いをした

私も最初はかなり怒られたもんなぁ

それに、あの先生って私は担当やないけど厳しいって有名やし

いや待てよ?男やん

あの先生結構若かったし

その人と2人っきり?

私の中でもやもやとした思いがよぎる

みるきーは以前見た時よりも綺麗になっていた

好きと言ってくれた後、待ってくれてるとばかり思っていたけど

連絡も少なくなって

結局仕事ばっかりになって・・・

もしかしたら、私以外にいい人が現れてもおかしくない状況だよな

もう・・・アイドルやないんやから

それに、芸能界に戻ったら

今度はみるきーを狙ってくる男がたくさん・・・

「なんで、また戻ろうと思ったんや?」

「え?」

私はなんかイライラして

みるきーの話を遮った

「うん・・・いろいろ考えて・・・ね」

「いろいろってなんやねん。やりたいことあったんちゃうんか?それで卒業したんちゃうんか?」

「したよ。でも、そううまくいかなくって。でも、アイドルとしては卒業したからタレントとしてもう一回やってみようって思ったん」

「そんなに簡単なもんやないやろ?」

「何?なんでそんなに怒ってんの?」

私の口調にみるきーもすこし口調がきつくなる

「だいたい、あんたは何でも急やねん。卒業したかと思ったら今度は復帰って」

「そんなん私の勝手やん。そっちやって卒業するって私になんも言ってなかったやん」

「私にも事情があんねん」

「ほなこっちやってあるわ」

みるきーは口をとがらせ

「もうええ」

がたっと席を立つ

「彩ちゃんこそ、勝手やん」

「・・・」

しまった・・・

私の熱はさーっと冷める

だが、もう遅い

みるきーはカバンを手に去って行ってしまった

あぁ、またやってしもた

どうして、思っているのに素直になれないんだろう・・・

追いかけようとしても

足が動かなかった

追いかけて

何を言うのだろう

『勝手やん』

そうだな

ホンマに

勝手に待ってくれてると思って

勝手に嫉妬して

勝手に怒らせて

何年たっても

なんでみるきーだけにはこんなに不器用なんやろう・・・




sing a song⑤

「卒業曲なんだが・・・」

「はい」

私は秋元先生に本社に呼び出されていた

腰が沈む柔らかいソファーに姿勢を崩されないよう力を入れじっと秋元先生を見つめていた

「デモテープ・・・聞いたんだけど」

「は、はい・・」

「歌詞も山本がかいたんだよな」

「はい」

「じゃあ、なおさらだな・・・」

「え・・・?」

「この曲は世に出していいの?」

「・・・!」

その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった

眼鏡の奥の瞳が私の胸に突き刺さる

「これは大事な人に贈るといいよ」

そういって、フッと笑った

「・・・とても、想いを感じるから」

秋元先生は机にCDを置き、立ち上がる

「そういうことだから、よろしくね」

「は、はいっ!」

私もとっさに立ち上がり

「あ、あのっ!あ、ありがとうございまいた」

深々と頭を下げる

「君は十分頑張った。だからね・・・もう、自由にしていいんだよ」

「!」

その言葉を聞いて、堰を切ったように目から涙があふれだした

「いい曲だったよ。とっても」

秋元先生は私の肩をポンっとたたくとそのまま部屋を後にした

あたしは頭を下げたまま固まっていた

涙のしずくがデモテープにかかっていた

ーーー

数時間後私は駅にいた

この駅にはボイストレーニングをしているスタジオがあるのだ

秋元先生に背中を押された気がして

デモテープの曲を練習しに来たという訳だ


「しゃっ・・・」

私は帽子を目深にかぶり

リュックをかけなおし気合を入れ・・・

どんっ

「っ!」

リュックを直したときに

後ろから急いできた人の荷物と当たり

よろける

なんやねん

幸先悪いなぁ・・・

と思ったつかの間

前から来た人とぶつかりそうになり

「あ、すいません」

私はとっさに顔を上げ

「え・・・」

固まってしまった

「さやか・・・ちゃん」

おいおい

嘘やろ?

