気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。SKE、NMBの支店推しです。苦手な方は退室ください。

sing a song

あとがき

sing a songを読んでいただいてありがとうございました。
途中仕事が忙しくなり間開きましたが、なんとか書ききることができてよかったです。
僕マをかけよってところですが・・・まぁおいおい書いていけたらいいなと思っております。

さや姉のコンサート観てて「ずっとずっと」がすごく好きになりまして
話の中に入れたくなりました(^^)
プライオリティーは衝撃的過ぎて、それを含め書きたいなーと思い・・・
実はサプライズで、山田も場をつなぐためにバンの中でしゃべってるということにしてみました。

一応現実の流れのなかにいかに妄想ストーリを入れるかって感じで書いてみました。

どうだったでしょうか?
私が書くさや姉はかなり奥手の真面目ちゃんなのでやきもきする人も多いかと思いますが・・・
好きってなって時間がたつとなかなか言い出せないものだと思うんですよねー
勢いだけではできないことってあるよねーと思い、いつもヤキモキする感じになってしまうというね(^^;)
またぼちぼち書いていこうと思いますのでまた覗きにきてください。
ありがとうございました(^^)

sing a song⑮ 終

そして、コンサートが終わり・・・

「はい、目線こっちにお願いしまーす」

私は劇場にかかった自分の写真を外し

カメラに向かって笑顔を向けていた

卒業公演が終わり

私のアイドル人生が終わった

「さやねぇー・・・さみしい」

「彩さーん」

楽屋で泣く美瑠をなだめながら

メンバーたちと別れを惜しんだ

ーーー

そして・・・

私はNMB劇場を後にする

本当にこの8年間いろいろあったな・・・

そう思い

一礼した

「さて・・・今からが勝負や」

そうつぶやき、携帯を手に取った

ーーー

「もしもし、あぁうん、もうすぐ着く」

私はタクシーに乗り込み

約束した場所に向かっていた

もちろん、ギターを抱えて・・・

ブロロロ・・・

タクシーが降り立ったところは

海の見える公園だった

「すまん、遅くなって」

「ううん。いけるよ」

そこには帽子を目深にかぶったみるきーがいた

「卒業おめでとう」

そういってみるきーは小さな花束を差し出した

「ありがとうな」

「うん」

「でな・・・私、アイドル卒業したらするって決めてたことあんねん」

「なに?」

「歌、聞いてくれるか?」

「彩ちゃん・・・」

「ホンマは卒業に向けて書いてたんやけど、秋元先生がさ大事な人のために歌うといいよって言ってくれて・・・その・・・みるきーのこと考えてつくったから、聞いてほしいねん」

「うん、わかった。ありがとう」

「・・・ほな、いくで」

チューニングをかるくし、弾き始める

みるきーは私の隣に座り、じっと見つめていた

今まで思っていたこと8年間の思い

言えない苦しさ、愛しさ

その思いを

ただ・・・君だけに歌う


ーーーー

ジャーン・・・

パチパチパチ・・・

みるきーは目に涙をためて拍手をしてくれた

「ありがとう。彩ちゃん」

「みるきー・・・」

私はギターを横に置き、みるきーの方を向いた

ドッドッドッ・・・

心臓の音がうるさい

「・・・もー」

みるきーはくすっと笑って

私の方に近づいて座った

「もう、アイドル卒業したんやろ?」

「あぁ・・・」

そうやな

今まで、長かった・・・

みるきーのその言葉にすべてのしがらみが取れた気がした

アイドルとか恋愛禁止と女とか

そんなのもう気にしなくていい

私は・・・

そっとミルキーを抱きしめ

「私はみるきーのことが・・・好きや」

耳元でそっとささやいた

「うん。私も大好きやで」

「「・・・」」

見つめあい

どちらかともなく、互いに唇を寄せる

溶けてしまいそうなほど

幸せだった


「・・・なんか、照れ臭いね」

「あぁ・・・」

「でも、こうして一緒におれてうれしい」

みるきーは笑って私の肩に頭を置く

「でも、彩ちゃんも芸能界におるし、浮気したらあかんよ」

「それはこっちのセリフや」

「大丈夫。どんだけ待ったと思てんの?」

「まぁ・・・そうか・・・」

「だから、片思いしてた分ずーっと大事にしてや」

「あぁ、大事にするわ」

私は星空を見上げる

そう・・・

ずっとずっと君だけなんだ

僕が愛せる女性は一人・・・


ーFIN-

sing a song⑭

わぁぁぁっ!!