目の前には

みるきーがいた


sing a song④

芸能活動をやめてから1年近くたった時

「渡辺さん。もう一度芸能活動をしませんか?」

そんな声がかかっていた

「まだ未練、あるんじゃないですか?」

そういわれて、胸を貫かれた気分だった

「・・・少し、考えさせてください」

私はそうって、頭を下げた

確かに、SNSで活動をしている自分が未練がないといえないわけはない

でも、今更・・・

彩ちゃんになんて言おう

そんなことがぐるぐると回っていた

「・・・こんな時は」

私はスマホを取り出し、ラインを送る

『アカリンちょっと相談あんねん』


ーーーー

アカリンとあったのはそれから三か月後のことだった

youtubeとかでいろいろ活動してるし、今やNMBで別のフィールドを見つけて活動しているやり手だと思う

「ごめんなーみるきーなかなか会えんで」

アカリンは手をパンっと合わせて頭を下げた

「ううん、ええよ。忙しいもんな」

「みるきーは今何してんの?」

「・・・まぁ・・・そのことやねんけど」

私は今事務所から声がかかっていることを話す

「ええんやない?」

「え・・・」

さらっとしたアカリンの発言に目を丸くする

「だって、みるきーは舞台でいる時が一番キラキラしてたもん」

「・・・・」

「そりゃ、いろいろあって疲れたんかもしれんけど、芸能生活経験して一般人に戻るんって難しない?」

「・・・そう、だね」

私はオープンキャンパスで言われたセリフがよみがえり口ごもる

「さや姉とは連絡とってんの?」

「え・・・」

「まさか、とってないの?」

「卒業したすぐはちょっととってたよ。でも、彩ちゃんどんどん忙しくなるし、なんか・・・」

私はもごもごと言いながら気づけば下を向いていた

「はー・・・あのにこにこしてたみるきーはどこに行ったんよ」

アカリンはため息をつきながら眉をひそめた

私は顔をあげてアカリンを見る

「やっぱり、舞台におるみるきーがええで。何年もしてきたら嫌になることもある。でも、求められてそこにもう一回立てるんやったらええんやない?」

「アカリン・・・」

「前言撤回なんて、ますますみるきーらしいやん」

そういってアカリンはニッと笑った

「それに・・・」

「え?」

「さや姉もいつまで待ってくれるかわからんで?」

「へ・・・?」

「最近はゆーりと仲ええから」

「・・・!」

その一言が決め手になったことは

悔しいからアカリンには言っていない






sing a song③

「え・・・」

携帯のニュースに『速報!山本彩卒業発表』と書かれた記事を見て

私、渡辺美優紀は固まっていた

私全然聞いてないんやけど

と、言いながら私自身彩ちゃんに何にも言ってなかったから人のことは言えんか・・・

「・・・あほっ!」

自分にも非があるけど、なんかむしゃくしゃして携帯をソファーのクッションに向かって投げる

トン・・・

クッションに跳ね返りスマホ画面が上を向き

卒業の文字が強調されるように映る

「・・・あーもう!」

私はソファーに突っ伏す

2年前、何も言わずにNMBを去っていった

でも、それは彩ちゃんの近くにいるのがつらくて

自分が何をしたいのかわからなかったから

でも、お互いの気持ちを知って

なんか、離れてても大丈夫って思った

きっと、彩ちゃんは変わらず思ってくれるから・・・

変な自信があった

卒業後すぐは海外に行ったりして随分と気持ちが落ち着いた

仕事、どうしよう・・・

そう思い、昔の夢だった助産師を考え、オープンキャンパスにもこっそり行ったりした

でも・・・

「あれ、みるきーやない?」

「え?ほんま?」

そんな声が方々から上がり、人だかりができてしまい

「校内での騒ぎは困ります」

と、冷たく言われそれ以来大学や人が多いところに行くのを避けるようになった

・・・やっぱり、芸能人として出てしまった以上一般人に戻るのは難しいんかな

そんなことを日に日に考え

テレビで歌って踊る彩ちゃんを見ると、一緒にいた時とはまた違った感情が沸いた

あの時は、近いのに遠かった

でも・・・今は・・・

「本当に・・・遠い」

そうつぶやいた私の頬には一筋の涙がつたっていた

sing a song②

そして、ライブ当日


私は卒業することを告げた


お客さんの悲しむ顔、応援してるって叫ぶ声、拍手・・・

こんなにも目で、耳で、体で・・・お客さんたちの入り混じった感情を感じた日はなかった


でも、なんか言えてすっきりした


ーーー


「さやねぇ!」

公演が終わると美瑠たちが目に涙をためながら抱きついてきた

「ごめんな。言ってなくて。でも、美瑠なら大丈夫やから」

頭をなでながらなだめる

「「さやかさん!」」

他のメンバーたちも目に涙をためながら私の方を見つめていた

「みんな・・・」

「ちょっと。私にも何にも言わんってどういうこと」

そこに吉田がつかつかと割り込んできた

目には涙がたまっている

「だって、言ったら顔に出るやん」

「そうやけど・・・でも・・・」

吉田はぐっと唇をかみしめる

「っ!・・・さやかの・・・あほっ!」

そういって吉田も抱き着いてきた

「さやかさん!」

他のメンバーも次々に抱き着いてくる

「ちょ・・・ちょっとまてぇ」

苦笑いしながらそれを受け止めていた

ーーー

メンバーをなだめながら、これからのこと、NMBのことについて話し

メンバーを楽屋へ戻るよう促した

「さて・・・と」

キャプテンとして今日やるべきことはやったかな・・・

そう思いぐっと伸びをして、開放感に浸る

「彩」

「ん?」

吉田の声に振り返る

「まさか・・・みるきーにもこのこと黙ってたん?」

「え・・・まぁ・・・」

「あーあ。しらんで」

普段よりワントーン低い声で吉田がニヤッと笑った

「え・・・」

その顔に嫌な予感がした




sing a song①

「ぐぁ・・・」


7月某日。私、山本彩はスマホ画面を見て固まっていた

そこには『渡辺美優紀 誕生日に芸能会復帰』と書かれていた

「あいつ・・・」

ホンマ、どんだけ気まぐれやねん

そう思いため息をつく

ま・・・でも、あいつらしいか。

ふっと笑みがこぼれる


プルルルル・・・

「うわぁっ!」

いきなりの着信に思わずスマホが宙に舞い、慌ててそれを受け止め電話にでる

「もしもし、彩か?」

電話は金子支配人だった

「はい」

「記事見たか?」

「あぁ・・・。みるきーのやつですね」

なんとなく照れ臭くなってポリポリと頭をかく

「そうや。いやーこんなタイミングで出てくると思わんかったなぁ」

「ははは・・・。まぁあの子らしいっていうか」

私は苦笑いをする

「で、どや?曲できそうか?」

「いやぁ・・・まだ、なんとも・・・」

私は机の上に散らばった紙とソファーに置かれたギターに目をやる

「・・・ほんま、タイミング図ってるみたいにでてくるなぁ」

「・・・」

「彩の卒業が正式に決定した次の日やもんな」

「・・・そう、ですね」

私はギターを見つめたままぽつりと漏らす

昨日、私は秋元先生に卒業することを告げ、正式に決定したばかりだった

『卒業の曲は君が書きなさい』

そう言われ、作曲作りに取り掛かった矢先だった

「発表はライブの初日になる。ええな?」

「はい」

「ほな、また状況教えてや」

「わかりました」

電話を静かに切り

画面は先ほどの、みるきー芸能界復帰の記事に戻る

2年前、みるきーが卒業した時にも夜な夜な作曲してたよなぁ・・・

『彩ちゃんのことが・・・大好き』

「・・・」

卒業公演の後、告白されたことを思い出す

あの時は恋愛禁止だから言えなかった思い・・・

「はぁ・・・」

私は手で顔を覆う

本当なら、卒業発表してみるきーを驚かせるつもりだった

なのに・・・

「ほんま・・・先先いってんのはあんたのほうやで・・・」

卒業したかとおもったら、復帰宣言

私はいつも後手に回ってる

・・・こうなったら、黙っといてやる

みるきーには先に言おうと思ってたけど、もうええ!驚いて私の気持ちをわかれ!