久しぶりのステージはキラキラして

あっという間だった

うれしかったのは彩ちゃんが曲中でもぎゅってしてくれたこと

なんかうれしくてついにやにやしちゃった・・・

トークでも「彩ちゃん」っていうとみんなが反応してくれて

つい何回もいっちゃった

「感想は後で言うな」

そういうと彩ちゃんは照れ臭そうだった

それはまた後で会おうってことだから

それに、まだ最後までライブが終わってない

彩ちゃんが言ってた最後の曲も聞いてないから・・・

ーーー

そして

『みなさーんこの曲が最後になります!』

彩ちゃんがそう叫んで流れたイントロは

『ずっとずっと』だった


ずっとずっと君だけなんだ・・・


モニターを見ながら

涙が流れてきた

彩ちゃんもずっと・・・思ってくれてたんや

ーーー

「ったく、彩もくさいことやるわ」

「ももちゃん」

「今回彩が全部セトリ考えたらしいで」

その後ろでは里香ちゃんがニヤッとして現れた

「最後の曲にこれもってくるんや、完全にみるきーへのメッセージやんな」

「ほんま、喧嘩して素直になれんとか歌詞ぴったりやん」

「ま、でも彩らしいよなー」

「ついに恋愛解禁やしー」

モニターの後ろでまーちゅんや里歩ちゃんら1期生がぞろぞろと集まってきた

そして、ニヤニヤと私を見る

「みんな・・・もしかして」

私が彩ちゃん好きなのバレてる?

「ま、そういうことや」

そういって里香ちゃんは私の肩をたたく

「もしかして・・・今回の件って」

「そ、1期生のサプライズ。お互い素直にならんかな」

「!!」

わぁぁぁぁっ!!