なぜか変なテンションになり、私はドカッっとソファーに座った




僕の彼女は魔法使い41

「もーサヤカちゃんそんなに怒らんでもええやん」

「・・・」

サヤカはムスッとしながら美優紀の横を歩いていた

「まぁ押さえ込んで洗ろたからなー。でも、あの臭さはホンマやばかったで」

サヤカを挟んで吉田も歩きながら言う

「・・・それもあるけど、なんでおまえらにつきあわなあかんねん」

サヤカはジロッと美優紀と吉田を見た

「そりゃあ、お礼ってやつ?」

吉田はにこにこと笑う

「それに何やねんこの服!もっとましなんなかったんか」

「一応地味なん選んだねんで。一人制服も浮くやろ?」

美優紀は悪びれもなく言う

風呂に入れられたサヤカは美優紀の服を着るようしいられたのだ

今現在サヤカが持っている服は小嶋の魔法で作り出した制服と自分が着ていた黒一色の服だけだった

そのため、2人に着せ替え人形のようにあーでもないこーでもないといわれながら

一応サヤカの意をくんで控えめな服だと言い張っているが

サヤカは不服そうな顔である

「まーまーええから」

「ほら、こっちや」

2人はサヤカの手を引き

「はぁ?」

四角い機械の中に入る

緑一色の壁をサヤカはぽかんと見ていた

「ほら、サヤカちゃん!」

「え?」

美優紀に腕をつかまれ

振り返った瞬間

パシャッ!

「はぁ?」

目の前を覆う光にサヤカは驚く

「ほら、次いくで」

吉田はサヤカの肩をたたきながら、前の画面を指さす

「はぁ?」

パシャ!

「おおっ!」

パシャ!

「なっ・・・」

パシャ!

「何やねんこれ!!」

「はい、終わり-。ほら、横いくで」

「はぁ?」

動揺するサヤカの手を吉田はつかんで連れて行く

ポップな音楽に画面とペン・・・

その前には美優紀が既に陣取っていた

「もーサヤカちゃん、全部表情硬い」

美優紀はクスッっと笑ってサヤカの方を見た

「・・・」

ドクン・・・

(なんや・・・これ・・・)

胸の奥に小さな波紋が広がる感じにサヤカは動揺する

「あはは、ホンマや!」

「!!」

吉田の笑い声にハッとし、我に返った

「んーこれとこれと」

「ここにハート入れる?」

「うん」

2人は慣れた手つきでペンを動かしてく

サヤカは2人の後ろでその作業を呆然とみる

「・・・」

そして、楽しそうな美優紀の顔を

気づけば見つめていた


---

カツン・・・

しばらくして一枚の紙が出てきた

「あ・・・」

それはサヤカが探してきたものによく似ていた

「はい、アカリン」

美優紀ははさみでそれを切り、渡す

「ありがと」

「はい、サヤカちゃんも」

「え?」

サヤカはその紙に目をやる

そこには『大親友』と書かれていた

「アカリンとのプリクラ探してきてくれてありがとう。だから、お礼につれてきてん」

「そうそう。今は私ら3人で大親友やからね」

吉田もニッと笑う

「なんやねん・・・それ」

サヤカは照れくさくて思わずそっぽを向く

「ほな、なんか食べよか」

「何食べたい?」

「・・・」

サヤカは紙をじっと見つめる

「ほら、サヤカいくで」

「あ、あぁ」

吉田の声にサヤカは駆け出す

友・・・なんて

いなかったな・・・ずっと・・・

2人を見つめフッと笑った



「・・・なんか、記憶消すのしのびないね」

「・・・そうだな」

その様子を前田と高橋は見つめていた






僕の彼女は魔法使い40

チュンチュン・・・

そして、朝が来た

カラカラカラ・・・

マンションのドアを開け、こそこそとする人影が一人・・・

「ちょっとみなみ!」

「!!」

その声で人影はびくっと身をのけぞった

そう、正体は高橋みなみだったのだ

ここは、前田と2人で暮らしてくマンション

ちなみに、宮澤、篠田たちも階は違うが同じ場所に住んでいる

「家まで窓から出入りしなくてもいいでしょ!?それに、どこいって・・・」

つかつかと高橋の方に前田は歩を進めるが

「くさっ!」

思わずのけぞった

「あ、あはは・・・ただいまー」

高橋は苦笑いをする

「どこいってたのよ。もう、はやくお風呂入って」

鼻を指でつまみながら前田は言う

「わかってるよー。だから起こさないように窓から入ったのに・・・あーあ」

高橋は肩を落としながら移動する

「で、どこいってたのよ」

「夢の島」

「え?」

「夢の島に、大事な宝物を探しに・・・ね」

そういって、高橋はニヤッと笑った


-----
サッ・・・サッ・・・・

店の前を美優紀の祖母が箒で掃いていた

トトトッ

目の端に黒いものがうつり

祖母は視線を向ける

「おや、サヤどこ行ってたんだい」

店に入ろうとする前に声をかけられ、サヤはぴくっと止まる

「・・・おや。何くわえてるんだい?」

そういって、祖母は近づき

「あら・・・」

トトトッ

サヤはぷいっとそっぽを向いて中に入ってしまった

「あの子・・・昨日のこと、どこかで見てたのかねぇ」

そういって、祖母はくすっと笑った


「おい」

「ん?」

眠っていた美優紀は体の重みで目を覚ます

ぼんやりと開けた目には黒猫が移っていた

「もう、ほったりすんなよ」

「え?」

そう言って、胸に何か白いものを置いて去っていった

「何?」

美優紀は訳が分からずその白いものを手にする

「あ・・・」

それはプリクラだった

以前、サヤカが見つけて勢い任せに捨ててしまった・・・

「サヤカちゃん・・・これ・・・見つけてくれたんや」

美優紀は微笑んだ

が・・・

「ん・・・くさっ」

布団から生ごみの匂いがするのだ

「あーーーー!」

美優紀は先ほどサヤカが布団の上にのっていたことを思い出す

「な、なに?」

下で寝ていた吉田もその声に驚いて飛び起きた

「くさいねん」

「は?」

「サヤカちゃんがくさいねん」

「どういうこと?」

「サヤカちゃん、ここではサヤっていう猫でくらしてるんやけど・・・さっき布団の上に乗ってきてん。で、出て行ったあとくさかったねん」

「え?ほんまに?猫とかなれるん?すごいなぁ」

そういって、吉田は布団の匂いを嗅ぐ

「うわっ、生ごみくさっ!」

「やろー?でも、きっとこれを探してくれててん」

美優紀の手には大阪時代に2人で撮ったプリクラがあった

「これって・・・」

「アカリンが来る前に、サヤカちゃんがみつけて私勢いに任せてほってしもたん・・・それを・・・探してきてくれたんや」

「ふーん・・・ええとこあるやん」

吉田は自分のカバンをごそごそとあさり

「私も、ちゃんともってるで」

そういって、手帳を見せた

そこには同じプリくクラが張られていた

「アカリン・・・」

「じゃあ、お礼せなな」

「え?」

「その前に・・・」

吉田はニヤッと笑った


-----

「お、おい!なにすんねん!」

風呂場で声を殺しながらサヤが言う

「あかん、動かんといて。くさいんやから」

「そうそう、きれいにせななー」

2人はシャンプーとシャワーヘッドを持ち

にやにやと近づく

「う・・・うわぁぁぁぁぁ」

ガタン!バタン!

「おやおや、元気だねぇ」

風呂場の方から聞こえる音を聞きながら祖母は店で微笑んでいた



僕の彼女は魔法使い39

祖母は先に帰ると言い、母親を連れて理事長室を後にした

「はー。なんなんだよ今日は」

高橋は緊迫した雰囲気から解放され、大きなため息をつく

「ははは、2度あることはっていうからあと一回あるかもね」

篠田はニッとわらう

「げ、やめてくれよ」

高橋の反応に篠田はくすくすと笑った

「アカリン・・・ごめんな」

「ううん。私のほうこそ、ごめんな。それに、守ってくれてありがとう」

「・・・うん」

2人は笑いあう

「いやーよかったよかった。仲直りもできたし、学校も来てくれるっていうし、万々歳だよ」

宮澤はにこにことその光景を見つめていた

「そうね。でも、あと一仕事残ってるんじゃない?」

前田の問いかけに、高橋たちは一斉に吉田の方をみる

「な・・・なに?」

さすがに視線が痛く、吉田がたじろぐ

「ごめんなさい。吉田さん。あなたの記憶を消さなきゃいけないの」

「え・・・?」

「提案したのは私なんだけどね。でも、まさかあんな奴がおそってくるなんておもわなかったから・・・ごめんなさい」

「ううん。それはいいんやけど・・・消すってどういうこと?」

「もう見たからわかってると思うけど・・・ここにいる人たちはこの世界の人間じゃないのだから、騒ぎが大きくなったら困るから・・・契約者以外は記憶を消すようにしているの。大丈夫、魔法をつかってたところの記憶を消すだけだから・・・渡辺さんと仲直りしたっていうことは消えないわ」