コンサートが終わり、彩ちゃんの卒業セレモニーに移るため

みんなが舞台裏に戻ってきた

「なんや、1期生みんな揃って」

彩ちゃんがバタバタと降りてきた

「よかったな彩ー」

里香ちゃんがにやっとする

「え?」

「まったく世話が焼けるわ」

まーちゅんがはぁっとため息をつく

「ちゅーした?」

すかさず里歩ちゃんがつめよる

「な・・・」

彩ちゃんは思わず唇を抑え後ずさった

「こりゃしたな」

ももちゃんがにやっと笑う

「なんやねん、みんな言いたい放題いいよって」

「・・・今回の、みんなが仲直りさせようって計画したみたい」

「はぁ?」

彩ちゃんは目を丸くする

「じゃあプライオリティーしようっていきなり言ってきたのも・・・」

「そ、ま卒業前に2人が気まずいんも嫌やし」

ももちゃんはニヤッとする

「なんやねん・・・なんかはめられたって感じや」

彩ちゃんはうなだれる

「いややった?」

私は彩ちゃんの顔を覗き込む

「あほ、嫌なわけあるかい」

「お、じゃあ一発ちゅーしとく?」

ももちゃんがニヤニヤしながら言う

「せんわ!」

「なんやつまらんなぁー」

久しぶりの1期生たちのやりとりに何だか懐かしくなって

うれしくなった

「とにかく・・・その・・・みんな、ありがとう・・・な」

彩ちゃんは顔を赤らめる

あぁ、そっか。

私が感じてること

やっぱり彩ちゃんも感じてるんや

なんかそれが、一番うれしくって

「ありがとう」

私もにこっと笑った

「ええってことよ。なんだかんだゆうて、みんな世話やきたいねん」

里香ちゃんはニッと笑う

「よーし、みんな彩の卒業、花添えんで!!」

菜々ちゃんの声が響き

みんながドッと笑った







sing a song⑬

「いやーウケたウケた」

プライオリティーが終わり、百花は満足そうに水を飲んでいた

「はぁー・・・」

私も次の衣装に早々に着替え、水を一口飲んだ時だった

「彩さん」

「ゆーり・・・」

「プライオリティーのお願いなんですけど」

「え?今?」

「今じゃなきゃダメなんです!」

「えっ!おいっ!」

そういってゆーりは私の手をつかんで走り出した

カッカッカッ・・・

ヒールの音が響く中

「私のおねがいは・・・彩さんに守ってほしい約束は・・・」

ゆーりが息を切らしながらしゃべる

「みるきーさんにちゃんと思いを伝えてくださいってことです」

「え・・・」

カツン・・・

ゆーりの足が止まる

「私、二人の後ろで踊るの大好きだったんです」

「ゆーり・・・」

「最後のさやみるきー・・・私は2人の笑顔が見たいんです」

ゆーりは肩で息をしながら

うっすらと目に涙をためていた

「・・・ありがとうな」

私はゆーりの頭をポンポンとなでる

「・・・」

ゆーりはすっと端の方を指さし

「行ってください」

「わかった」

なんとなく、察しがついて

私はそっちの方に向かって走っていった


ーーーー
「ゆーりナイスアシスト」

岸野がひょこっと出てきて肩をたたく

が・・・ゆーりはずっと泣いていた

「・・・そっか。頑張ったな」

「・・・はい。でもいいんです。やっぱり、彩さんが一番うれしそうなのは・・・みるきーさんの隣にいるときですから」

ゆーりは頷きながら涙をぬぐった

「さっ!私、次の準備がありますから」

ゆーりはふっと息を吐き、また舞台の方へと走り出した

「はぁ・・・モテる女はつらいってやつか・・・さ、時間稼ぎすんで」

岸野はマイク付きヘッドフォンをつけ

『そっち、準備ええか?』

『ええで』

独特な声が響き

白いバンの中にいる人物はぐっと親指を立てた


ーーーー
カツン・・・

「・・・彩ちゃん」

「・・・みるきー」

舞台裏の明かりに照らされた顔は

すこし、目が潤んでいるように見えた

「・・・」

とは言ったもののどう声をかけていいかわからず

案の定固まる


「「・・・」」

わぁぁっ!