「・・・いやや」

「え・・・」

「だって、みんなみるきーのためにあんなに一生懸命に戦ったんやで。それを忘れるんやいやや。」

「吉田さん・・・」

前田は困った顔をする

「それに、あの戦いがあったから・・・みるきーとも仲直りできたんやと思うし・・・私、絶対言わへんから!だからお願い!」

吉田は頭を下げる

「私からもお願い!」

美優紀も続けて頭を下げる

「んー・・・どうする?」

小嶋は高橋の方をみる

「まぁ・・・しゃあないか。でも、条件がある。東京に居るときは渡辺さんの家に泊まること、大阪に帰る前にここによってくれよ」

「ありがとう!わかった!」

吉田はにっこり笑ってうなづいた

「はい、じゃあ今日は解散!渡辺さん、補習の日程はまた連絡するからね」

宮澤の声で一同は解散した

美優紀と吉田は2人そろって彩美堂に帰っていった

「いいの?あんな簡単にOKしちゃって」

「・・・東京に居る間だけ・・・な」

高橋は小さくつぶやいた

「今回の事件、でかい気がするんだ。吉田さんに危害が及ばないように見張って・・・大阪に帰る前に記憶を消す」

「そうだね・・・そのほうがいいかも。その間に、渡辺さんも説得しとかないとね」

篠田は顎に手をあて、考える

「・・・そんなんやったら、さっさと消してしまえばよかったんちゃうか?」

サヤカは眉をひそめる

「サヤカは情緒ってのをわかってないなぁ」

篠田はくすっと笑う

「はぁ?」

「今は記憶を消さないほうが、いろいろ話ができていいんだよ。仲直りはきっかけが必要だから」

篠田はにこっと笑い、サヤカの眉間のシワはより一層深くなったのだった


-----

渡辺と吉田は彩美堂近くの公園のベンチに座っていた

「うん、うん、わかった。じゃあアカリン連れて帰るから」

渡辺は携帯の電源を切り

「お母さん、そのまま大阪に帰ったって。アカリンも泊まっていいって言ってるから」

「ホンマ?ありがとう」

「ううん。こっちこそありがとう。ごめんな。私なんにも知らんで・・・ひどいことゆうて」

「ううん、ええんよ。私も、大阪の時ひどいことしたし・・・」

「「・・・」」

ビュゥゥゥ・・・

2人の沈黙を埋めるように風が吹く

「あのな」

吉田が口を開く

「ホンマはな、美優紀のお母さんが私のとこに来て会わんといてって言われたときな・・・悲しかったけど、うれしかってん」

「え?」

「美優紀、心配されてて・・・愛されてるんやなって思った」

「アカリン・・・」

「私のお母さんはな・・・全然私のことなんて興味なかったから」

「え・・・」

「うち、両親が小さいころに離婚して、私は母親と2人で暮らしてたんやけどな。小さいころから知らん男の人が次々に来てて・・・家ではお母さんはその人ばっかりで私のことなんて興味なくて、ほったらかしやってん」

「・・・」

美優紀は言葉をなくす

「だから、一回家に泊めてって言われたとき断った理由もそうやねん。お母さんの彼氏おるし、家も荒れててゴミ屋敷状態やし・・・とても泊めれるような状態やなかったから」

吉田は苦笑いをする

「だからな、夜の定時制の学校行ってバイトして、自分の服こうて遊んで・・・私も好きにしようって思ってん。学校はそんな状態の子らがようけおってなー。その子ら励ましたりいろいろしてたんや。なんか、ながいことそんな環境でおったから・・・家庭環境が悪い子ってなんか空気とか表情でわかるようになってしもてな」