会場ではゆいはんのインタビューが流れている

やばい・・・はよせな・・・

もうすぐ山田との友達が始まる・・・

いろんなことがぐるぐるまわり・・・余計に言葉が出なくなって焦る

が・・・

「!!」

みるきがーいきなり抱き着いてきて

その思考は真っ白になる

「彩ちゃんはゆーりちゃんのことが好きなん?」

「は?いきなりなにゆうてんね・・・」

私の言葉はみるきーの唇で遮られる

「な・・・」

「私が彩ちゃんのこと一番好きやもん。大好きやもん」

みるきーは頬を赤らめながら、一筋の涙を流していた

「!」

私は反射的に抱きしめ返す

「あほ、あれは演出や。好きなんは・・・きまってるやろ」

「彩ちゃん・・・」

「・・・やきもちか?」

「・・・何そのイケメン感」

「ちゃうわ。だったらその・・・うれしい・・・な・・・って」

「もう・・・」

みるきーはくすっと笑う

あかん、その顔反則

私はぎゅっとさらに力を込め、みるきーの肩に顔をうずめる

みるきーもそっと背中に腕を回し、それにこたえてくれた

「ごめんな。今まで・・・いっぱい傷つけて」

「ううん。いいよ。なんやかんやゆーても私・・・彩ちゃんのこと大好きなんやってわかったから」

「みるきー・・・最後の曲、きいてくれ。それが私の答えや」

「うん・・・」

「ごめんな。まだ、アイドルやから」

「・・・いけるよ。そういうところも好きやで」

「終わったら・・・ちゃんと言う・・・」

「うん・・・」

私らは見つめあい・・・

そして・・・

「すまんお二人さん!そろそろ限界や!」

岸野が現れた

「おい!」

私は思わぬ邪魔に力が抜ける

そりゃ、こんな状況でもう一回キスできるかなあとか思ってしまった自分もあかんけど・・・

「彩、今あのバンの中で山田が時間稼いでくれてんねん」

「はぁ?」

「彩は今からドア開けて、山田とステージに行ってくれ!」

「お、おう!」

「山田結構粘ってくれたけどトーク力ないから、もう詰まってきてんねん」

岸野が持っている小型モニターには苦しそうに話題を出している山田が映っていた

「なんじゃそりゃ」

思わず笑ってしまった

「話はあとや、とにかく行って」

「わかったわ」

私はマイクをつかみ

ガラッ!
車のドアを勢いよく開けた

「お前は行くぞ!」

山田にマイクを持たせ走る

そして

「ありがとうな」

山田にしか聞こえない声で言った

「あたりまえやろ。友達やねんから」

山田の言葉に頬が緩む

なんだかんだゆうてもやっぱり1期生は最高や!





sing a song⑫

「はぁ・・・」

結局プライオリティーのリハーサルを見ないまま

本番を迎えることになった

僕はいないの時は彩ちゃんと軽くハグするけど

ほんとにただ、軽く触れるだけで・・・さみしかった

そして、そのまま・・・本番を迎えようとしていた


「うわーめっちゃ入ってるわ。さすが彩やな」

控室のモニターには観客席が映っており、人であふれていた

「・・・」

彩ちゃんはバタバタしててろくに話もできてないままだ・・・

このまま本番を迎えるのか・・・

「みるきーさん」

うなだれていたところに

声をかけられ

振り向くとゆーりちゃんが立っていた

「どしたん?もうすぐ本番やけど」

「ちょっと話が・・・」

「?」

私は首を傾げ、ゆーりちゃんの言われるがままに楽屋を出た

ゆーりちゃんは黙って歩いて気づけば舞台の搬入口近くまで来ていた

スタッフさんはあわただしく動いてるから、私らのことは気に留めていなかった

「みるきーさん」

「なに?」

「彩さんのこと、どう思ってるんですか?」

「え?」

ドキッとしてうろたえる

「・・・好きなんですか?」

「ゆ、ゆーりちゃんどないしたん?」

「答えてください」

「・・・」

ゆーりちゃんがまっすぐ見つめるから

好きって言葉がのどの奥で引っかかって出てこない

「・・・じゃあ、私がもらいます」

「え・・・」

「私、彩さんのこと好きですから」

「!!」

雷にうたれたように頭から足の先まで一気にしびれが走る

「じゃあ、それだけなんで。プライオリティーみてくださいね」

ゆーりちゃんはフッと笑って駆けていった

『私がもらいます』

ゆーりちゃんの言葉が頭の中で響いて

私はしばらく立ち尽くしていた


ーーー

そして

『キャーーーー!!』


黄色い声援の中

彩ちゃんはゆーりちゃんにキスをした

舞台裏でその映像を見せつけられる

「・・・」

時が止まる

ドッドッドッ・・・

心臓だけがやけにうるさく聞こえた

「みるきー。ちょっと」

里香ちゃんは俺らの衣装そのままで私の腕をつかむ

「え?」

「このままやったら嫌やろ?ちゃんと自分の気持ちいわな」

「でも・・・」

「大丈夫。手配はできてる」

「え?」

里香ちゃんは私を引っ張り

ある車の前まで連れてきた

そこには菜々ちゃんとスタッフさんたちがいた

里香ちゃんは近くの物陰に隠れる

「何これ?」

「大丈夫、山田が時間稼いでくれるから。それまでに勝負きめや」

「え・・・」

「今から彩をこっちに・・・」

そう言い終わる前に・・・彩ちゃんが現れた

・・・ゆーりちゃんつきで

「お、もうきよった。あとは任せるわ。ここでおり」

里香ちゃんは私に耳打ちするとそそくさと消えていった

何はなしてるんやろ・・・

『私がもらいます』

ゆーりちゃんの言葉がフラッシュバックする

そんなん嫌や

ずっと好きやったんやで

ずっと・・・ずっと・・・

我慢して

もう、誰かにとられるの嫌や

私は覚悟を決めた

sing a song⑪

「ほんまいいかげんにせぇよ」

私は皇輝音翔でばっちりメイクの百花に詰め寄った

「何が?」

ステージ裏で百花は悪びれもなくにやっと笑う

「サプライズやのにみんなの前でいらんと言わんでええんや」

と、いいながら私はプライオリティーの上着を羽織る

その矛盾に余計イライラした

「みるきーの前での間違いやないんか」

「はぁ?」

イラっとしてまた百花に詰め寄ろうとしたとき

「もー彩さん。イライラしすぎ」

「ゆーり・・・」

私と百花の間に太田夢莉が割って入る

「きゃー!もーホンマやばい」

続けて三田がやってきて

百花の姿を見て絶叫していた

「はい、ではリハ行きまーす」

「「はい」」

スタッフさんの声で百花と三田は移動する

「・・・私らもいきましょうか」

「あぁ・・・」

「・・・彩さん。私とキスするの嫌ですか?」

「!?」

ゆーりがじっと顔を見てくるから思わずのけぞってしまった

「あははっ。冗談ですよ。私も協力しますから」

ゆーりはにこっと笑って身を引いた

「なんか巻き込んですまんな」

私は苦笑いをする

「・・・高くつきますよ」

「こわっ」

「ふふっ。成功したら、1つお願い聞いてもらってもいいですか?」

「え・・・まぁ内容によるけど」

「だめです。ちゃんと聞いてください」

「わかった。きくわ」

「うん。約束ですよ」

「ハードなんやめてやー」

私はゆーりに手を振って立ち位置につくため走る

ゆーりも三田も巻き込んでなにやってんやろ・・・

あーあ、これでホンマにうまぁにいくんやろか・・・

ホンマは・・・

私の思いはちゃんとこのライブの中に隠してある

それを・・・気づいてくれるかなぁ・・・

はぁーでもみるきーそういうとこ鈍感やしなぁ・・・

・・・カツン

立ち位置の階段下につき

私は上を見上げる

まだ空は青い・・・



もうここまで来たら完全燃焼して

ちゃんと思いを伝えよう

「・・・君が好きなんだ。知ってるよね」

私は僕だって泣いちゃうよのフレーズを口ずさむ

ホンマ

今までのこと思い出したら泣きそうやわ

私はイヤモニを直し、階段を上った








sing a song⑩

「はぁー・・・緊張する」

ついに迎えた卒業コンサート

振り入れは、なんか自然と体か動いた

体力は昔みたいになかったけど

NMBにいた時の感覚が残ってるんやなって思った

コツコツコツ・・・

楽屋までの通路をあるき

楽屋のドアをぐっと握り

(彩ちゃん・・・おるかな?・・・ええいっ!)