「じゃあ・・・交差点で会ったときも?」

「うん。空気でわかった。見ながら歩いてたら急に立ち止まったからびっくりしたけど、話すきっかけになってよかったっておもってる」

吉田はにこっと笑う

「私・・・ずっとアカリンに助けられてたんだね」

「なにゆうてんの。お互いさまやで」

「え?」

「私も、元気もらってたから。周りにはおらんタイプやったし、楽しかったよ」

「アカリン・・・」

「みるきーはみんなに愛されてるよ。だから、卑屈になったりせんと笑いな。あんたの笑顔は見ててなごむから」

そういって吉田は美優紀の頬を引っ張った

「うん、がんばりゅ」

「あはは、なにそれ?ちゃんと喋れてないやん」

「それはアカリンが引っ張ったからやん!」

おなかをかかえて笑う吉田に、美優紀は頬を膨らましていた


「おうおう、いい感じじゃんか。仲直りは大成功って感じだな」

「・・・」

公園の木の上から高橋とサヤカはその様子を見ていた

「・・・なぁ」

「ん?」

「捨てたもんって、ここらじゃどこに行くんや?すぐ燃やしてしまうんか?」

「捨てたもん?あーゴミのことか?東京は人口多いからまず、いったん集めてそれから・・・」

「それ、どこにあんねん」

「え?」

スッと立ち上がるサヤカに高橋はきょとんとする

「・・・拾いに行かなあかんもんがあるんや」

サヤカは口をとがらせて、照れくさそうに言った

「ふーん・・・いいぜ。つきあってやるよ」

高橋はサヤカの肩をポンとたたく

「別に、場所おしえてくれたらええだけや」

「なーにいってんだよ。私は土使いだぜ?地面うごかしゃすぐに見つかるって」

高橋はにやにやしながら言う

「・・・ちっ。勝手にしろ」

サヤカはそっぽを向く

「はいはい。そうさせてもらいますよ。じゃあ、ついてきな」

高橋はふわりと浮き上がり、サヤカはそれに続いた


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「あーつかれたー」

小嶋は篠田とともに生活する部屋に戻り

勢いよくソファーにダイブする

「こら、にゃろ。ちゃんとお風呂入ってから寝なよ」

「はーい」

そういいながら小嶋はクッションを抱え丸まる

「・・・全然、聞いてないじゃん」

篠田は苦笑いをしながら服をハンガーにかける

「・・・」

ふと、自分の手の紋章が目に入った

「・・・ねぇ。にゃろ」

「ん?」

「・・・答えてほしいことがあるんだ」

「・・・」

小嶋はクッションを抱いたままちらりと篠田の方を見る

「にゃろたちはさ・・・最初、誰に仕えてたの?」

「・・・忘れちゃった」

小嶋はそういって目を閉じた


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「あーなんか今日はすごかったなぁ」

珠理奈は今日の出来事をベッドの上で思い出しぽつりとつぶやく

「ごめんなさい、いろいろなことに巻き込んでしまって」

玲奈は机の上で読んでいた本を置き、珠理奈の方に近づく

「怪我、ちゃんと治ってる?」

顔を覗き込む玲奈に珠理奈はどきっとする

「へ、平気だよ!玲奈ちゃんはすごいなー!もうピンピン」

ゴンっ

「・・・っー」

勢いよく立ち上がったため、2段ベッドで頭をぶつけて珠理奈は頭を抱える

「だ、大丈夫?」

「平気平気。私、石頭だから」

珠理奈は苦笑いをする

「ふふっ。でも、あんまりぶつけてたらコブができちゃうよ」

そういって玲奈は珠理奈の頭に手を置き

スッと目を閉じ、呪文を唱えながら撫でた

「あ・・・」

痛みが引いていくのと同時に、珠理奈はその顔に見とれてしまう

このまま、近づいたら・・・

キス・・・できるのかな?

「はい、これで大丈夫」

「へ?あ、う、うん!ありがとう」

珠理奈は今考えていたことが照れくさくて勢いよく頭を下げた

「ふふっ。変なの」

玲奈はころころ変わる珠理奈の表情や態度が面白くてくすくすと笑った

「あ・・・あははは。そういえば玲奈ちゃん、何よんでたの?」

「え?あぁ、この前生徒会長さんが薦めてくれた本。でも、昔の話だから注釈が多くて読むのに時間かかっちゃって」

「あー信長ね。玲奈ちゃんはまじめだなぁ。私なんかわかんなかったら、そういって返しちゃうけど」

「うーん・・・読みだすと最後まで読まなきゃ気が済まないから気になっちゃって」

「そうなんだ」

「でも、もう遅いし寝ましょうか。おやすみなさい」

「う、うん。おやすみ」

玲奈はスッと珠理奈のベッドから出ると電気を消し、自分のベッドに入っていった

「・・・」

うぅ・・・寝れない

先ほどの玲奈の表情を思い出し

珠理奈は寝返りをうつのだった
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