ガチャ・・・

勢い任せにドアノブを

「みるきーやん久しぶりー!」

扉を開けるなり里香ちゃんが私に気づいて駆け寄ってきた

「久しぶりー」
「かわらんなぁ」

他の1期生のメンバーも次々に駆け寄ってきてくれた

私は話をしながら横目で楽屋を見渡す

「彩なら打ち合わせやで」

「え・・・あぁそう・・・」

里香ちゃんの言葉に探していたのがばれてドキッとした

「あー彩」

まーちゅんの声に

体がぴくっと反応する

「みんな久しぶりーありがとう」

彩ちゃんの声を背中越しに聞いてドキドキした

「もう少ししたらリハやから。おねがいします」

「みんなでもりあげようね」

「さやねぇが卒業するとかマジエモい」

「なんやそれ」

彩ちゃんははるちゃんとかりぃちゃんとかと楽しそうに話していた

「みるきー」

里香ちゃんの声にハッとする

「いける?」

「う、うん。いけるで」

「・・・・」

里香ちゃんは私の耳に顔を近づけ

「素直に言いたいこといったらええねん。その方がみるきーらしいで」

「え・・・」

「こういうとこ腹立つとかでもええし。ちゃんと話しとき」

「う、うん」

「そのタイミングは任せるから」

里香ちゃんは私の肩をぽんっとたたき

ニカっと笑った

「彩ー久しぶり」

里香ちゃんは私にそう言った後彩ちゃんに声をかけ

私の肩をつかんで彩ちゃんのほうに向けた

「・・・おう、岸野久しぶり。みるきーも・・・その来てくれてありがとう」

彩ちゃんはすごくぎこちなく笑った

「うん」

「ほな私は俺らとはの練習してくるから」

「あ、それやったら私も」

「いや、ええからええから」

里香ちゃんは彩ちゃんの肩をぽんっとたたき
まーちゅんたちの方に行ってしまった

「・・・」
「・・・」

お互いに沈黙が流れる

「あの・・・な。みるきー・・・」

彩ちゃんが口を開こうとしたとき

「「きゃー!!」」

楽屋のドアが開き、1期生たちの黄色い声が響く

「どうも、皇輝音翔です」

百花ちゃんがプライオリティーの時の衣装を着て現れた

「げっ・・・」

彩ちゃんの顔が引きつる

「さやねぇなにしてんねん。リハやるでリハ」

「ちょ、ちょっとまてぇ」

「えーなになにさやねぇもやんの?」

「リハみようみよう!」

みんなきゃいきゃいと騒ぎ出す

それにしても、なんで彩ちゃんそんなに慌ててるんやろ?

「あーもう!ネタばらしになるから、リハもみんでええからな!」

彩ちゃんは百花ちゃんの腕をつかんで楽屋から出て行ってしまった

「行くな言うたら行くよな」

「よし行こう」

里歩ちゃんとまーちゅんは目を輝かせ

2人の後を追おうとしたとき

「では、皆さんリハーサルに向けてご準備お願いいたします」

会場のスタッフさんが呼びに来て

2人は急ブレーキをかけ

準備をしだした


・・・なんやろ

結局話できんかったな・・・

私ももそもそと着替え

準備をする

「ではおねがいしまーす」

スタッフさんの声に促され

みんなステージに移動し始める

私はうつむきがちに楽屋を後にした

sing a song⑨

ーーー
それから

着々と卒業コンサートの話が進んでいった

「一期生の参加メンバーなのですが」

「はい・・・」

スタッフの方との打ち合わせに参加し、一期生と聞いてみるきーの顔が浮かぶ

「山田さんは正式にお伝えする前から申し出が出てますので・・・」

「「ははは」」

山田のフライング参加表明にスタッフたちも笑う

「あと参加者は・・・」

「すいませーん。遅くなりました」

「は?」

聞きなれた声に私は目を丸くする

そこには金髪、ピアスにダメージジーンズ

パっと見どこのもんやねんっていう木下百花がたっていた

「百花」

「卒業コンサート、私も参加させてもらいます」

そう言って机におもむろに紙袋を出し、ホッチキスで止めた紙を配りだした

「はい」

百花に渡された紙には

『企画 ダブルカップリング キス大作戦』

と書かれていた

「は?」

私は目を丸くして百花の方を見る

「百合はアツい」

「いやいや、なんでやねん」

「へーでも、面白そうじゃん」

スタッフさんがパラパラと企画書を見ながら言う

「うんうん、最近ゆーりちゃんと仲いいし。ちまたではさやゆーりはやってるんでしょ?」

「いやいやいや」

私はあわてて静止した

みるきーともちゃんとしたことないのに

それに、私は卒業したあとみるきーに・・・

みるきーに・・・

久しぶりに会って

ひどいことを言ったのに

私はまだ、心のどこかで許してくれると期待している

2年前のあの日

好きと言ってくれたから

『さやかちゃん』

みるきーの笑顔が浮かんだ

・・・ずっと、待っていてくれていたのだろうか?

「さや姉聞いてる?」

「え?」

百花が不満そうに問いかける

「あぁ・・・でも、なんでキスやねん」

「その方が盛り上がる」

「だから・・・」

「みるきー来るしお客さん喜ぶよねー」

「!」

百花と言い合っているうちに他のスタッフさんが

ホワイトボードに参加者の名前を記載していた

「・・・」

「みるきーとキスにする?」

百花の発言に我に返る

「あほっ!なにゆうねん」

その声にスタッフさんたちが一斉にこっちを見た

「あ、あはは。すいません」

私はあわてて取り繕った

ーーー

結局、百花の案が通り

なぜかスタッフはノリノリだった

一期生は愛菜以外全員参加ということを聞き

正直、仲間の絆の強さを感じた

「なーええ加減機嫌なおせや」

自販機前で百花が私にコーヒーを差し出してきた

「いや、別に」

私は受け取り、カコっと開けてぐっと飲んだ

「連絡とってんの?」

「・・・この前おうた」

「で、話したん?」

「したけど・・・怒らせた」

「はぁー・・・あんたは好きな子をいじめる小学生か」

「うっさい!」

「みるきーつらかったやろなー」

「・・・」

「あーわかったわかった。本気でへこんでんのをいじめる趣味はないからな。ええか、さやねぇだからこそ、みせつけたらええねん」

「は?」

私の肩に腕を回し

「女はやきもち妬かせてなんぼやで。その方が本心が出るってもんや」

「あんたはどこのイケメンやねん」

結局、流されるまま

卒業コンサートの日を迎えることとなった

sing a song⑧

1期生の集まりに私は参加しないことにした

芸能界復帰ということもあり、いろいろと立て込んでいたというのもあるけど・・・

彩ちゃんの話をみんなとしてたら泣いてしまいそうだったから・・・

ーーー
話は数日前にさかのぼる



なかなか返事をせずにしびれを切らしたのか

里香ちゃんから電話がかかってきた

『参加できそう?』

『ううん、ごめん』

『そうかぁー復帰とかで忙しいかぁ』

『うん・・・まぁ・・・ね』

『・・・もしかして、彩となんかあった?』

『え・・・』

『その反応はあったんやな。おうたん?』

里香ちゃん、鋭すぎ

『うん、実はボイトレのスタジオ一緒やって、駅で偶然会ったんよ。それで、お茶してたんやけど急に彩ちゃん機嫌わるくなって・・・』

『まじか・・・うわぁ。で、彩からそのあと連絡きてんの?』

『ううん。きっと私がなんも言わずに復帰宣言したからかなぁ。なんかそんな感じの口調やったし』

『そっか。でも、卒業コンサートには参加するつもりなんやろ?』

『うん、そのつもりやで』

『わかった。みるきー私らで彩へのサプライズは考えとくから、協力してくれる?』

『うん、もちろん』

そういって、電話は切れた

ーーーー

そして、今私は復帰準備の真っ最中だ

あわただしい方が、何も考えなくて済むからちょうどいい

でも、『僕はいない』の練習もしなきゃいけないから

その時は、鏡にうつる自分の隣に

彩ちゃんがふと見えてしまう時がある・・・

はぁ、こんなんで本番いけるんかなぁ・・・

ーーー

某日、大阪のとあるカフェにて・・・

岸野はソファーに座り、スマホを片手にきょろきょろとあたりを見渡していた

今日は打ち合わせの日なのだ

カフェの2階を貸し切っており、幹事の岸野は早めに到着していたという訳だ

「わー久しぶりー」

「りかにゃーん」

1期生のメンバーが続々と集まってきた

もちろん、全員参加という訳ではない

「みんな久しぶりー。座って座って」

岸野はメンバーを促しながら

「これ、寄せ書きのやつなー。コメントよろしく」

手際よく説明し、ペンを渡していく

みんなワイワイと話しながら、近況を話し合う

彩が卒業するときは必ず駆けつける

みんな言わずとも思っていたことだと、岸野は感じていた

そして

「りかちゃーん」

小谷・・・もとい三秋里歩が大きく手を振ってやってきた

その後ろにはまーちゅんもいた

「おー里歩ー、まーちゅんひさしぶりー」

岸野も手を振り、迎え入れる

「俺らがんばるでー」

「私久しぶりやから今レッスンつらいー」

ちなみにゆっぴは今日は来られなかったらしい

「ちょ、里歩、まーちゅん。実は話しあんねん」

岸野はちょいちょいと手招きをし、2人を端に呼ぶ

「なに?どないしたん?」

「彩がまたやらかした」

「はぁ?」

「どうやらみるきーと喧嘩したらしいわ」

「まじか・・・」

「彩、全然素直やないな」

小谷と小笠原はため息をついた

もちろん彩がみるきーのことを好きだというのは言わずと知れていることである

「みるきーの卒業の時はうまくいってたと思ったんやけどなぁ。でも、まじめに恋愛禁止を守って告白せんかったしな」

「おそろしいほどに真面目やな」

「まぁさやねぇらしいよな」

「で、彩も卒業する今私らがひと肌ぬがないかんと思うねん」

「ええで。どうする?」

小谷はぐっと親指をたてる

「でもどうすんの?」

小笠原がたずねる

と、そこに

「百花ー!」

きゃーっと黄色い声が響く

そこにははにかみながら片手を軽く上げる百花の姿がいた

「なんやますますイケメンやな」

「はーかっこええわぁ」

眉をひそめる小谷とは裏腹に小笠原はきらきらと目を輝かせていた

「百花ーこっちこっち」

岸野は木下を手招きし

「考えてくれた?」

「まぁ、しゃあないな。あの2人世話やけるわ」

木下はぽりぽりと頭を掻きながらいう

「さっすが百花!ありがとうな」

岸野は木下の首に腕を回し、抱き着く

「おぉー産後やから乳がすごい!」

「そやで、2サイズアップやで!」

きゃいきゃいと盛り上がる2人をよこに

「で、どういうことなん?」

小谷が声をかける

岸野は小谷のほうを向き

「まぁ私らが背中押したところで素直にいくとはおもえんから、ここは目には目を恋愛のこじれには恋愛をってな」

「「?」」


首をかしげる小谷と小笠原をよそに

岸野は満面の笑みを浮かべていた






sing a song⑦

カツカツカツ


私は早足で街中を歩いていた


なんなんよ・・・

なんなんよ・・・

せっかく会えたのに

話ができると思ったのに

・・・うれしかったのに

私・・・なんか怒らせることゆうたんかな?

視界が涙でにじみ

私はまわりに気づかれないよう

ホームの柱の陰で涙をぬぐう

『まもなくホームに電車が参ります』

アナウンスの声に

とっさに階段の方を振り向く

彩ちゃんは・・・

来なかった

・・・やっぱり、怒らせたんかなぁ

ボイトレに行きだしたのは

芸能活動復帰っていうこともあるけど

彩ちゃんの卒業コンサートに出るつもりだったから

だから、厳しくても頑張ろうって・・・

最近回数増やしたんやけどなぁ・・・

でも彩ちゃん急に怒り出すし

頑張ってたのに何よって・・・

なんかイライラしてしもた

プシュー・・・

電車がホームに到着し

みんな足早に動き出す

私は階段の方を振り向きながら

勝手なんは

お互い様やなぁ

彩ちゃんのために練習してた、って言えば

きっと・・・

プシュー・・・

私のそんな思いは

電車のドアによって遮られ

ゆっくりと動き出した

ーーーー

結局

そのあとボイトレにも行っていたけど

彩ちゃんと会うことはなかった

そして

『山本彩卒業コンサート参加依頼』が正式に来た

断る気はないけれど

この前のことがよぎる

素直に・・・なれるやろか

この前はごめんねって

言えるやろか

ピロン♪

lineがなり、スマホの画面を見る


『岸野里香』

珍しいなぁ、里香ちゃん

そう思い、メッセージを開く

『久しぶりー。彩の卒業コンサートの時に1期生でなんかできたらいいなって、企画のために集まろうっていってんねんけど。いける日ある?』

1期生・・・

懐かしい響きだった

その文字に、NMBで活動していた日々が走馬灯のようによみがえる

はぁ・・・卒業の日には好きってちゃんと言えて

満足して

そのままになってしまってたんやなぁ・・・

こう思うと、本当に淡い初恋みたい

彩ちゃん・・・どう思ってるんやろ?

卒業の日、私は自分がしたみたいに

彩ちゃんの思いが聞けると勝手に思っていたけど・・・

もしかしたら、そうならないかもしれない

NMBの劇場で彩ちゃんとゆーりちゃんが見つめあう姿を想像してしまった

「ゆーりちゃんのこと・・・すきなんかなぁ」

この前、アカリンに言われてからなんとなく検索してしまって

余計にもやもやしてしまった

「はぁ・・・」

すぐに返事をする気になれず

ベッドに突っ伏していた






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